クリエイター、営業、マーケ。肩書きが変わっても、やっていることは同じだった話

更新日:2025/12/11 4:22
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こんにちは!Rimoでマーケティングを担当している齊藤です。Rimo Anvent Calendar 202512日目を担当します。

今日は、変わったキャリアと言われつつ、日々AIに助けられながらRimoで働く私が、常に忘れないようにしている「視点の移動」のことをお話しします。


「相手視点なんて当たり前」とは言うけれど。

「お客様の立場で考える」「ユーザー視点が大事」、そんな言葉、耳にタコができるほど聞きますよね。マーケティングの教科書にも、営業研修でも、必ず出てくるようなことです。そしてもちろん、これは誰もが多かれ少なかれやっていること。でも、本当のところ、常に丁寧にやり続けるのは意外と難しいことだと私は思っています。

人間はどうしても気を抜くと「自分が想像したい(できる)相手」の視点にとどまってしまいがち。私も日々改善の繰り返しですが、たぶん、視点の移動回数が皆さんよりも少しだけ多い私が考える、相手視点への”憑依”とその自由な移動が、AIと働くときにどう役に立ちそうかシェアできればと思っています。

ここで少しだけ自己紹介をさせていただくと、Rimoでは3年間、営業として商談の前線に立っており、その前はフリーランスとして様々なコンテンツ制作をしながら、副業で営業代行をしていました。肩書きだけ並べると「色々やってた不思議な人?」と思われる方も多いと思いますが、自分の中では一応、やっていることは常に一貫しているつもりです。

一言で表すなら、私の専門は 「相手視点への擬態と翻訳」 。クリエイターとして、営業として、今はマーケターとして、それぞれの受け手に「伝わるものに変換して届ける」役割をしてきました。もう少し言うと、受け手の頭の中を覗いて、そこに届くメッセージを見つける。これを繰り返してきました。具体的に視点をどうして何を届けられるか、見ていきましょう。

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フリーランス時代:

私はクライアントのオウンドメディアのディレクションやSNS運用とそのコンテンツ制作を主にやっていました。これは分解すれば、「クライアントが本当に伝えたいと望んでいること」と「読者が求めている情報」の重なりをコンテンツに落とすことが業務。ただ残念ながら、クライアントが伝えたいことは往々にして受け手は必要としていないので、受け手がどうしたらその情報が必要だと気づきを得られるのか、に重きを置いていました。

ペルソナの設定とはよく言いますが、私はしばらくそのペルソナになったつもりで生活してみたりしていました。そうすると、昨日の自分にはなかった相手の視界が少し見えてくるものです。例えば、30代子育て中のワーママ向けなら、 朝5時に起きて子供のお弁当の準備をしながら、自分の身支度をして、ゴミをまとめて、洗濯物の量を確認して、夫より先に家を出て... という生活を想像してみる。。相手の視界が見えると、「クライアントが必須と言っていたAの話って、一見遠回りに見えるBの概念を経由したほうがスッと入ってくるんじゃない?」のような気づきが得られたりします。このやり方で、「メディアから離脱させない」ことを目的としたKPIが大きく改善したのは良い経験でした。

AIがなかったあの頃は、こんな泥臭いやり方しかなかったのですが。


Rimoでの営業時代:

営業に転じてからは、この相手視点への移動速度と解像度が上がった気がします。

商談プロセス進行中、私は常に「この人は今、何を不安に思っているか」「本当の解決したいことは何か」を考えていました。表面的に言語化された要望の裏にある、担当者のチームとしての本質的な困りごとを探る。

例えば「会議の議事録作成に時間がかかって困っている」と言われたとします。でも、本当の困りごとは「議事録作成そのもの」ではなく、「議事録が遅れることで次のアクションが遅れて、プロジェクト進行の確認に影響が出ている」「その影響があることで、自分が上司から評価されにくい」だったりします。

だから私は、顧客に憑依して、その人の一日をシミュレートする癖を持っていました。朝出社して、メールチェックして、会議に出て、議事録を書いて、その確認を各人にまわして...。その一連の流れの中で、どこに本当のペインがあるのかを探る。

商談スクリプトの組み立ても同じです。「どこで納得し、どこで疑問を持つか」「何に不安になったり、推進を面倒に感じるか」。聞く人の目線で構成を常に組み立て直します。主担当者なら、決裁者なら、チームメンバーなら、と複数視点を並行してシミュレーションする癖がついたことで、商談進行中に適切なタイミングでフォローができるように。
実際、私が新人育成を担当していた時、最も力を入れて伝えていたのもこの辺りでした。

ただ、営業後半はAIの発達により、自分が長い時間をかけなくてもAIにシミュレートしてもらえるようになったので、より楽になった印象でした。それまで自分の頭の中で 時間をかけてシミュレートして書き出していた時間がまるっと消えたのです。
私自身、「あなたは〇〇業界の〇〇職で、決裁権限があります。部下がAI議事録ツールの提案をしているが、〜〜〜」のようなプロンプトで、色々なメンバーの視野を簡単にAIからもらっていました。


マーケ転向後:

いまマーケターとして広告見出しやコンテンツを考えるときも、最初にやるのは似たようなことですが、営業を経たことでこの視野は多層的になった感覚があります。

営業時代は、いま目の前にいる特定の顧客とその周囲のメンバーの視点を得られればよかった。でもマーケでは、顧客は不特定なんですよね。ここで私が漠然と感じてきた弱点が浮き彫りになりました。

私は個別具体に憑依するのは得意なのですが、どうも俯瞰するとピントがズレがち。とりわけ、これまで営業であまり関わらなかったレイヤーの視点がよくわかっていなかったようです。個別具体にズームインしすぎて、全体が見えなくて迷子になるんですね。こういう時も、今AIには本当に助けられています。

『自分に見えている視点』と『見えていない視点』の境界を明確にして、それを補うようなプロンプトを投げることで、新しい視点を今も次々とインストール中です。



最近のAIと働いている実例


最近、「急ぎでバナー4つくらい作れる?」という相談がありました。コピー案はすでに決まっていたのですが、正方形バナーに入れてみたら文字量が多すぎて収まりが悪い。すぐに作りたいのに、そのまま使えない状態でした。

ここで私がやったのは、「このコピーは誰に向けて、何を伝えようとしているのか」を確認することです。元のコピーは丁寧でわかりやすいけど長い。じゃあターゲットに刺さるポイントは何なのか、もらったベース案をもとに、Claudeにこんな感じのプロンプトを投げました。

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また、これをGeminiに投げてビジュアル案を複数パターン生成し、そこから手を動かして作成。合計1時間強で完成しました。

ポイントは、AIにただ「短くして」と投げるのではなく、「このペルソナにとって何が刺さるか」を考えること。こういった他者視点の自由な行き来が、AI時代には「プロンプト設計」という形で活きるように思います。
そしてこの視点の行き来は、もう自分で頑張らなくてもAIが助けてくれる。いい時代です。



AIと働いている実例:2

自社プロダクトのRimo Voiceを活用している例を一つ。

私はIS(インサイドセールス)チームのマネジメントもしているのですが、ISメンバーには「架電後、Salesforceにサマリを入力する」という業務があります。架電時に回収した情報は、商談時にFSが参考にするからです。ただ、これが結構時間がかかる。

特に慣れるまでは、残すべき情報の取捨選択がうまくできなかったり、そもそもサマリを作る時間が長くかかり、架電件数が上がらない問題もありました。

そこで、Rimo Voiceを使って、1日の長時間の架電音声から、FSに引き継ぎたい内容だけを抽出したサマリを自動生成する仕組みを作りました。

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ISメンバーの負担を減らすだけでなく、「営業メンバーが商談準備する時、どの情報があればスムーズか」という視点にこだわって設計しました。時にはISだけでなく、FSメンバーにもヒアリングをしてプロンプト改良も続けています。

結果、ISメンバーのメモ入力時間が大幅に短縮され、FSからも「必要な情報が引き継がれていない」というクレームがなくなりました。



視点を移動し続けること

フリーランスのクリエイターから営業を経て、いまマーケターとして働く中で、私が一貫してやっていることは、結局「視点をジャンプし続けること」です。相手の文脈にできるだけ深く入り込み、その視点を、言葉やクリエイティブや業務フローとして翻訳する。そのプロセス自体は、AIがどれだけ進化しても、当分のあいだは人間側の仕事として残り続けるはずです。

一方で、Rimo Voiceや生成AIのおかげで、その翻訳作業を助けてくれる相棒はどんどん増えています。だからこそ、これからの仕事では「ツールに詳しいかどうか」以上に、「誰のどんな状況を起点に、どういう問いを投げるか」を設計できることが、より重要になっていくのではないかと感じています。

そんな世界の中で、Rimoはきっと面白い環境です。

自分の肩書きやポジションにとらわれずに視点を切り替えながら、AIを使って仕事の組み立て方そのものをデザインしていくことができる。

面白い環境での、面白い働き方に興味を持ってくださった方は、ぜひ一度カジュアルにお話しできれば嬉しいです。

採用情報はこちら:
https://jobs.rimo.app/


Day11の記事はこちら▼

https://rimo.app/@rimo/advent2025-designer-ai

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