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業務の見える化とは?見える化の目的・意味や可視化との違いを詳しく紹介

更新日: 2024/9/18 02:10
いまの会議、リモってた。
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業務の見える化とは、トヨタ自動車の「カンバン方式」に代表されるように、業務の進捗や状態などを客観的に認識できる状態にすることです。業務効率化でよく使われる言葉の1つであり、実際聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

似た言葉として「可視化」があり、混合されることも多いですが、この2つは違った意味で使われることもあります。そこでこの記事では、業務の見える化について、可視化の違い・目的・具体例などを紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

業務の見える化の具体例

業務の見える化は、業務の状態や進捗などのわかりにくいものを、誰もがひと目で分かる状態にすることです。

具体的には、以下のものが例として挙げられます。

見える化の最大の目的は、業務改善や課題解決です。業務を見える化すること自体はあくまで過程に過ぎません。業務がひと目で分かるようにすれば問題点を把握でき、改善によって業務効率化が期待できます。

業務の見える化の起源

業務の見える化のもととなったものは、トヨタ自動車株式会社の岡本渉の論文「生産保全活動の実態の見える化」と言われています。

見える化はトヨタ式を代表する仕組みの1つで、トヨタの生産現場で徹底されています。見える化は生産現場を含め、多くの場面で使用されている有名な仕組みです。

業務の見える化と可視化の違い

見える化に混合される言葉の1つに、可視化があります。可視化とは見えにくいものをチャートやグラフにまとめて、見えるようにしたものです。

例えば「◯時の来客が少ない気がする」などの漠然とした内容を、調査したデータをもとにチャートやグラフを作成し、現状を把握できるようにします。

一方の見える化とは、一見して分かりづらい業務の進捗や成果などを客観的に分かる状態にすることです。

どちらも似ている言葉であり、見える化・可視化の定義は明確に定められていません。可視化は見える化の一部に含んで考えている企業もあれば、別として捉えている企業もあります。

どちらにしても、見える化・可視化だけを目的にしていては業務効率化に繋がりません。可視化・見える化で把握できた内容をもとに、どのように改善していくかが大切です。

業務の見える化の目的

業務の見える化の目的自体は企業で異なりますが、多くの企業では、以下の8つを見える化の目的としています。

それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。

業務プロセス上の問題の早期発見と迅速な対応

業務の現状を把握すれば、非効率な部分や問題点が明確になります。これによって、問題を早期発見して迅速な対応が可能です。昔からの習慣で現在も理由なく行われている、更新されていないマニュアルがあるなどの企業は珍しくありません。

それらを放置していると、担当者の変更時に業務品質が維持できなかったり、他の業務で時間を割けなかったりと支障をきたす可能性があります。そこで見える化で業務プロセスの問題点が明確になり、迅速な改善が期待できます。

意思決定の質と速度の向上

経営者や管理者であっても、従業員が多くなればなるほどすべてを把握するのは困難です。そこで見える化されたデータがあれば、素早く現状を把握でき、正確で迅速な意思決定ができます。

今やSNSやインターネット技術の進歩で情報量が多く、トレンドが次々と移り変わるのはよくあることです。それに伴い市場の変化も早く、素早い戦略的な判断が求められます。そのような状況下において、情報の見える化は意思決定の質と速度の向上に効果的です。

組織全体の業務効率化

業務の見える化は、無駄なフローの削減や重複業務の排除が期待できます。業務を最大限まで効率化できれば、従業員の負担が軽減する上、余った時間は他の業務への集中が可能です。また、各部門と個人の役割が明確になれば、当事者意識の向上にも繋がります。

当事者意識とは、自分ごととして捉える意識のことです。ビジネスの場では自分が業務に与える影響や、チームにおいての役割を考えるようになり、組織の最大化に繋がります。

組織内のコミュニケーションの活性化

見える化された情報の共有によって、組織内のコミュニケーションが活発化します。情報の共有には企業の課題や組織問題を「自分ごと」として捉えられ、共通の指標や目標を持てるようになるメリットがあります。

これは、先の「組織全体の業務効率化」で説明した当事者意識と同じです。個人が当事者意識を持てばチームの一体感が生まれて、協力体制が強化されます。また、異なる部門や階層間のコミュニケーションはモチベーションアップに繋がったり、会社の仕組みをより知るきっかけにもなったりします。

特にリモートワークが増加して孤立しがちな現代において、コミュニケーションの問題を抱えている会社は多く、見える化はそれを解決する手段として有効です。

コンプライアンスとリスク意識の強化

各部門の業務遂行状況やプロセスを見える化することで、各業務に潜んでいるリスクや、コンプライアンスに問題がないかを客観的に把握できます。コンプライアンスは法令や規則を守ることであり、企業が守るべきものの1つです。

近年はコンプライアンス意識が上がっており、管理職を対象にしたコンプライアンス研修が一般的となりました。しかし、業務の環境や経営陣の知識次第で、コンプライアンス違反が起こる可能性は十分にあります。

そこで業務プロセスが可視化することで、コンプライアンス違反が起きる状況下ではないか、法律の観点から業務に問題はないかなどのチェックが可能です。コンプライアンスの確認は従業員のリスク意識の強化にも繋がり、企業への信頼性に大きく関わります。

顧客満足度の向上

業務の見える化をすれば、顧客満足度の向上が期待できます。例えば、顧客対応の部門の場合は、フローの削減でより多く顧客の問い合わせに対応できるかもしれません。

ECサイトであれば注文から配達を見える化することで、必要な情報や顧客情報が明確になり、迅速な対応を実現できるでしょう。これまで見える化の重要性は企業側視点が多かったものの、実は顧客にもメリットがあるのです。

継続的な改善文化の浸透 

見える化はあくまで過程ですが、見える化で得た情報をもとに無駄なフローを削減したり、より生産性を向上させたりすることが可能です。

組織がより良くなるよう1人1人が考えるきっかけとなり、これは組織に継続的な改善文化をもたらします。従業員が当事者意識を持って問題に取り組み、改善を継続的に段階的に起こしていくことで、企業の存続や事業拡大に繋がります。

人員配置の見直し

業務フローの見える化によって、人員配置の見直しが可能です。例えば、「Aの業務に人員が偏っていて、B業務担当の負担が大きい」などがわかるようになります。適切な人員配置は従業員の能力を発揮し、モチベーション向上に繋がります。

生産性の向上はもちろん、効率化で残業代などの削減、つまり人件費の節約も可能です。また、定期的な人材配置はマンネリ化を防ぎ、組織の活発化ももたらします。

人材配置は一人一人の能力を考慮し、モチベーションが下がりがちなミドルパフォーマーのケアが重要です。また、社内公募制度を採用し従業員のキャリアを見える化するのも、人員配置の見直しに効果的です。

従業員の評価適正化

業務を見える化すると理解が深まり、管理者側は従業員を適正に評価できます。テレワークの普及、成果主義を採用している企業が増えている一方で、「周囲が何をしているのかわからない」「自分の立ち位置がわからない」となるのは珍しいことではありません。

これらは1人の従業員に負担が頼る可能性がある上、従業員自身が自分を適正な評価ができずモチベーション低下につながります。そこで業務難易度や現在の業務レベルがわかれば、従業員はモチベーション向上につながり、管理職側も適切な評価が可能です。

業務の見える化の対象となる情報

業務の見える化をする上で知っておくべきなのが、対象の情報です。見える化の実践において、以下の基本情報の可視化は基本です。

それぞれの情報を詳しく見ていきましょう。

業務内容

業務内容とは、それぞれの業務の内容のことです。現在行っている業務を以下の7つの要素で把握します。

社員に直接ヒアリングしたり、アンケートを作成して回答してもらったりすれば、各部門の状況を細かく把握できます。また、現場に出向いて普段の様子をチェックするのも有効です。業務の把握は会社への理解を深めることにもなり、見える化において重要なフェーズです。

業務フロー

業務フローとは、業務の流れのことです。営業であれば、「マーケティング→プレゼン資料の作成→訪問営業→提案→契約」になります。業務フローの把握は無駄の削減、ミスの改善をする上で重要な工程です。

例えば、営業の場合は訪問先のリストアップ作業を外注化する施策が挙げられます。ただし、業務フローを把握する際は現場の声を大切にしましょう。現場の人間でないと、わからない事情や仕事は多くあります。

管理者のみのフロー削減は現場の混乱を招き、業務の効率・質が大幅に低下する恐れがあるためです

スケジュール

部署やグループごとにタスクの進捗状況をひと目でわかるようにする工程です。以下の3つを明確にすれば、従業員1人に負担が偏っていないか、時間配分の問題が生じていないかなどをすぐに確認できます。

また、スケジュールの予定と実際の進行を記入することで、実態に即した業務量データを取れるようになります。

ナレッジ

ナレッジとは技術やノウハウ、業務のコツなどを意味します。業務のマニュアル作成をする際は概要や手順のほかにも、以下のナレッジを記載しましょう。

ナレッジを記載するときの注意点として、記載内容が多すぎると何を伝えたいのかわからなくなってしまいます。項目ごとに分けたり、優先順位をつけたりして読みやすいようにしましょう。

最低限知っておきたい情報、業務に慣れてきたら知っておくべきナレッジなど段階に分けると、読みやすくなります。とはいっても、業務フローとナレッジはこれまでに紹介した可視化するべき情報の中でも変化が少ないため、実践しやすいでしょう。

業務の見える化をする方法

前項では見える化する情報を紹介しましたが、以下の手順で進めるとスムーズな業務改善が期待できます。ここでは、業務の見える化をする方法を以下の6つに分けて紹介します。

それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。

1.業務の現状を把握する

仕事の見える化は1つ1つの業務の状況把握からです。各工程にどのぐらいのタスクがあり、全体的な仕事量や作業時間を把握していきます。そして現場の担当者に業務のヒアリングをして細かいタスクまで洗い出し、それらの情報を分析します。

作業時間や人数配置は適正なのか、重複している業務や改善したほうが良い業務はないかなどを確認しましょう。削減だけではなく、現在の業務をスムーズにするための新たな提案があれば、そちらも取り入れていきます。

2.フローの見える化をする

フローの見える化では、1で分析した業務をフローチャートにしてひと目でわかるようにします。ここで大切なのは、わかりやすさを重視しすぎて解像度が下がりすぎないようにすることです。

大まかな業務だけの記載では、細かい業務の把握ができず適切な提案ができません。業務の大小にかかわらず、要点を記載してわかりやすいフローチャートを目指しましょう。フローの見える化が難しい場合は、ツールでフローチャートを作成するのもおすすめです。

3.部署ごとのの業務内容やナレッジの見える化をする

部署ごとの作業内容やナレッジを見える化していきます。従業員が業務を通して積んだノウハウや知識をナレッジとして蓄積し記載していくことで、仕事をスムーズに進める施策を出せるようになります。業務内容については、以下の流れでマニュアル作成をしていきましょう。

他にもチェックリストを用意すると、品質維持に効果的です。複雑な業務であれば、ITツールの導入を検討してもいいでしょう。マニュアル作成は、誰でも同じ品質で業務をするのに欠かせません。

業務の進捗や進め方を特定の人しか把握していない、つまり組織のブラックボックス化を防ぐのに有効です。また、急な人員配置にもすぐに対処でき、従業員自身の業務の負担軽減にも繋がります。

4.人員配置の見直し・業務改善をする

ステップ3で見える化した情報をもとに、人員配置の見直しや業務改善を行います。具体的な改善・取り組みには、以下が挙げられます。

なお、はじめから業務改善・人員配置がスムーズに行くとは限りません。特に複雑化している業務の見直しや大幅な人員配置をした場合、従業員が慣れるまでに時間がかかります。

それらを考慮した十分な時間・期間を設けないと、適切な改善ができているか判断できません。

5.効果検証と改善の見直し

人員配置の見直し・業務改善のあとは、効果検証と改善を行う必要があります。不適切な業務改善は、業務担当者の負担が大きくなり、組織の生産性を低下させます。

そのような事態を防ぐためには、効果検証と改善が欠かせません。求めていた基準を達成できているか、改善前よりタスクは早くなっているか、従業員に不満はないかなど、あらゆる方面から検証をします。

改善できていない箇所があれば、問題点を分析して改善に取り組みましょう。また、見える化で業務改善をした後も定期的な見直しが必要です。繰り返し行うことで、成果を上げられます。

まとめ

業務の見える化は、業務フローや進捗状況を明確にするものです。あくまで業務の見える化は過程であり、それだけで業務効率化は測れません。

見える化で得た情報をもとにどのようにアプローチしていくかを考えることで、業務効率化が期待できます。そカンバン方式のタスク管理ツールやAIなどを活用し、効率よく業務の見える化に取り組んでみてください。

最終更新日: 2024 / 9 / 18

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