AIと働く新米PdMが自分のペインを機能に落とし込むまでの道のり~AIに任せられること、まだ難しかったこと~

更新日:2025/12/10 10:05
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こんにちは!Rimo合同会社でPdMをしている吉澤です。Rimo Anvent Calendar 2025 Day8の記事として、私自身が実際にAIと働きながら四苦八苦しつつ機能リリースまでこぎつけたお話をします。

自己紹介:元々はCS担当でした

簡単に私自身のバックグラウンドについて紹介させてください。

現在Rimoに入社して3年目、前職ではカスタマーサクセスをメインにしつつモバイルアプリのプロダクトマネージャーを担当していました。

Rimo入社時は8人目の社員だったのですが、まだRimo内にカスタマーサクセスの専任がいなかったので、カスタマーサクセスメインでジョインしました。

PdMを本格的に任命いただいたのは今年の6月頃。それまではカスタマーサクセス業務や社長室(SEOマーケティングからOKR管理まで足りないことをやる何でも屋さん)業務をメインにしつつも、一部機能の顧客要望吸い上げ→機能要件定義を対応したりしていました。

色々と書きましたが、まとめると「ビジネスサイドのバックグラウンド、プログラミングスキル無し」の属性の人です。

なので、本記事は、同じくビジネスサイドから機能開発やPdM的なことを求められている..!という方に特に参考、共感していただけるかもしれません。

エンジニアバックグラウンドの方は、4日目保坂さんの記事がより参考になるかもしれないので、ぜひあわせてご覧ください!

PdMとして最初のつまづき:顧客要望ベースでない機能のつくり方がわからない..

正式にPdMとしての役割になり、一番最初につまづいたのは「顧客要望ベースじゃない機能って、どうやって要件定義するのが正解なんだ...?」ということでした。

今まで自分が要件定義に関わってきた機能は、お客様からの強い要望や、直接要望として挙がっていなくてもCSとして顧客目線で「この機能はこうあるべきだろう」「こういう機能を作った方が絶対ユーザーが楽になるはず!」という強い想いがあるものでした。

一方でPdMになってからは、そういった機能以外にも、会社の戦略上リリースしていきたい機能や、そもそも事業目標達成のためにどういった機能があるとよさそうかを加味して「なぜ・誰に向けて・何を・どのスコープで・どのクオリティで」等々を決めていく必要がありました。
※PMM・PdMの分業体制の会社さんも多いと思うのですが、Rimoの場合は現状はPdMがそのあたりも関与しています

今まで以上に多くの選択肢や考えるべき変数があり、正しい(ベストを尽くした)意思決定ができているかわからず、自信喪失の日々が続きます。

意思決定に自信を持てるようになったきっかけ:フレームワーク+具体事例のインプット

そんなとき、代表の相川(記事はこちら)から、「我流でやろうとしすぎている。もっと成功事例や基本理論を参考にした方がいい」といった趣旨のアドバイスをもらいました。

今思うと当たり前のことすぎて大変恥ずかしいのですが、目の前の業務に追われてインプットがおろそかになっていたな..と思い、そこから意識的に本や記事から情報収集をするようになりました。

Rimoは今年春からPLS(プロダクト・レッド・セールス)での展開をより重視していることもあり、それに関連する文献となると英語での情報源が多くなります。

chatgptやclaude、perplexityのリサーチ・翻訳・要約の手助けを借りながら、基本的な理論が提唱されているVCやコンサルティングファームの記事、dropboxなどPLGで成功した企業で実務にあたっていた方の記事などを一通り確認しました。

参考になった記事の例:

ただ、gptのディープリサーチやGoogle検索を繰り返すうちに、最新の動向や事例をキャッチアップするのがなかなか難しいことに気づきます。

そこで、ALL STAR SAASさんの記事で紹介されていたTLDRのメールマガジンに登録し、できるだけ毎日メルマガで紹介されている記事(1つのマガジンにつき10記事前後)をチェックするようになりました。

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上記画像のような感じで注目記事のタイトル、要約、記事URLが届くのですが、ジャンルごとに「TLDR AI」「TLDR Product」「TLDR Design」「TLDR Marketing」等複数あり、全部に目を通すのはかなり時間がかかる作業でした。

また、全部がすぐに活用出来るものではなく、「これだけ色んな記事を取捨選択しているんだから、そろそろAIが自動でおすすめしてくれないかな..」と思い始めます。

とはいえ、一通りインプットをし、ある程度最新動向をキャッチアップできている感覚があると、根拠を持って意思決定ができるため、自分の判断に少しずつ自身が持てるようになってきました。

そして、普段の自分の考え方とは違う角度・違う視点の情報を得るようにしたことで、思考が深くなり、自分の視座が上がった感覚を得ました。

もちろん安心はできませんが、以前は自信喪失しすぎて責任を全うできない状態だったので、多少改善です。

ペインを機能に:AIと機能のブレインストーミングをしてみる

上記のような「普段取得している情報源以外に積極的にアクセスしにいくことで、気付きを得られたり、思考を深めたりすることができる」という体験をしたことで、「ぜひこの体験を多くの人に届けたい...!」と思うようになりました。

ただ、私が実施していた方法(関係ないものも混ざったソースをしらみつぶしに見ていく)は負担が大きく、多くの人に進めるのは難しいです。また、私自身にとっても、負担が大きく継続習慣にし続けるのは難しいと感じていました。

そんなとき、Rimoに保存されている自分自身の膨大な会議データが目に留まります。

このデータを元にAIに新しい視点を出してもらうことはできないか、そんなアイディアから、AIにプロトタイプを作ってもらいブレインストーミングをはじめました。

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会議形式に応じて出し分けをするなども検討しましたが、実装工数が過大にならないよう、まずは極力シンプルに・LLMのハルシネーションを防ぐ観点から、おすすめの外部リソースを表示させる方向性で考えることにします。

表示候補の画面のデザイン要素から本当にラフなイメージを作り、AIにデザイン案を出してもらいました。

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一発で出たものを使えるというわけではありませんが、ここまではChatGPTと対話をしながらかなりうまく進められています。

AIに任せられなかったこと:意図に沿ったシステムプロンプトの作成/改善

一方で、ChatGPTやClaudeに相談しても難航したタスクの一つが、システムプロンプト*の作成・改善でした。

*サービス上でLLMを用いた機能を作る際に、裏側でLLMに指示をしているプロンプト文

LLM自身に自分への指示文を考えさせるので、今の進化したモデルであれば大まかな背景説明のプロンプトだけでも上手くいくだろうと思っていたのですが、冗長すぎたり余分なタスクを含むプロンプトが出力されることが多く、そのまま使うには質が悪いor時間がかかりすぎる結果になってしまいました。

結局自分自身でアウトプットを見ながらシステムプロンプトを調整していく必要がかなりありました。

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*画像でgpt-5 fastとなっているのは、gpt-5-miniモデルのAPI名称をfastと勘違いしていたためでした..そこもうまくいかない原因だったかもしれません ; ;

私自身のシステムプロンプト作成をさせる指示の伝え方が悪い部分もあると思うので、そこは勉強中です..

結果、自分で調整したプロンプトを適用することで、機能リリースをしても問題なさそうなレベルのスピード・アウトプットの質(改善余地はありますが)を担保することができました。

実際にできた機能

上記やそれ以外の試行錯誤の後、完成した「あなたへのおすすめ」機能は以下のようになりました。

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Rimoの素晴らしいエンジニア、デザイナーメンバーの協力のおかげで、自分の想いが形になり、感動です...!

今後改善していきたいこと

なんとかリリースまでこぎつけた「あなたへのおすすめ」機能ですが、出して終わりではありません。本当にユーザーの皆様の役に立てるよう、改善したい点はまだまだたくさんあります。

ざっと思いつく限りでも、

  • 単発のミーティングだけでなく、連続したプロジェクト内容を踏まえたおすすめを出したい

  • ユーザーの職種や業種、興味分野、好みなどでカスタマイズしたい

    • 今は日本語会議については日本語の記事を優先して紹介していますが、私個人の分野では英語の方が参考になるものが多いと感じるので、そういった好みや蛍光も反映できるとベスト

  • まだまだ紹介記事の品質にムラがあるので、あらゆるパターンで良い記事をおすすめできるよう、チューニングを進めていきたい

  • おすすめの場所は今の場所(インサイト)が適切ではないかもしれない。より自然に見たくなり参考になる体験を考えたい

など、次々と出てきます。

記事のサジェスト自体はGoogleやChatGPTのPulse、AIブラウザなど色々なツールで提供されているので、手段にこだわりすぎず、会議を支えるRimoだからこそできる付加価値を考え、アップデートしていきたいです!

ここまで読んでいただいた方は、もしよろしければ、更なる進化に向けたフィードバックのご協力をいただけますでしょうか..?

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Day9の記事はこちら▼
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