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採用マーケティングのフレームワーク14選!採用ファネルや成功事例も解説

更新日: 2025/1/24 06:57
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いまの会議、リモってた。
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「自社に合った優れた人材を確保したい」「応募はあるが最適な人材が見つからない」このような悩みをお持ちの人も多いのではないでしょうか。

企業が優れた人材を確保するには、求人広告を超えた戦略が求められる時代です。共働きやライフスタイルの多様化が進む中、求職者が企業に求める価値観も変化しています。そこで注目を集めているのが「採用マーケティング」です。企業が求職者に対してアピールし、自社の魅力を戦略的に伝える方法です。

本記事では、採用マーケティングのフレームワークについて詳しく解説します。採用ファネルや成功事例も紹介するので、ぜひ採用活動にお役立てください。

そもそも採用マーケティングとは?

採用マーケティングとは、マーケティングの考え方を採用活動に取り入れ、戦略的に採用活動を行うことです。

一般的なマーケティングでは、商品やサービスの認知から購入までのプロセスをファネルとして捉え、顧客のニーズを探りながら各プロセスにおける施策を行っています。一方で採用マーケティングでは求職者が企業を認知し、入社後に定着・活躍するまでのプロセスをファネルとして捉えて、それぞれの段階で適切な施策を講じるのが特徴です。

現代の採用市場は競争が激しく、受動的な採用活動だけでは優秀な人材を惹きつけるのが難しくなっています。求職者から選ばれる企業になるためには、認知拡大だけではなく、「この企業で働きたい」と感じさせるような魅力的な発信が欠かせません。例えば、働きやすさや成長機会を積極的に発信することで、求職者の関心を高められるでしょう。

また、採用マーケティングの市場規模は2030年までに約17億米ドルに達すると予測されています。早期から取り組むことで競合他社との差別化を図り、潜在層にも訴求できます。このような戦略を実行することで、厳しい採用環境下でも優れた人材の確保に成功する企業を目指せるでしょう。

採用マーケティングのフレームワークとは?

採用マーケティングにおけるフレームワークとは、採用に関する情報や課題についてわかりやすく整理するための枠組みです。フレームワークを用いることで情報を整理し、採用戦略の意思決定や課題解決が目指せます。

例えば、自社と競合を比較する「3C分析」や、内部・外部環境を整理する「SWOT分析」などがあります。現在の市場では何が起こっていて、自社はどこの立ち位置にいるのかを、さまざまな情報から理解するのに役立つでしょう。

これらの分析方法を組み合わせることで、具体的な課題解決策や採用戦略を導き出せます。十分に情報を整理した上で計画に反映させることで、より戦略的な採用活動を進められるでしょう

採用マーケティンでフレームワークを活用する2つのメリット

採用マーケティンでフレームワークを活用するメリットは以下の2つです。

それぞれ具体的に紹介するので、参考にしてください。

1.自社の強み・弱みを明確にできる

フレームワークを活用することで、自社の強みや弱み・市場の動向・求職者のニーズを客観的に把握しやすくなります

例えば、長年同じ会社で採用担当をしていたり他の企業を経験したことがなかったりすると、自社の文化や基準にとらわれがちです。そのため選考基準が狭くなり、より最適な人材を見逃す可能性があります。

客観的な視点を取り入れ現状を分析することで、求める人材にアピールできる採用施策を打ちやすくなるでしょう。

2.採用力を強化・効率化できる

さまざまな視点から情報の分析を行い、採用活動の方針を計画し実践しながら改善策を実行することで、採用力の強化や効率化が期待できます。

現代の採用活動は、市場の変化・選考の早期化・選考の多様化などに対応する力が求められます。労働人口の減少といった社会的背景に適応するためにも、フレームワークを活用して客観的に分析を行うことが必要です。こうした取り組みが、柔軟で効果的な採用力の向上につながります

また、自社が必要とする人材を明確にして選考基準を確立することで、効率的で無駄の少ない採用活動が可能になるでしょう。

【自社・競合分析】採用マーケティングのフレームワーク7選

採用マーケティングでは、過去の採用データを分析することで、課題改善や採用活動に活かせます。自社・競合企業を分析する際に役立つフレームワークは以下の7つです。

それぞれ具体的に解説します。

①ペルソナ設定|理想の求職者を明確化

採用マーケティングにおける「ペルソナ」とは、自社が採用したい人物像を具体的に描いたものです。以下のように求める人物像を明確にすると、より適切な媒体を選択したり、求職者にアプローチしやすいメッセージを提案できたりして、効果的な採用活動が目指せます。

社会的特徴

・年齢

・性別

・家族構成

・所得

・学歴

・職歴

会社的特徴

・業種

・職種

・地域

・チーム人数

心理的特徴

・ライフスタイル

・パーソナリティ

・仕事に対する価値観

・趣味や関心

また、社員の体験談をペルソナに反映させると、より現実感のあるペルソナ設定が可能になるでしょう。

②3C分析|自社のポジショニングを明確化

採用市場での自社の立ち位置を理解する方法として「3C分析」が役立ちます。以下の3つの視点から分析することでポジショニングが明確化でき、競争力を高められます

Candidate

(候補者)

誰に

・求める人物像や時期や人数の設定

・どのような企業に魅力を感じるか情報収集

Competitor

(競合)

どこと

・競合企業の洗い出し

・条件や採用チャネルの分析

Company

(自社)

強み

・候補者と競合を踏まえた強み・弱みを整理

・重視する価値観を抜粋

例えば、競合の大企業が「安定性」をアピールしている場合、自社が成長段階にあるスタートアップなら、「キャリアの裁量が広がる環境」や「多彩なプロジェクトに関われる機会が多い」といった点を強調すると差別化が可能です。

③4C分析|求職者の目線で採用戦略を策定

「4C分析」は、以下のように求職者の視点から採用活動を分析するフレームワークです。

Customer Value

(求職者からの企業価値)

求職者が企業に求める価値を提供できるか

給与・福利厚生・職場環境・成長機会・企業のビジョンなど

Cost

(コスト)

求職者が懸念するデメリットやリスクはあるか

給与水準・転勤・時間外労働など

Convenience

(利便性)

求職者が応募しやすい環境や手段か

オンライン面接の実施・応募フォームの簡略化・必要書類の提出手順など

Communication

(コミュニケーション)

企業と求職者間のやりとりは適切か

企業の情報発信・求職者からの質問や要望に対応・SNSや採用専用ページからの情報提供など

4C分析を活用することで求職者へのアプローチや接点を強化できるため、採用活動をよりスムーズに進められるでしょう。

④STP分析|自社の採用活動の現状を把握

「STP分析」とは、以下のようにターゲットとなる求職者に対してどのようにアピールするか分析するフレームワークです。

Segmentation

(市場の細分化)

求職者を細分化する

・理系or文系

・学部卒or院卒

・国立大or私立大など

Targeting

(ターゲット市場の選定)

細分化した中から、自社が求める人物像を基に

採用ターゲット層を選定する

Positioning

(市場での位置付け)

「働きやすい環境」「成長機会が多い」など

ポジショニングを明確にする

自社の採用市場におけるポジショニングを明確にしておくことで、戦略を立てやすくなります。

⑤SWOT分析|内部・外部環境を整理

「SWOT分析」とは、自社の内部環境と外部環境に分けて分析するフレームワークです。以下の4つの視点から分析し整理します。

内部環境

Strengths(自社の強み)

プラス要因

Weaknesses(自社の弱み)

マイナス要因

外部環境

Opportunities(市場機会)

プラス要因

Threats(脅威)

マイナス要因

自社の努力で改善を目指せる内部環境と、改善が難しい外部環境の両面を同時に考えられるのがSWOT分析のメリットです。

外部環境と比較しながら自社の強み・弱みを把握できるため、長期的な戦略を立てる際にも役立ちます。

⑥PEST分析|採用市場など外部環境を分析

採用活動に影響を与える外部環境を理解するには、「PEST分析」が役立ちます。自社でコントロールできない外部環境の動向を把握・分析することで、適切な採用戦略を構築できるでしょう。

Politics

(政治的)

労働法の改正・働き方改革・最低賃金の引き上げなど

Economy

(経済的)

景気の動向・失業率・給与相場・インフレ率など

Society

(社会的)

ワークライフバランスの重視・リモートワークの普及・ジェンダー平等の意識向上など

Technology

(技術的)

採用管理システム(ATS)の導入・AIを活用したマッチング・オンライン面接ツールの普及など

PESTにはさまざまな外部要因があるため分類に迷うかもしれませんが、PEST分析の目的は正しい分類ではなく、自社に影響を与える要因を認識することです。

外部環境を定期的にチェックし、最適な採用施策を打ち出すことが大切です。

⑦5フォース分析|市場・自社・コストなど複数の視点から分析

「5フォース分析」とは、競合企業や業界全体の状況を多角的に分析し、優れた人材を確保するために何が必要かを明らかにするフレームワークです。

業界内での競争

競合他社の採用手法は?

新規参入者

他社で新しい訴求があるか?

代替品の存在

別の手法を検証できているか?

買い手の交渉力

採用したい求職者は市場にいるか?

売り手の交渉力

広告費用は適切か?

外部環境をしっかりと捉えた上で、自社が最適な採用施策が行えているかを分析することが重要です。観点を絞ってPDCAサイクルを回しながら検証・改善すると良いでしょう。

【プロセス設計】採用マーケティングのフレームワーク4選

採用マーケティングを行う際にプロセス設計も欠かせません。役立つフレームワークは以下の4つです。

それぞれ具体的に解説するので、目的に応じたフレームワークを活用してください。

①AIDMA・AISAS|採用に至るまでの求職者の心理的プロセスを確認

「AIDMAモデル」とは、消費者が商品購入に至るまでの心理的プロセスを説明するためのフレームワークです。その一方でデジタル社会の発展に伴い、AIDMAのプロセスに検索と共有のフェーズが追加された「AISASモデル」が登場しました。

例えば、求職者が興味を持った求人をSNSやWebで検索し、応募後に友人と経験を共有するといった流れをイメージすると良いでしょう。

AIDMA

AISAS

①Attention(認知)

②Interest(興味)

③Desire(探求)

④Memory(記憶)

⑤Action(購入)

①Attention(認知)

②Interest(興味)

③Search(検索)

④Action(購入)

⑤Share(共有)

AISASモデルを活用することで、デジタル時代の求職者の行動をより深く理解し、採用活動に生かすことができるでしょう。

②5A理論|採用までの行動を5つのステップで把握

「5A理論」とは、求職者がどのように企業を選ぶかを段階的に整理するフレームワークです。具体的には以下の5ステップで求職者の行動を把握します。

Aware(認知)

求職者が自社の求人情報を認知する

Appeal(魅了)

求職者が自社に興味を持つ

Ask(探求)

求職者がより多くの情報を求め、

自分に合っているか判断する

Action(行動)

求職者が行動を起こす

Advocate(推奨)

採用された求職者が他の人に自社を推奨する

前述した「AISASモデル」がインターネット上での行動に焦点を当てているのに対し、「5A理論」ではオフラインの行動も含めて分析できるのが特徴です。企業説明会や面接など対面でのコミュニケーションも重要な要素として考慮されます。

5A理論を活用することで、オンラインとオフラインの双方を意識した採用戦略が立てられるでしょう

③TMP設計|ターゲットからプロセスまで設計

「TMP設計」とは、採用活動を統一した流れで計画するためのフレームワークです。自社が求める採用ターゲットに響くメッセージを作成し、そのメッセージが伝わる採用プロセスを構築します。

①Targeting(ターゲティング)

適切な採用ターゲットを設定する

②Messaging(メッセージング)

採用ターゲットに自社を認知してもらうためのメッセージを作成する

③Processing(プロセシング)

採用ターゲットにメッセージが届く採用プロセスを設計する

ただし採用ターゲットに自社を認知されることを優先するあまり、実際と異なる内容のメッセージを発信すると入社後のミスマッチが生じる可能性があります。そのため誠実で正確な情報を基にしたメッセージ発信を心がけましょう。

④キャンディデイトジャーニー|入社までのプロセスを明確化

「キャンディデイトジャーニー」とは、マーケティングのカスタマージャーニーを採用活動に応用したもので、求職者視点で入社までのプロセスを明確化するフレームワークです。

流れ

認知→興味→応募→選考→入社

項目例

・求職者の行動

・求職者が知りたい情報

・タッチポイント

・採用する上での施策

このフレームワークでは、求職者が求人を認知するところから入社に至るまでの接点を洗い出し、各ステップでの体験を向上させることを目指します。

各段階で求職者が快適に進めるよう配慮したり、好印象を与えたりるきっかけを作ったりするのも良いでしょう。

【目標設計・達成】採用マーケティングのフレームワーク3選

採用マーケティングにおいて、目標設計から達成するために役立つフレームワークは、以下の3つです。

これらのフレームワークを活用することで、採用活動を効率的に進められるでしょう。

1.PDCAサイクル|改善を繰り返しながら採用活動を実施

「PDCAサイクル」とは、以下の4つのステップで構成されるフレームワークです。4つの項目を検証しながら改善を繰り返すことで、採用活動の精度の向上が期待できます。

Plan(計画)

目標を設定し戦略を立てる

Do(実行)

計画に基づいて採用活動を行う

Check(評価)

実際の活動の成果を分析

Act(改善)

分析した結果を基に改善策を打ち出し、次の計画に反映させる

PDCAサイクルを活用する際は、データの収集や分析を入念に行い、小さな課題だからといって見逃さずに改善を重ねることが重要です。このようにして採用に関するデータやノウハウを蓄積していけば、採用活動の質を継続的に高め、自社の競争力を強化できるでしょう。

2.OODAループ|迅速な意思決定につなげる

採用活動において迅速な対応が求められる場合は、「OODAループ」が適しています。変化の激しい採用市場でも柔軟な対応ができるため、覚えておきたいフレームワークの1つです。

Observe(観察)

自社の立ち位置や市場の動向を観察する

Orient(判断)

収集した情報を把握し、今後の方向性を考える

Decide(決定)

手順を整理し、最適な計画を見極める

Act(実行)

実際に行動する

成果が出ない場合は観察のプロセスへ戻り、繰り返す

OODAループは迅速な意思決定に役立ちますが、すぐに成果が出るとは限りません。一度切りで終わるのではなく、観察のプロセスへ戻りOODAループを繰り返すことで成果につながるでしょう。

3.SMARTの法則|具体的・達成可能な目標を設定

「SMARTの法則」とは、以下のように目標を明確にして達成を目指すためのフレームワークです。

Specific

(具体的)

目標を具体的に設定する

〇月までに〇名増加させる

Measurable

(測定可能)

測定できる指標を設定する

応募者〇名、採用〇名

Achievable

(達成可能)

達成可能な目標を設定する

過去のデータや市場状況を参考に無理のない計画をする

Relevant

(関連性)

自社の採用戦略に沿って目標を設定する

〇〇分野に特化した人を採用する、など

Time-bound

(期限付き)

目標達成の期限を明確にする

〇月までに〇〇を完了させる

SMARTの法則を活用することで、達成可能かを具体的に判断できます。その結果、無理のない目標設定ができ、チーム全体のモチベーションを維持しながら着実に採用活動を進められるでしょう。

【フレームワーク活用に役立つ】採用マーケティングにおけるターゲット

採用活動の成功には、ターゲットの明確化が欠かせません。ターゲットを絞り込むことで、求職者に響くメッセージを発信しやすくなり、効率的な採用活動が目指せます。主なターゲットは以下の4つに分類されます。

就職・転職希望者(顕在層)

現在、就職・転職活動を行っている人

就職・転職希望者(潜在層)

将来的に転職を考える可能性がある人

自社の社員

働く環境の整備など採用活動への協力が期待できる

退職者

退職後にも良好な関係性を維持することで再雇用が期待できる

これまでの採用活動では転職顕在層をターゲットにしていましたが、採用マーケティングでは転職潜在層・自社の社員・退職者・過去不採用になった候補者・内定辞退者までにも目を向けています。ターゲット層を広げることで、採用活動全体の質の向上が目指せます。

採用マーケティングのフレームワーク活用に活かせる採用ファネル

採用マーケティングにおける「採用ファネル」は、以下の5つのフェーズに分けられます。

フレームワークを活用する際は、求職者がどの段階にいるのか把握することで戦略的に採用活動を行えるでしょう。それぞれのファネルについて紹介するので、参考にしてください。

認知フェーズ

「認知フェーズ」は、求職者に企業の存在を知ってもらう最初のステップです。ターゲットとなる層に企業がどのような採用活動を行っているのか認知してもらうことで、就職や転職先の候補として選ばれるきっかけになります。

例えば、転職サイトや就活サイトなどの求人媒体・合同説明会・SNSなどを通じて発信する方法があります。それぞれの手法の特徴を踏まえ、自社が求めるターゲット層に適したアプローチを選ぶことが重要です。

興味フェーズ

「興味フェーズ」は、自社を認知したターゲットが、自社に対して興味を持ち始める段階です。webサイトなどで企業名を検索したり詳しい情報を調べたりする人もいるでしょう。

そのため、自社の魅力を分かりやすく伝える工夫が必要です。例えば、企業紹介や社員インタビューを動画で公開することで、視覚的な情報を伝えることができます。ターゲット層が興味を持ちやすい内容を意識して情報を発信するのがポイントです。

応募フェーズ

「応募フェーズ」は、自社に関心を持った求職者が、実際に応募する段階です。仮に応募プロセスが煩雑だと、途中で諦めてしまう人が出てくる可能性があります。

そのため応募フォームを簡潔にし、入力にかかる時間を短縮する工夫が必要です。例えば、採用ホームページ内の応募フォームをシンプルにしたり、スマートフォンでも操作しやすいデザインにしたりして、求職者の負担を軽減する仕組み作りがポイントです。

選考・内定フェーズ

「選考・内定フェーズ」は、応募者が企業の選考に参加する段階です。面接も求職者から重要視されており、株式会社リクルートの調査によると、内定企業への志望度が最も高まった場面として約2割が「面接」と回答しています。

ただし、選考や内定の段階で辞退されるケースも少なくありません。応募者の入社意欲を維持するためにも、面接官の質を高めたり選考プロセスを見直したりして、応募者に好印象を与える面接を意識することが大切です。

参考:株式会社リクルート|2024年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査「内(々)定企業への志望度が最も高まった場面」

入社フェーズ

「入社フェーズ」は、内定を得た応募者が実際に入社を決める段階です。応募者が感じる仕事への不安や疑問を解消することが求められるため、内定後に面談や職場見学を行い、直接コミュニケーションを取れる場を設けるのもおすすめです。

内定者の入社意欲を高めるためにも細やかな配慮を心がけたり、長く活躍できるようにサポートしたりすることで、内定率の向上につながるでしょう。

採用マーケティングのフレームワークを活用する2つの戦略・コツ

採用マーケティングのフレームワークを活用する上で欠かせない戦略やコツは、次の2つです。

それぞれ具体的に紹介します。

1.フレームワークにとらわれずに求職者のニーズを意識する

採用活動でフレームワークを活用するのは便利ですが、最も大切なのは求職者のニーズを最優先に考えることです。中には、フレームワークの項目を埋めること自体が目的となってしまったり、その完成度にこだわり過ぎたりするケースも見られます。

「この情報やプロセスは求職者にとって役立つか」という視点で評価しつつ、フレームワークは自社に適した人材を確保するための1つの手段であることを意識して活用しましょう。

2.状況に応じてフレームワークの活用方法を変える

フレームワークはあくまでもガイドラインであるため、自社の採用活動や状況に応じて柔軟に対応することも大切です。一度完成したフレームワークであっても、運用する上で矛盾が生じた場合は、項目を追加したり削除したりして修正してください。

もし思うような成果が得られない場合には、別のフレームワークを試してみるのも1つの方法です。

採用マーケティングのフレームワークを活用した成功事例3選

ここからは、採用マーケティングのフレームワークを活用した3社の成功事例を紹介します。

成功事例を参考に、自社に合うフレームワークを見つけてみてはいかがでしょうか。

1.株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントでは、新卒採用市場で勝ち残るために自社の採用市場におけるポジショニングを重要視しています。これまでは学生へのヒアリングを通じて応募者の本音を把握しようとしていましたが、「応募者の意見のため良い印象へ偏ってしまう」「基となるデータがないため、議論が難しい」という課題がありました。

そこでリサーチ会社にアンケート調査を依頼し、客観的な「定量的な数値結果」と「具体的な声」を得ることで、就職活動を控えた学生が抱いている本音や実態が明らかになりました。

採用プロセスの「広報」「選考」「クロージング」の各段階で伝えるべきポイントを具体化し、より効果的な採用マーケティングを実行。その結果、2年間でエントリー数を約2倍に増やすことに成功しました。

参考:サイバーエージェントの新卒採用戦略に迫る|成功を支えるリサーチの重要性

2.株式会社日本SPセンター

株式会社日本SPセンターでは、これまで求める人材に合った採用戦略を十分に練りきれず、母集団の量や質に課題を抱えていました。

採用マーケティングを通じて自社が求める人材像やターゲットを明確化し、これまで優先度が高くなかった上位校採用に注力する方針へと切り替えました。さらに採用時期を早めるとともに、コンテンツ設計に力を入れたりイベントを開催したりするなど、新たな施策にも取り組みました。これらの施策により、本選考エントリー数は前年比2.5倍を達成したのです。

参考:株式会社日本SPセンター / 本選考エントリーが2.5倍に。母集団形成を1年早めた採用戦略

3.株式会社ニトリホールディングス

株式会社ニトリホールディングスでは、流通業界の人気が低迷する中でも自社の見せ方を工夫することで、就職先人気ランキングで5位を獲得しました。

採用活動では、AIDMAモデルや5A理論などを活用し、採用プロセスを主に2つのフェーズに分けて構成しています。

第一のインターンシップ期では学生に興味を持ってもらうことを目指して、第二の面談・面接期では学生のやりたいことや価値観が自社の方針と一致しているかを確認します。

これらの取り組みの結果、採用したい学生を採用できるようになり、小売業を志望していない学生にまでアプローチすることが可能になりました。

参考:【イベントレポート】ニトリ、JTの採用イノベーションは、 どのように生み出されたのか?

【7Step】フレームワークを活用した採用マーケティングの流れ

フレームワークを活用した採用マーケティングは、以下の7つのステップで行います。

  1. 採用目標を設定する

  2. 市場や自社の分析・ペルソナ設定

  3. 採用プロセスを策定する

  4. 採用媒体を選ぶ

  5. 採用手法を決定する

  6. コンテンツを作成する

  7. 効果測定・分析する

順を追って解説していきます。

1.採用目標を設定する

まずは採用目標を設定することから始めます。例えば「〇〇人採用」「〇〇分野の欠員を3ヵ月以内に補充する」など具体的かつ数値で設定することで、採用活動の方向性がぶれることなく最適な行動計画を立てやすくなります。

2.市場や自社の分析・ペルソナ設定

次にターゲットとなる市場や自社の分析を行い、ペルソナを設定します。市場分析では、業界全体のトレンドや競合他社の動きを調査します。一方の自社分析では、理念・戦略・事業計画などを洗い出し、自社の強みや弱みをどのように打ち出すかを検討します。

必要な人材像を明らかにした上で具体的なペルソナを設定することで、求職者からの関心を引き出しやすくなるでしょう。また、本記事で紹介したフレームワークを以下の順序で活用するのも効果的です。

STP分析(市場全体の把握)

4C分析(+SWOT分析)

ペルソナ設定

3.採用プロセスを策定する

次に、求職者が企業を認知してから入社に至るまでの一連の採用プロセスを策定します。求職者がどのようなステップを経て入社に至るのかを入念に計画しておくことが大切です。

例えば、キャンディデイトジャーニーを活用して、「情報収集→応募→面接→内定→入社」といった流れを可視化することで、各フェーズに必要な策定が見えてきます。

4.採用媒体を選ぶ

次に、どのような採用媒体を利用するか検討します。業種や新卒・中途採用などによって最適な採用媒体が異なるため、採用フェーズに応じた媒体を選びましょう

また、最近ではSNS広告も注目されています。InstagramやTikTokでの短い動画広告は、若年層にアプローチする際に向いています。

5.採用手法を決定する

次に採用手法を決定します。採用マーケティングには、以下のようにさまざまな採用手法があるため、ターゲット層に合わせて使い分けると良いでしょう。

ダイレクトリクルーティング

企業から候補者に直接応募を促す手法

リファラル採用

現社員から紹介してもらう手法

オウンドメディア運用

自社のブログやウェブサイトを活用し、

ターゲット層の興味を引くコンテンツを発信する手法

ソーシャルリクルーティング

X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを活用する手法

イベント・ウェビナー開催

採用イベントやオンラインセミナー通じて

候補者と直接交流する手法

これらの採用手法を組み合わせて活用することで、幅広い層の求職者に柔軟にアプローチできるようになるでしょう。

6.コンテンツを作成する

求職者が興味を持ち、応募を検討するきっかけを作るためには、質高いコンテンツ作成が必要です。現状の採用課題やペルソナ・キャンディデイトジャーニーの分析結果を基に、各フェーズに適したメッセージを設計してください。

求職者の視点からキャンディデイトジャーニーを策定することで、最適なタイミングでアプローチができるようになるでしょう。

7.効果測定・分析する

最後に、実施した施策の効果を可能な限り数値化し分析することが重要です。応募数や内定承諾率といった採用指標に加えて、エンゲージメント率・リーチ数・コスト効率などのマーケティング指標も組み合わせて多面的に評価してください。

分析結果を基に、自社の課題を徐々に改善できるように優先順位を明確にした上でPDCAサイクルを回していきましょう。

採用マーケティングのフレームワークを活用して採用活動を円滑に進めよう

採用マーケティングは、企業が求める人材を獲得するための効果的な手法として注目されています。ライフスタイルの多様化が進む中、求職者が企業に求める価値観も変化しているため、採用活動では求職者の視点を考慮しながら戦略を立てることが大切です。

フレームワークを活用すれば採用プロセスを体系的に進めることができるため、自社が求める人材を効率的に確保しやすくなるでしょう。

本記事を参考に、採用マーケティングのフレームワークについて理解を深め、どのフレームワークを採用活動に取り入れるか検討してみてはいかがでしょうか。

最終更新日: 2025 / 1 / 24

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