一覧に戻る
AIで業務効率化する方法は?成功事例や導入メリット、注意点を解説

労働人口の不足や企業間の競争が激化するなか、AIを導入して自社業務を効率化する流れが加速しています。AIを導入して上手に活用することで、人的に行なってきた定型的な作業を自動で処理できるようになり、生産性のアップやコストの削減が可能です。
本記事では、AIを活用するメリットや技術・サービス、導入事例などを詳しく解説します。AIを導入したいものの「どんなメリットがあるのかわからない」「具体的にどのような導入事例があるのか知りたい」といった疑問や悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
業務効率化に役立つAIの基礎知識

AIとは「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」の略語で、日本語では「人工知能」と訳されます。
AIの定義は研究者によってさまざまですが、一般的には「人工的に作られた知能」と考えておくといいでしょう。人間が持っている考える能力や学ぶ能力を機械に与えることによって、認識・予測・判断・推論といった能力をAIが発揮できるようになります。
またAIの最大の特徴として、自己学習ができる点があります。大量のデータをインプットすることで、より高い精度でのアウトプットが可能です。
関連記事:生成AIの種類・モデル一覧!テキスト・画像生成などサービス25選を紹介
AIの活用で業務効率化につながる理由
AIを活用することで業務効率化が図れる最大の理由は、膨大なデータの処理や分析を高速かつ正確に行える点にあります。
従来、人の手で行っていた反復的な作業や複雑な計算も、AIであれば瞬時に処理が可能です。
これにより、業務時間の短縮や人的ミスの削減が実現し、社員はより創造的な業務や判断を要するタスクに集中できるようになります。
また、AIは体調やモチベーションに左右されず常に安定したパフォーマンスを発揮します。そのため、業務品質を一定に保ちながら、ヒューマンエラーやそれに伴うタイムロスも大幅に削減可能です。
関連記事:【2024年版】DX推進実績を持つ日本企業ランキングとその成功事例を解説
AIの活用状況
AIを活用した自社の業務効率化は、多くの企業で急速に進んでいます。人財サービスを展開するアデコグループが、2021年に上場企業の管理職を対象に実施したAI(人工知能)に関する調査では、自社でAIを既に導入している企業は25.6%、3年以内に導入する計画があると回答した企業は27.0%となっています。

全体の半数以上の企業がAI活用を実施している・もしくは3年以内に実施する予定であることが分かります。
また、総務省が公表している「情報通信白書 令和3年版」によると、企業が先端技術(loT・AI)を利用する目的として、「業務効率化」という回がが69.5%と他の目的と大きく差をつけています。

このように、昨今では多くの企業が競争力を高めるために業務効率化を目的としたAI活用が多くの企業で進めているのです。
RPAとの違い
AIとRPA(Robotic Process Automation)はどちらも業務効率化を実現するための有効なツールですが、その仕組みと機能には明確な違いがあります。
RPAとは、あらかじめ定められたルールに基づいて業務を自動化する仕組みで、データ入力やメールの送付など繰り返し行う作業に強みを発揮します。
一方、AIは過去のデータから学習し、状況に応じた判断や改善を行えるため、非定型業務や高度な分析が必要な作業にも対応可能です。
つまり、RPAは「指示された作業を正確にこなす」ツールであるのに対し、AIは「自ら学び成長していく」ツールといえます。
AIはRPAよりも高度で柔軟な対応ができるため、変化の多い業務や判断が求められる場面では、AIの導入がより大きな効果を発揮するでしょう。
関連記事:RPAとは?意味やメリット・デメリット・活用事例などをわかりやすく解説!【業務効率化】
業務効率化に役立つAIの技術

先述したとおり、業務効率化を目的としたAI活用は多くの企業で進んでいます。ここでは、業務効率化に役立つAIの技術を紹介します。
それぞれの技術がどのように業務効率化に寄与するのか、詳しく見ていきましょう。
画像認識
画像認識(Image Recognition)とは、画像に映る人やモノを認識し、何が映っているのかを解析する技術です。
画像認識の技術には、以下のような種類があります。
画像に映る数字や文字を判別する「OCR(文字認識)」
人の顔を判別する「顔認証」
画像に映る物体を検出・分類する「物体検出」
AIの画像認識技術は、部品や原料の不良品対策に多く用いられています。対象物の色や大きさ・周囲との色の違い・形といったデータを取得し、良品とそうでないものを判別します。
また、物流会社の倉庫などでも画像認識技術は用いられます。商品の仕分けを自動で判別することによって、物流効率を格段に向上させることが可能です。
画像認識のサービス例|さび検出AIソリューション

AIアルゴリズム・プロダクト開発を手掛ける株式会社ARAYAが提供する『さび検出AIソリューション』は、撮影した画像をアップロードするだけで自動でさびを検出する画像認識技術を備えたAIソリューションです。
従来、さびの検出は定期メンテナンスによって、人の目で見つけていましたが、当サービスを活用することで、数日かかっていた送電鉄塔等のさび検出作業の工数を半日に削減させることに成功しました。高精度な検出精度を誇っており、約90%の精度でさびを検出できるため、大幅なコスト削減につながっています。
音声認識
音声認識とは、人が発した会話をAIが認識し、テキストデータへと変換する技術です。会議や講演会・インタビューなどの議事録作成や翻訳・ボイスボットなどに活用できます。
音声認識には、以下のような技術が用いられています。
声の強弱や間隔・抑揚などを抽出しデータに変換する「音響分析」
音声を母音と子音に分解し、文字列に置き換える「音響モデル」
AI音声認識技術が最も用いられるのが、議事録作成を目的とした文字起こしツールです。会議を録音しておくだけで、テキストデータに変換でき、最近のツールではChat GPTの技術も組み合わせて、会議の内容の要約や重要な部分を判別するシステムも備わっています。
音声認識のサービス例|『Rimo Voice』

『Rimo Voice』は、1時間の音声データを約5分で文字起こしができるAIツールで、会議をはじめとしたさまざまな場面で活用が可能です。
また、発話の内容をそのままテキスト化するのではなく、雑音や意味のない発声を自動で除去してくれます。ChatGPTを活用した要約機能も備わっているため、長文のテキストでも重要な部分を把握しやすいのが嬉しいポイントです。
自然言語処理
自然言語処理(NLP)とは、人間が使う言語をコンピューターが処理できるようにプログラミング言語へと変換する技術のことを指します。自然言語とは、私たちが日常的に書いたり話したりする言語のことを指し、曖昧性を含むことが特徴です。この自然言語の曖昧性を排除し、正しい意味を認識するのが自然言語処理の技術です。
自然言語処理を用いた代表的なツールとして、対話型の「チャットボット」や「ボイスボット」が挙げられます。音声やテキストをボットに投げかけることによって、その意味をコンピューターが理解し、適切な回答を行なってくれます。
自然言語処理のサービス例|『QuickQA』

『QuickQA』は、株式会社エーアイスクエアが提供する国産のAIチャットボットです。顧客対応や社員へのサポートを目的として使用され、高精度のFAQレコメンド機能を用いて電話応対をサポートします。
また、自動応対のシステムを備えており、顧客や従業員からの問い合わせや質問に対して、的確な回答を提示できます。
推論・予測
推論・予測は、AIが学習したデータをもとに、今後の予測を分析できる技術のことです。例えば、過去の市場動向・販売実績・在庫状況などのデータを取得することで、将来的な市場動向や売上などを予測できます。
推論・予測のサービス例|『GMDH Streamline』

『GMDH Streamline』は、AIを活用したダイナミックシミュレーションシステムを用いた在庫予測システムです。在庫を抱える製造業や小売業・流通業を中心に利用されています。
将来の需要予測から必要な在庫量を分析し、余剰在庫や不足在庫を防げるほか、受注生産・予測生産に役立てられます。
AIで業務効率化する方法やアイデア

AIを活用した業務効率化は、さまざまな分野で実現可能です。
たとえば以下のような業務でAIの力を借りることで、作業時間の短縮や精度向上が期待できます。
それぞれの業務において、AIがどのように効率化を支えているのかを具体的に見ていきましょう。
メール・チャットの生成
AIを活用すれば、日常的なメールやチャット対応の文章を自動生成でき、業務のスピードと効率が大幅に向上します。
定型的な問い合わせへの返信や、挨拶文・報告文などのテンプレート作成もスムーズに行えるため、担当者の負担軽減につながります。さらに、社内FAQと連動したチャットボットを導入すれば、よくある質問に即座に回答でき、社員同士のやり取りやヘルプデスク対応の時間を削減することも可能です。
これにより、迅速かつ均質な対応が実現し、業務全体の質も高まります。
資料・レポートの作成
AIは、集めた大量のデータや指示内容をもとに資料やレポートを自動で作成でき、作業時間の大幅な短縮につながります。たとえば、会議の議事録や営業報告書、分析結果のサマリーなども短時間で整った形に仕上げることが可能です。
さらに、AIのテキスト生成・要約・翻訳機能を活用すれば、日本語だけでなく英語など他言語での成果物を効率的に作成できます。
グローバルな社内外のコミュニケーションや資料共有もスムーズになり、業務の幅が広がるでしょう。
市場調査・分析
AIは、市場調査や分析にも長けており、マーケティング分野においても業務効率化に大きく貢献します。
膨大なWebデータやSNSの投稿、購買履歴などを収集・分析することで、顧客が今何を求めているのかといったインサイトを導き出すことが可能です。
従来は多くの時間と労力を必要とした市場調査や競合分析も、AIを活用すればスピーディーかつ正確に行えます。
分析結果を可視化するツールと組み合わせることで、誰でも直感的にデータを理解し、意思決定に活かせる点も魅力です。
アイデア創出
AIはブレインストーミングの相棒としても有効です。与えたテーマやキーワードをもとに、広告や新規事業立案などのアイデアを次々と提示してくれます。
人間の発想では限界のある視点や、業界を横断した切り口を提案してくれるため、新たな発想のきっかけになります。ゼロから考える負担が減り、創造的な業務のスピードや質を底上げするサポートツールとして非常に有用です。
プログラミング
AIはプログラミング言語や一般的な文法を理解しているため、プログラミングの業務においても業務効率化に大いに役立ちます。たとえば、自然言語で要件を伝えるだけで、対応するコードを自動生成できるAIも登場しており、開発スピードは飛躍的に向上します。
さらに、一からリサーチしながらコードを書くよりも、AIが作成したベースコードをもとに修正・調整していく方が圧倒的に効率的です。複雑な処理の実装や最適化もAIが提案してくれるため、品質管理や生産性の向上にもつながります。
クリエイティブ作成
ロゴやバナー、アイコンなどのデザイン素材は、AIに依頼することで短時間で高品質なビジュアルを作成できます。作業の自動化により、従来多くの時間を要していた制作工程の大幅な短縮が可能です。
これにより、デザイナーや担当者は構成や表現の工夫といった創造的な作業に集中でき、より高い付加価値を生み出す時間を確保できます。
スピード感が求められる現場や複数パターンの提案が必要な場面でも、AIは強力な味方になるでしょう。
コンテンツ作成
ブログ記事や商品紹介文、SNS投稿文などのコンテンツも、AIによって自動生成が可能です。SEO対策を意識した文章構成やキーワード選定、語調の調整もできるAIツールが増えており、Webマーケティングの現場で特に重宝されています。
また、大量のコンテンツを短時間で制作できるため、担当者の負担軽減と業務スピードの向上に直結します。作成後は人の手で微調整することで、品質も十分に確保できるでしょう。
関連記事:【無料あり】AI記事作成ツールのおすすめ15選!選び方や活用のコツを紹介
プロジェクト管理
AIは、プロジェクトの進捗管理やタスク割り当て、スケジュールの最適化などにも力を発揮します。
たとえば、過去の実績データから遅延のリスクを予測したり、リソースの偏りを見える化したりすることで、業務の無駄やトラブルを未然に防ぐことが可能です。また、会議の議事録作成やチーム内のコミュニケーション支援にも役立ち、マネージャーの負担軽減につながります。
組織全体の効率化を図るうえで、AIによる管理支援は今後さらに重要になるでしょう。
【部門別】AIを活用して業務効率化を実現した成功事例13選

ここでは、業務効率化を目的としたAIの活用事例について、部門別に解説します。
各部門に合ったAI活用の形を知ることで、自社の業務にも応用できるヒントが見つかるでしょう。
顧客サポート部門
今回紹介する企業の顧客サポート部門では、AIチャットシステムや音声認識技術の導入が進み、対応のスピード化と品質向上が図られています。
株式会社マックスサポート
株式会社セブン銀行
以下で、それぞれの取り組みを具体的に見ていきましょう。
株式会社マックスサポート | AI音声認識技術を用いて年間160時間の残業を削減

コールセンター事業やインバウンドサービス(電話受信業務)を展開する株式会社マックスサポートは、オペレーターの対応品質を確認するため、実際の顧客対応時の電話録音を一つひとつ再生しており、確認に時間がかかる課題を抱えていました。
そこで、AI音声認識技術を搭載した『Rimo Voice』の導入を決定。顧客対応時の録音データをスピーディに自動で文字起こしでき、オペレーターへのフィードバックを素早く実施でき、結果的に1件あたりの確認作業を4〜5分程度短縮することに成功しました。
また、オペレーターと一緒に文字起こしの内容をチェックし、言葉遣いやNGワードを確認できるようになりました。オペレーターの対応品質も向上し、残業時間が年間で160時間削減できたとのことです。
参考:https://rimo.app/case-studies/max-support-overtime-reduction-call-center-efficiency
株式会社セブン銀行 | 生成AIチャットシステムを導入し顧客の利便性を追求

画像出典:セブン銀行
セブンイレブンの店舗や空港・商業施設をはじめ全国に27,000台以上のATMを展開する株式会社セブン銀行は、同社のバンキング統括部門において、口座を利用しているお客様対応を実施しています。
従来は新規の口座開設のプロセスの効率化を目的として2021年3月よりチャットシステムを導入しましたが、顧客からの問い合わせ数が月間10,000〜12,000件から4,000件に減少するなど、思うように効果が出ていませんでした。
そこで、以前から利用していたSalesforceとの連携が可能な生成AIチャットツール『KARAKURI(カラクリ)』へのリプレイスを決定。これまでは有人チャットの応答率などのデータ取得を手作業で行う必要があり多くの工数を要していましたが、導入後は自動化に成功しました。これにより、データ解析をもとに顧客に対してより質の高いサポートを提供できるようになったのです。
参考:https://karakuri.ai/cases/sevenbank/
経理部門
経理業務では、AIによって請求書等に関する業務の削減を行い、人的負担の軽減に貢献しています。
株式会社神戸製鋼所
坂善商事株式会社
AIを活用して経理部門の作業を効率化している企業の事例を見ていきましょう。
株式会社神戸製鋼所 | AI-OCRを導入し約60%業務時間削減に成功

大手鉄鋼メーカーである株式会社神戸製鋼所では、本社を置く神戸のほか、北海道から九州まで日本全国に工場や支社を設置しています。従来は、それぞれの拠点で手書きで書かれた納品書や作業証明書などのデータ入力を手作業で行っていました。
業界の慣習上、取引先や仕入れ先から送られてくる伝票の多くが紙媒体となっており、現場の担当者が時間をかけてシステムに入力する手間が発生していました。その結果、本来時間をかけるべきコア業務に注力できない・入力ミスがあり手直ししなければいけないといった課題を抱えていたのです。
そこで、同社ではAI-OCR(AIを活用した文字認識技術)の導入を決定し、2020年より本格的な運用を開始しました。グループ会社にも導入を進めたことにより、帳票入力にかかっていた時間を半分以下にすることに成功。社内アンケートの入力業務も、年間1,200時間から半分以下の400〜500時間まで削減できています。
参考:https://dx-suite.com/casestudy/uservoice32
坂善商事株式会社 | OCR技術を活用、請求書の処理業務にかかる工数の半減に成功

画像出典:坂善商事株式会社 SAKAZEN SHOJI CO.,LTD
紳士服・婦人服の接客や販売などを手掛ける坂善商事株式会社では、取引先とのやり取りに紙を使用することが多く、データ化・仕訳・ファイリング等の作業に多くの時間や手間を要していました。また、電子帳簿保存法への法対応や従業員が在宅で作業を進められる環境を構築したいという課題を抱えていました。
そこでOCRの技術を搭載したAIツール『バクラク』の導入を実施。請求書の処理業務にかける業務工数を半分以下に削減することに成功し、並行して進めていたインボイス制度への対応・電子帳簿保存法への対応が完了しました。
参考:https://bakuraku.jp/case/sakazen-shoji/
店舗部門
小売や飲食などの店舗運営においても、AIは在庫管理や需要予測、接客支援などに活用されています。
株式会社てりとりー
株式会社ダンダダン
店舗業務にAIを取り入れ、業務改善を実現している企業を見ていきましょう。
株式会社てりとりー | AIを活用して飲食店の来客数を予測

画像出典:株式会社てりとりー
大阪・沖縄で飲食店経営を手掛ける株式会社てりとりーでは、店舗拡大の際に現場での職務経験が豊富な店長の育成に課題を感じていました。特に毎日の客数や注文数の予測は、飲食店での経験の差が出るため、新人の店長では無駄な在庫やアルバイト等のシフト余剰が出るといった問題がありました。
そこで、AIを活用した来客数予測ツール『AI-Hawk-』の導入を決定。店舗に蓄積されたデータを分析し来客数を予測することによって、これらの数値に基づいたシフト管理や在庫管理を行えるようになりました。実際に現場からは「人件費を最適化できた」・「店長の作業時間の短縮に繋がっている」などのポジティブな声があがっています。
参考:https://www.rox-jp.com/example1
株式会社ダンダダン | AI需要予測型自動発注ツールを導入し顧客満足度が向上

画像出典:肉汁餃子のダンダダン
全国で飲食店経営を行う株式会社ダンダダンでは、AIによる高度な需要予測や発注管理ができるAI需要予測自動発注ツール『HANZO』の導入を行いました。
従来は、店舗では熟練の担当者が商品ごとの在庫や天候・気温・イベントなどの条件を加味して、需要を予測した上で一定の時間をかけて発注を行っていました。しかし、担当者の業務負荷や労働時間の増加要因となるほか、発注を忘れてしまう・欠品が発生する、といった課題があったのです。
AIツール『HANZO』では、トレンド変化や季節要因から高精度で需要を予測できるため、担当者が人的に発注する手間を省くことに成功。また、店舗に来店するお客様への対応にかける時間を増やすことに成功し、顧客満足度の向上に繋がっています。
参考:https://www.dandadan.jp/news/
製造部門
キユーピー株式会社 | 画像処理技術を用いて工場の不良品を自動で検知

画像出典:キユーピー 企業サイト
マヨネーズなどの調味料を主力とする大手食品メーカーであるキユーピー株式会社では、ニンジンなどの原料に混入した夾雑物(余計なもの)を、人の目で検査して取り除いていました。しかし、大量の原料を一つひとつ目視でチェックするのは、作業者の負担が大きく、多くの時間を要するという課題を抱えていました。
そこで同社では、AIを活用した原料検査装置の導入を決定。この装置にはディープラーニング技術を用いた、画像解析によって原料を選別するシステムが搭載されています。AIに良品のパターンを学習させることによって、不良品を高い精度で見つけ出すことが可能です。
不良品検査の工程自体を自動化することで従業員の負担を大きく軽減し、かつ作業効率を飛躍的にアップさせることに役立っています。
参考:https://www.brainpad.co.jp/doors/contents/02_ai_case_study_kewpie/
トヨタ自動車株式会社 | AI知識を持たないスタッフでも活用できるプラットフォームを構築

画像出典:トヨタ自動車WEBサイト
販売台数世界1位を5年連続で誇る(※2025年時点)トヨタ自動車株式会社では、自動車製造の現場において、外観検査や仕様の確認などにAIの力を活用していました。
一方で、AI開発に必要となる専門知識を持った人材は不足しており、思っていたよりも活用が進まないという課題も抱えていました。
そこで、Googleと協力してAIについて専門知識を持たない現場のスタッフでも自ら必要なAIを開発できる「AIプラットフォーム」の開発に着手。スクラム開発で必要な機能を積み上げ、Webアプリケーションとして実際に現場に投入され、成果をあげています。
販売部門
販売部門では、AIを活用した需要予測や営業活動の効率化により、顧客満足度の向上と在庫最適化を実現する企業が増えています。
株式会社ディノス・セシール
アイリスオーヤマ株式会社
これらの企業がAIを販売戦略にどう活かしているのか、具体的な活用方法を見ていきましょう。
株式会社ディノス・セシール | アパレル業界の「在庫ロス解消」への取り組み

通販ブランド「セシール」の運営などを手掛ける株式会社ディノス・セシールは、予測・最適化技術のビジネス活用実績を持つ株式会社ブレインパッドと協力し、AI技術を活用したダイナミックプライシングの実現に向けた取り組みを実施中です。
アパレル業界では、衣料品の余剰在庫・大量廃棄が問題となっています。同社では需要と供給のバランスから価格を変動させるダイナミックプライシングを導入することによって、この問題の解決を目指しています。
参考:https://www.brainpad.co.jp/news/2020/05/21/11460
アイリスオーヤマ株式会 | 営業メンバーからの質問にチャットボットを導入し効率化を実現

画像出典:アイリスオーヤマ株式会社|IRIS OHYAMA Inc
家電などの製造・販売を手掛けるアイリスオーヤマ株式会社では、社内の業務円滑化を目的としてAIチャットボットを導入しました。
営業メンバーから受ける、商品やヘルプデスク管理部門への質問をチャットボットを介して行うことにより、商品番号を入力するだけで詳細な商品情報が送られる仕組みを構築しました。商品の詳細について調べる手間が省け、営業活動の効率化を実現できたと言います。
また、消費者に向けてもチャットボットを活用しており、顧客からの問い合わせデータを蓄積・分析することによって、エンドユーザーに喜ばれる商品設計やサービス提供に役立てています。
参考:https://aisaas.pkshatech.com/success/iris
総務部門
総務部門では、パナソニックグループがチャットボットでは対応できない問い合わせを、AIを導入して効率化に成功させました。
具体的な取り組みを見てみましょう。
パナソニックグループ | AIチャットボットと連携しTeamsをグループ全体のお問合せ窓口に

画像出典:パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社 - Panasonic
パナソニックグループでは、中期戦略の重要な指針として「オペレーション力の徹底強化」を推進しています。独自のDX施策を推し進める中で、PKSHAの『AIヘルプデスク』の導入を行いました。
同社では数年前からグループ全体のお問合せ窓口としてチャットボットを導入していましたが、問い合わせ内容が多岐にわたるため、チャットボットで対応しきれないという課題を抱えていました。
そこで、Teams上で動くチャットボット『AIヘルプデスク』を用いて、Teamsを問い合わせや社内コミュニケーション分析のプラットフォームに構築。結果的に社内の利用者数をピーク時には4倍に増やすことに成功したとのことです。
参考:https://aisaas.pkshatech.com/success/pex_pipm/
人事部門
人事部門では、AIを活用して面接などの効率化を成功させています。
ソフトバンクグループ
リコーリース株式会社
AIを活用して人事業務の効率化を図っている企業の事例を詳しく紹介していきます。
ソフトバンクグループ | 新卒採用にAIを導入し選考を効率化

画像出典:ソフトバンク
電気通信事業等を展開するソフトバンクグループでは、2020年5月より同社の新卒採用において、応募者を客観的かつ統一された軸で判断することを目的に動画面接の評価にAIシステムを導入しています。
同システムでは、インターンシップの選考で提出された動画データと熟練の採用担当者の評価を学習させることで、新たに提出された動画の評価を自動で算出。同AIシステムを導入したことによって、動画面接の選考にかかる時間を約75%削減することに成功しました。
参考:https://hrnote.jp/contents/b-contens-composition-softbankdouga-180903/
リコーリース株式会社 | 採用工数を削減しながら優秀な学生の確保に成功

画像出典:トップ | リコーリース株式会社
リース&ファイナンス事業を手掛けるリコーリース株式会社では、360度評価にAIを活用した補正評価を組み合わせて信頼性の高い他社評価を実現する機能を備えたピープルアナリティクス『grow360』を導入し、採用活動を効率化しています。
従来は、採用活動にあたって面接に対応できる社員が少なく、面接官の育成や面接時間の確保に課題を抱えていました。『grow360』の導入により、他社評価に基づく客観的なデータをもとに合否を効率よく判断できるようになりました。『grow360』のスコア上位50%に最終面接合格者の92%が含まれるなど、ツールを最大限に利用し、面接を効率化しています。
参考:https://www.grow-360.com/ja/case_study/event_report_20201209-0
業務効率化にAIを活用するメリット

自社業務にAIを活用するメリットとして、主に以下の4点が挙げられます。
それぞれのメリットについて詳しくみていきましょう。
コスト削減
これまで特定の人材やスキルに属人化していた単純作業や定型業務を、AIが自動で処理することによってコストの削減に繋がります。
AIは24時間365日休みなく稼働できるため、今まで人間が行ってきた作業を代行し、従業員の労働時間の短縮や残業手当の削減を可能にします。
顧客満足度の向上
AIを活用したチャットボットを導入することによって、休日や営業時間外でも顧客からの問い合わせに対応できます。
また、過去に顧客から送られてきた質問やクレームなどをデータ処理することによって、顧客がサービスにどのような不満を抱えているか・どのような点で困っているのかを解析することも可能です。
問い合わせにスピーディに対応できるようになるだけでなく、顧客の声を拾い上げサービス自体の改善へとつなげられるでしょう。
従業員の安全性の確保
工場や工事現場などの危険が伴う場所でもAIの活用が進んでおり、計測や監視といった作業を人に代わってAIが行うことによって従業員の安全確保を実現しています。
また、過去に起きた労災やトラブルに関するデータをAIに集約して解析することで工場内での危険な作業工程や場所を正確に把握し、安全性の向上が可能です。
人手不足の解消
AIは人間よりもはるかに素早く、かつ正確に業務をこなせるため、少人数でも従来と同等の業務量に対応できます。特に、定型業務や繰り返し発生する作業をAIに任せることで、限られた人的リソースを有効活用しながら業務全体をスムーズに回すことが可能です。
これにより、少数精鋭でも無理なく組織を回せる体制が整い、人材不足に悩む現場への有効な解決策となります。
業務効率化にAIを活用するデメリット・注意点
業務効率化に大きく貢献するAIですが、活用する際にはデメリットや注意点も存在します。
ここからは、具体的なデメリットや注意点を見ていきましょう。
AIは便利なことも多いですが、デメリット・注意点をしっかり知っておくことが重要です。
機密性やセキュリティを確保する必要がある
AIを業務に活用する際は、情報漏洩のリスクに十分注意する必要があります。
AIが扱うデータには、顧客情報や社内の機密資料が含まれることも多く、万が一外部に漏れれば重大なトラブルにつながりかねません。特にクラウド型のAIサービスを利用する場合は、通信経路や保存先のセキュリティ対策が重要です。
第三者に情報が漏れないよう、社内での運用ルールやアクセス権限を明確にし、万全の体制で運用することが求められます。
情報の正確性に欠ける場合がある
AIが出力する情報は必ずしも正確とは限らず、過去のデータや学習内容によっては誤った結果を提示することもあります。
特に新しい情報や専門性の高い分野では、古いデータや不正確な内容をもとに誤解を招くアウトプットが生成される可能性もあるため注意が必要です。そのため、AIの回答をそのまま鵜呑みにするのではなく、人の目によるファクトチェックや情報の裏取りを行うようにしましょう。
AIを「参考情報の1つ」として活用する姿勢が重要と言えます。
大量の学習データが必要になる
AIが効果を発揮するには、学習させるための十分なデータが不可欠です。導入直後のAIは、ほとんど知識がない状態であるため、最適な回答や判断を下せません。
業務に活用するには、自社の業務内容や顧客データ、過去のやり取りなどをもとに、AIに適切な学習をさせることが重要です。データの準備や整備にも時間と手間がかかるため、効率化を実現するには初期段階での体制づくりと継続的な運用がポイントです。
業務効率化にAIを活用するなら『Rimo Voice』がおすすめ
会議や商談の議事録を作成するにあたり、AI技術のひとつである音声認識を活用したいと考えている人もいるでしょう。AIを活用すれば、人間が文字起こしや要約を行うよりも大幅に効率化できます。
なかでも、精度の高いツールを使いたい人には弊社が提供している『Rimo Voice』がおすすめです。

『Rimo Voice』では、1時間の音声データをわずか5分程度で文章化できます。また、話者識別機能も搭載されており、誰の発言かわからなくなってしまうこともありません。
単に文字起こしができるだけでなく、内容の要約も自動でできるため、スピーディに議事録を作成が可能です。60分間の無料トライアルも用意しているので、気になる方はぜひ1度試してみてください。
まとめ:AIを導入して自社業務の効率化を推進しよう

AIを導入することによって、今まで従業員が人的に行なってきた作業を自動化し、業務効率のアップやコスト削減、従業員の安全確保につなげられます。AIには画像認識・音声認識などさまざまな技術があり、自社に合うものを選択することが大切です。
最近ではディープラーニングの技術も進歩しており、さまざまなデータを学習させることによって、自社業務でのパフォーマンスを高められます。ぜひ、本記事の内容を参考にして、自社における業務効率化の推進やコスト削減のために、AI技術を活用してみてください。
最終更新日: 2025 / 5 / 27
関連記事
タグ
- AI
- DX
- 業務効率化
一覧に戻る