AIと働く実験の年——2026年、Rimoが目指すこと

更新日:2026/01/10 7:23
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こんにちは、Rimo代表の相川です。

2026年、いよいよ本格的にAI活用の実験ができる年になると感じています。今日は、なぜ今このタイミングが重要なのか、そして私たちRimoが何を目指しているのかをお話しします。

インターネットバブルとAIバブルの共通点

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Yahoo! Japan、楽天、サイバーエージェント、DeNA、M3、ラクス——これらの企業には共通点があります。1995〜2001年のITバブル期に創業した企業だということです。

バブルと言われながらも、この時期に立ち上がった企業だけが、日経225に入るような規模まで成長しています。時価総額1兆円というのは、日本経済に影響を与えられるレベルです。実際、日経平均株価を構成する企業が危機に陥れば、国が救済を検討するほどの規模感です。

興味深いのは、2005年以降に創業した企業で同規模に到達した例がほとんどないことです。理由はシンプルで、検索、EC、決済といった基盤的な市場を、大企業が本気になる前に押さえてしまったからです。楽天がインターネットで物を買える仕組みを作ってしまえば、後から同じことをやろうとしても覆すのは困難です。

今のAI市場は、まさに1999年頃のインターネット市場に似ています。

アメリカのITバブルは1995〜2001年、日本では1999年のiモード開始あたりから本格化しました。ChatGPTが登場したのは2023年。今はちょうど、誰もが「AIすごいね」と思い始めているけれど、まだ多くの企業は「本当にAIで仕事を置き換えられるのか?」と半信半疑な段階です。

大手企業が本気で参入してくるのは、おそらく2027年頃でしょう。「こんな仕事までAIでできるんだ」という事例が積み上がってからです。つまり、今年から来年が勝負の年なのです。

規模よりも「何をやったか」が大事になる

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これまで私は「毎年2倍成長」を掲げてきました。元々この目標を立てた背景には、日本にインパクトを与えられる規模を目指したいという思いがありました。

2の10乗は約1000倍。10年続ければ1億円が1000億円になる計算です。一般的なベンチャーの成長モデル「3倍→3倍→2倍→2倍→2倍」で上場しても、その後は年率1.5倍程度の成長に留まることが多い。それでは本当に大きなインパクトは作れません。

だからこそ、上場に囚われず、ずっと2倍を目指し続けるという戦略を考えていました。

しかし、AIの進化を考えると、前提が変わってきています。AIが本格的に仕事を奪うのは、早ければ2027年、遅くても2045年と言われています。20年かけて目標に到達するプランでは、間に合わないかもしれません。

そう考えると、20億の会社になるか30億の会社になるかは、もはや決定的な違いではないと思うようになりました。

それよりも重要なのは、**「日本で最初に、AIで仕事のほとんどを回している会社になる」**ことではないでしょうか。

1人の会社なら誰でもできるかもしれない。でも100人、200人の規模でそれを実現できたら、それ自体が圧倒的な価値です。私たちはそれを自社プロダクトで体現し、その知見を製品として提供できる立場にいます。

実際にAIで仕事を回せていますと言えたら、それは売れるはずです。その姿を目指すほうが、単なる売上の2倍成長よりも意味があるのではないかと考えています。

海外スタートアップから見える可能性

最近、アメリカで急成長しているAI系スタートアップを調べました。Character AI、Cursor、Devin——これらの企業は設立1年以内にシードで10億〜60億円を調達しています。

日本でシード10億円というと驚きですが、彼らは何にお金を使っているのか。答えは人件費です。

アメリカのエンジニアの給与は日本の5〜10倍。つまり、人件費的に考えると、日本で2億円の調達と、アメリカで10億円の調達は、ほぼ同じ意味なのです。

そして注目すべきは、これらの企業が10〜40人規模で100万〜1000万ユーザーを獲得していることです。MITやICPC(国際大学対抗プログラミングコンテスト)出身の優秀なエンジニアチームが、一気にプロダクトを広めています。

私たちRimoは既に10人規模のエンジニアチームを持ち、売上10億円という基盤があります。つまり、海外の成功事例と同等のリソースを、調達なしで既に持っているのです。

この資産を改めて見直すと、やれることはまだまだあると感じています。

半年で20万ユーザー獲得を目指す

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先日の経営会議で、新たな目標を設定しました。

  • 半年で20万ユーザー獲得

  • 高いレベルで「AIと働く」を実現し、世間から認知される

12月は売上目標を達成できました。営業チームが最後の1週間で100万、200万と積み上げ、予算対比105%を実現しました。展示会の運用改善も効いてきていて、投資回収率も徐々に上がっています。

ただ、現状の延長では足りません。現在Rimoのユーザー数は24万人。それに匹敵する規模を、新しい価値提案で半年で獲得する——これは簡単な目標ではありません。

「半年20万は多すぎる」という声もありました。でも、1年で40万ペースでは、1000万ユーザーに到達するのに何年かかるでしょうか。日本にインパクトを与えるには、そのくらいの規模が必要です。

実は、私には実績があります。前職のWantedlyでWantedly Peopleというサービスにの事業責任者をしていた時、1〜2年で300万ユーザーまで伸ばしました。月間3000万円の広告投資もありましたが、達成できない数字ではないのです。

具体的な戦略も見えています。1ユーザーを1000円で獲得できれば、1億円で10万ユーザー。現在、バナー広告のテストでは、クリック単価ベースで1000円以下での獲得可能性が見えています。さらに、獲得したユーザーが1000円以上の価値を生めば、その利益で再投資できます。

もちろん、広告だけでなく、プロダクト自体の価値が重要です。だからこそ、もう一つの目標である「AIと働くの実現」が鍵になります。

議事録を超えて、AIと働く領域へ

正直に言うと、AI議事録の改善を続けるだけでは、この目標には届きません

今の私たちのユーザーには、AIに興味がない人も多くいます。でも、まず私たち自身が、自分たちの課題を解決して、本当に楽になっているプロダクトを作れば、20万ユーザーは達成できると考えています。

候補はいくつかあります。ToDoの自動管理もその一つです。でも、本当にToDoが正解かは分かりません。

例えば、「なぜRimoがこういう機能になっているのか」「どういう意思決定でこうなったのか」が全て記録されていて、それを見れば分かる——そんなツールになっていたら、スティッキネスは圧倒的に高まるでしょう。それを見ないと仕事がやりにくいレベルになれば、代替不可能です。

議事録を超えて、AIと働く領域のどこかで価値を作る。これが私たちの方向性です。正解がどこにあるかは、やってみないと分かりません。だからこそ、素早く実験を繰り返す必要があります。

実験を繰り返せる組織へ

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スタートアップにおける実験期間は3〜14日です。30日を超えるとプロジェクトになってしまい、スピード感が失われます。

これはChatGPTに聞いて確認した具体的な数字ですが、感覚的にも合っています。例えば「これが売れるか」を検証するなら、3〜5社に当たってみれば感覚がつかめます。それは2週間あればできるはずです。

2週間で1つの仮説検証ができれば、年間24回の実験が可能です。理想は7日サイクルで回せること。そうすれば年間50回近く試せます。

もちろん、変化は疲れます。人間は変化を嫌う生き物です。だからこそ、実験の結果をしっかり記録し、知見として積み上げていく文化が大切です。

年末の自己評価項目に「達成度」だけでなく「再現性を作れたか」「AIに置き換えられたか」を加えたのも、この考えからです。AIに仕事を任せるには、まずフローを明確にする必要があります。「適当にやって達成しました」では、AIに渡せません。

実験を楽しめる組織になること。変化を積み重ねとして捉えられること。それが、この激動の時期を乗り越える鍵だと考えています。

現場の判断と、柔軟な方針転換

実は、いくつか方針を変えたことがあります。

例えば、最初は1億円使ってタクシー広告やバス広告をやろうと考えていました。でも、詳しい人に相談したら「タクシーで3万人にしか届かないし、アプリをインストールした経験なんて年に1回あるかどうか」と指摘されました。確かにその通りです。それならウェブ広告でしっかりやったほうがいい。

また、当初はエンタープライズにおけるカスタマイズ案件の拡大も考えていました。でも冷静に計算すると、採用に半年、営業に半年、案件化に1年でトータルで2年かかるプロジェクトです。20年後を目指すなら問題ないですが、今のタイムラインでは合いません。エンタープライズ向けの対応は継続しますが、主軸にはできないと判断しました。

セールスとCSの連携も課題です。当初は「このくらい使えたら次はもっと大きく導入しましょう」とセールスが伝え、CSが引き継いで拡大する流れを想定していました。でも実際には、そこまで連携できていません。12月は新規獲得で目標達成できましたが、アップセルは計画を下回りました。

解約率の改善も急務です。月100万円の解約が減れば、新規獲得が100万円楽になります。SaaSは掛け算の商売なので、この差は大きい。CS体制の見直しを含めて、しっかり取り組んでいきます。

こうした変化や調整を、現場で素早く判断できる組織でありたいと思っています。

情報共有の課題

月次定例でこうして話していても、誰が何を聞いていて、誰が聞いていないのか分からなくなることがあります。

だからこそ、月次定例でやっていることは全員が知っている前提にしたいと考えています。

意思決定の背景や、なぜこうなっているのかが、ちゃんと記録されて、誰でも見に行ける状態——それが理想です。実は、これこそ私たちが作ろうとしているプロダクトの姿でもあります。

最後に——2026年を実験の年に

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長くなりましたが、伝えたいことは明確です。

2026年は、AIと働く世界を具体化できる、貴重なタイミングです。大企業が本気になる前に、私たちは実験を重ね、答えを見つける必要があります。

  • 半年で20万ユーザーを獲得する

  • 高いレベルでAIと働くを実現し、認知される

  • 7〜14日サイクルで仮説検証を回せる組織になる

これらは簡単な目標ではありません。でも、私たちには既に10億円規模の資産があり、優秀なチームがいます。やれる可能性は十分にあります。

変化の激しい1年になりますが、実験の積み重ねを楽しみながら、一緒に挑戦していきましょう。

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