DXについてざっくりとしたイメージはあるものの、詳しくは理解できていない人も少なくないでしょう。
多くの企業がDXに注目していますが、実際に導入している企業はまだ少数派です。
本記事では、DXの意味・定義や似た言葉との違いをわかりやすく解説します。
DXが求められる背景や取り組みの方法、成功事例もピックアップしました。
言葉の意味を知りたい人や、DX導入を検討している人はぜひ最後まで読んでみてください。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の意味・定義とは?
DXはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略で、デジタル技術を活用してビジネス・企業風土・生活へ変革をもたらすことを指します。
デジタル技術には、AI・ビッグデータ・IoTなどが挙げられます。
DXの概念はスウェーデンのウメオ大学に勤務していたエリック・ストルターマン教授による「テクノロジーの浸透により、人間の生活のさまざまなシーンによい影響がある変化をもたらす」というものが大元です。
世に広がる過程で、さまざまな解釈がされるようになりました。たとえば経済産業省では、「データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと」と定義しています。
引用:経済産業省「デジタルガナバンス・コード 実戦の手引き」
DXと混同しやすい5つの用語【違いを解説】
デジタルに関する用語は、DX以外にもさまざまです。
DXと混同しやすい以下の用語について、違いを解説します。
DXとIT化は何が違う?
DXとデジタル化は何が違う?
DXとAI活用は何が違う?
DXとデジタイゼーションは何が違う?
DXとデジタライゼーションは何が違う?
各用語への理解を深めましょう。
DXとIT化は何が違う?
DXとIT化はどちらもデジタル技術を活用していますが、目的と影響を及ぼす範囲が異なります。
IT化とはInformation Technologyの略称で、デジタル技術を活用した業務や生活の効率化を指します。
例えば、紙を印刷する手間をなくすため、会議資料をデータファイルで共有するケースは「IT化」です。
効率化やコストパフォーマンスの向上を目指すIT化に対して、DXは新たな価値を生み出すことが目的です。
またIT化は企業内や業務の範囲内にとどまる一方で、DXは社会全体へ影響があります。
IT化はDXに含まれますが、同意義ではない点に注意しましょう。
DXとデジタル化は何が違う?
DXとデジタル化の違いは、デジタル技術を活用した変革の内容です。
デジタル化とは、アナログな業務や設備をデジタルに置き換える変革です。
例えば今まで紙ベースで契約していた業務に電子契約ツールを導入するケースは、デジタル化にあたります。
DXはデジタル技術により新たな価値を生み出し、ビジネスや生活へ変革をもたらすことを指すため、設備を変革するデジタル化とは定義が異なります。
またDX推進をするためにデジタル化が必要ですが、デジタル化をしただけではDXにはなりません。
DXとAI活用は何が違う?
変革を目指すDXに対し、AI活用は技術の利用そのものを指す点が異なります。
AIは日本語で人工知能という意味で、コンピュータが人間のように学び、分析・推論をすることを目的としたプログラムです。
AI技術を業務や生活に利用することをAI活用といい、自動音声会話による顧客対応や、トレイ上の商品を自動で確認・会計することなどが例として挙げられます。
DXはAIなどのデジタル技術を活用し、社会的な変革をもたらすことです。
AI活用はDXに必須ではありませんが、変革を進める際に役立つツールといえます。
DXの導入にあたり、AIの活用方法を詳しく知りたい人は、以下の記事もチェックしてみてください。
関連記事:AI導入で自社業務を効率化しよう!メリットや成功事例について徹底解説
DXとデジタイゼーションは何が違う?
デジタル化が目的のデジタイゼーションに対し、DXはデジタル技術を活用して変革することを目指す点が異なります。
デジタイゼーション(Digitization)は、アナログな情報をデジタル化することです。
業務や設備も変革の対象になるデジタル化と異なり、デジタイゼーションはあくまで紙資料などの情報をデジタル化します。
DXはデジタル技術を通して、組織やビジネスモデルなどに変革を引き起こし、新たな価値を創造すること。
デジタイゼーションはDXを進める過程のひとつといえるでしょう。
DXとデジタライゼーションは何が違う?
DXとデジタライゼーションは、変革の範囲と目的が異なります。
デジタライゼーション(Digitalization)は、特定の個人や組織のアナログ作業をデジタル化することです。
デジタル化より変革の範囲が限定されているため、IT技術を使える人と使えない人で差が出ないように段階的な推進が可能です。
一方でDXはデジタル技術を活用してビジネス・生活などで変革を引き起こすことなので、一部の個人や組織を対象としたデジタライゼーションより広範囲に影響します。
またデジタル化自体が目的のデジタライゼーションに対し、DXは変革をもたらすことを目指しています。
デジタライゼーションはDX推進の手段になる概念といえるでしょう。
ビジネスにおいてDXが求められる理由
ビジネスにおいて、DXの導入・推進が求められる理由は主に以下の4点です。
2025年の崖問題が懸念されているから
レガシーシステムから脱却する必要があるから
企業間の競争を優位に進めやすくなるから
持続的な社会・経営の実現につながるから
DX導入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
2025年の崖問題が懸念されているから
ビジネスでDXが求められる背景には、2025年の崖問題があります。
2025年の崖問題とは、経済産業省の「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」により提唱されたもの。
DX推進に関わる課題を解決できなければ、DXをかなえられないうえに年間で最大12兆円の経済損失が生じるリスクがあるといわれています。
2025年の崖問題は大企業だけでなく、中小企業や消費者であるユーザーも影響を受けるとされています。
経済損失を避け、実質GDPを高めるためにも、DXの推進が必要です。
レガシーシステムから脱却する必要があるから
古い技術や仕組みで作られたレガシーシステムから脱出するために、DXが求められています。
現在日本の約9割の企業でレガシーシステムが使われており、このまま使い続けると2025年の崖問題で予想された経済損失が生じるとされています。
レガシーシステムからの脱却が進まない原因は、新規技術との互換性の低さ・技術者の高齢化・保守や運用の高額さなどさまざま。
多くの企業はレガシーシステムがDXに差し障ると考えているので、古い自社システムを使っている場合はどのように課題を解決するかが重要です。
企業間の競争を優位に進めやすくなるから
DXを進めると、企業間の競争を優位に進めやすくなります。
業界を問わず国内外の市場で激しい競争が起こっている現在、ただよい商品を作るだけでは差別化が難しくなりました。
他社との競争で勝つためにはよい商品を作るだけでなく、デジタル技術を活用して顧客の満足度を高め、コストを下げることが必須です。
顧客体験の向上につながる新サービスの提案・生産性を高める業務システムの導入など、DXを進めることで自社の価値を高められます。
DXにより生まれた独自の魅力をアピールすれば、競合他社より有利なポジションにいられるでしょう。
持続的な社会・経営の実現につながるから
持続的な社会・経営を実現するためにも、DXが求められています。
現在日本では少子高齢化が進み、労働人口の減少が課題です。
例えば、DXによりAI活用の幅が広がり多言語同時通訳がかなえば、言語が原因で仕事に就けなかった人も自分が希望する働き方をかなえられるでしょう。
またDXで業務の効率化が進んで不必要な紙の印刷が減ったり、AIによる分析で再生可能エネルギーの安定供給をかなえられたりして、エネルギー効率も向上します。
持続可能な社会を実現できる経営をすると、よりよい社会づくりに貢献できる上に、ブランディングにも好影響を与えます。
日本におけるDXの現状
日本でもDXの需要は高まっていますが、現状は以下のとおりです。
9割の国内企業がDXを促進できずにいる
「世界デジタル競争力ランキング」でも海外より遅れをとっている
現状を把握し、今後の動き方を考えましょう。
9割の国内企業がDXを促進できずにいる
現在日本の9割の国内企業は、DXの促進が不十分と考えています。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2023年版)」によると、「全社戦略に基づいて部門横断的にDXを推進できるレベルに十分に達していない」と回答した企業が92.5%でした。
DXを促進できていない企業が9割以上存在しており、さらに半数近くの企業は未着手の状態です。
日本のDX促進はまだ始まったばかりであり、解決すべき課題が山積みです。
「世界デジタル競争力ランキング」でも海外より遅れをとっている
世界と比べても、日本はDXの促進が進んでいない状況です。
スイスの国際経営開発研究所(IMD)が2023年に発表した「世界デジタル競争力ランキング」で、日本は32位という過去最低の結果に。
2019年の23位・2020年の27位・2021年の28位・2022年の29位からさらに順位を落とし、5年連続で順位を落としています。
香港・台湾・韓国の東アジアの3カ国が10位以内に入っており、アジアでも日本は遅れをとっている状況です。
女性の研究員・上級管理職の国際経験・高度外国人材への魅力・企業での外国人雇用と移民法制といった項目の順位が低く、人材育成に課題があるといえます。
また機会と脅威に対する企業の対応・ビッグデータとアナリティクスの活用などにも、力を入れる必要があります。
DX促進によって得られるメリット
DX促進には、社会だけでなく企業にもメリットがあります。
プロセス改善・業務効率化を実現できる
生産性向上や収益アップにつながる
働き方改革を実現できて人材不足解消も期待できる
国外の企業にも通用する競争力を養える
組織全体でDXに取り組むためにも、メリットを把握しましょう。
プロセス改善・業務効率化を実現できる
DXを促進すると、プロセス改善や業務効率化を実現できます。
今まで手書きだったり紙に印刷していた業務をデジタル化し、自動化システムやクラウドシステムを活用すれば手間やコストを減らせます。
安定して正確な業務を行えるようになるので、ケアレスミスも防げるでしょう。
またAI活用やデータ分析ツールを使って、ビジネスプロセスの見直しも可能です。
業務プロセスを改善する効果やメリットを詳しく知りたい人は、以下の記事もあわせて読んでみてください。
関連記事:業務プロセス改善とは?効率的な進め方や施策のアイデア・ポイントについて詳しく解説!
生産性向上や収益アップにつながる
生産性向上や収益アップにつながる点も、DXを進めるメリットのひとつです。
システムやデジタル技術の活用でルーティン作業や非効率な業務のムダをなくすと、従業員は高度な業務に時間を割けるようになります。
たとえばSFA(営業支援システム)を活用すると顧客情報や売り上げを管理しやすくなるため、分析の時間が減り新規顧客の開拓・既存顧客へのフォローなどに力を入れられます。
時間がかかる雑務に使っていた時間をクリエイティブな業務に使えるので、生産性が上がり大きな収益を期待できるように。
またデジタル技術を業務に導入し顧客データを分析すれば、顧客体験の向上による付加価値により収益アップを望めます。
働き方改革を実現できて人材不足解消も期待できる
DXで働き改革を実現し、人材不足解消を期待できる点も大きなメリットです。
作業効率が上がると少ない人員で現場を回せるようになり、省人化・省力化を期待できます。
削減された人員は人が足りない業務に充てられるので、人手不足で忙しい部署の働き方改革や生産性アップも実現できます。
また業務のクラウド化によりテレワーク・在宅勤務が可能になると、さまざまな働き方ができるようになるのも魅力です。
通勤が難しい人や、子育て中の人も働けるので、優秀な人の流出を防げます。
自分が望む働き方ができると従業員の満足度も高まるため、定着率や求人への応募数も高くなるでしょう。
国外の企業にも通用する競争力を養える
外国企業と同じ、またはそれ以上のデジタル技術を活用すれば、国外の企業にも通用する競争力を養える点がDX促進のメリットです。
世界には日本以上にDXが進んでいる国が多く、グローバル企業として国外の市場で戦うためにはDXが不可欠の条件といえます。
DXを促進すれば、市場で優位に立つ場合に求められる、変化への対応の速さ・弱みの克服・強みのパワーアップなどをかなえられます。
たとえばデジタル技術を活用すると、顧客のニーズをより早く正確に把握できるので、市場の変化や顧客の需要に合わせた柔軟な対応が可能です。
また売上や顧客を分析すれば、自社の強み・弱みを少ない手間で把握できるでしょう。
DX促進には2つのデメリットもある
DX促進にはメリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。
大きな初期費用が生じる
成果が出るまでに時間がかかる
どのようにDXを進めるか検討するためにも、デメリットを把握しておきましょう。
大きな初期費用が生じる
DXの促進には、大きな初期費用が生じる可能性があります。
レガシーシステムから新システムへの移行・開発費用・ツールの導入費用・導入する人件費などがかかるためです。
またシステムやツールを導入したあとも、効果が出るまでランニングコストがかかります。
初期費用は将来の大きな収益への投資ですが、相応の出費になる点は注意してください。
なお、DX導入・促進の際には、補助金・給付金を受け取れるケースがあります。
少しでもコストを抑えたい場合は、経済産業省の公式ページなどで、自社が対象になる手当があるかチェックしてみてください。
成果が出るまでに時間がかかる
DXは収益アップ・生産性の向上などさまざまな効果がありますが、その成果が出るまでに時間がかかります。
まず導入までに、システムの見直し・新システムやツールの検討・構築や開発といったステップが必要です。
さらにDXを進める際にはは、成果が出るまでに試行錯誤したり、投資し続けたりすることも求められます。
自社に合わない戦略・ツールを選ぶリスクもあるため、数年はかかることを念頭に置いて始めましょう。
DX促進の具体的な方法5ステップ
DXを導入・促進する際は、以下5つのステップで進めます。
①現状を分析して自社の課題を明確にする
②DX戦略を立てる
③適切な人材を選出し組織を編成する
④業務効率改善のためにデジタル化を進める
⑤データを分析してさらなるDX推進につなげる
なお、今回紹介する流れはあくまで例であり、企業によって最適な方法は異なります。
正解として完全に真似するのではなく、参考程度にチェックしてください。
①現状を分析して自社の課題を明確にする
DXを導入・促進する際は、まず現状を分析して自社の課題を明確にします。
現状と自社の課題が可視化されれば、DXを進める方向性が定まります。
現在のDXの進捗状況・既存システムの状況・従業員のITレベル・業務プロセスなどを確認しましょう。
チェックする際は、現場の従業員へのヒアリングも必要です。
例えば、従業員目線で無駄な作業やミスが発生しやすい業務があれば、プロセスの見直し・システム活用による省人化・省力化を検討できます。
課題が明確になったら、具体的な目標や戦略を立てましょう。
②DX戦略を立てる
自社の課題を解決するために、DXを導入・促進する目的を考えましょう。
DX自体はあくまで手段であり、目的は課題の解決です。
どのような目的を実現したいか決まったら、DX戦略を立てて具体的な方向性を決めます。
DX戦略とは、DXの進め方に関する行動計画です。
目的をかなえるために、以下を明確に決める必要があります。
将来実現したいビジョン
取り組むべき課題
目的達成までのスケジュール
DXを実現できる社内体制
具体的に実施することとロードマップ
方針を考える際は、事前に評価基準を定めておくと、PDCAサイクルを回しやすくなります。
③適切な人材を選出し組織を編成する
DX戦略を策定したら、社内の体制を整えるために適切な人材を選出し、組織を編成しましょう。
デジタル技術を活用・推進・運用し、企業に変革をもたらせるDX人材がいると、スムーズに計画を進められます。
とはいえDX人材は日本企業に不足しており、確保が難しい状況です。
そのため自社の状況に応じて、外部から新たに人材を採用するか、自社内で育成するかが求められます。
また現在の組織体制のままだと、各部署間で連携できなかったり、経営層の理解を得られなかったりすることも。
DX推進がかなえられるように部署の再編成や、DX人材が評価されるような文化の創成も重要です。
④業務効率改善のためにデジタル化を進める
DX人材を確保できたら、業務効率改善のためにデジタル化を進めます。
目的の達成に役立つシステムやツールを選び、実際に導入しましょう。
たとえば、『Rimo Voice』を活用すると、1時間程度の会議の文字起こし・要約が5分程度で完了します。
引用:https://rimo.app/about/voice
議事録の作成業務で手間を削減できるので、会議のDX化に向いています。
なお、デジタル化を進める際は、安易にシステム・ツールを選ばないように注意してください。
自社に合わないシステム・ツールを導入すると、機能の重複やコストの増加につながります。
目先の利益が得られるシステムよりも、本来の目的を実現できる技術を導入することが重要です。
⑤データを分析してさらなるDX推進につなげる
デジタル化を進めたら、成果データを分析してさらにDXを促進しましょう。
ただシステム・ツールを導入しただけでは、DXではなくデジタル化です。
DX推進のためには、自社の強みを高めたり新たなビジネスモデルを創成し、他社との差別化が必要です。
DX推進後の状況をデータで把握し、分析すれば、より確実性の高い経営判断を下せます。
データをどれくらい活用できているか、目標達成に向けて何をすべきかを知るためにも、PDCAサイクルを回しましょう。
DXの推進にあたってチェックすべきポイント
DXの推進にあたって、以下のポイントを確認しましょう。
既存システムの仕様や利用実態を把握しているか?
DX推進に必要な費用を確保できるか?
DX推進のための人材を確保できるか?
ポイントをチェックして現状を把握すれば、DX推進のためにまず何をやるべきか判断できます。
既存システムの仕様や利用実態を把握しているか?
DX推進に向けて、既存システムの仕様や利用実態を把握しているかチェックしましょう。
古い技術や仕組みが使われているレガシーシステムは、DX推進の障壁となります。
既存システムについて詳細を把握すれば、自社のビジョン・環境・商材に合わせた最適なシステム・ツールを判断できるでしょう。
例えば、今まで顧客情報の手入力によりミスの発生が多かった場合、画像認識アプリを導入することで、客の記入した紙をアプリで読み込むだけで顧客情報を自動で入力できるようになってミスを減らせます。
このように現在の仕様や利用実態がわかれば、新システムの刷新へスムーズに動き出せます。
DX推進に必要な費用を確保できるか?
DX推進を進める前に、必要な費用を確保できるかチェックしましょう。
新システム・ツールの導入や運用費用など、DX推進には多額のコストがかかります。
必要な費用を確保できない状態でDX導入を始めると、推進がうまくいかないうえに経営へ影響を及ぼす可能性も。
現在どれくらいの費用を確保できるのか把握したうえで、予算に合ったベンダーを探しましょう。
信頼できる取引先が見つかれば、予算内で自社に合うシステム・ツールを提案してもらえます。
できる限り少ない費用でDX推進を進めたい場合は、自社が利用できる補助金・給付金を探してみてください。
DX推進のための人材を確保できるか?
社内でDX化を促進するためには、さまざまな分野における人材が必要となります。人材不足に直面している企業が多い中で、人材確保は課題となりやすい部分のひとつです。
とくに、現状IT関連に専門性のある従業員がいない場合は、新たに手配することが求められます。人材を雇用する以外にも、社外でパートナーを選ぶことや、専門家とアドバイザー契約を締結する方法もおすすめです。
業務効率化や生産性向上の効果が期待できるDXではありますが、促進するのには人的・時間的リソースがかかることを理解しておきましょう。
DXを推進する際の注意点
DXを推進する際は、以下の3点に注意してください。
社内全体に協力してもらう必要がある
レガシーシステムがDX促進を妨げるケースがある
中長期的な視点で取り組むべき
上記の注意点を考えずにDXを進めると、余分な手間・コストがかかる可能性があります。
すべてチェックしたうえで、DX推進を始めましょう。
社内全体に協力してもらう必要がある
DX推進は、社内全体に協力してもらう必要がある点に注意しましょう。
システムの刷新・業務プロセスの変更など、DXを行う際は部署内だけでは実施できないステップが数多くあります。
そのため、社内全体に協力してもらわなければ、得られる効果が小さくなります。
経営層がDX推進の方向性を定めて周知し、IT部門と現場の従業員が話し合いながらシステム・ツール・業務プロセスなどを見直しましょう。
コミュニケーションを取りながらDXを進めれば、新しいシステム・プロセスの導入に非協力的な従業員も減らせます。
レガシーシステムがDX促進を妨げるケースがある
レガシーシステムを使っている場合、DX促進を妨げるケースがあります。
DXではまず現状を把握することや初期費用の準備が重要ですが、レガシーシステムは扱える人員が少なく運用コストが高い点が特徴。
すでにサポートが終了しているシステムや、サポート終了が確定しているシステムが残っている場合、保守運用に多大な手間やコストがかかり、新システムの導入に必要な予算の確保が難しくなります。
また特定の人にしかわからない複雑な状態のシステムは、他部署への連携が難しく、柔軟な利用ができません。
レガシーシステムを使っている企業は、どのように新システムへ刷新するのか検討する必要があります。
中長期的な視点で取り組むべき
DX促進を成功させるためには、中長期的な視点で取り組む必要があります。
システムやツールの導入・業務プロセスの見直しには時間がかかるため、DXの成果はすぐに出ません。
短期的な視点で取り組むと、なかなか思ったように進まず従業員も不満を抱えます。
焦らずに中長期的な視点で、課題を1つずつ解決しましょう。
また時間をかけてDXを進めれば、ただのデジタル化に止まらず、企業風土の刷新にもつながります。
DXは企業にとっても従業員にとっても、大きな変化です。
変化に納得してもらい社内全体で協力するためにも、時間をかけて取り組みましょう。
DX促進を成功に導くポイント3選
DX促進を成功に導くためには、以下3点が重要です。
着手しやすいものから段階的に進める
社内メンバーや経営陣を積極的に巻き込む
社内全体のデジタルリテラシーを高める
DXは効果が出るまで時間がかかるので、失敗するとコストも時間も無駄にしてしまいます。
事前に成功のポイントを押さえて、効率的に進めましょう。
DX促進を成功に導くポイント3選
DX促進を成功に導くためには、以下3点が重要です。
着手しやすいものから段階的に進める
社内メンバーや経営陣を積極的に巻き込む
社内全体のデジタルリテラシーを高める
DXは効果が出るまで時間がかかるので、失敗するとコストも時間も無駄にしてしまいます。
事前に成功のポイントを押さえて、効率的に進めましょう。
着手しやすいものから段階的に進める
DX促進を成功させるためには、着手しやすいものから段階的に進めましょう。
大きな変革から始めようとすると難しいうえに、従業員も不満を感じる可能性があります。
失敗したときに後戻りしにくく、リスクも高いでしょう。
一部の業務や部署から実験的に始め、成果が出てきたりプロジェクトがまとまったりしてきてから、徐々に範囲を広げるのがおすすめです。
初期であれば課題が見つかった際に、修正や対策がしやすいでしょう。
低予算で始めれば、失敗したときもすぐに次の施策に移れます。
社内メンバーや経営陣を積極的に巻き込む
社内メンバーや経営陣を積極的に巻き込むことも、DXの成功に影響します。
デジタル技術を活用するDXですが、IT部門だけでは進められません。
社内で協力しなければ、うまく現場で活用してもらえなかったり、予算を確保できなかったりします。
従業員全員がDXの重要性や方向性を理解することで、スムーズに変革できます。
社内メンバーや経営陣にDX促進の理解を得られれば、本当に必要なシステムや機能をヒアリングできる上に、十分な予算も得られます。
業務プロセスの見直しなど、複数の部署が絡む課題も解決しやすくなるでしょう。
社内全体のデジタルリテラシーを高める
スムーズにDXを促進するためには、社内全体のデジタルリテラシーを高めることも重要です。
デジタルリテラシーとは、デジタル技術やその活用方法への知識があることを指します。
よいシステム・ツールを導入できても、従業員にデジタルリテラシーが不足していればうまく活用できず、かえって非効率になるケースも。
DX人材を確保・育成し、徐々に知識を従業員全体に広げることが重要です。
現場の従業員がデジタル技術の専門家になる必要はありませんが、デジタル技術の価値への理解や、活用・運用するための知識やリテラシーは身につけておくとよいでしょう。
業界別・DX促進の成功事例6選
日本国内にも、DXを促進して成功した企業は複数あります。
業界別でDX促進に成功した、代表的な事例6社を解説します。
【製造業界】トヨタ自動車
【小売業界】ニトリホールディングス
【金融業界】りそなホールディングス
【IT業界】ヤフー株式会社
【運輸業界】ヤマト運輸
【不動産業界】野村不動産ソリューションズ
自社と近いビジネスモデル・業界・課題を持った企業の事例を参考にしてみてください。
より多くの企業の事例をチェックしたい人は、以下の記事も読んでみてはいかがでしょうか。
【製造業界】トヨタ自動車
トヨタ自動車は、顧客向けのクラウドサービス「WAVEBASE」を開発しました。
「WAVEBASE」は少量の材料から情報を取り出し解析するサービスで、スムーズな材料開発を実現できます。
また工場と事業部をつなぐ、共有プラットフォームも構築しました。
消費者からの意見や製造時のデータを技術開発部にすぐ反映できるようになり、費用対効果も向上しています。
さらに一部サービスやシステムは自社内だけで利用せず、外部にも提供することが決まりました。
自社に変革をもたらしたうえで社会にも好影響を与える、DXの成功といえるでしょう。
参考:https://www.brainpad.co.jp/doors/contents/02_datascience_next_to_management_2/
【小売業界】ニトリホールディングス
ニトリホールディングスはデータの活用が弱みと考え、データを分析できる人材の育成を実施しました。
自社のビジネスや業務に詳しい人がデータ分析ができるようになれば、より高度な分析ができるようになることがDXを促進する理由です。
現在もDX促進の最中であり、全従業員がデータ分析に関するベーシックな技術を身につけ、そのうえで専門的な分析知識がある人材を1,000人育成することが目標です。
大きく3つのフェーズに分けてDXを促進しており、2022〜2025年と中長期的に進めています。
設定した目的に対してブレずに、PDCAサイクルを回すことで、2つ目のフェーズまで実際に達成しています。
参考:https://www.brainpad.co.jp/doors/contents/02_nitori_data_insourcing_project/
【金融業界】りそなホールディングス
2020〜2021年の2回、DX銘柄として選出されたりそなホールディングスでは、りそなグループアプリを提供しています。
りそなグループアプリは、りそな銀行・埼玉りそな銀行・関西みらい銀行で口座開設した人のためのアプリです。
アプリの取り扱いが始まったきっかけは、約1,600万人の個人の顧客に対して、対面で営業できた人は10%以下だったこと。
より多くの顧客にサービスを届けるために、アプリが生まれました。
りそなグループアプリをもとに顧客の行動を分析して新たなアプローチをおこなったところ、従来の目標から約2倍の大きな成果も達成しました。
参考:https://www.brainpad.co.jp/doors/contents/02_finance_dx_resonaholdings/
https://www.brainpad.co.jp/doors/contents/02_datascience_next_to_management_4/
https://www.brainpad.co.jp/doors/contents/02_resona_application/
【IT業界】ヤフー株式会社
ヤフー株式会社は日本のDX促進に貢献できるように、トレジャーデータ株式会社と連携して、マーケティングプラットフォーム「Yahoo! Data Xross」の提供を開始しました。
「Yahoo! Data Xross」はトレジャーデータ株式会社の顧客データ活用サービス「Treasure Data CDP」内に格納された顧客データを、Yahoo! JAPAN保有のデータを用いて分析できるサービスです。
また顧客の潜在的なニーズをより深く抽出できたり、分析結果にもとづいた効果的な広告を配信したりもできるように。
企業のマーケティングDXの促進に役立つサービスで、社会に大きな影響を与えたといえる事例です。
参考:https://www.brainpad.co.jp/doors/contents/02_conference23_yahoo/
【運輸業界】ヤマト運輸
ヤマト運輸株式会社は、会員制の法人向けWebサービス「ヤマトビジネスメンバーズ」を提供しています。
ヤマトビジネスメンバーズはユーザーの属性やサイト利用履歴をもとに、35以上のサービスラインナップのなかから最適なサービスを提案できる機能を搭載。
さらに株式会社ブレインパッドの自動接客プラットフォーム・「Rtoaster(アールトースター)」を導入して最適な顧客セグメントを抽出した結果、トップページのCTRが0.01%から1%程度まで向上しました。
サービス申し込み件数も5倍まで上がり、DXの成果が見えています。
DXにより顧客の満足度を高めたことで、自社の利益につながった事例です。
参考:https://www.brainpad.co.jp/rtoaster/case/kuronekoyamato/
【不動産業界】野村不動産ソリューションズ
野村不動産ソリューションズ株式会社は不動産情報サイト「ノムコム」に、BtoC向けマーケティングオートメーションの「Probance」を導入しました。
「ノムコム」では以前から「Rtoaster(アールトースター)」というサービスを利用し、Webサイトの閲覧履歴などから最適なおすすめの物件情報を会員に配信し、1.5倍の反響効果を得ていました。
より高い成果を出すために「Probance」を導入し、おすすめ物件だけでなくセミナー情報・不動産市場動向・物件の値下げ通知なども顧客に合わせて提供しています。
DX促進で新たなサービスを導入したことで、顧客が求める情報を顧客に合わせたタイミングで提供できるようになりました。
参考:https://www.brainpad.co.jp/doors/contents/02_nomura_solutions_customer_experience/
会議のDX促進なら『Rimo Voice』がおすすめ!
会議のDXを促進したい企業には、AI議事録作成ツール『Rimo Voice』がおすすめです。
ビジネスパーソンは一生のうち3万時間を会議に費やすといわれており、会議を効率的に進めることが求められています。
1時間の会議を5分程度で文字起こしして要約できる『Rimo Voice』を活用すれば、会議後の議事録作成・共有にかかる手間や時間を大幅に削減できます。
会議中に録音しながらリアルタイムで文字起こしをしたり、あとからデータを読み込むことも可能です。
URLを送れば共同編集・共有もできます。
セキュリティ対策も万全で、情報セキュリティリスクが不安でシステム・ツールを導入できない企業も安心です。無料トライアルでお試し利用もできるため、気になる人はぜひ一度お問合せください。
まとめ:DXを適切に促進して生産性アップを目指そう!
DXとは、デジタル技術の活用により、ビジネス・企業風土・生活などへ変革をもたらすことです。
日本ではまだ促進できない企業がほとんどですが、DX推進により世界にも通用する競争力を養えます。
適切にDXを促進すれば、業務効率化・生産性アップ・働き方改革の実現も可能です。
とはいえ必勝法が確立されていないDXは、短期間で成果を出そうとすると失敗するリスクがあります。
DXを推進するなら本記事を参考に、中長期的な時間とコストをかけて実践してみてください。
最終更新日: 2024 / 9 / 11
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