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OODAループとは?PDCAサイクルとの違いや効果的に活用するポイントを解説

更新日: 2024/8/25 01:48
いまの会議、リモってた。
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OODA(ウーダ)ループとは、ビジネスシーンで使われているフレームワークの1つです。迅速な意思決定を行うのに最適なフレームワークであり、覚えておけばさまざまな場面で役立ちます。

ただし、なかにはOODAループを知らない方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、OODAループの意味や注目されている背景、混合されがちなPDCAサイクルとの違いなどを解説します。

記事の後半では、OODAループの効果的な活用方法についても紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

OODA(ウーダ)ループとは?

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OODAループとは、迅速な意思決定をするうえで有効なフレームワークです。詳しいことは、「OODAループの4つのプロセスと具体例」で解説しますが、以下の4つのステップで構成されており、それぞれの頭文字を組み合わせています。

もともとは戦闘機による戦闘の勝率を高めるために、アメリカ空軍のジョン・ボイド氏によって提唱されたものです。

変化の早い現代で効果的であるうえ、汎用性の高いことから多くの企業で採用されています。

OODAループが注目されている背景

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先述した通り、OODAループは多くのビジネスシーンで使われているフレームワークです。ここでは、OODAループが注目されている2つの背景について詳しく解説します。

PDCAサイクルだけでは不十分なため

1つ目の理由に、そもそもPDCAサイクルだけでは不十分なことが挙げられます。

PDCAサイクルは以下の頭文字を取ったもので、業務の改善を目的としたものです。

PDCAサイクルは多くの企業で使われているフレームワークである一方、状況が変わらないなかで効果を発揮するものであり、変化の激しい現代で効果的とは言い切れません。

対して、OODAループは変化の早い環境で使われることを想定しているため、競争環境化の現代に最適です。

もちろん、OODAループがどんな状況においても有効とは言えないものの、PDCAサイクルと使い分けられれば幅広い場面に対応できます。

将来の予測が困難なVUCA時代であるため

現代は変化が激しく予測ができない時代です。これをVUCA時代といい、以下の頭文字を取ったものです。

VUCA時代は予測が難しいにもかかわらず、想定外の出来事に対応しなければなりません。

その間にも新たなサービスが続々と出ており、雇用制度の変化や情勢などの影響からこれまでの常識が通用しなくなります。

そのような時代に対応するためには、現状の分析と迅速な意思決定を可能にするOODAループが有効です。

OODAループの4つのプロセスと具体例

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冒頭でも述べたように、OODAループは以下の4つのプロセスで構成されています。

それぞれの意味と具体例を交えて、1つ1つのプロセスを解説していきます。

Observe(観察)

Observeとは、現状を観察する過程です。業界における自社の現在の立ち位置や、市場の動向などを観察・調査します。

担当者が観察をして、取捨選択を意識しながら情報収集をしていくプロセスです。具体例には、以下のものがあります。

観察のプロセスで大切なのは、過去の常識や経験にとらわれず状況を受け入れることです。過去に囚われては、新たな発見はできません。

Orient(状況判断)

Orientとは、Observeで集めた情報を分析して状況を把握し、今後の方向性を考えるプロセスです。

OODAループの中でも最も重要といわれるフェーズでもあり、今後の行動を大きく左右します。

観察で得た情報を整理して、経験や教育、情報をもとに状況を正しく判断しましょう。具体例には、以下のものがあります。

Decide(意思決定)

Decideとは、具体的にどのような行動に移すのか決める過程です。Orientで決まった複数のアクションから、最も成果が見込めるものを決めます。

実現可能か、コストに対して得られる成果のバランスは問題ないか、といった観点から決断します。

具体例は、以下のとおりです。

注意点として、過去の成功に囚われたり、コストの極端な無駄を気にしないようにしましょう。最善と思える行動をすることが大切です。

Act(実行)

Actとは、実行をするプロセスです。情報収集をして状況判断、意思決定をした後、実際に行動します。

ある程度行動は決まっているとはいえ、状況に応じて臨機応変に対応することが大切です。

1回実行して十分な成果を得られない場合は、再びObserveに戻り、2回目のループを実行しましょう。OODAループはスピード感を持って回すことで、成果を大きくできます。具体例には、以下のものがあります。

OODAループはすぐに成功するとは限りません。しかし、スムーズに回していくことで高い成果が期待できます。

OODAループとPDCAサイクルの違い

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ここでは、OODAループとPDCAサイクルの違いを紹介します。以下の3つの観点から見ていきましょう。

それぞれの違いを紹介します。

過程

OODAループとPDCAサイクルの過程には、以下のような違いがあります。

PDCAサイクルは計画から行い、中長期的に取り組むのが前提です。対して、OODAループは観察から始まり、すぐに実行に移せるようになっています。

また、必要に応じて前段階に戻ったり、途中の段階からループを再開したりすることもあります。

OODAループ

PDCAサイクル

Observe(観察)

Orient(状況判断)

Decide(意思決定)

Act(実行)

Plan(計画)

Do(実行)

Check(評価)

Action(改善)

目的

OODAループもPDCAサイクルも生産性を向上したり、成果を達成したりと、最終的な目標自体は同じです。ただし、使われる前提や使い方が異なります。

OODAループは短時間で使われることを前提としており、変化の多い環境で使うのに適しています。したがって、新規事業や新商品の開発においては、OODAループが有効です。

一方のPDCAサイクルは、中長期的な計画で使われることを前提としており、変化の少ない環境での生産性向上を目指しています。

PDCAサイクルの効果が発揮される場面は、自社内の業務改善や、変化の少ない市場での売上アップを狙う場合などです。

OODAループ

PDCAサイクル

前提:短期間で使われることを想定

使い方:変化の多い環境での生産性の向上

前提:中長期的な計画で使われることを想定

使い方:変化の少ない環境での生産性の向上

自由度や難易度

OODAループは個人の裁量権が大きく、それに伴い自由度が高くなります。ただし難易度も高くなるため、チームリーダーのマネジメント能力が大きく関わってきます。

方向性がぶれていたり、チームリーダーの決断力が弱かったりすると、メンバーは自信を持って業務に取り組めません。

それどころか、チームの統率が取れない可能性もあり、目標の共有やチームリーダーのマネジメント能力がとても重要です。

対してPDCAサイクルは、計画から入るうえに中長期的な前提で取り組むため、余裕を持って挑戦がしやすいです。短期的な場面には適さないものの、特定問題を解決したり、変化の少ない環境で改善を図る場合は適しています。

OODAループ

PDCAサイクル

自由度:◎

難易度:◎

自由度:◯

難易度:◯

OODAループのメリット

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OODAループが現代のビジネスシーンで有効なのは、以下のメリットがあるためです。

それぞれのメリットを見ていきましょう。

迅速に行動ができる

OODAループが有効なのは、限られた時間でスピーディーに意思決定をするときです。もともと個人の裁量権が大きく、情報収集(観察)から入るためスピード感を持って行動ができます。

また、OODAループと混合されがちなフレームワークにPDCAサイクルがありますが、こちらは計画から行うため、実行までには時間がかかるフレームワークです。

対して、OODAループは迅速な意思決定ができるフレームワークであるため、短期間で目標達成する必要があるときは効果を発揮します。

現状に有効な行動が取りやすい

前提として、OODAループは小規模なチームでの行動を基本としており、個人の裁量が大きいです。そのため、状況に応じて柔軟な行動が可能です。

また、それぞれが主体的に動けるため、結果的に個人のスキルを上げることにもなります。

現場にいる人だからこそ、わかることはいくつもあります。そのような中で都度計画を立てる必要があり、なかなか実行できないのは珍しいことではありません。

しかし、OODAループは上層部の計画を待ってからの行動は想定していないため、状況に応じて適切な判断が可能です。

一人ひとりが自ら考えて行動できるようになる

OODAループでは、一人ひとりが自ら考えて行動できるようになります。先述した通り、OODAループは個人の裁量が大きいのが特徴です。

そのため、目標達成に向けて一人ひとりが責任を持って活動していくことになります。自ら考えて行動することで、社内の活性化や従業員自身の能力向上にも繋がります。

能力がアップすれば、今後の突然の環境変化にもスムーズに対応できるでしょう。

OODAループのデメリット

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ここでは、OODAループのデメリットを見ていきましょう。メリット・デメリットの両方を理解した状態で実践することが大切です。

チームがばらばらになりやすい

OODAループは特性上、個人の裁量権が大きい傾向にあります。これは迅速に行動したり、自発的になったりするメリットがある一方で、チームで目標共有ができていないとチームがバラバラになりやすいデメリットもあります。

チームの統率を取るためには、あらかじめビジョンや目標を共有しておき、方向性をすり合わせておくことが大切です。

方向性が定まっていれば、個人の裁量権が大きくても自ずとチームの統率が取れるようになります。

中長期的な計画には適していない

OODAループはあくまで迅速な意思決定に有効なものであり、中長期的な計画には適しません。

中長期的な計画には結果に対して改善をする必要があるため、以下の4つのプロセスのPDCAサイクルが最適です。

実際に、PDCAサイクルは品質管理や、プロジェクト管理で多く使用されているフレームワークの1つです。状況に応じて、PDCAサイクルとOODAループを使い分けましょう。

PDCAサイクルは古い?OODAループの使い分け方

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PDCAサイクルが古いと言われている理由には、効果を発揮する場面が現代のビジネスシーンとマッチしていないためです。

先述した通り、PDCAサイクルとは継続的な改善に有効なフレームワークのことで、品質管理やプロジェクト管理で多く用いられています。

PDCAサイクルは現在の業務やプロセスを改善することを目的としており、回すのに時間がかかります。それに対して現代は変化が激しく、時間を掛けることが前提のPDCAサイクルで対応するのは現実的ではありません。

その点、OODAループは競争環境化での使用が想定されており、限られた時間での意思決定に適しています。

このような理由から、PDCAサイクルが古いと言われています。とはいっても、PDCAサイクルは品質改善や中長期的な改善には有効です。

限られた時間での意思決定ではOODAループ、中長期的な改善にはPDCAサイクルを用いるなど、状況を見て使い分け・併用をしてみましょう。

OODAループを効果的に活用するポイント

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OODAループは変化の早い現代において有効なフレームワークである一方、活用したからといって必ず良い結果をもたらすわけではありません。

効果的に活用するためには、以下のポイントを押さえておきましょう。

ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。

目標やビジョンを共有して方向性を決める

OODAループは特性上個人の裁量が大きく、方向性が定まっていないと統率が取れなくなる恐れがあります。統率が取れないと会社とチーム、チームと個人の認識がズレて目標達成ができません。

最終目標を達成するためには、チーム全体で目標やビジョンを共有して方向性を決めることが必要不可欠です。

一人ひとりの責任や役割を明確にして、チームが機能するようにしましょう。そのためには、社内チャットや掲示板で最新の情報を共有したり、次の項目で紹介するチームでの振り返りを行ったりすることが大切です。

定期的にチームで振り返りをする

目標に近づくためには、定期的にチームで振り返りを行いましょう。OODAループは迅速な意思決定において有効であるものの、短時間で回すがゆえに1度に複数の修正が発生することがあります。

スピード感を重視するあまり振り返りをせずにいると、修正箇所に気付かずOODAループの効果を発揮できません。

そのような事態を防ぐためには、定期的にチームで現状の把握と振り返りを行い、修正対応をしていきましょう。なお、チームでの振り返りは、新たな発見に気づく可能性もあります。

一度メンバーに任せてみる

まずはメンバーを信頼して、大胆に権限を委譲しましょう。そもそも、OODAループは個人の裁量が大きくなる傾向にあります。

さらにリーダーの能力にかかわらず、組織が大きくなるほど1人でまとめるのは難しくなります。そこで効果的なのが、リーダーが持つ業務の権限を部下に委ねる「権限委譲」です。

権限委譲を進めることで社員の意欲・能力向上につながり、結果的に状況変化に柔軟に対応できるようになります。

ただし、部下に丸投げするのではなく定期的な報告や提案を行い、適切にサポートをしていきましょう。

必要な情報の収集に注力する

OODAループの最初の工程はObserve(観察)であり、情報収集はその代表例です。自社が置かれている状況や市場の動向などを観察して、現状把握をしましょう。

そして、必要な情報を把握していきます。現状の把握なしにして、変化に気づくことはできません。

効率のためにも、取捨選択を意識して情報収集を行いましょう。なお、取捨選択には目標やビジョンを理解する必要があります。

それらを理解せずにいると、適切に情報収集ができず、分析や実行までに計画以上の時間を要する恐れがあります。

決断力のある管理職を採用する

最後は、決断力のある管理職を採用しましょう。OODAはフレームワークの特性上、個人の裁量が大きくなる傾向にあるものの、最終的な判断や責任は管理職になります。

管理職の決断力がなければ、OODAループを採用してもスムーズな実行はできません。仮に社員が十分なスキルやポテンシャルがあったとしても、自信を持って業務を遂行することが難しくなります。

OODAループを導入するのであれば、決断力があるのはもちろん、個人の長所や能力を見極め、適切な場面で迅速にサポートができる管理職を採用しましょう。

チームをまとめる代表として、広い視野で考えられる人材が必要です。

まとめ

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OODAループは変化の早い現代において、有効なフレームワークの1つです。使いこなせれば、臨機応変に対応でき、スムーズに施策に取り組めます。

さらに個人の裁量が大きくなるからこそ、自発的に考える環境作りに繋がり、自ずと社員の能力アップにも繋がります。

OODAループをはじめから使いこなすのは困難であるものの、回数を重ねていけば実践的なノウハウや知識が自ずと身につくはずです。

限られたリソースで最適な判断をするためにも、まずはOODAループを採用してみましょう。なお、OODAループの効果を発揮するためには、修正の時間確保、定期的にチームでの振り返りなどを行うことが大切です。

本記事で紹介した内容をもとに、効果を発揮していきましょう。

最終更新日: 2024 / 8 / 25

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