2025年デザイナーがAIを使って助かった瞬間と使い方 5選

更新日:2025/12/10 1:57
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こんにちは、Rimo でUI・UXデザインを中心に、デザインという名前の付きそうな業務を色々かじっているにしゃみーです。

この記事はRimo Advent Calendar 2025 の10日目の記事です。

昨日は広報の安藤が「この会社はどこへ行くのか?」メッセージの変遷の先に、“いま挑む理由” がある をお届けしました。


皆さんは 2025 年を振り返って、皆さんの業務はAIによる変化がありましたか?

私は、AIツールが業務の相談・補助から、部分的な作業が以前よりずっとラクになり、より身近な存在になったと感じています。

今回は2025年、業務でAIを使っていて「これは圧倒的に助かったなー」と思った瞬間とその時の使い方を5つ紹介します。

1. PdM が Figma Makeでモックを作ってから相談しにくる時代が来た

使ったもの:Figma Make

何が変わった?

以前は「こういう機能を追加したい」という相談が言葉ベースで来て、そこから私が Figma を開いてモックを作り、「こういう感じ?」「いや、実はこういうパターンも考えたくて...」というやりとりを何往復もしていました。

今は、PdMが入社してくれたことと、PdM が自分で Figma または Figma Make を使ってモックの叩き台を作ってから相談に来てくれるようになりました。 やりたいことを実現した成果物ベースで「ブラッシュアップするにはどうするべきか?」という話ができるので、とてもやり取りが楽になってきました。
思い切って Figma の Editor 権限を渡したのが功を奏した形です。

良かったこと

判断の優先順位がつけやすくなった
「これは重要な体験だから、自分が1から考えた方がいいかもな」や「これはPdMが作ったモックの一部を調整すれば十分だな」、「この部分だけ実装してもらえば大丈夫だな」などの判断ができるようになった気がしています。

パターン出しの工数削減
state による画面パターンを何個も作らずとも、モックがあるだけである程度伝わるようになり良かったです。

困ったこと

デザインシステム・Figma ファイルの整備が追いついていない
Figma 上にはサービスページのデザインがないものも多々あります。デザインしたいページの Frame を参照させるため、種類を揃えたほうがPdMもやりやすいかも...と思うことが増えてきました。
これは、最近出た外部とのコネクターを利用して、GitHubと連携すればもっとよくなる可能性もあるので、今後の自分と、未来入るであろうメンバーの活躍に期待です。

Figma Make から Frame へのコピペのクセ
Figma Make からFigmaファイル側にコピペした際、Text が Frame で囲まれたり Fill container になっていなくてある程度使いやすいような形にするのに苦戦することが多々あります。

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デザインシステムに沿ったアウトプットが微妙にできていない
最近 Rimo では、デザインシステムのライブラリを参照させて、Guidelines.md と globals.css を記述することによって、エンジニアがデザインやコードを適用したり、参照しやすいアウトプットになるように調整する取り組みも進めています。

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しかし、使うAIモデルや渡すプロンプト、デザインによって「デザインシステムぅ?そんなもん知らねぇな!!」という勢いでアウトプットが返ってくることがあるので、 AI くんは気難しいです。触っていく中でベストプラクティスを見つけられるといいなと思っています。

デザイナーの役割、なにか変わった?

これは自分の職場環境の変化よる意識の変化、というのもすこし混じっている気がしますが、
「自分はデザインの方向性と戦略を定義し、実装レベルの課題解決はスキルを持ったチームメンバーとAIを適材適所で活用する」という考え方ににシフトしました。

結果として、自分がデザイナーとして解くべき課題に時間を使って、インパクトをだせるようになってきたというのが一番大きな変化かもしれません。
サンキュー、AI。

次の自分挑戦としては、

  • AI 依存でも質を落とさない環境と仕組みづくり

  • 解くべき課題の個数や実行するものの幅を人とAIによって増やす

ということを並行で実験しながら、成果を出せるフェーズに入れると良いなと思ってます。

ファイト一発。

2. 画像素材探しの旅から解放された

使ったもの:Whisk, Nano Banana Pro

何が変わった?

プレゼン資料やチラシの作成など、特定のトーンや構図の人物写真やイラストが欲しい時、素材サイトを延々とスクロールするか、自分で素材を作り出す日々でした。
理想のトーンに近い写真を見つけても、構図が微妙だったり、背景が合わなかったりするし、
自分で写真を撮ったり、イラストを作るとなると更に時間もコストもかかる。

通常の業務にプラスでイラストシステムを作ってメンテナンスまでするだけの時間と気合いが私にはありませんでした。

Whiskを使うようになってから、イメージしている画像を言語化し、トーンや構図を指定してプロンプトで渡すだけで、かなり近い素材が生成できるようになりました。

また、プロンプトで作成した画像の中でも一番イメージと近い画像もとに、プロンプトを与えて行くことで、かなり理想に近い形で画像を量産することに成功しました。

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どう使ってる?

Rimoでは「Rimoっぽい女性像・イラスト像」を言語化したプロンプトから、ベースとなる女性とイラストを生成し、更にそれを Whisk にかけて使い勝手の良い画像を生成しています。一度このプロンプトのベースを作っておくと、他のバリエーションを作る時も「背景をカフェに変更」「スーツではなくカジュアルな服装に」といった調整がすぐにできます。

生成したモデルやイラストはスライドや展示会で配るチラシやブースデザインの一部に利用しています。

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どうして Whisk が良い?

元のイメージをできるだけそのままにしてくれるという点で、自分にとって一番使いやすいと評価しています。AIによくある不自然さも、目を凝らしてよく見てみないとわからない程度のアウトプットを出してくれる点も評価しています。

一枚絵として完成したデザインを作る、というよりは編集しやすく汎用性の素材をいくつも作成するという点で優れているので、利用頻度が高いです。

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注意

商用利用可という明言がされている部分はまだありません
Google の利用規約には下記のような記述があります。

"ユーザーは生成物の使用について責任を負い、違法または第三者権利を侵害する利用は禁止"

つまり、著作権・肖像権・商標権に触れるものは NG だし、Google は責任を追わないよ ということだと判断しています。また、提供しているサービス (Whisk, Nano Banana, Veo3 など) それぞれにも規約が存在し、一読しておく必要もあることも注意が必要です。

つまり、あくまで Google が「商用利用ダメです!やめてください!」と全体または個別サービスで言いはじめたら、商用利用は完全に不可になり、作成したものを泣きながらすべて差し替えることになるリスクがあるということ。その点はあらかじめご了承ください。

Rimoでは、上記の点を考慮した上で、独自のプロンプトで生成した画像から、さらに特定の誰かや別の企業であると誤解されるリスクの低そうな画像を選定して利用しています。

※この文章はあくまで2025年12月現在の私個人の見解も含んでいるので、詳しくは公式の情報を参照してください。

3. 動画作成の手間がほんの少し楽になった

使ったもの:Google Veo3

何が変わったか

サービス紹介資料のなかでGoogle Meet や Zoom など、「オンライン会議の中にBotが入ってる」のような、動きのある素材が欲しい時がありました。

以前なら、静止画で我慢するか、動画素材を探して、After Effects等でいい塩梅に合成する手間がかかっていたのですが、Figma 等で作成したオンラインミーティングの画面の画像をそのままAIに動画化してもらうことで、その手間が(ほぼ)いっきに省けました。

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良かったこと

検索時間の短縮
数少ない日本人っぽい動画の素材を探す時間が削減でき、オリジナリティが出しやすいです。

商用利用ができる
Google Cloudの生成AI利用規約に基づき、第三者の著作権や肖像権を侵害しないこと、ならびに不適切な用途で使用しないことという前提で、Veo3 は商用利用が認められています。
当たり前ではありますが、上記の例も特定のオンラインミーティングサービスのUIをそのまま使わず、それっぽく見えるデザインを自分で作成してから使うなどの配慮をしています。

困ったこと

英語のクオリティは高いが、日本語が絶望的に下手くそ
Veo3で生成した動画は、広告等に利用するのに躊躇するほど絶望的に日本語の発音が下手くそです。もはや上から別で音声を作成して被せたほうが早いです。英語はこんなに完璧なのに...
あとは、英語で話させると口の動き方、身振り手振りが完全にアメリカの人になってしまうので、日本語で話している動画の上から ElevenLabs 等で作った音声を被せるか、無音の素材として利用するかに範囲を収めています。

4. 「ちょっとCSS直したいんだよな...」を1人で完結できた

使ったもの:Cursor, Claude Code

何が変わったか

デザイン実装後の微調整で「ここの padding なんで消えてるんや...」みたいな細かい修正、以前なら自力で治してPRをだすか、エンジニアに修正をお願いしていました。

でも、一度リリースされたあとに見つけた時に限って、本当に細かい修正とかだと地味に投げづらいし、他のことでいそがしそうにしてたりしますよね。

今は、自分でCursorを開いて、その場でちょっとしたCSSの変更だったら大体任せて、Claude Code から PR を出せるようになりました。
Lint などが整ってきているからこそ PR 出すことへの精神的なハードルが下がっている気もしています。

具体的にどこまでできるようになったか

  • CSSの余白・色・フォントサイズの調整

  • レイアウト変更 ( flexbox の順序変更など)

  • ローディング

  • 静的なページの作成 ( ただし場合によってはレビューコストが重いこともあり、フロントエンドエンジニアに拝みながら PR を出すことになる )

良かった点

立ちはだかっていた最初の壁、環境構築
お恥ずかしいことに、実は1〜2年前までローカル環境の構築でめっちゃ躓いてました。「Node.jsのバージョンが...」「パッケージがインストールできない...どれをどこに何でインストールするの...」みたいな。
でも、プロジェクトのREADME.md を Claude Code に読ませて、手順を全部教えてくれて、エラーも解決してくれました。 わからないところは徹底的にAIに聞いて無くせるし、私個人としては環境構築までが一番の壁だったので、とても助かりました。

コミュニケーションコストの削減
「ちょっとした調整」がその場で完結するようになったことで、エンジニアとのやりとりの回数が減りました。結果として、エンジニアはもっと複雑な実装に集中できるし、私も「私が気になってるんだから、これくらいは自分で直しちゃお」という判断ができるようになりました。

困ってること

下手にやらかすとエンジニアのレビューコスト・修正のためのコストがかかる
自分の知らなった仕様にひっかかったり、1000行を超える複雑なアウトプットのPRを投げると、当然ながらレビューコストが上がります。
そんな時は一旦諦めるのも大事です。 Issue として「何が課題でこういうことがやりたかった」というのをスクショや画面録画などを一緒にを残しておくようにしています。

そもそも自分で直さなくても済むようにしたい
そもそも担保すべきクオリティを定義し、Lint で弾けるようにしたいというのが個人的に挑戦したいことの一つだったりします。

5. インドメンバーとお互いの言語でミーティングするようになった

使ったもの:Rimo, ChatGPT, etc...

これは私個人というより全社的な変化ですが、今年9月にインドのエンジニア新卒メンバーが3人入社し、12月には更に4人のエンジニア新卒メンバーが開発チームとのミーティングやコミュニケーションをとることが増えたことにより、環境が少し変わりました。

何が変わったか

以前は、お互いに英語でミーティングしていました。細かいニュアンスを伝えるのが難しかったり、聞き取れない部分があったり。

下記のように、現在は Rimo の利用、自動化やツールの導入などを進めています

  • 基本全社ミーティングなどは日本語で話し、Rimo でリアルタイム文字起こし + 同時翻訳(英語)

  • 上長との1on1はお互いの言語をChatGPTなどのサービスを利用してリアルタイム翻訳した音声を流す

  • GitHub Issue や PR などは Need Translation というタグをつければ自動で翻訳されるようになっている ( Slack はそろそろ自動化されそう )

良かったこと

リアルタイムで何言ってるかを自社のサービスで確認できる
自分が普段触れているアメリカアクセントの英語ということもあり、インドのアクセントは未だに聞き取り切れないことも多いのが課題でした。
ミーティング中は自社製品が英語も日本語も同時に文字起こししてくれているので、何をどう作っているかがリアルタイムで分かり、救われていることが多いです。いい話ですね。

自分たちの「不便」から技術検証や環境整備、機能開発が進む
ドッグフーディングすることにより、より良いモデルへ切り替えるための技術キャッチアップや検証・選定、それに伴う機能の改善などに前向きになっている気がします。

自動化が進んでいる
GitHub IssueやPRに「Need Translation」タグをつければ自動翻訳される用になっていました。自分も Issue 書くことが多いので、ひと手間が省けるのはとても助かってます。

困ったこと

翻訳の精度
たまに意図と違う翻訳になることがあるので、重要な話がちゃんと通じていたかは本人たちに聞いてみる必要があったりします。

英語学習のモチベーション維持
便利すぎて、逆に英語を勉強するモチベーションが若干下がり気味でした。最近はオフラインで話したりする機械も多くて再燃してきましたが、仕事で英語を使う機会もそうそうないと思うので頑張りたい気持ちもまだ少しあります

英語は勉強してます

もちろん、AIに頼りっぱなしではなく、英語も地道に頑張っています。
でも、仕事上で「完璧な英語を話さなきゃ」というプレッシャーから解放されたことで、違うことに脳のメモリを使えている気がして心地が良いです。

ただ、やっぱり気さくに話しかけたい時に、英単語や文法がスッと出てこないとお互い悲しい気持ちになってしまうので、英語学習は継続はしていきたい気持ちです。

振り返りと感想

AIを業務に取り入れるための検証時間を、開発チームで定期的に作っていたのが効いた

Rimo では隔週で「集中改善日」という、開発メンバーが丸一日一つのお題に集中して改善を行うという会を設けています。
「AIをつかった業務改善」というテーマの日が数回あったのですが、普段は手を出しにくいAIツールを試したり、業務フローにAIを組み込む実験をする時間が取れました。「失敗した知見も含めて試して共有する」という空気感があったのが大きかったです。
メンバーがそれぞれ試したツールや使い方を共有する場があったことで、「こんな使い方もあるんだ」という発見がありました。一人で黙々と試すより組織全体でAIリテラシーが上がっていく感覚がありました。

結果として、今回紹介したような「業務でAIを使う」というのが当たり前になりつつあり、各自が自分の業務に合わせてAIツールを選んで使いこなせるようになってきていると実感しています。

私にとってAIは「ひらめければ仕事がすこしラクになる道具」になった

2025年のAIツールは「何でもやってくれそうなすごい技術」ではなく、「今日の業務でちょっとラクできる道具」になってきている気がします。

「何でもかんでもAIに任せる」じゃなくて、「この作業ならAIの方が早くない?」という判断を瞬時にできることと、引き出しを持っておくというのがミソだった気もします。

そのうち、その判断もAIができるようになる気もします。
AIがやった作業のレビューをAIを駆使して行う。人間は責任を持ってどれだけ早く前に進められるかどうかが、今後うまく仕事をしていくうえでポイントになるんだろうなぁ。どうやるといいんだろうなぁ。と毎日ぼんやり考えています。

美味しいコーヒーを淹れて伸びをしながら、AIと超重要な意思決定をスマートにこなす。そんな将来を夢見て。

さいごに

皆さんは、今年「使っててよかったなぁ」という瞬間はありましたか?
あれば、ぜひシェアしてください!

Rimo は人間の創造性を活かしてAIと協働できるようなツールを、自分たちがAIを積極的に業務に取り込み活用しながら作っています。
こんな働き方できたらいいよね、というのを一緒に悩んで一緒に探してくれるメンバも募集しています。

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それでは良いお年を!

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