非エンジニアのマーケ担当が、Claude Codeを2ヶ月使って気づいた「AIにできること」と「人がやるべきこと」

更新日:2026/04/28 6:31
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AIを使えば仕事が速くなる。それ自体は間違いない。

ただ、2ヶ月間ビジネス業務にClaude Codeを使い続けてわかったのは、速くなっただけでは成果にならないということでした。

Rimoで事業戦略部門を担当している佐伯です。マーケティング、RevOpsに加えて社内のAI実装など、ビジネスサイド全般を見ています。

この記事では、Claude Codeをビジネス業務に2ヶ月使ってみて、何ができて、何ができなくて、そこから人は何を伸ばすべきかについて書いていきます。

ビジネス業務の「星取り表」を作ってみた

まず、自分が関わっている業務を「計測 → 分析 → 企画 → 実行」の4フェーズ × 5分野(マーケ・営業・営業企画・事業企画・オペレーション)で整理し、AIでどこまで回せるかを○△×で評価してみました。

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見えてきたパターンはこうです。

◎計測・分析フェーズは、ほぼAIに任せられる。

広告パフォーマンスの集計、データに基づく改善提案の導出、売上推移の可視化、顧客企業の公開情報リサーチ。こういった「データを集めて、整理して、示唆を出す」仕事は、AIの方が速くて網羅的です。人間が管理画面やスプレッドシートを一つずつ開いて確認していた作業とは、質が根本的に違います。

〇企画フェーズは「使える」が、人がどう構造化するかで結果が大きく変わる。

市場規模の推計、ローンチ戦略の素案、メッセージングの方向性検討。AIはフレームワークに沿った分析が得意です。ただし、「とりあえず改善して」と丸投げすると、個別のKPIに注目しすぎた部分最適な提案が返ってくる。全体を見て「ここが本質的な問題だ」と指定する。AIが出した大量のアウトプットを、人が理解しやすく納得できる形に構造化する。どれだけ正しい分析でも、人に伝わらなければ意味がない — その「伝わる形」に落とし込むのは人間の仕事です。

△実行フェーズは、できるものとできないものの差が大きい。

広告のAPI経由での設定変更は管理画面を開かず完結する。バナーや動画の素材生成もかなりのレベルまでAIで回る。一方で、提案スライドは内容までは出るものの、フォーマットやレイアウトの細部はまだ人の手が必要です。商談や合意形成は、まだAIに任せられる段階ではありません。

結局、「情報」や「システム」を相手にする仕事はAIが圧倒的に強く、「人」を相手にする仕事はまだ人がやっていくことが多い、 この線引きが2ヶ月で最もクリアに見えてきたことです。

具体的に何をやっているのか

抽象的な話だけだとイメージが湧かないと思うので、実際にAIをどう業務に組み込んでいるかを4つ紹介します。

01. 広告運用を「管理画面を開かずに」回す

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Google、Yahoo、Meta、Microsoftの4媒体で広告を運用しています。以前は、4つの管理画面を切り替えながらそれぞれのデータを確認し、横断的に示唆を出して改善提案をまとめる — それだけでかなりの工数でした。媒体が増えるほど、どこから手をつけるかの判断だけで時間が消えていく。

いまは、「現状把握 → 原因分析 → 打ち手の設計 → 設定変更」までを1つのセッションで終わらせるのが標準の運用です。

4媒体のデータを横断的に読み込み、見るべき観点を網羅的にチェックして「ここに問題がある」という仮説を構造的に返してくれる。CPAが目標の10倍以上に跳ね上がっているケースでも、原因の切り分けから打ち手の素案まで30分あれば揃う。除外キーワードの一括追加や入札調整もAPI経由でコマンド一発。管理画面にログインする工程自体がなくなりました。

浮いた時間は、「この方針でいくか」の判断と、次の施策設計に使っています。

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02. 営業の提案準備 — これまでやれなかったレベルの事前調査が片手間でできる

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重要顧客への提案のために、IR情報を読み込み、プレスリリースを追い、商談履歴や過去の議事録を確認し、契約状況を整理する。正直、様々な業務がある中でこのレベルの事前準備を毎回やるのは工数的に現実的ではありませんでした。

いまは、顧客ごとにあらゆる情報を統合した調査ファイルをAIが組み上げてくれます。Salesforceの契約履歴や接触履歴、Rimo Voiceに残る過去の商談・打ち合わせの議事録、ネット上の決算資料やプレスリリース、既存顧客であればプロダクトの利用データまで横断的に収集・統合して、「この顧客にいま刺さる提案の切り口」を提示してくれます。

ClaudeCodeに依頼しておいて、ほかの作業を並列で実施していれば気づいたら完成してます。これまで工数が足りなくてやれなかった高クオリティの提案準備が、片手間でできてしまう。 営業が時間を使うべきは「話に行く」「関係を築く」こと。その上流をAIに任せることで、人は人にしかできないことに集中できます。

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03. クリエイティブ制作(バナー・動画)

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バナーや画像のAI生成はすでに広く知られていますが、個人的に最も手応えがあるのは動画制作です。星取表では「△」を付けていますが、これは仕上がりの良し悪しを最終的に人が判断する必要があるという意味で、素材作成や構成を組み上げる工程自体はかなりのレベルまで回ります。

Remotionというコードベースの動画制作ツールを使っていて、これがClaude Codeとの相性が非常に良い。メッセージング戦略をインプットすると、構成・セリフ・素材まで一気通貫で組み上げてくれます。さらに、フロントエンドのリポジトリを読み込ませてUI操作を動画上で自由自在に再現できるため、広告用の製品デモ動画やオンボーディング動画の制作にも活用しています。

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実際にこの仕組みで作った動画はRimoの公式X投稿(@RimoApp)で公開しているので、興味があれば見てみてください。

とはいえ、自分は動画の専門家ではないので、出来上がったものに対するレビューの精度は高くないと自覚しています。専門性が足りない分野ではデザイナーに最終判断を委ねることもあります。AIが素材を揃えて形にするところまでは回るが、それをどう評価するかは人の力に依存する — これはどの業務でも共通する課題だと思っています。

04. 新規事業の立案支援

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事業企画の業務では、競合分析、市場規模推計、価格戦略、ローンチ戦略といったフレームワークを使う場面が多くあります。これらを毎回ゼロから組み立てるのではなく、AIに「スキル」として組み込んでおくことで、必要なときに呼び出せる状態にしています。

頭の中にふわっとある構想に対して、複数のフレームワークを並列で当てて多角的に検証する — そういう動き方が、1人でもそこそこのスピード感で回せるようになりました。「考える」を加速させる、というのが個人的な手応えです。参考までに、PMがよく使うスキル群をまとめている pm-skills のようなリポジトリも、AIに読ませて使う前提だとかなり実用的だと感じています。

ただし、「この方向で行くかどうか」の最終判断は人間の仕事。AIは材料と構造化を提供してくれるが、リスクを取る決断は人にしかできません。

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「作業ができる」は差別化にならない

ここまでの具体例を踏まえて思うのは、数時間、数日、ものによっては数週間かけて作っていたものを、AIが一定のクオリティで一瞬で出すという現実です。

週次レポート、提案資料の叩き台、市場調査、広告設定の変更。アウトプットを出すこと自体が人の能力、価値だった時代は、確実に変わりつつある。リソースが足りないからアウトプットを出せる人が貴重、という構図は崩れ始めています。

自分自身、いま同時に5~8つぐらいの作業をAIと同時並列で回しています。ここまでくると、ボトルネックは「作業速度」から、出てきたものを成果につなげられるかどうかに移ってきていると思います。

AIの出力を「成果」に変えるために必要な3つの力

様々な業務でAIを活用してみて、今後AIの材料を成果に変えられるようにしていくために、どのような能力が必要になってくるか個人的に考えてみました。あくまで個人的な意見なので、参考までに考えていただければと思います。

1. 設計力 — 構造を把握し、組み直す力

AIに「広告を改善して」と丸投げしても、CTR・CPA・CVRそれぞれについて個別の改善案は返ってきます。でも、LPの数字まで渡せば、AIは全体を見て示唆を出してくれる — 重要なのは問いの立て方以前に、何を渡して何を見てもらうかを決められる、全体構造の理解のほうだと感じています。

全体のジャーニーや事業の骨格が自分の頭に入っていれば、AIの出力が部分最適に陥っているときに気づける。逆に構造が見えていないと、AIが出してきたものをそのまま受け取ってしまう。

もう一つは、AIが出した大量の情報を、人が理解できる形に組み直す力です。経営陣が30分で判断できる構造に整理する。営業先でパッと伝わる形に翻訳する。情報の量ではなく、情報の構造で勝負する — ここに人が介在する価値が残っていると思っています。

2. 感性 — 「これだ」を感じ取る力

クリエイティブにも提案にも、正解はありません。AIが出した複数案の中から「これが刺さる」を見抜く目、提案書のトーンが顧客に合っているかの見極め、デザインの最終ジャッジ。これはその人がこれまで見てきたもの・経験してきたことの蓄積から来るもので、「なぜこれがいいのか」を言語化できるレビュー力に近いと感じています。構造化や論理だけでは到達できない領域です。

少し別のレイヤーですが、経営判断や価格決定のような「正解のない意思決定」も、最後は長年の勘のようなものが効いてくる。こちらもAIには出せない領域だと思っています。

感性は主観的に見えますが、結果で測れます。CVRが上がったか、受注できたか。感性が効いている人の判断は、最終的には数字に表れる。逆に自分の感性が足りない分野ではレビューがうまくいかない — これは実感として痛感しています。

3. 対人力 — 信頼を築き、動かす力

最終的な売上は、すべて人との接点から生まれます。AIがどれだけ完璧な戦略を出しても、それを顧客に届けて契約につなげるのは人の仕事。

具体的には、商談の場で相手の反応を見ながら切り口を変えていく対応力。役員会で腹落ちを作り、現場が動くメッセージに翻訳する力。顧客との雑談や会食で出てくる本音を拾って、長期的な関係を作っていく力。どれも場数を積まないと身につかないし、まだしばらくはAIに任せられる領域ではないようにも思えます。

AIが代替できない領域こそ、人が時間を投資すべき場所だと思っています。

この3つに共通すること

設計力・感性・対人力。一見バラバラに見えますが、共通しているのは、3つに共通しているのは「最後にどれだけ人に受け入れてもらえるか」を左右している部分だなと感じています。

AIはものすごい速度で材料を出してくれる。でも、それを使い物の形に整えるのも、良し悪しを見抜くのも、人に届けて動かすのも、結局は人の仕事として残っています。

  • 構造として整理されていないと、人の頭に届かない

  • 「これだ」と言えるものに仕上がっていないと、人の心は動かない

  • 信頼が築けていないと、行動まで至らない

こういう部分を意識して伸ばしていくのが、これからのビジネスマンとしての成長テーマになってくるのかもしれません。

結論:AIを使いこなすこと自体はゴールにはならない

2ヶ月触ってみて感じるのは、AIを使いこなすこと自体はゴールにはならないということです。

ビジネス業務でもAIは想像以上に使えます。計測・分析・企画・実行のほとんどの工程で、作業の大部分は代替できる。ただし、AIの出力がそのまま成果になるわけではない。

そのギャップを埋めるのは、割と根本的なビジネスの基礎体力だなと思っています。AI時代に重要なのは新しいスキルだと思われがちですが、意外と効いているのは昔から言われてきた当たり前のビジネス力で、むしろその土台を持っている人ほど、AIを手にしたときに強い人材になっていくんじゃないかと感じています。

もちろん、AIの進化を見ていると、ここで挙げた3つも、そのうちAIが網羅してくるのかもしれません。ただ、少なくとも現時点での人が果たすべき役割は、この3つようにも感じています。自分としても、AIの学習と並行して、こういった能力や感覚をこれから伸ばしていきたいと思っているところです。

AIが「情報」と「システム」を相手にする仕事を引き受けてくれる分、人は「人を相手にする仕事」に集中できる。その質を上げていくことが、AI時代に問われていることなのかもしれません。

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