面倒な書き起こし作業から解放されるツールのひとつとして『LINE CLOVA Note』があります。LINEアカウントを持っていれば無料で使える文字起こしツールですが、安全性やセキュリティ対策が気になる方もいらっしゃるでしょう。
本記事では『LINE CLOVA Note』のセキュリティ対策、メリットとデメリット、そして利用時のトラブル対応法について紹介します。
「本当に安全なの?」「どんなメリットがあるの?」そんな疑問をお持ちの方は、この記事を読んで、『LINE CLOVA Note』を安心して使ってみましょう。
LINE CLOVA Noteとは?
引用元:CLOVA Note公式サイト
『LINE CLOVA Note(クローバ・ノート)』とは、高精度のAI技術を活用した文字起こしサービスです。LINEアカウントがあれば簡単に始められ、無料で利用可能です。
手軽に音声を文字に変換できるので、会議やインタビューなど話した内容をテキスト化する際に便利なツールです。また複数人の会話では、AIが話者を区別して会話を表示する話者分離もできます。
提供元 | LINE WORKS株式会社 |
---|---|
利用可能 | スマートフォン、タブレット、パソコン |
料金 | 無料(毎月300分) |
機能 | ・録音(アプリのみ) |
できること | ・録音したファイルから文字起こし |
利用シーン | ・会議の議事録作成 |
LINE CLOVA Noteの安全性は高い?情報漏洩しない?
AIツールを使った文字起こしで気になる点が安全性です。
『LINE CLOVA Note』はLINE WORKS株式会社が運営しており、大規模なプラットフォームを運営する実績とノウハウがあります。
また利用規約には以下の記載があります。
2 サービスの提供
(前略)
2.2 本サービスは、お客様から提供を受けた音声データ及び音声データから当社の音声認識技術を用いて変換されたテキストデータ(以下、これらのデータを「音声データ等」)を、当社が管理するサーバー上に保存することがあります。これらの場合、当社は、次の各号に掲げる事項を遵守します。
(1) お客様に対して本サービスを提供する目的に限って音声データ等を利用すること
(2) お客様の承諾を得ることなく、音声データ等を第三者に提供し、又は漏洩しないこと (3) お客様への本サービスの提供が終了した場合には速やかに音声データ等を削除すること
(4) 音声データ等の安全確保の上で問題となる事案が発生した場合は速やかにお客様に対して報告し、被害の拡大防止、復旧等のために必要な措置を講じること
音声データや変換されたテキストデータを、『LINE CLOVA Note』が管理するサーバー上に保存することはあっても、第三者に提供することはないとしています。
あわせて高いセキュリティ対策も施されており、情報漏洩のリスクは極めて低いと言えるでしょう。セキュリティ対策の詳細については、次の項目で説明します。
LINE CLOVA Noteの安全性を高めるセキュリティ対策5選
ここからは『LINE CLOVA Note』のセキュリティ対策について、以下5点を紹介します。
1.許可しない限りデータは保存されない
2.最新のセキュリティ設備があるデータセンターに保管されている
3.音声データと顧客データを紐づけられない
4.サービス提供が終了した場合は、音声データは削除される
5.緊急時には必要な対策を講じる
それぞれ順番に見て行きましょう。
1.許可しない限りデータは保存されない
「サービスの品質向上のためのユーザーデータの取得」に同意しないかぎり、音声データの収集および保存は行われることはありません。
もし「サービスの品質向上のためのユーザーデータの取得」に同意した場合、学習データとして音声データの収集・保存が行われ、2年間保管されることに気をつけましょう。
参考:音声データの取り扱いについて / サービス向上のための音声データ収集の同意について
2.最新のセキュリティ設備があるデータセンターに保管されている
利用者のノート一覧に保存されたノートの音声データは、『LINE CLOVA Note』上で再生するために日本国内のサーバーに暗号化して保管されます。
再生するために音声データはサーバーに保管されますが、先述1の通り「サービスの品質向上のためのユーザーデータの取得」に同意していない場合、学習データとしては収集されません。
なお収集された音声データは、最新の暗号化技術やセキュリティ設備が組み込まれた日本国内のデータセンターで厳格な管理が行われています。
3.音声データと顧客データを紐づけられない
収集された音声データは、会話全体が特定できないよう分割して保存されます。また個人を識別できる顧客データとの紐づけも不可能となっています。プライバシーとセキュリティを考慮したシステム設計により、安心して利用できます。
4.サービス提供が終了した場合は、音声データは削除される
『LINE CLOVA Note』を退会すると、データは即時に削除されます。その後、退会時と同じLINEアカウントで再登録しても、退会時のデータは復元できません。
ただし、「サービスの品質向上のためのユーザーデータの取得」を同意している場合は注意が必要です。先述3の通り、音声データと顧客データとの紐づけが不可能なため、「サービス品質向上のためのユーザーデータの取得」に同意している期間に収集されたデータは、退会しても削除されません。
5.緊急時には必要な対策を講じる
万が一不正アクセスなど音声データ等の安全確保に関する問題が発生した場合、どのような対応をとるかという点については、利用規約に以下記載があります。
2 サービスの提供
(前略)
2.2 本サービスは、お客様から提供を受けた音声データ及び音声データから当社の音声認識技術を用いて変換されたテキストデータ(以下、これらのデータを「音声データ等」)を、当社が管理するサーバー上に保存することがあります。これらの場合、当社は、次の各号に掲げる事項を遵守します。
(中略)
(4) 音声データ等の安全確保の上で問題となる事案が発生した場合は速やかにお客様に対して報告し、被害の拡大防止、復旧等のために必要な措置を講じること
緊急時の場合は、即座に利用者へ状況を報告し、復旧措置を講じると示しています。利用者への影響を最小限に抑える、責任ある対応を実施することになっています。
LINE CLOVA NOTEの安全性を高める3つの方法
サービス提供者として講じているセキュリティ対策については上記で紹介しましたが、利用者個人でできる対応策を3つ紹介します。
1.データ収集をオフにする
2.共有は必要最小限にする
3.利用する際は関係者に事前に同意を取る
1.データ収集をオフにする
『LINE CLOVA Note』は、サービス向上のため音声データなどを収集しています。このデータ収集をオフにすることで、プライバシー保護をより強化できます。
▼設定>サービス設定から「サービス品質向上のためのユーザーデータの取得」をオフにする
月間の利用時間は300分に制限されますが、情報の安全性が高まります。
2.共有は必要最小限にする
作成したノートをほかのユーザーと共有する際、共有する情報を最小限の範囲に抑えることで、個人情報が外部に漏洩するリスクを低減できます。
ノートを共有する際は必ずパスワードを設定し、有効期限も必要最小限に設定しましょう。
また共有後は定期的にアクセス状況を確認し、不要になった共有リンクは速やかに削除するよう心がけます。
3.利用する際は関係者に事前に同意を取る
会話を録音する際は、相手の同意を得ることが重要です。特に「サービスの品質向上のためのユーザーデータの取得」に同意している場合は、気をつけます。
あらかじめ『LINE CLOVA Note』を利用することや学習データとして利用されることなどを明確に伝え、参加者全員の同意を得ましょう。
LINE CLOVA Noteの評判
実際に利用しているユーザーの評価が気になる方もいらっしゃるでしょうから、ここでは口コミを紹介します。
星の数は平均4.6と評価が高い一方で、アップロードに失敗するという声も寄せられています。
笑っちゃうぐらい、使いやすくて、ありがたく思っています。ログインの方法も、LINEと接続していてありがたいですし、発言ごとに区切られているので、確認もしやすくて、こんなに楽にやらせてもらってよいのか、と思うぐらいです。
文字起こしの精度は、まだ細かくチェックしていませんが、ほぼ問題なさそうで、自然な仕上がりです。これは使えます。もうびっくりです。感動しました。ありがとうございます。
無料でここまで書き起こししてくれるのは大変ありがたいです。時々アップロードに失敗してしまうのは、こちらの会議の環境によるものなのかもしれないから、使い方や会議室の環境等の検証が必要かなって感じです。
たいへん使いやすく議事録作成に役立っていました。しかし最近録音したファイルがアップロード中から進まず、アップロード中では新規録音も出来ない・該当するファイルの削除も出来ないで困っています。
LINE CLOVA Noteの3つのメリット
『LINE CLOVA Note』を利用するメリットは、大きく3つの点にまとめられます。
1.精度が高い音声認識ができる
2.マルチデバイスに対応している
3.テキストを簡単に編集できる
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
1.精度が高い音声認識ができる
LINE株式会社のAIテクノロジーブランド『LINE CLOVA』が開発した『CLOVA Speech』の音声認識AIを搭載しており、高精度で音声をテキスト化できます。
『CLOVA Speech』は最先端の自然言語処理技術を駆使し、話者分離の技術においては話者ダイアリゼーション技術の国際コンペティション「DIHARD3(2021年)」にて世界3位の性能評価を獲得した研究成果を活用しています。
また日本語に特化した汎用大規模言語モデル(RoBERTa)を活用することで、話し手の「えー」「あのー」といったフィラーや言い淀みを除去することが可能です。
これにより、文字起こしされたテキストは自然な文章で読みやすくなり、内容の把握がスムーズになります。
2.マルチデバイスに対応している
『LINE CLOVA Note』には、iOS版、Android版、ブラウザ版が用意されており、スマートフォン、タブレット、パソコンなどさまざまななデバイスで利用できます。しかもスマートフォンのアプリならば、毎月300分の時間制限がありません。
さらにLINEアカウントでログインし、複数のデバイス間でデータの同期も可能です。
場所や使用機器を問わず、いつでもどこでも快適に利用できる点が特徴です。
3.テキストを簡単に編集できる
録音した音声は自動的にテキスト化され、必要に応じて簡単に編集することができます。
『LINE CLOVA Note』は直感的で使いやすいインターフェースで、音声を聞き直しながら誤変換の修正や段落の追加などを行えます。
また重要な部分にハイライトを引いて必要な情報を強調できるので、議事録をわかりやすくまとめることもできます。
LINE CLOVA Noteの3つのデメリットや注意点
文字起こしツールとして便利な『LINE CLOVA Note』ですが、以下のデメリットもあります。
1.利用時間に制限がある
2.Web会議ツールと連携できない
3.2025年3月下旬にサービス終了予定
あらかじめ知った上で安心して利用するためにも、順番に確認していきましょう。
1.利用時間に制限がある
無料で利用できる時間は月300分までとなっています(ただしスマートフォンアプリを利用すれば時間無制限)。
パソコンから『LINE CLOVA Note』を利用予定で、月300分以上使いたい場合は「サービス品質向上のためのユーザーデータの取得」に同意する必要があります。同意すれば追加で毎月300分が付与され、合計月600分まで利用可能ですが、ユーザーデータ取得に不安がある方はおすすめしません。
パソコンを使用して文字起こしをしたい案件が月300分以上ある場合は、ほかのツールも検討してみてください。
2.Web会議ツールと連携できない
文字起こしツールのなかには、ZoomやMicrosoft TeamsのようなWeb会議ツールと連携して、リアルタイム文字起こしができる機能を搭載しているものもあります。しかし『LINE CLOVA Note』はWeb会議ツールと連携できません。
オンライン会議の音声を使って文字起こしする場合は、Web会議ツールから出る音声を『LINE CLOVA Note』に認識させて、テキスト変換させることになります。
またはいったんボイスレコーダーなどに音声を録音する方法もありますが、いずれにせよクリアな音を確保できず音声認識の精度が低下する可能性があります。
Web会議での発話を即座に文字化することを重視されるのであれば、リアルタイム文字起こし機能付きのツールを探してみましょう。
3.2025年3月下旬にサービス終了予定
『LINE CLOVA Note』は、2025年3月下旬にサービスを終了予定です。そのため文字起こししたテキストデータは、外付けハードディスクなどにコピーする手間が発生します。
もしくは「LINE WORKS AiNote」の無料版に移行する方法もあります。ただしデータ移行については、2025年1月末から2月上旬にかけて提供を開始予定とのことなので、しばらく待つ必要があります。
ツール内にて一貫してデータを保管・管理したい場合は、長期利用が可能な文字起こしツールを検討すると良いでしょう。
LINE CLOVA Noteでトラブルが起こった時の3つの対処法
『LINE CLOVA Note』を使っていると、次のようなトラブルが発生する場合があります。
1.アップロードされない
2.エラーが発生する
3.音声が認識されない
ここからは、上記トラブルへの対処法を順番に紹介します。
1.アップロードされない
音声ファイルのアップロードができない場合は、以下3点を確認した上で再度アップロードしてみましょう。
①ファイル形式とサイズの確認
サポートされているファイル形式であるか、アップロード可能なファイルサイズの上限を超えていないかを確認してください。
サポートされているファイル形式:「m4a」「mp3」「aac」「wav」「amr」
ファイルサイズ:300MBまで
サポートされていないファイル形式であれば、変換ツールを利用して対応可能な形式に変換しましょう。ファイルサイズが300MBを超えている場合は、分割または圧縮してください。
②ネットワーク環境の確認
インターネットの速度が遅くないか、不安定ではないか、確認しましょう。
Wi-Fiに接続し直したり、モバイルデータ通信を試してみてください。ほかにもLANケーブルを使用した有線接続に切り替える方法もあります。
またネットワーク帯域を占有するデバイスがあればオフにして、通信環境を改善してください。
③アプリの更新・再起動
アプリのバージョンが古い場合、不具合が発生することがあります。アプリストアで更新プログラムがある場合は、最新版にアップデートしてください。
最新バージョンであれば、アプリを一度終了し、再起動・ログインしてファイルアップロードを試みます。
2.エラーが発生する
音声ファイルはアップロードできたのに、音声が変換されずエラーとなる場合は「再試行」をクリックしましょう。
「再試行」でも変換できない場合は、音声ファイルをダウンロードしたあとに、再度ファイルアップロードを試してください。
3.音声が認識されない
マイクが音を拾えないと文字起こしが開始されないので、静かな場所に移動し再度試してみてください。話し手にマイクを近づけたり、スマートフォン用の外部マイクを利用することも有効です。
また会話に参加する人数が多いと話者被りが発生し、音声認識できない場合があります。できるかぎり発言が重ならないよう気をつけましょう。
(現時点では室内環境での3人以下の会話が勧められています)
LINE CLOVA Noteの安全性を理解して、文字起こしツールを利用しよう
『LINE CLOVA Note』は、高精度な音声認識技術で文字起こしを簡単に行えるツールです。音声データは厳重に管理され、第三者への情報漏洩を防ぐための対策がなされています。
会議の議事録から日常の会話メモまで、さまざまなシーンで役立つ『LINE CLOVA Note』ですが、もし以下に当てはまる場合は別のツールを検討しても良いでしょう。
文字起こしツールへのニーズ:
・月5時間以上の文字起こしを、データ学習なしで利用したい
・データを長期保管したい
・要約も含めてセキュアな環境で利用したい
上記の内容で文字起こしツールをお探しの方には、『Rimo Voice』がおすすめです。
『Rimo Voice』は、会議の内容を自動で録画・文字起こし・要約(議事録作成)するAI文字起こしツールです。
データ学習なしで文字起こしや要約機能を利用でき、有効期限なく会議の記録(音声と映像・文字起こし・要約)をまるごと『Rimo Voice』上で管理することが可能です。
またAI技術を活用した文字起こしと議事録作成のソフトウェア分野において、初めてISMSクラウドセキュリティ認証「ISO/IEC27017」を取得しています。社外に公開したくない情報を含む音声でも、セキュアな環境下にて文字起こし・要約作成が可能です。
無料トライアルも利用できるので、気になる方は気軽に試してみてください。
最終更新日: 2024 / 12 / 11
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