引継ぎマニュアルは、仕事を円滑に行うために欠かせません。どの職場でも異動や退職などによって、担当者が変更になることがあるでしょう。担当者が変わってもスムーズに仕事を行うには、引継ぎマニュアルを作成したうえで実際の業務に問題がないか確認が必要です。
そのため、引継ぎマニュアルの作り方が分からない、忙しいので効率的に作成したいなど、悩みがつきものです。
本記事では、引継ぎマニュアルの作り方を多方面から解説します。分かりやすくするコツも紹介するため、マニュアル作りに関わる方は、ぜひ参考にしてください。
引継ぎマニュアルが必要な3つの理由
引継ぎマニュアルが必要な理由は、以下の3つです。
担当者が変わっても業務の品質を担保できるから
業務の属人化を防げるから
口頭ではなく資料として残すことで繰り返し確認できるから
はじめに引継ぎマニュアルが必要な理由を理解することで、円滑な業務に役立つマニュアル作成ができるでしょう。それぞれ具体的に紹介しますので、イメージしながら読み進めてください。
担当者が変わっても業務の品質を担保できるから
担当者が変更になると、これまでの品質や効率に影響が出ることがあるでしょう。これらを防ぐために引継ぎマニュアルが欠かせません。
例えば、業務手順や重要な連絡先などがマニュアルに記載されていると、ミスや混乱を防げます。また営業担当が交代する場合、引継ぎマニュアルに顧客情報や取引先の詳細が記載されていれば、後任者はすぐに業務を開始できます。
このように担当者が変わっても業務の品質をある程度担保できることから、引継ぎマニュアルが必要とされているのです。
業務の属人化を防げるから
業務内容は担当者だけではなく、社内の誰が担当しても業務を遂行できるような環境を整えておくことが大切です。特定の担当者だけが業務内容を理解していることを「属人化」といい、これはチームや組織にとっても影響が生じる可能性があります。業務内容を引継ぎマニュアルとして残すことで、属人化を未然に防げるでしょう。
また引継ぎマニュアルを活用することで、担当者以外でもこれまでと同様に業務が進行できます。特定の担当者に依存しない体制を構築できるため、引継ぎマニュアルが必要とされています。
口頭ではなく資料として残すことで繰り返し確認できるから
不明点が生じた際などに繰り返し確認できるため、引継ぎマニュアルを資料として残しておくことが大切です。口頭での引継ぎだけでは、説明不足や聞き漏らしが生じるため、すべての業務を理解することは難しいでしょう。
また、その場で理解していたつもりでも、業務を進行していくと疑問点や不明点などが生じることもあります。マニュアルを資料として残すことで繰り返し確認できるため、引継ぎ後のコミュニケーションの削減にもつながります。
また、一度引継ぎマニュアルを作成してしまえば、必要に応じて修正を加えて長期的に使用できるため、円滑な業務進行に役立つでしょう。
引継ぎマニュアルの作り方5ステップ
引継ぎマニュアルの作り方は一見難しそうに思えるかもしれませんが、以下のステップに分けて進めることで、効果的に作成できます。
①引継ぎマニュアル作成のスケジュールを決める
②まずは業務の全体像を整理する
③どのような媒体で引継ぎマニュアルを作るか決める
④引継ぎマニュアルを作成する
⑤上司や同僚にも確認してもらい必要に応じて修正する
作成から使用するまでの手順を紹介します。
①引継ぎマニュアル作成のスケジュールを決める
引継ぎマニュアルの作成は、実際に引継ぎが行われる期間を見越して、前任者と後任者の両者が在籍している期間に行う必要があります。例えば、1ヶ月後に担当者が交代する場合、2週間前までに引継ぎマニュアルが完成するようにスケジュールを立てると良いでしょう。
スケジュールを立てる際には上司や関係者と相談し、必要な情報を収集するための時間も考慮してください。スケジュールをしっかりと決めることで、効率的に引継ぎマニュアルを作成することができるでしょう。
②まずは業務の全体像を整理する
引継ぎマニュアルを作成する際に、まずは業務の全体像を把握することが大切です。業務内容をピックアップし、カテゴリごとに整理します。後任者は何も知らないといった前提で、漏れがないように業務の開始から完了までの一連の流れを洗い出し、行うべき業務を具体的に記載するのがポイントです。
前任者にとっては日々こなしている業務であるため、細かいルールや注意事項などが一度振り返っただけでは思い出せないこともあるでしょう。引き継ぐまでに時間がある場合は、業務を進行しながら数ヶ月かけて整理するのも一つの方法です。
③どのような媒体で引継ぎマニュアルを作るか決める
引継ぎマニュアルをどのような媒体で作成するかも、重要なポイントです。マニュアル作成の際にExcel・Word・PowerPointなどを使用するか、オンラインで共有できるGoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントを使用するかなど検討しましょう。
GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントであれば、複数の担当者が同時に閲覧・編集が可能なため、便利です。ただし、引継ぎマニュアルの中には、個人情報や取引先の連絡先など重要な情報が含まれている場合もあるため、業務内容や社内規則などを考慮し、データの取り扱いに注意しながら媒体を選ぶと良いでしょう。
④引継ぎマニュアルを作成する
準備が整ったら引継ぎマニュアルを作成しましょう。記載する内容や使用する媒体がある程度決まっていても、実際に引継ぎマニュアルの作成を開始すると、想像以上に時間がかかる場合があります。追加が必要な項目が見つかったり変更点があったりなど、一つひとつ確認しながら引継ぎマニュアル作りを進行する必要があります。漏れや誤りがないように十分に確認しながら進めてください。できるだけ余裕をもって作成できるように心がけることも大切です。
⑤上司や同僚にも確認してもらい必要に応じて修正する
引継ぎマニュアルを作成した後は、上司や同じ業務を担当している同僚に確認してもらいましょう。業務に対して知識のあるメンバーであれば、間違いや漏れなどを見つけやすいです。また、重要な情報が抜けていることに気づくこともあるでしょう。
複数の視点からのフィードバックを得ながら必要に応じて修正することで、引継ぎマニュアルの内容がより充実し、後任者の理解度アップが期待できます。
さらに、修正後に時間をおいてから、実際に引継ぎマニュアルを使用して業務を進行してみると良いでしょう。内容が正確か、不足している情報がないかなどを確認できるため、より精度の高いマニュアル作りが目指せます。
引継ぎマニュアルに記載すべき6つの項目
引継ぎマニュアルに記載すべき項目は、以下の6つです。
業務の目的と概要
業務のスケジュールや発生する頻度
業務の流れ
業務に関係する人の情報
トラブルが生じた場合の対処法
業務に関連する資料などの保管場所
これらの項目を押さえることで後任者がスムーズに業務を引き継ぎ、トラブルを未然に防げるでしょう。それぞれの項目について詳しく解説します。
業務の目的と概要
まず、引継ぎマニュアルに業務の目的と概要を明確に記載しましょう。その業務が全体の中でどのような役割を果たすのか把握することで、後任者が実際の業務に取り掛かりやすくなります。
また業務の背景や目的を理解することで、作業のようにただこなすだけでなく、納得したうえでモチベーションを保ちながら取り組むことができるでしょう。
業務のスケジュールや発生する頻度
業務が発生する頻度も、明確に記載してください。例えば、毎週行う会議や月末に提出する報告書の作成など、定期的に発生する業務のスケジュールを具体的に記載しましょう。
また、特定の時期に発生する年末調整や決算業務なども記載しておくべきです。週間・月間・年間・突発それぞれのスケジュールを把握することで、業務の見通しが立ちやすくなります。
業務の流れ
業務スケジュールに記載した項目ごとに、業務の流れや手順などを追記します。各ステップで使用するツールやフォーマットも載せましょう。これにより、後任者は手順を理解しやすくなり、業務を効率的に進められます。
また、引継ぎマニュアルとは別にシステムやOA機器などのマニュアルがある場合は、保管先や参照ページなども記載してください。必要な情報をすぐに見つけられるようになるため、時間の短縮にも繋がるでしょう。
業務に関係する人の情報
業務に関係する人の情報も欠かせません。例えば、社内の担当部署・取引先の連絡先などを一覧にして記載します。
また、緊急時の連絡先も記載しておくと安心です。どこに連絡すべきかが明確になっているとスムーズな対応ができ、業務の連携が円滑に進むでしょう。
トラブルが生じた場合の対処法
トラブルが生じた場合の対処法も、具体的に記載すべきです。後任者は経験が浅いため、トラブルが生じた際の対応が分かりません。解決に時間がかかったり、別の問題に発展したりしてしまう可能性もあります。
トラブル発生時の連絡すべき部署や担当者を記載し、「〇〇のトラブル発生時には、手順××で解決した」という具体例があると、実際の対処に役立つでしょう。
業務に関連する資料などの保管場所
業務に関連する資料やデータの保管場所を明確に記載してください。どこに保管されているか、どのように調べられるか記載することで、必要な資料を迅速に見つけ出せるでしょう。
特に、データのフォルダ構成は複雑なケースもあるため、階層ごとにファイル名までマニュアルに記載するのがおすすめです。
分かりやすい引継ぎマニュアルを作成するコツ4選
分かりやすい引継ぎマニュアルを作成するコツは、以下の4つです。
業務の順番どおりに記載する
予備知識のない初心者でも理解できる言葉を使う
写真や図などを使って理解しやすくまとめる
結論→補足の順番で記載する
引継ぎマニュアルを作成する際は、誰が見ても理解しやすい内容に仕上げることが大切です。それぞれ具体的に紹介します。
業務の順番どおりに記載する
引継ぎマニュアルは、業務の順番どおりに記載するのがポイントです。業務の流れに沿って順序立てて説明することで、後任者が自然な形で業務を理解しやすくなります。誰でも引継ぎマニュアルどおりに進めれば業務が完了できるように、記載してください。
例えば、業務の準備から始まり、どのような状態になると完了かなどの目安も記載しておくと安心です。業務完了時の報告先やトラブル発生した際の連絡先を載せておくと、円滑に業務を進められます。
また、重要なポイントや注意点も順番に記載することで、誤解やミスを未然に防げるでしょう。
予備知識のない初心者でも理解できる言葉を使う
引継ぎマニュアルは、予備知識のない初心者でも理解できる言葉を使ってください。専門用語や業界特有の言葉は、慣れていない方には伝わりにくいです。このような言葉をできるだけ避け、一般的な表現で説明することで後任者が迷わずにマニュアルを理解できるでしょう。
また、専門用語を多く使用する会社の場合は、用語集を作成してマニュアルに添付するのも1つの方法です。言葉の定義や具体例などを加えておくと、後任者の成長にも役立つでしょう。これにより、誰でも理解しやすい引継ぎマニュアル作りが目指せます。
写真や図などを使って理解しやすくまとめる
写真や図などを挿入することで、視覚的に理解しやすいマニュアル作りが目指せます。文章による説明だけではイメージしにくい業務も、実際の写真を添えることで理解に繋がりやすくなるでしょう。
例えば、システムの操作手順を説明する際には、スクリーンショットを挿入してから説明文を記載するのがおすすめです。これにより視覚的に情報を理解しやすくなります。
また、業務によってはフローチャートが有効な場合もあります。全体の流れが一目でわかるため、適切な位置に挿入すると良いでしょう。
結論→補足の順番で記載する
引継ぎマニュアルは、「結論→補足」の順番で記載することを心掛けましょう。先に知るべき結論や重要なポイントを把握することで、そのあとの詳細や補足が理解しやすくなります。
例えば、「顧客対応の基本ルール」を説明する際、まず「顧客からの問い合わせには24時間以内に対応する」と結論を載せましょう。次に「問い合わせの種類に応じて対応方法を変える」などの補足をします。
これにより、後任者は重要なポイントを見逃さずに業務内容を把握できるでしょう。結論を先に示すことで、理解しやすいマニュアルを作成できます。
引継ぎマニュアルで業務を引き継ぐ際の3つのポイント
引継ぎマニュアルが完成したら、実際に引き継ぎを開始します。後任者に引き継ぐ際のポイントは以下の3つです。
引継ぎマニュアルを渡すだけでなく口頭でも説明する
実際に引継ぎマニュアルを使って課題があれば改善する
ツールを使って引継ぎマニュアルを管理・編集する
上記のポイントを押さえることで、後任者が業務のイメージを掴み、スムーズに業務を開始できるでしょう。
引継ぎマニュアルを渡すだけでなく口頭でも説明する
引継ぎマニュアルを作成して渡すだけでは、後任者がすべてを理解するのは難しい場合があります。マニュアルを渡す際は、口頭で説明する時間も設けてください。具体的な業務の流れや手順を説明し、遵守しなくてはならない注意点は必ず伝えましょう。
引継ぎマニュアルだけでは伝わりにくい業務のコツやノウハウも共有することで、後任者がより理解を深められます。
最後に質問を受け付ける時間を設けたり、実際に一緒に業務を実践したりすることも、サポートするうえで大切です。
実際に引継ぎマニュアルを使って課題があれば改善する
引継ぎマニュアルは一度作成したら終わりではありません。実際に後任者が引継ぎマニュアルを使用して業務を進める中で、課題や改善点が見つかることがあります。このような場合、後任者からの質問や反応を参考にしてマニュアルを見直し、適切に修正や追記を行いましょう。
例えば、「顧客対応の手順」について不明確な点があった場合、後任者は「この状況ではどう対応すべきか?」と質問してくることがあります。この質問を基に状況をイメージしながらマニュアルに具体例を追記します。
後任者がスムーズに業務に取り組んだり、将来の引継ぎで同じ問題を防いだりするためにも、マニュアルの改善は重要な作業です。
ツールを使って引継ぎマニュアルを管理・編集する
重要なポイントを押さえたうえで分かりやすい引継ぎマニュアルを作成しても、管理がうまくできないケースがあります。そのため後任者へ引き継ぐ際は、ツールを使ってマニュアルの管理・編集をするのがおすすめです。
作成したマニュアルは更新や修正が必要であるため、共同編集ができる環境を整えることで、上司や同僚のフィードバックを受けながら一緒に作成を進められます。効率的に引継ぎマニュアルを管理・編集したい方は、ツールを積極的に活用しましょう。具体的なおすすめツールはのちほど紹介しますので、ぜひご覧ください。
引継ぎマニュアルの管理・編集におすすめなツール3選
引継ぎマニュアルの管理・編集におすすめのツールは、以下の3つです。
不明点を質問しやすい『ナレカン』
シンプルでITに詳しくなくても使いやすい『Stock』
e-ラーニングの作成も可能な『iTutor』
引継ぎマニュアルを効率よく管理・編集するためには、適切なツールを選ぶことが重要です。ここからはおすすめのツールを3つ紹介するため、ツールを活用して業務の引き継ぎをスムーズに進めましょう。
不明点を質問しやすい『ナレカン』
出典:ナレカン
『ナレカン』は、社員の知識やノウハウを一元管理して人材育成に役立てる「ナレッジ管理」を効率的に行うためのツールです。社員のパソコンの中や頭の中にある情報を『ナレカン』を通して共有することで、即アクセスできます。
またWord・Excel・PowerPoint・PDFなどのファイルを添付するだけでAIが自動でナレッジ化するので、余分な手間や時間が省けます。また高精度の検索機能を備えているため、思い通りに検索可能です。
このように、多くの業務をサポートする『ナレカン』は、引継ぎマニュアル作成にも向いているでしょう。
シンプルでITに詳しくなくても使いやすい『Stock』
出典:Stock
『Stock』は、シンプルな操作性が特徴のドキュメント管理ツールです。ITに詳しくない方でも直感的に使えるため、誰でも簡単に社内の情報をストックできます。チャットツールでありがちな「情報が流れてしまい確認できない」といった課題もなく、管理のしやすさが魅力です。
また、ドラッグ&ドロップでファイルを簡単にアップロードできます。記載内容は編集履歴として記録されるため、復元も可能です。
さらにリアルタイムでの共同編集機能も備えており、複数の担当者が同時に作業できます。このような機能を引き継ぎマニュアル作成に活かすことで、手間が軽減できるでしょう。
e-ラーニングの作成も可能な『iTutor』
出典:iTutor
『iTutor』は、ドラッグ&ドロップでe-ラーニングの作成が可能なツールです。引継ぎマニュアルを単なる文書としてだけでなく、社内の教育ツールとしても活用できます。例えば、動画やクイズを組み込んだコンテンツの作成により、後任者が楽しみながら感覚的に理解することができるでしょう。
また、『iTutor』は、PowerPointのように直感で使いこなせる操作性が魅力です。「取込→編集→出力」の3ステップでマニュアルもできるため、簡単に早く引継ぎマニュアルを作成したい方にもおすすめです。
引継ぎミーティングをマニュアル化するなら『Rimo Voice』がおすすめ!
出典:Rimo Voice
音声データをAIが文字起こしや要約してくれる『Rimo Voice』を使えば、引継ぎミーティングを簡単にマニュアル化できます。効率的に引継ぎマニュアルを作成したい方は、『Rimo Voice』がおすすめです。
共同編集や共有もできるため、上司や同僚と確認しながら効率的にマニュアル作りを進められます。また、オンライン上でデータを管理するのは不安な方もいるでしょう。『Rimo Voice』は、セキュリティ対策が万全なので機密情報も安心して扱えます。
他にも録音・文字起こし・要約・議事録の作成もできるため、引継ぎマニュアルの作成以外にも幅広い用途で活用できます。無料トライアルを用意しているので、効率的に引継ぎマニュアルを作成したい方はぜひ一度お試しください。
まとめ:分かりやすい引継ぎマニュアルを作成しよう!
引継ぎマニュアルは、業務の継続性と効率性を保つために欠かせないツールです。分かりやすい引継ぎマニュアルを作成するには、業務の順番どおりに記載したり、視覚的に理解しやすくまとめたりして工夫することが大切です。
さらに適切なツールを使用しながら、将来的にも管理・編集しやすいマニュアルを作成するのがポイントです。これらを押さえた引継ぎマニュアルを『Rimo Voice』で作成し、スムーズな業務の引き継ぎを目指しましょう。
最終更新日: 2024 / 8 / 7
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