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1on1で話すことがないときの対処法!部下側の心理と話すネタを徹底解説

部下との1on1ミーティングを始めてみたものの、「何を話せば良いのかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
1on1は部下との信頼関係を築き、成長に繋げる重要な機会です。しかし、テーマを準備せずに臨むと沈黙が続いたり、ミーティング自体が形骸化してしまうリスクもあります。
本記事では1on1の具体的な話すネタや、効果的に進めるポイントを解説します。職種別の質問例や実施手順も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
1on1で話すことの目的
部下と1on1で話すことの目的は、主に以下の3つです。
信頼関係を築く
キャリアを支援する
業務上の課題を発見・解決する
それぞれ具体的に見ていきましょう。
信頼関係を築く
1on1の大きな目的は、部下との信頼関係を深めることです。信頼は定期的なコミュニケーションの積み重ねで育まれます。
業務に関する小さな悩みを真剣に聞き取り、必要に応じてアドバイスや行動で応えてあげると、部下に安心感を与えられます。
特に新しい環境に加わった直後は不安が大きいため、形式に捉われずにコミュニケーションを取るのが有効です。
一方で、1on1でのよくある落とし穴は評価者の目線が強く出てしまうことです。人事評価の延長として受け取られてしまうと本音が出にくくなるため、あくまで部下やチーム全体の成長のための対話を意識しましょう。
キャリアを支援する
1on1は部下のキャリアを考える場としても活用できます。キャリアビジョンをヒアリングし、逆算して必要なスキルや経験を整理すると目の前の仕事への意味付けが明確になります。
例えば「将来的にマネジメントを担いたい」という声があれば、現在のプロジェクトでリーダー的なポジションを任せるなど、実務と成長機会を結びつけることが可能です。
ポイントは、部下が描く将来像を丁寧に引き出すことです。会社の人事制度や配置計画ありきで話を進めるのはやめましょう。
キャリア支援以外の観点から部下を育てるポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
関連記事:部下の育て方のポイント9選!タイプ別の指導方法も紹介
業務上の課題を発見・解決する
定例会議では出てこない業務上の課題を把握し、解決できるのも1on1の特徴です。
部下は忙しさや、問題の過小評価から課題を抱え込んでしまうケースが多く、その結果組織全体の生産性を下げる要因になりかねません。
1on1は進捗確認だけでなく、課題を掘り下げて聞くと本人も気付いていなかった業務のボトルネックを発見できます。
部下の本質的な課題を明確にできたら、その改善策も提示してあげましょう。次回の1on1で進捗をフォローすれば問題解決のサイクルが生まれ、成長へと繋げられます。
1on1で話すことがないと感じる理由【部下側・上司側】
部下側・上司側それぞれの、1on1で話すことがないと感じる理由は以下のとおりです。
視点 | 話すことがないと感じる理由 |
---|---|
上司側 | ・部下への興味や観察が不足している ・部下のことを良く知らない ・業務が多忙で準備は不十分 ・形式的に実施してしまい、対話が深まらない |
部下側 | ・上司との信頼関係が構築できていない ・「話しても解決しない」と諦めている ・意見が反映されない経験から発言を控えている ・テーマが共有されず準備ができないため、会話が膨らまない |
1on1では、上司がただ部下の発言を待つのではなく適切な問いかけをするのが大切です。悩みやニーズを引き出す質問を用意しておくと、本音を引き出しやすくなります。
1on1で話すことのネタ
効果的に1on1を進めるためには、あらかじめどんなテーマで話すかを整理しておきましょう。
本章では、以下の活用しやすい話題のネタを紹介します。
最近の業務状況
業務上の課題や悩み
キャリアや将来の方向性
スキルアップのニーズ
職場環境への意見
モチベーションやコンディションの確認
上司や組織へのフィードバック
ぜひ実際の1on1をイメージしながら参考にしてください。
最近の業務状況
1on1では、進行中の仕事や直近の成果を一緒に振り返るのが大切です。良かった点を確認すると部下の自信に繋がり、改善点を明確にすると次のアクションを考えやすくなります。
報告の場にするのではなく、「なぜ成果が出たのか」「どこに課題があったのか」を一緒に言語化していきましょう。
▼部下への質問リスト
・直近でうまくいった仕事はどんな点が良かったと思う? ・進めるなかで難しかったことはある? ・今後さらに改善するとしたら、どんな工夫ができそう? |
▼フィードバックのポイント
・成果は具体的に褒める(例:顧客対応のスピードが早かった) ・課題は責めず、改善のヒントを一緒に考える ・成功体験を次の挑戦に繋げる視点を示す |
業務上の課題や悩み
進めにくいタスクや人間関係の悩みといった、普段表に出にくい本音を聞き出すのも1on1で重要なポイントです。
小さな課題でも早めに共有してもらうと、大きなトラブルを未然に防げます。安心して話せる雰囲気を作り、課題に対しては一緒に解決策を考える姿勢を示しましょう。
▼部下への質問リスト
・今の業務で特に進めにくいと感じる点は? ・どこで時間や労力を取られている? ・チームや他部署との連携で困っていることはある? ・自分では解決が難しいと感じている課題は? |
キャリアや将来の方向性
1on1で部下の将来像を聞き、組織の方針とどう結びつけるかを一緒に考えると仕事への目的意識が高まります。
特に大きな組織では他部署の業務内容が見えにくいため、異動や交流の機会を話題にするのも効果的です。キャリアビジョンがはっきりしていない場合でも、対話を通じて関心のある分野や挑戦したいテーマを見つけるサポートをしましょう。
▼キャリアビジョンがない部下への引き出し方
・どんな仕事にやりがいを感じたかを振り返ってもらう ・他部署や他職種で気になる仕事があるかを尋ねる ・強みを活かせる場面を一緒に考える ・将来「こうなりたくない」姿から逆算してもらう |
スキルアップのニーズ
1on1では、部下のスキルアップに関するニーズの確認も重要です。
キャリアビジョンから逆算し、将来必要となるスキルを一緒に洗い出すと目の前の学びに意味づけができます。
また、会社が実施している研修や現在進行中のプロジェクトを共有し、成長の機会と結び付けてあげるのも効果的です。
「研修を受けるかどうか」ではなく、「どのスキルを伸ばしたいのか」「そのスキルをどんな場面で活かしたいのか」を掘り下げると部下の学習意欲を高め、成長に繋げられます。
職場環境への意見
業務の進捗や成果だけでなく、職場環境に関する本音も引き出しましょう。
労働時間や働きやすさ、人間関係などは日常の会議では話題に上がりにくいため、1on1で意識的に確認するのが大切です。
特にリモート環境では、孤立感や情報共有の難しさといった課題が潜みやすいため、仕事の進めにくさを感じる場面があるか、コミュニケーションが取りやすいかなど、具体的に尋ねましょう。
環境改善に繋がれば、組織全体のモチベーションや生産性の向上にも直結します。
モチベーションやコンディションの確認
部下のモチベーションや心身のコンディションを確認するのもポイントです。
普段は見過ごされがちな疲労や不安も、対話のなかで丁寧に聞き取ると早期にサポートできます。「やる気が出ない」「集中できない」といった小さなサインを放置すると、大きなパフォーマンス低下や離職リスクに繋がる可能性もあります。
業務の状況とあわせてコンディションを確認し、必要に応じて負担軽減や環境改善を検討しましょう。
▼ヒアリングのポイント
・「最近どう?」ではなく具体的に聞く(例:疲れやすさ、集中しにくさ) ・心身の状態を評価せず、安心して話せる雰囲気を作る ・モチベーションの波を把握し、改善に向けた提案に繋げる ・定期的に確認し、変化を追うことで早めに対応する |
上司や組織へのフィードバック
1on1では上司や組織のあり方についても部下から率直な意見をもらいましょう。
マネジメントの方法や部署の運営体制に対してフィードバックを受けることで、双方向の改善に繋がります。
日常業務のなかでは直接伝えにくい意見も、1on1というクローズドな場だからこそ出てきやすいものです。耳の痛い意見も受け止め、改善に活かす姿勢を示すと信頼関係をより高められます。
▼ヒアリングのポイント
・改善提案を歓迎する姿勢をあらかじめ伝える ・否定せずにまず受け止め、感謝を言葉で示す ・個人攻撃ではなく「仕組み・体制」に焦点を当ててもらう ・もらった意見は次回以降に反映し、変化を示す |
1on1で話すときに意識すべきこと
効果的に1on1を進めるには、テーマ選びだけでなく進め方も重要です。
対話を深めるために意識すべきポイントとして以下が挙げられます。
傾聴姿勢を大切にする
安心して話せる雰囲気を作る
短期的な業務と長期的なキャリア両方を扱う
掘り下げた質問で悩みやニーズを引き出す
記録を残して次回に繋げる
時間管理を徹底する
双方向のフィードバックを意識する
それぞれ詳しく紹介します。
傾聴姿勢を大切にする
自分が一方的に話すのではなく、部下の声にしっかり耳を傾けることが何よりも大切です。
途中で言葉を遮ったり結論を急いでしまうと、本音が出ず信頼関係を損なう恐れがあります。
相手の言葉を最後まで聞き、共感を示しながら質問していくと本質的な課題を理解できます。
▼傾聴を妨げるNG行動例
・否定から入る ・途中で口を挟む ・スマホやPCを操作しながら聞く ・自分の経験談ばかり話す |
1on1以外での部下とのコミュニケーション方法は以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
関連記事:部下とのコミュニケーションの取り方は?ポイントや注意点を解説
安心して話せる雰囲気を作る
1on1を効果的にするには、部下が安心して話せる雰囲気作りが重要です。
堅苦しい空気ではなく、リラックスできる環境を意識すると日常では出にくい悩みや意見を引き出せます。
ときには雑談を交えるのも効果的ですが、無理にプライベートに踏み込むのではなく、相手の反応を見ながら進めましょう。
▼安心を損なうNG例
・腕組みや表情の硬さなど、威圧的な態度で話す ・結論や指示をすぐ押し付ける |
短期的な業務と長期的なキャリア両方を扱う
直近のタスクの進捗だけでなく、部下の将来的なキャリアの話題を取り入れるのもポイントです。
短期的な業務の課題に対応するだけでは場当たり的な解決で終わってしまい、部下のモチベーション向上には繋がりにくいでしょう。一方でキャリアの話だけに偏ると日々の業務と結びつかず、理想論で終わってしまう危険もあります。
現在の業務のなかに将来のキャリア形成に繋がる要素を見つけて関連付けると、部下は仕事の意味をより強く実感できます。
掘り下げた質問で悩みやニーズを引き出す
1on1を実りある時間にするには、質問を掘り下げていくことを意識しましょう。
「最近どう?」といった抽象的な問いかけでは部下は具体的な課題を言葉にしづらく、結局は雑談や報告で終わってしまうケースが多いものです。
「何がやりにくいか」「どの部分で時間がかかっているか」など一歩踏み込んだ質問をすると、本人も気付いていなかった課題が見えてきます。
▼具体的な質問リスト
・今の業務で特にやりにくさを感じる部分はどこ? ・どの作業に最も時間や労力を取られている? ・改善できるとしたら、どんなサポートがあると助かる? |
記録を残して次回に繋げる
1on1を継続的に成果に繋げるには対話の内容を記録に残し、次回へと活かしましょう。
その場で話して終わりにしてしまうと、課題や目標が曖昧なまま流れてしまいます。メモには、課題の内容だけでなく、合意したアクションプランやサポートの方向性も簡潔に残しておくと効果的です。
▼記録の残し方の工夫
・要点を箇条書きで簡潔にまとめる ・課題とアクションをセットで記載する ・期限を明確にする ・次回の1on1で進捗確認できるようにまとめる |
時間管理を徹底する
1on1は部下との信頼関係を築く貴重な時間ですが、目的を意識せずに進めると雑談で終わったり、逆に業務報告だけで終わったりする恐れがあります。
特に1on1の回数を重ねると内容がだらけやすいので注意しましょう。充実した時間にするためには、開始前に話す内容の大まかな流れを共有しておくと効果的です。
あらかじめ時間配分を意識すれば、限られた時間のなかでも優先度の高いテーマを扱えます。時間管理は意義のある対話を継続するための基本といえます。
双方向のフィードバックを意識する
1on1を効果的にするにはフィードバックを一方通行にしないことが重要です。
部下に意見を求めるだけでなく、その内容をどう受け止め行動に反映するかが信頼を左右します。
耳の痛い指摘であっても否定せずに感謝を示し改善内容を伝えると、形だけではない双方向の関係が築けます。
さらに、受けたフィードバックを忘れず記録し、次の1on1で実際の改善内容を共有すると部下との信頼関係をより深められるでしょう。
ただし、すべての意見をそのまま受け入れる必要はなく、実行可能なものや組織の方針に合うものを選んで行動に移すのが大切です。
【職種別】1on1で話すことの具体例
1on1で取り上げるテーマは職種によっても重点が異なります。
本章では、以下の職種の具体例を紹介します。
営業
エンジニア
企画・マーケティング
事務
人事
すぐに使える具体的な質問リストを紹介しますので、ぜひご自身でも取り入れてみてください。
営業
営業での1on1は、目標達成の進捗確認だけでなく顧客対応の工夫や商談での課題を深掘りしましょう。現場の声を聞くことで効果的なサポートや改善策を提示できます。
▼具体的な質問リスト
・今月の数字の進捗はどのような状況? ・商談でうまくいった事例は? ・難しかった商談はどんな点が課題だった? ・成約率を高めるためにサポートしてほしいことは? |
エンジニア
開発業務の進めやすさや技術的な課題だけでなく、チームとの連携状況なども聞くのが効果的です。エンジニアのメンバーには、目先のタスク管理だけでなく働きやすさにも目を向けましょう。
▼具体的な質問リスト
・現在の開発タスクで進めにくい点はある? ・技術的に詰まっている部分やサポートが欲しい部分は? ・今の業務量や負荷のバランスについてどう感じている? ・今後チャレンジしたい技術や領域は? |
企画・マーケティング
企画・マーケティング職メンバーとの1on1では、施策の効果検証や新しいアイデアの壁打ちに加え、情報収集の方法や他部署との調整のしやすさを確認するのが重要です。
数字だけで評価せず、発想力や調整力を発揮できる環境をどう整えるかに目を向けましょう。
▼具体的な質問リスト
・最近取り組んだ施策の成果はどう評価している? ・想定どおりにいかなかった施策の原因はどこにあると思う? ・新しく挑戦してみたい企画や施策はある? ・他部署との連携でやりにくさを感じている点は? ・リサーチの方法で改善したいことは? |
事務
日々の業務効率や負担を確認し、改善できるサポートを一緒に考えるのが事務職メンバーとの1on1では大切です。事務職の仕事は工夫や改善点が見えにくいため、小さな声を拾い上げることで働きやすさが大きく向上します。
▼具体的な質問リスト
・日常業務で時間がかかりすぎている作業はある? ・業務フローやルールで改善したい点は? ・チーム内の情報共有で困っていることは? ・今後やってみたい新しい業務や役割はある? |
人事
人事との1on1では、採用・育成・組織運営など幅広い業務における課題の確認が重要です。
特にメンバーの声を集める立場でもあるため、本人自身が感じている負担を丁寧に聞き出しましょう。
▼具体的な質問リスト
・採用活動で特に課題に感じている点は? ・面接や候補者対応で改善したいプロセスはある? ・社内研修や教育制度で不足を感じていることは? ・メンバーからよく寄せられる相談や声は? |
1on1を実施する手順
1on1を形骸化させないためには進め方にも工夫が必要です。
1on1ミーティングは以下のステップで進めます。
事前準備を行う
対話を重視して1on1を進める
内容を記録し共有する
3つの手順を具体的に見ていきましょう。
1.事前準備を行う
1on1では事前準備が非常に重要です。準備を怠ると雑談や業務報告で終わってしまい、有意義な時間にできません。
事前準備のポイントを以下にまとめます。
準備内容 | ポイント |
---|---|
1on1の狙いを定める | 信頼関係構築・課題解決・成長支援など、目的を明確にする |
定期的なスケジュールを設定する | 単発ではなく継続的に行うと信頼関係構築や部下の成長に繋がる |
アジェンダを事前に共有する | 当日話す内容をあらかじめ伝えると、部下が話の準備をしやすい |
こうした準備を徹底すると、1on1が形式的な時間ではなく部下の成長を後押しする場へと変わります。
2.対話を重視して1on1を進める
1on1を開始したら、事前に準備したアジェンダをもとに対話を意識しながら進めましょう。
先述の1on1で話すときの意識すべきことを参考にしながら進めるのがポイントです。
また、相手の答えをそのまま受け取るのではなく、質問を掘り下げていくと新たな気付きを得られるでしょう。
3.内容を記録し共有する
最後に、1on1での内容を記録に残して次回以降に活かしましょう。
ヒアリングした内容や合意したアクションプランを簡潔にメモしておくと、進捗を追えるようになります。
また、記録は部下とも共有するのが望ましいです。双方で内容を確認できれば、認識のズレを防いで行動への主体性も高まるでしょう。
より効果的な1on1にするには『Rimo Voice』

1on1をより効果的にするには、振り返りを効率化できるツールの活用がポイントです。
『Rimo Voice』であれば議事録作成を自動化できるため、ミーティングは記録作業に気を取られず部下との対話に集中できます。内容は文字起こしや要約に加えアクションプランまで自動生成されるので、次の行動に移しやすいのも特徴です。
また、AIチャット機能を活用すれば、1on1の内容を確認したうえでアジェンダを作成するのも可能です。

通常であれば前回の議事録を振り返り、そこから課題や進捗を抽出してアジェンダを作成する必要があります。『Rimo Voice』であればアジェンダ作りの工程も自動化できるため、効率的に1on1を進められるでしょう。
『Rimo Voice』は無料トライアルを実施しています。ぜひ一度ご体感ください。
1on1で部下との信頼関係を深め、組織の成長に繋げよう!
1on1は部下との信頼関係を築き、キャリア支援や課題解決を通じて組織の成長を促す大切なミーティングです。
話すことがないと感じるのは準備不足や信頼関係の欠如が原因であり、適切なテーマ設定と進め方を工夫すると解消できます。
また、記録や振り返りを継続すると1on1は形骸化せず、有意義な場となります。日々の1on1を積み重ねて、強い組織作りを目指しましょう。
最終更新日: 2025 / 10 / 6
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