集中力が続かなかったりやる気が出なかったりして、業務に支障を感じている方もいるのではないでしょうか。集中力を高めて生産性の向上を目指すには、時間管理術の1つ「ポモドーロテクニック」の活用がおすすめです。
本記事ではポモドーロテクニックの実践方法を解説します。活用方法や成功させるコツも紹介するので、自社で導入し業務改善にお役立てください。
ポモドーロテクニックとは、短時間の作業と休憩を繰り返す方法
ポモドーロテクニックとは、短時間作業と休憩時間を繰り返す時間管理術です。集中力を維持しながら生産性の向上が期待できるため、ビジネスや日常生活など幅広いシーンで役立てられています。
まずはポモドーロテクニックの仕組みや根拠を紹介しますので、参考にしてください。
仕組み・根拠
ポモドーロテクニックの仕組みはとてもシンプルです。25分間の作業セッション「ポモドーロ」を行い、その後に5分間の休憩を取ります。4回ポモドーロを繰り返したら30分程度の長めの休憩を取り、しっかりとリフレッシュします。
集中力が低下する前に休憩を取ることで作業に集中でき、生産性の向上やモチベーションアップが期待できるでしょう。
また、ポモドーロテクニックを授業に取り入れた高校では、学生の習熟度が向上したといった研究結果もあります。
ビジネスシーンでも同様の効果が期待できるため、ポモドーロテクニックはタスクを効率よく管理する際も役立つと考えられるでしょう。
参考:https://philarchive.org/archive/GURTEO-7
他の時間管理術との比較
ポモドーロテクニック以外にも、以下のような時間管理術が活用されています。
時間管理術 | 方法 | メリット |
---|---|---|
GTD | タスクをリスト化し段階的に整理・実行する | タスクを漏れなく管理できる |
ABC分析 | タスクを優先順位ごとにABCに分類し 重要性が高いものから実行する | 重要なタスクに集中できる |
2分ルール | 2分以内に終わるタスクを実行する | 後回しを防ぎつつ 効率よく処理できる |
目的や業務内容に応じて時間管理術を組み合わせて活用することも可能です。まずは試してみて、自分に合った時間管理術を取り入れてみてはいかがでしょうか。
時間管理術についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
ポモドーロテクニックのメリット5選
ポモドーロテクニックは、時間を有効活用できるといった魅力の他にもさまざまなメリットが存在します。ポモドーロテクニックを実践するメリットは、以下の5つです。
業務に集中できる
モチベーションを保ちやすい
スケジュールを管理しやすい
チーム内で業務を効率化できる
疲労を軽減できる
それぞれ具体的に紹介します。
1.業務に集中できる
複数の業務を抱えていると、気が散って集中しづらいことがあるでしょう。しかしポモドーロテクニックを使えば、決められた時間内にタスクを完了させるという明確な目標を設定するため、業務に集中しやすくなります。仮に作業中に他の人からメールや電話が入っても「今やるべきこと」が明確であるため、対応後も元の業務に戻りやすくなるでしょう。
2.モチベーションを保ちやすい
タスクを細分化し短時間で集中して取り組むことで、25分間でどれだけの業務を達成できるか明確に把握できます。1つ1つ着実に処理することで満足感が得られるため、生産性を維持するモチベーションも保ちやすいでしょう。そのため業務の先延ばし防止も期待できます。4回目のポモドーロを完了すれば、長時間の休憩をとれるのもモチベーションを維持しやすい理由の1つです。
3.スケジュールを管理しやすい
ポモドーロテクニックを習得することで、スケジュール管理がしやすくなります。単に時間を管理するというだけでなく、1ポモドーロでキリが良いところまでタスク完了できるように工夫することが重要です。自分が25分間で実践できるタスクを理解できるようになると適切な時間配分が可能になり、効率的に業務を進められるでしょう。このような成功体験を重ねることで、より生産性の向上も期待できます。
4.チーム内で業務を効率化できる
ポモドーロテクニックはチーム内の業務効率化も期待できます。例えば同じタスクに全員で取り組む場合「目標やタスクが明確になる」「チーム内のコミュニケーションを最適化できる」など、全員で同じ方向性を目指して作業ができるようになるでしょう。
またチーム全員で同じ時間に集中して作業を進めるため、他の人に話しかけられて集中力が途切れるといった課題の改善も期待できます。
5.疲労を軽減できる
国際学術誌「Cognition」によると、時間の経過とともに集中力が低下する一方で、短い休憩を挟むだけで集中力を維持できることが分かっています。ポモドーロ後の定期的な休憩で脳を休め疲労を軽減できます。これにより、再び業務に集中しやすくなるのです。そのため短時間の休憩は集中力アップのカギともいえるでしょう。
参考:sciencedaily
ポモドーロテクニックのデメリット3選
前述したとおりメリットが多いポモドーロテクニックですが、以下のデメリットもあります。
中断すると効果を発揮しづらい
適さない業務がある
人によっては効果を実感しづらい
デメリットを知っておくことで、より効果的にポモドーロテクニックを活用できるでしょう。それぞれ具体的に解説するので、参考にしてください。
1.中断すると効果を発揮しづらい
集中していても緊急の電話や来訪者の対応など、予期せぬ業務による割り込みが生じてしまうと、ポモドーロテクニックの継続が難しくなります。中断してしまうと効果を発揮しづらいため、25分間の集中作業時間を確保できる環境を整えたり、他の時間管理術と併用したりして柔軟に対応することも必要です。
2.適さない業務がある
タスクや業務によって、25分間のポモドーロテクニックが適さない場合があります。例えば資料作成・長文執筆・複雑なデザイン作業などクリエイティブな業務では、アイデアが浮かんできたところで休憩を取るのが逆効果になることもあるでしょう。
25分の一区切りがストレスに感じては本末転倒であるため、業務の性質を考慮したうえで50分ごとに休憩を挟むなど工夫すると良いでしょう。
3.人によっては効果を実感しづらい
ポモドーロテクニックは、一部の人にとっては効率が落ちる原因になることがあります。短いサイクルの繰り返しや休憩による中断などで作業リズムが乱れたりすると、ストレスに感じる人もいます。精神的・肉体的な疲労が蓄積する恐れがあるため、ポモドーロテクニックが効果的ではないと感じた場合は、別の時間管理術を試してみるのも良いでしょう。
【7Step】ポモドーロテクニックを実践する方法
ポモドーロテクニックの基本的な実践方法は、次の7Stepです。
タスクを選ぶ
タイマーを25分にセットする
集中して作業する
作業が終わったら25分間で終わったことを書き出す
休憩する
4回繰り返す
業務が終わったら振り返り改善策を考える
順を追って解説するので、イメージしながら読み進めてください。
1.タスクを選ぶ
まずはタスクをピックアップし、メモします。例えば「会議案内メール作成」「商品リサーチ5件」など、具体的なタスクを挙げます。タスク管理ツールを利用すると可視化しやすいのでおすすめです。
また25分ごとに行うと仮定して、何サイクルで終わるかも予測したうえでタスクの優先順位を決めましょう。
2.タイマーを25分にセットする
着手するタスクが決定したら、タイマーを25分にセットします。「タスクが完了するまで集中する」と、心に決めてから開始すると良いでしょう。
3.集中して作業する
ここからが本番です。集中して業務を進めましょう。しかし思わぬタイミングで他の業務を思い出したり、来客や別の業務依頼が入ったりするかもしれません。その際は慌てずにメモを残しておき、後ほど対応しましょう。
25分間は1つのタスクに集中した方が効率が良いので、可能であれば作業スペースに移動し環境を整えるのもおすすめです。
4.作業が終わったら25分間で終わったことを書き出す
1ポモドーロが終わったら完了したタスクにチェックを入れ、進捗を振り返ってください。最初のうちはタスクが終わらなかったり、時間が余ったりするでしょう。
しかし、繰り返し実践することで自分が業務をこなすスピードを把握できるようになり、適切に時間配分する能力も身に付きます。また、完了した業務を可視化することで、達成感も得られるでしょう。
5.休憩する
1ポモドーロが終わったら5分間の休憩を取りましょう。目をつぶったり、立ち上がって体を軽く動かしたりするのもおすすめです。脳をリフレッシュさせて、次の業務に備えましょう。
6.4回繰り返す
ポモドーロを4回繰り返したら、15〜30分程度の長めの休憩を取ります。自分がしっかりと休息できる方法で過ごしましょう。
長めの休憩後に作業を再開する場合は、自分が決めた休憩時間を守ることが大切です。
ポモドーロテクニックの応用法4選
ポモドーロテクニックは、以下のような応用が可能です。
ポモドーロテクニックを使ってゴールを設定する
ポモドーロから1日の計画を立てる
チームで取り入れて全体の作業時間を把握する
作業にかかるポモドーロ数をもとに次の計画を立てる
それぞれ具体的に紹介するので、自社に導入して業務の効率化を目指してみてはいかがでしょうか。
1.ポモドーロテクニックを使ってゴールを設定する
純粋にポモドーロを活用してタスクを完了することも大切ですが、ゴールを設定して取り組むことで、さらに達成感を得やすくなります。小さなゴールを複数設定すると、達成する度に喜びを感じられ、モチベーションの維持にもつながります。
例えば「1日10セットのポモドーロを達成する」という目標を立てるのも良いでしょう。自分のペースに合わせて8セットや12セットに調整し、1日の終わりに達成感を感じられる回数から始めるのもポイントです。
2.ポモドーロから1日の計画を立てる
ポモドーロを基準にして1日のスケジュールを立てることで、効率よく業務を進められるでしょう。例えば、1ポモドーロ分を「企画書作成」「会議議事録作成」などその日にやるべきタスクをピックアップします。その後に優先順位や指定時間に合わせてスケジュールを組み込むと、実践しやすいでしょう。
3.チームで取り入れて全体の作業時間を把握する
管理者であればポモドーロテクニックを取り入れることで、進捗度を把握したり時間の使い方を追跡したりするのに役立ちます。チーム全体の状況を可視化しやすいため、生産性の向上も期待できるでしょう。
さらにポモドーロテクニックは、会社・出張先・在宅など物理的に離れた場所にいても、作業時間と休憩時間を共有することで活用できるのも魅力の1つです。
4.作業にかかるポモドーロ数をもとに次の計画を立てる
ポモドーロは実践する際にタスクや作業時間を記録することで、作業ペースが可視化できるようになります。次の計画に活かせば、より正確なスケジューリングができるでしょう。
例えばWebデザインを依頼された際に、概算の制作時間の抽出が必要です。過去のポモドーロ記録があれば、より厳密な見積もりをクライアントに提示できるでしょう。
ポモドーロテクニックを成功させる6つのコツ
ポモドーロテクニックを始めたものの「あまり効果を感じられない」そんな方も少なくないでしょう。成功させるためには基本のポモドーロテクニックに以下のコツをプラスしてみてはいかがでしょうか。
あえて切りの悪いところで終わる
休憩中は頭を使う作業をしない
一度に複数の仕事をやらない
長い休憩もとる
やらないことや割り込み仕事への対応を事前に決める
集中できる環境を作る
それぞれ詳しく解説するので、6つのコツを意識して自分やチームに効果的なスタイルを構築してください。
1.あえて切りの悪いところで終わる
あえて切りの悪いところで終わらせるのも効果的です。達成できなかったり中断したりすると心理現象「ザイガルニック効果」によって、よく記憶に残る場合があります。緊張感を残したまま休憩に入るため、作業開始時にスムーズに作業に戻れるでしょう。
ただし、やり残しが多いとストレスに感じるため注意が必要です。状況に合わせてあえて中断してみるのもポイントです。
2.休憩中は頭を使う作業をしない
休憩中は頭を使う作業をせずに、しっかり休むのもおすすめです。メールの返信やSNSのチェックなどは頭を使うため、休憩には適しません。脳を休めることを意識して、軽い散歩・ストレッチ・目をつぶるなどして完全に業務から離れて一度リフレッシュしましょう。
3.一度に複数の仕事をやらない
人によっては複数の業務を一度に処理するのが不得意な場合があります。一度に複数の業務をこなすことは効率的に見えますが、複数のタスクを同時に進行してしまうと注意力が低下し、逆に効率が悪くなる可能性があります。
そのため1つずつタスクを着実に完了させていくことを目標にして、計画を立てましょう。
4.長い休憩もとる
作業を繰り返していると飽きてくる人もいるでしょう。仕事からきっぱり離れて、長い休憩を取るのも成功のコツです。
以下のようなリフレッシュ方法がおすすめです。
コーヒーやお茶を飲む
おやつを食べる
室外に散歩に行く
ストレッチする
音楽を聴く
業務から離れてしっかりと休憩を取ることで、残りの業務に集中して取り組めるでしょう。
5.やらないことや割り込み仕事への対応を事前に決める
事前にやらないことをリスト化しておくのもポイントです。ポモドーロ中の割り込み仕事は15時以降に対応する、休憩中はSNSのチェックをしないなど、具体的な対応を決めておくと良いでしょう。
さらにメールやチャットの通知音をオフにしておき、確認する時間をあらかじめ設定しておくこともおすすめです。
6.集中できる環境を作る
可能であれば、集中できる環境を準備してからポモドーロテクニックを実践すると良いでしょう。例えば、誰かに話しかけられない作業スペースに移動したり、騒音対策をしたりして集中できる環境を作るのもおすすめです。
また、リラックス効果のあるアロマを使うことで、集中力アップが期待できるでしょう。
【シーン別】ポモドーロテクニックの活用方法の例
ポモドーロテクニックはさまざまなシーンで活用できます。シーン別にポモドーロテクニックの活用事例を紹介しますので、参考にしてください。
オフィスでの活用事例
ポモドーロテクニックを導入することで「共通のリズム」ができるため、作業時間や休憩時間の区切りが明確になります。これにより作業中はより業務に集中し、休憩時間はコミュニケーションをとりながら十分にリフレッシュできます。チーム全体が同じ方向を向いて作業を進めるため、協力しながら効率的に業務に取り組むことが可能です。
さらに、チーム内の一体感が高まることで、モチベーションの維持にもつながります。
リモートワーク時の活用事例
リモートワークでは仕事とプライベートの境界線が曖昧になりがちです。ポモドーロテクニックを活用することで、メリハリのある働き方が目指せます。
リモート環境では休憩の自由度が高いため、体を大きく動かしたストレッチも可能です。長い休憩時間には、軽く外出したり家事をしたりしてリフレッシュできます。ポモドーロテクニックを活用し作業時間と休憩をしっかりと区切ることで、疲労を軽減しながら時間を有効に使えるでしょう。
会議での活用事例
ポモドーロテクニックは会議にも活用できます。会議の議題ごとに25分の時間制限を設け、効率よく議論を進められます。しかし長時間の会議では、意見が出にくくなったり沈黙が続いたりすることもあるでしょう。そのため5分間の休憩を利用して、参加者の集中力を回復させることが大切です。
また、会議中にタイマーを使用することに抵抗がある場合は、議題を変えるなどして雰囲気を変えるのも良いでしょう。
【PC・スマホ】ポモドーロテクニックに役立つツール・アプリ
ポモドーロテクニックを実践する際は、ツールやアプリの利用がおすすめです。ここからは5つのツールを紹介します。これらのツールを使用すればよりスマートにポモドーロテクニックを実践できるでしょう。
1.Pomodor
参照:Pomodo
Pomodorは、シンプルで使いやすいオンラインポモドーロタイマーです。大きな「始める」「休止」ボタンや時間表示により、操作が簡単にできます。さらに作業モードや休憩モードごとに背景色が異なるため、作業状況が視覚的に分かりやすく設計されています。作業効率を高めたい人にとって便利なツールです。
2.Marinara Timer
Marinara Timerは無料で利用できるポモドーロタイマーです。ブラウザ上で動作するため、インストールせずにすぐに利用できます。黒背景に白文字の時計が大きく見やすいのが特徴です。またポモドーロタイマーだけでなくカスタムタイマーやキッチンタイマーも設定できるため、用途に応じて選択可能です。
3.Focus To-Do
参照:Focus To-Do
Focus To-Doは、ポモドーロを活用したタスク管理アプリです。スマホ・パソコン・タブレットなどからアクセス可能なため、どこでもタスクの登録やポモドーロの開始ができます。リマインダーやレポートなど、業務効率化に役立つ機能を備えているのもFocus To-Doの魅力です。
4.Forest
参照:Forest
Forestは集中時間が経過すると木が成長するという、ゲーム感覚で使えるアプリです。ポモドーロ中にアプリを閉じたりスマホで別の作業をしたりすると木の成長に影響が生じてしまいます。そのため、自然と集中力を持続させたいといった気持ちにもつながります。
さらに環境保護活動にも参加できるので、楽しく時間管理をしたい方に向いているアプリです。
5.Session
参照:Session
Sessionは生産性向上を目指して作られたアプリで、ポモドーロ中に気づきや学びをメモできる機能が特徴です。また、集中できた時間や集中しづらかった時間を振り返ることが可能で、データをもとに業務計画の改善に役立ちます。さらに多くの機能を使用したい方は、有料プランの利用がおすすめです。
ポモドーロテクニックは集中力と生産性を高める時間管理方法
集中力と生産性を高めたい方は、ポモドーロテクニックがおすすめです。ポモドーロテクニックは複雑な準備が必要なく、タイマーがあれば誰でもすぐに開始できる時間管理術です。集中力が高まることで生産性も向上し、業務効率化が期待できます。
まずは本記事を参考にポモドーロテクニック方法を理解して、自社に導入してみてはいかがでしょうか。また業務効率化の1つとして、会議の議事録作成を『Rimo Voice』を利用して自動化することもおすすめです。自社に合ったツールやアプリを取り入れて、業務効率化を目指してください。
最終更新日: 2024 / 10 / 28
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