「ハーネスエンジニアリング」とは?AIエージェントにも『オンボーディング』が必要な時代

こんにちは、Rimo代表の相川です。
最近、エンジニア界隈で「ハーネスエンジニアリング」という言葉をよく耳にするようになりました。聞き慣れない方も多いと思うので、今日はこのトレンドを整理してみます。
AIとの付き合い方は、毎年進化している

2024年はプロンプトエンジニアリングが話題でした。AIへの指示をうまく書きましょう、という話です。
2025年はコンテキストエンジニアリング。AIに適切な情報を与え、不要な情報は渡さないことで精度を上げる技術です。たとえばClaudeは最近100万文字近くを記憶できますが、情報量が増えるほど精度は落ちます。20万文字程度なら9割正解できるのに、100万文字になると7割程度まで下がる。だからこそ、何を渡すか・渡さないかの設計が重要になりました。
そして2026年のキーワードが、ハーネスエンジニアリングです。
「ハーネス」って何?

ハーネス(harness)は馬具のこと。馬=AIとすると、馬をうまく操るための道具や仕組みを整えることがハーネスエンジニアリングです。
コンテキストエンジニアリングが「AIに何を見せるか」だとすれば、ハーネスエンジニアリングは「AIがどこまで動けるか、何を使えるかの環境設計」まで含む、より広い概念です。
具体例を一つ挙げると、フロントエンド開発でAIにコードを書かせるとき、AIには「目」がないのでできあがったUIの見た目を自分では確認できません。そこでブラウザを立ち上げてスクショを自動で撮り、AIにフィードバックするループを仕込む。これがハーネスエンジニアリングの典型です。
ハーネスエンジニアリングで整える3つのこと
実務で論点になりやすい要素は、主に以下の3つです。
1. フィードバックループを回せる環境を作る
AIはコードを書けても「目がない」ため、UIの見た目が崩れていても自分では気づけません。そこで、ブラウザを立ち上げてスクショを撮り、それをAIに見せるループを仕込む。これだけで、AIが自己修正しやすい状態になります。
AIが自律的に動くには、自分で気づける仕組みが必要です。
2. 学び・注意点を"永続化"する仕組みを入れる
AIは起動し直すと、前回の会話を忘れた状態で始まります。フィードバックを渡しても、そのままでは次回に活かされません。
そこで重要なのが、注意点や学びを Memory.md / Lessons.md のようなファイルに貯めておき、次回起動時に引き継ぐ仕組みです。Claude Codeなどでもデフォルトで取り入れられつつあるアプローチで、「忘れない仕組み」を設計側で担保することがポイントです。
3. ツール利用の権限・セキュリティ・予算を設計する
AIエージェントが動くには、社内ツールや外部サービスへのアクセスが必要です。ただし、ここを雑に設計すると危険です。
基本的な考え方はこうです。
パスワード管理ツールを使い、AIに渡す権限を整理する
「読み取り専用」など、書き込みできない権限だけ渡す
予算上限(例:10万円まで)を決め、使える範囲を制御する
さらに将来的には、AIに専用クレジットカードやブロックチェーンのウォレットを持たせ、自律的に決済させる設計も現実の論点になってきています。「AIにお金を使わせる」仕組みをどう作るか、今から考えておく価値があります。

新入社員のオンボーディングと同じ発想
このコンセプト、実は人間の新入社員対応と全く同じだと気づきます。
新しいメンバーが入ったら、Slackのアカウントを作り、アクセス権限を設定し、使えるツールを渡す。AIエージェントへの対応もまったく同じです。
どのツールをインストールしていいか
どのフォルダの情報を読んでいいか
予算は何円まで使っていいか
読み込み権限だけ持つアカウントを渡す(万が一の誤操作防止)
これらをちゃんと設計しておくと、AIエージェントは格段にうまく動けるようになります。逆に言えば、環境が整っていないAIは、ツールが使えない新入社員と同じです。
これが会社の競争力になる
この話には、もう一つ重要な視点があります。
ハーネスエンジニアリングの整備度は、会社ごとに差がつきやすい領域です。大企業ではツールのインストール一つにも承認が必要で、AIもその制約に縛られます。一方で早めに環境設計を整えた組織は、AIエージェントを最大限に活用できる。
用語の定義はまだ流動的で、人によって言うことが違う部分もあります。ただ、AIエージェントが自律的に働ける環境を整えるという本質は変わりません。
この設計を早めに始めた組織が、次のフェーズで大きなアドバンテージを得ると思っています。Rimoでもこの観点での整備を進めています。一緒に取り組みたいエンジニア・事業担当者がいれば、ぜひ話しましょう。
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