AIエージェントの活用例12選|自社で使える業務がわかる【2026年版】

「AIエージェントが業務でどう使われているのか、具体例が知りたい」
「自社のどの業務に当てはめられるのか、イメージをつかみたい」
AIエージェントという言葉を見る機会が増え、自社の業務にも取り入れられそうだと感じている方は多いのではないでしょうか。
ただ、定義や仕組みの解説を読んでも抽象的で、具体的な活用イメージが結ばないまま止まってしまうケースもあります。
そこで本記事では、AIエージェントの活用例を業務別・業界別に紹介し、自社の業務に当てはめるための条件や使いこなすコツまで解説します。
向いている業務の条件や導入手順も取り上げるため、活用例を通してAIエージェントを自社の業務に落とし込めるようになるでしょう。

AIエージェントとは?生成AIとの違いは「答えを返す」か「作業を進める」か
AIエージェントとは、人が与えた目標に対して、必要な作業を自分で考え、複数のタスクを進めるAIのことです。
生成AIは、基本的に「文章を作る」「要約する」「アイデアを出す」など、指示された内容に対して回答を返します。
一方でAIエージェントは、目標を達成するために必要な手順を分解し、情報収集・整理・資料作成・共有などの作業を自律的に進める点が特徴です。
たとえば、AIエージェントに「競合3社を調べて、料金・機能・強みを比較表にまとめて」と指示するだけで、以下のような業務を一連の流れで進められます。
調査項目の整理
ブラウザを操作して調査
比較表の作成まで
導入はこれから本格化する段階にあります。
矢野経済研究所の調査では、生成AIを活用している企業のうちAIエージェントを利用中の割合は3.3%にとどまります。一方で導入検討中が13.5%、関心ありが49.3%と、前向きな企業が6割を超えています(※2025年12月発表時点)。
出典:矢野経済研究所「国内生成AI/AIエージェントの利用実態に関する法人アンケート調査」
AIエージェントの定義や生成AIとの違いをさらに詳しく知りたい方は、以下の記事で解説しています。
関連記事:【2026年版】自律型AIエージェント完全ガイド|生成AIとの違い・サービス10選
自分でAIエージェントを作ってみたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:AIエージェントの作り方|初心者でも無料×ノーコードで始める全手順

AIエージェントの活用例を業務別に6つ紹介
AIエージェントは、職種を問わず使われる定型業務から、専門的な業務まで幅広く活用されています。
ここでは、活用例を6つ紹介します。
会議・議事録の作成から成果物づくりまで自動化する
営業の提案資料やフォローメールを自動で作成する
問い合わせ対応を自動で完結する
競合調査や市場分析を自動で実行する
経費精算や請求書処理を自動で照合する
候補者の選定や面接日程の調整を自動化する
自社の業務に近い例をご覧いただき、活用例をイメージしてみてください。
1. 会議・議事録の作成から成果物づくりまで自動化する
会議の議事録作成やその後のタスク実行は、AIエージェントの活用が進んでいる業務の一つです。
音声の文字起こしや要点の整理にとどまらず、議事録をもとにした会議後の作業まで、一連の流れを自動で進められます。会議のたびに発生していた記録と後続作業の負担を減らせます。
たとえばAIエージェント機能の「Rimo Actions」は、会議の議事録から会議後のタスクを自動で抽出し、実行計画を立てます。
利用者が内容を確認して実行すると、提案資料・競合比較表・共有メールの下書きといった成果物を生成し、Gmail、Slackなどを使用して直接配信が可能です。人が議事録を読み返してタスクを洗い出し、資料に起こす作業を自動化します。
議事録の作成という入力から、タスク抽出・成果物づくりという出力までをつなぐ点が、単に文字起こしするツールとの違いです。会議や議事録の業務は職種を問わず発生するため、AIエージェントの効果を実感しやすい領域です。
2. 営業の提案資料やフォローメールを自動で作成する
営業では、提案資料の作成や商談後のフォローメールにAIエージェントが活用されています。
たとえば商談メモを読み取り、CRMから顧客の取引履歴を集め、必要に応じて競合情報をWeb上で調べたうえで、相手に合わせた提案資料を作成します。
さらに商談後のお礼メールの下書きまで用意します。人が一つひとつ指示しなくても、関連する複数の作業を自分でつないで進めます。
これにより、営業担当者が資料作成や事務作業に取られていた時間を減らし、顧客との対話の時間を増やすことにつながるでしょう。
実際、大和証券グループの荻野明彦社長は、面談内容の記録にとどまらず、個々の事情に合わせたリアルタイムな提案や営業員のサポートをAIで実現できないか検討していると述べています。
出典:大和証券G・荻野明彦社長「対面営業、AIで提案の質高める」(日本経済新聞)
関連記事:AIで営業はどう変わる?任せられる6つの場面と人に残る仕事を解説
3. 問い合わせ対応を自動で完結する
カスタマーサポートでは、問い合わせへの一次対応をAIエージェントが自動で完結する活用が行われています。
よくある質問に答えるだけでなく、問い合わせ内容から必要な情報を社内のデータベースやFAQを横断して探し、回答を組み立て、対応履歴の記録まで一連の流れで処理します。
自分で判断できない複雑な問い合わせは担当者に引き継ぐなど、状況に応じて次の動きを選べる点が特徴です。
こうした一次対応の自動化を支えるのが、社内資料をAIに読み込ませて回答の材料にする仕組みです。
たとえば「Rimo ナレッジAI」は、社内のルールやマニュアルを取り込んだうえで、問い合わせへの回答案を出典付きで作成します。
こうした自動化により、人手が不足しがちな窓口業務を支えられ、かつ顧客にとっては良質な回答をスピーディーに得られるメリットがあります。
4. 競合調査や市場分析を自動で実行する
マーケティングや企画では、競合調査や市場分析にAIエージェントが使われています。
「競合3社を調べて比較表を作って」と指示すると、調べるべき項目を自分で洗い出し、各社のサイトやニュースをWeb上で順に調べ、集めた情報を整理して比較表やレポートにまとめるところまで進めます。
情報収集から資料化までの工程を、人が指示しなくても自律的に実行します。
調査の手間が減るぶん、分析や戦略の検討に時間を使えるようになります。
5. 経費精算や請求書処理を自動で照合する
経理・バックオフィスでは、経費精算や請求書処理の照合作業にAIエージェントが活用されています。
届いた請求書を読み取り、会計システムの登録データと照合し、金額や日付に不備があれば検知して担当者に差し戻すところまで自律的に進めます。1件ずつ人が確認していた処理を受け取りから照合、振り分けまで一続きの流れで担います。
経理業務でAIエージェントの効果が出やすいのは、請求書処理のように定型的で件数の多い作業です。毎月決まった形で繰り返される業務から導入すると、早い段階で効果を実感しやすくなります。
6. 候補者の選定や面接日程の調整を自動化する
人事・採用業務では、候補者の選定や面接の日程調整にAIエージェントが使われています。
応募書類を解析して条件に合う候補者を抽出し、候補者と面接官のカレンダーを照らし合わせて日程を調整し、確定後のリマインド連絡までを自分で進めます。書類選考から日程確定までの一連のやり取りを、人が間に入らずにつないで処理します。
応募が集中する時期ほど、調整業務の自動化による負担軽減の効果は大きくなります。
採用活動におけるAI活用をさらに進めたい場合は、面接時の文字起こしや議事録作成に特化したツールを紹介している以下の記事もご覧ください。
関連記事:採用面接におすすめのAI文字起こし・議事録作成ツール6選!選び方や活用フローを解説
AIエージェントの活用例を業界別に6つ紹介
ここでは、AIエージェントの活用例を業界別に6つ紹介します。
製造:トヨタ自動車が9つの専門AIエージェントで開発を支援
小売:イオンリテールが商品情報の登録を90%削減
金融:大和証券が面談記録の作成を45%削減
カスタマーサポート:IVRyが電話応答の認識精度を高める
行政:さいたま市が保育所の入所選考を数秒で実行
会計:1-800Accountantが確定申告期の問い合わせ70%を自律解決
自社の業界に近い事例を見つけてみてください。
1. 製造:トヨタ自動車が9つの専門AIエージェントで開発を支援
出典:Microsoft「トヨタ自動車、エンジニアの知見をAIエージェントで継承へ」
トヨタ自動車は、エンジニアの知見を継承するAIエージェントシステム「O-Beya」を開発し、新型車の開発現場で活用しています。
O-Beyaには、振動・燃費など9つの専門分野に特化したAIエージェントが搭載されています。エンジニアがエンジン設計などの課題を入力すると、以下のような動作を実行します。
質問内容に応じて複数のエージェントが連携
過去の設計報告書や最新の法規制情報を横断的に検索
情報を統合して回答
従来はベテランに個別に問い合わせる必要があった複雑な課題に、一度で包括的な答えが得られるようになりました。
2024年1月の運用開始以降、パワートレーン開発に携わる約800人のエンジニアが利用しています。パワートレーンとは、動力源から駆動輪へ力を伝え、最適な動力伝達を実現する駆動システムのことです。
複数のAIエージェントが役割を分担し、専門知識を横断して答えを導く点が、単一の生成AIにはない特徴です。
2. 小売:イオンリテールが商品情報の登録を90%削減
イオンリテールは、衣料品の商品情報を登録する業務にAIを導入しています。
商品情報の登録プロセス全体を半自動化する「Gemini Extract System」を開発し、工数を年間4,500人時から450人時へと90%削減しました。あわせて、人為的なミスもほぼゼロにまで改善しています。
手作業で発生していた負担と入力ミスを同時に解消した事例です。
参考:Google Cloud「最新生成 AI 活用事例 120 社を一挙公開! AI エージェントの最前線(2026 年 3 月更新)」
3. 金融:大和証券が面談記録の作成を45%削減
大和証券グループ本社は、顧客との面談内容を自動で記録するシステムを導入しています。
生成AIと音声認識を組み合わせ、2025年1月に開始した自動記録システムにより、コンサルティング後の記録時間を45%削減しました。担当者が記録内容を確認・修正する運用を保ちつつ、入力の負担を減らしています。
記録業務で生まれた時間を、顧客への提案など付加価値の高い業務に振り向ける狙いです。
同社は2025年6月にAIエージェント導入で日本マイクロソフトと提携し、活用を広げています。
参考:日刊工業新聞「大和証券グループ本社、顧客面談の内容を自動記録」
参考:Microsoft「大和証券と日本マイクロソフトが戦略的枠組み締結。AI エージェント活用で「お客様の資産価値最大化」実現に貢献」
4. カスタマーサポート:IVRyが電話応答の認識精度を高める
出典:Google Cloud「IVRy: 対話型音声 AI SaaS「アイブリー」に Gemini を導入し、次世代の音声認識精度と低レイテンシーの両立に成功」
IVRyは、対話型の音声AI「アイブリー」で電話応答を自動化しています。
電話の一次対応をAIが担い、文字起こしや要約まで自動で行います。生成AIのGeminiを導入した結果、従来は精度が低かった肯定・否定表現の認識精度が97%まで向上しました。飲食業や宿泊業をはじめ、幅広い業種で導入が進んでいます。
人手不足が深刻な電話対応を自動化し、スタッフが接客などの中心業務に集中できる環境を整えた事例です。
5. 行政:さいたま市が保育所の入所選考を数秒で実行
出典:富士通「最適な保育所入所選考を実現するAIを用いたマッチング技術を開発」
さいたま市は、保育所の入所選考業務にAIを導入しています。
従来は20〜30名の職員が多くの日数をかけて、約8,000人分の児童を希望や優先順位に沿って割り当てていました。ゲーム理論を応用したAIのマッチング技術により、この選考を数秒で算出できるようになりました。
兄弟の同一入所希望など複雑な条件も考慮しながら、人手とほぼ同じ結果を導き出します。
膨大な人手と時間がかかっていた選考業務を自動化し、職員の負担軽減と結果通知の早期化を実現した事例です。
6. 会計:1-800Accountantが確定申告期の問い合わせ70%を自律解決
出典:Salesforce「1-800Accountant will resolve 70% of inquiries with Agentforce.」
米国最大級のオンライン会計事務所1-800Accountantは、Salesforceの「Agentforce」を導入し、確定申告期の問い合わせ対応を自動化しています。
2025年の確定申告のピーク時に、事務的な問い合わせチャットの約70%をAIだけで解決しました。導入後24時間で1,000件を超える問い合わせに対応し、本来なら必要だった200人超の季節スタッフの採用を避けられています。
AIは社内のナレッジやIRS(米国の税務当局)の公式情報をもとに回答し、対応範囲を超える専門的な相談は人の担当者へ引き継ぎます。
問い合わせが集中し、かつ定型的な内容が多い確定申告期という、AIに任せやすい条件がそろっていた事例です。国内の事例の多くが人の確認を前提とするなかで、定型業務に絞れば、ここまで自律的な運用も視野に入ります。
活用事例から見えるAIエージェントを任せられる業務の条件
AIエージェントは、すべての業務をいきなり任せられるわけではありません。重要なのは「向くか・向かないか」の二択で考えるのではなく、業務ごとに「どこまでAIに任せ、どこから人が判断するか」を段階的に切り分けることです。

どこまで任せるかを4段階で切り分ける
この考え方を整理するうえで参考になるのが、cyber.fundのStepan Gershuni氏による実践ガイドです。同ガイドでは、AIに任せる業務を自律性のレベルで次の4段階に分けています。
レベル | 内容 | 人の関わり方 |
|---|---|---|
L1 | 人がすべて行う | AIは使わない |
L2 | AIが起案し、人が承認する | 出力を人が必ず確認して実行 |
L3 | AIが実行し、人が監督する | 進行を人が見ながら必要時に介入 |
L4 | 条件の範囲内でAIが完全に自律する | 例外時のみ人が対応 |
Gershuni氏は、最初に着手すべき業務として「頻度が高く、成果を測定でき、失敗しても取り返しがつく業務」を挙げています。見栄えのする花形業務ではなく、地味でも毎日繰り返される業務から始めるという考え方です。
なお、このガイドはスタートアップ向けで、特定の開発ツールの利用を前提とした内容です。企業の業務にそのまま当てはまるわけではありません。
ただ「業務をレベルで切り分ける」「取り返しのつく業務から始める」という発想は、自社で自動化する業務を選ぶ際の参考になります。
参考:cyber Fund「How to Build an AI-Native Startup」(英語)
最初に任せやすい業務の5つの条件
こうした切り分けをふまえると、AIエージェントを最初に任せやすいのは、次の条件に当てはまる業務です。
任せやすい業務の条件 | 理由 |
|---|---|
繰り返し発生し、件数が多い | 自動化したときの削減効果が大きい |
手順や判断基準を説明できる | 出力が安定し、人が確認しやすい |
成果を数値で測れる | 効果を検証し、改善につなげやすい |
失敗しても取り返しがつく | 導入初期のリスクを抑えられる |
複数のツールやデータをまたぐ | 人が手作業でつないでいた工程を任せられる |
まずは上の条件に多く当てはまる業務から、人が確認する形で小さく始めると、無理なく導入できます。
任せきりにしない業務
反対に、次のような業務は、AIに任せきりにせず人が判断を握る前提で設計する必要があります。
判断を一度誤ると影響が大きい業務
手順が頻繁に変わり、やり方が安定しない業務
振り返らず記録するだけで終わっている業務
AIが参照するデータや権限の整備が済んでいない業務
いずれも、AIの性能不足というより「任せる前提が整っていない」ことが原因で失敗しやすい業務です。無理に自動化を進めるのではなく、上の条件に当てはまる業務は人が確認する運用のまま残すという判断も必要になります。
AIエージェントに業務を任せるまでの5ステップ
AIエージェントは、ただ導入するだけでは十分な成果につながりません。どの業務から、どこまで任せ、どう改善していくかを順を追って進めることが、活用の精度を左右します。
進め方を整理するうえで参考になるのが、cyber.fundのStepan Gershuni氏による実践ガイドです。
同ガイドは、AIネイティブな組織への移行を、業務の棚卸しから情報の整備、自動化手段の選択、改善の継続までの一連のステップとして体系化しています。
業務を棚卸しし、自律性のレベルで仕分ける
AIが参照する自社の情報を整える
何でもエージェントに任せず、業務に合った手段を選ぶ
想定を超えた動きを止める制限を仕組みで用意する
評価基準を決めて改善を繰り返す
順に見ていきます。
参考:cyber Fund「How to Build an AI-Native Startup」(英語)

1. 業務を棚卸しし、自律性のレベルで仕分ける
最初のステップは、AIに任せる候補となる業務を洗い出し、どこまで任せるかをレベルで仕分けることです。
前項でも解説したGershuni氏のガイドでは、直近2週間ほどの繰り返し業務を書き出し、自律性のレベルで分類することを勧めています。レベルは次の4段階です。
L1:人がすべて行う
L2:AIが起案し、人が承認する
L3:AIが実行し、人が監督する
L4:条件の範囲内でAIが自律する
そのうえで、仕分けた業務のうちどこから着手するかは、次の3点で見極めます。
見極める点 | 内容 |
|---|---|
頻度 | 毎日のように繰り返し発生するか |
測定 | 成果を数値で測れるか |
影響 | 失敗しても取り返しがつくか |
この3点に当てはまる業務から始めると、効果を検証しやすくなります。あれもこれもと広げず、まずは数件に絞って試すことが大切です。
2. AIが参照する自社の情報を整える
現場で「同じ質問に何度も答えている」と感じることはないでしょうか。マニュアルの置き場所を聞かれる、過去の対応方法を毎回説明する。こうした困りごとの多くは、AIが参照できる自社の情報が整っていないことが原因です。
AIエージェントは、社内の文書やルールを読み込んで業務を進めます。参照する情報が古かったり、重複や誤りが含まれていたりすると、その内容をもとに誤った成果物を作ってしまいます。
導入してもうまく使えなかった原因が、参照させたデータの不備にあるケースは少なくありません。
Gershuni氏のガイドでも、AIが自社について常に参照できるナレッジを整えることの重要性が説かれています。たとえば社内マニュアルや規程をAIに読み込ませて使う場合は、次のような準備をしておくと精度が上がります。
古い版や使われていない資料を取り除く
同じ内容が複数の文書に散らばっていないか整理する
表記のゆれや誤字を直しておく
あわせて、目的・前提・成果物の形式を具体的に指示すると、狙いどおりの成果物に近づきます。たとえば競合の比較表を作らせる場合、「どの営業資料に使うか」という目的、比較する3社と項目、出力形式まで伝えると、修正の手間を減らせます。
とはいえ、情報を完璧に整理してからでないと始められないわけではありません。
会議やメールなど、社内の情報は日々の業務の中で自然に発生しています。まずは散らばった情報を1か所に集めることを優先し、使い道は後から決めるという考え方もあります。
会議は、社内の情報が毎日生まれている場所の一つです。議事録として溜めておけば、後から「あの案件の進め方」「あの顧客とのやり取り」を振り返る材料になります。
こうした情報整備の手間を抑えるため、整理した社内資料をアップロードするだけで、自社の業務に合ったAIエージェントを用意できるサービスも登場しています。
たとえば「Rimo ナレッジAI」は、マニュアルや過去の事例、会議の議事録といった社内資料を取り込むと、出典付きで横断的に回答するAIエージェントが完成します。

詳しい社員や過去の担当者を探して確認しなくても、必要な情報へ自分でたどり着けるようになります。
既存の資料や会議記録を活用する仕組みのため、ナレッジ管理のためだけに新たな入力作業を増やす必要がありません。
SharePointなど既存ツールとも連携でき、アクセス制御にも対応しているため、権限を持つ社員だけが情報を参照できます。入力データはAI学習に使われず、ISO27001・ISO27017の認証にも対応しています。
一般的なAIに自社の情報が伝わらず、導入しても定着しなかった経験があるなら、自社のナレッジに沿って動くAIエージェントから試してみてください。
3. 何でもエージェントに任せず、業務に合った手段を選ぶ
3つ目のステップは、業務の性質に合わせて自動化の手段を選ぶことです。
手順が完全に決まっている処理は通常の自動化で対応し、進め方が事前に決められない業務だけをAIエージェントに任せる、という切り分けです。何でもAIエージェント化すると、かえって制御が難しくなるためです。
たとえば、毎月決まった形式の請求書を処理するだけなら、従来の自動化でも対応できます。
一方、商談内容を読み取り、状況に応じて調べる項目を変えながら資料を作るような業務は、進め方が一定でないため、AIエージェントの強みが活きます。
4. 想定を超えた動きを止める制限を仕組みで用意する
AIエージェントに業務を任せるときは、想定を超えた動きを防ぐ制限を仕組みとして用意しておくことが欠かせません。
Gershuni氏のガイドでは、エージェントに任せる前に次のような制限やルールを設けることを勧めています。
制限の種類 | 内容 |
|---|---|
費用の上限 | 1回ごと、1日ごとに使う費用の上限を決める |
やり直しの上限 | 同じ処理を繰り返す回数を制限する |
本番データの保護 | 重要なデータへの書き込みは禁止する |
人による承認 | 実行前に人が確認するステップを挟む |
重要なのは、こうした制限を「こう動いてほしい」と指示でお願いするだけでなく、止まる仕組みとして組み込んでおくことです。指示は守られないことがありますが、仕組みであれば確実に作用します。
5. 評価基準を決めて改善を繰り返す
最後のステップは、出力の良し悪しを判断する基準を決め、それをもとに改善を繰り返すことです。
Gershuni氏のガイドでは、AIの出力を毎週振り返ることを勧めています。振り返るときの観点は、次のとおりです。
エージェントが何をしたか
人がどこで内容を上書きしたか
どの基準を満たせなかったか
どの情報が不足していたか
どのスキル(使い方)を絞り込むべきか
どのワークフローを止めるべきか
どの業務なら任せる範囲を一段階広げられるか
上書きが多い箇所や満たせなかった基準を見れば、どこを直すべきかが見えてきます。
改善する際、出力の精度が低いからといって、すぐに指示文を書き直す必要はありません。
Gershuni氏は、多くの場合の対処法として、以下の4つを挙げています。
参照させる情報を足す
任せる範囲を狭める
具体例を増やす
対応すべきでないケースの線引きを明確にする
指示そのものより、AIに渡す材料や範囲を見直すほうが効くという考え方です。
あわせて、良し悪しを判定する基準をあらかじめ決めておくと、確認の精度が上がります。たとえば、人が正解の例を用意し、数値や形式が合っているかを機械的に確かめ、文章の質は人やAIが確認する、といった具合に段階を分けて評価します。
AIエージェントの導入で失敗しない4つの注意点
ここでは、導入で失敗しないための4つの注意点を紹介します。
最終的な判断は人が行う体制をつくる
アクセス権限とセキュリティを設計する
推進役を決めずに始めない
使う人が抜けても続く形にしておく
1. 最終的な判断は人が行う体制をつくる
AIは事実と異なる内容を生成することがあり、出力内容をそのまま使うとリスクが生じます。そのため、AIエージェントを導入する際は「書くのはAI、決めるのは人」という役割分担を体制として持つことが欠かせません。
人が握り続けるとよい領域は、次の4つです。
最終確認:金額や宛先、提案内容が正しいかを実行前にチェックする
意思決定と責任:AIの提案をもとに何を選ぶかは人が決め、結果の責任も人が負う
専門知識の聞き出し:現場でしか分からない前提や例外は、人からAIへ伝える
表現・品質の判断:文面のトーンや読み手への配慮は、最終的に人が仕上げる
たとえば請求書の照合や提案資料の作成をAIに任せる場合でも、内容を人が確認してから確定する流れにしておけば、誤りをそのまま通すリスクを抑えられます。
AIには下書きや提案までを任せ、決めるところと聞き出すところは人が担う、という線引きを最初に決めておくことが重要です。
2. アクセス権限とセキュリティを設計する
AIエージェントを使う際は、アクセス権限とセキュリティの設計が欠かせません。
AIエージェントは社内のデータを参照しながら動くため、設計を誤ると情報漏えいにつながります。注意したいリスクは次の3つです。
リスク | 内容 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
権限の超過 | 閲覧権限のない情報までAIが参照してしまう | AIにも人と同じ権限の範囲を適用する |
シャドーAI | 会社が許可していないAIを社員が無断で業務に使う | 利用してよいツールと範囲を社内で定める |
不正な指示 | 外部から紛れ込んだ指示でAIが意図しない動作をする | 参照先や入力データの信頼性を確認する |
なかでも注意したいのが、社員が個人の判断でAIを使い始める「シャドーAI」です。ある調査では、回答者の54%が会社の許可がなくてもAIツールを使うと答えており、知らないうちに社内情報が外部に渡るリスクがあります。
出典:BCG「生成AIを日常的に使う人の割合は70%超の一方、従業員の利用率は51%にとどまる~BCG調査」
対策として、AIにも人と同じ権限の範囲を適用しましょう。閲覧権限のない情報には、AIに問い合わせても答えられない仕組みにしておくと、権限を超えた参照を防げます。
また社内資料を読み込ませて使うサービスを選ぶ際は、入力データを学習に使わない設計や、認証基盤との連携など、情報を保護する仕組みが用意されているかを確認するとよいでしょう。
ツールを社内導入する際の情報漏洩リスクや、具体的なセキュリティ対策については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:ChatGPTのセキュリティ・情報漏洩リスクは?安全に利用する5つの対策を紹介
3. 推進役を決めずに始めない
AIエージェントを導入しても、社内に定着せず使われなくなるケースは少なくありません。共通するのは、進める人を決めないまま見切り発車することです。
推進役を決めずに始めると、次のようなことが起こりがちです。
誰も使い方を広めないまま、一部の人だけが使って終わる
よく使っていた人が異動・退職すると、そのまま利用が止まる
導入のきっかけだった案件が終わると、目的を失って忘れられる
後から入ってきた別のツールに置き換わり、いつの間にか使われなくなる
こうした事態を避けるには、導入前に推進役を決め、社内への周知まで役割として持たせておくことが有効です。
かんでんエンジニアリングでは、情報システム部門が中心となって草の根活動から始め、社内ポータルサイトへのバナー設置や説明会の開催を通じて全社展開まで進めました。
説明会の動画をポータルに掲載し、参加できなかった社員も後から確認できるようにした工夫が、定着につながっています。
関連記事:社内の草の根活動から全社展開へ ― かんでんエンジニアリングが実現した、AI活用による働き方改革
4. 使う人が抜けても続く形にしておく
推進役を決めたうえで、さらに意識したいのが「その人がいなくなっても回る仕組み」です。
使い方のマニュアルや設定内容を文書として残しておく
特定の担当者だけでなく、チームで運用ルールを共有しておく
定期的に利用状況を振り返り、使われなくなった機能を見直す
一人の熱意だけに頼った運用は、その人が異動・退職したタイミングで止まりやすくなります。仕組みとして残しておくことで、担当者が変わっても活用を継続できます。

AIエージェントに関するよくある質問
最後に、AIエージェントについてよく寄せられる質問に回答します。
Q. AIエージェントにできることは?
AIエージェントにできることは以下のとおりです。
できること | 内容 | 対応する業務例 |
|---|---|---|
定型業務の自動化 | 決まった手順の作業を自律的に処理する | 議事録作成、請求書照合 |
データの収集・分析 | Web上や社内の情報を集めて整理する | 競合調査、市場分析 |
複数ツールの連携 | 異なるツールをまたいで作業をつなぐ | 資料作成から共有まで |
成果物の自動生成 | 目標から逆算して資料や文書を作る | 提案資料、比較表、レポート |
これらを組み合わせることで、人が複数の工程に分けて行っていた業務を、AIエージェントが目標から逆算して進められます。
Q. ChatGPTはAIエージェントですか?
ChatGPTそのものは、基本的には生成AIに分類されます。
指示に応じて文章を生成するのが本来の役割で、自律的にタスクを計画・実行するAIエージェントとは異なります。
ただし近年は、ChatGPTにも自律的に作業を進めるエージェント機能が追加されており、使い方によってはAIエージェントとして動作します。
Q. AIエージェントと生成AIの違いは何ですか?
生成AIは指示に応じて文章や画像を生成するのに対し、AIエージェントは目標に向けて自分で計画を立て、実行まで行う点が違います。
生成AIが答えを返すAIだとすれば、AIエージェントは作業を進めるAIといえます。
Q. 個人でもAIエージェントは使えますか?
個人でもAIエージェントは利用できます。
スケジュール調整やリマインド、情報収集など、個人の業務を支援するサービスが増えています。社員が個人単位で試す場合も、業務データを扱うときは会社のルールやセキュリティの範囲を確認しておくと安心です。
Q. 中小企業でもAIエージェントは導入できますか?
中小企業でもAIエージェントの導入は可能です。
大規模なシステム開発をしなくても、クラウド型のサービスであれば、月単位の契約から始められるものが増えています。
専任の情報システム担当者がいない場合は、まず1つの定型業務に絞って小さく試し、効果を確認しながら範囲を広げる進め方が向いています。
Q. AIエージェントの導入にはどれくらいの費用がかかりますか?
費用はサービスの種類や任せる業務の範囲によって幅があり、一概にはいえません。
判断の目安になるのは、その業務にかかっている人の作業時間と、AIエージェントの利用料のどちらが大きいかという比較です。繰り返し発生し、件数が多い業務ほど、AIに置き換えたときの効果を見込みやすくなります。
導入前に、対象業務の作業時間を洗い出しておくと判断しやすいでしょう。
まとめ|活用例から、まず任せる業務を1つ決める
AIエージェントの活用例は、議事録の作成や営業資料の準備、問い合わせ対応など、職種を問わず幅広い業務に広がっています。
取り組む際は、いきなり完全に任せようとせず、以下のレベル分けを参考にして任せる業務を決めてみてください。
L1:人がすべて行う
L2:AIが起案し、人が承認する
L3:AIが実行し、人が監督する
L4:条件の範囲内でAIが自律する
まずは効果の出やすい定型業務をL2やL3から小さく始め、成果を確かめながら任せる範囲を広げると、活用の精度が高まります。
会議は、毎日のように発生する業務でありながら、記録や後続作業に手間がかかりやすい業務でもあります。
最初に任せる1業務として選びやすく、会議の記録や後続作業を起点にしたRimoのようなサービスから試してみるのも一つの方法です。
本記事で紹介した活用例を手がかりに、自社のどの業務から始められるかを考えてみてください。
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