AI(人工知能)技術の急速な進歩により、さまざまな種類の生成AIが登場し、私たちの生活や仕事への影響が注目されています。テキスト、画像、音声、さらには動画まで、生成AIの能力は日々拡大しています。
本記事では、主要な生成AIの4つの種類を紹介した上で、それぞれにできることや具体的なサービス例について詳しく解説します。業務における活用例や注意点も説明するため、本記事を参考に、ぜひ生成AIを活用して業務効率化を目指してみてください。
そもそも生成AIとは?
生成AI(ジェネレーティブAI・Generative AI)は、文章・画像等のさまざまなコンテンツを生成できるAIの総称です。
基盤となっているAIのモデルにはさまざまなものがあり、研究領域において「生成AI」という分類が厳密に定義されているわけではありません。
一方で、AIを活用する側にとってはイメージが湧きやすい言葉であるため、ビジネス現場やメディア上では「生成AI」という総称がよく利用されています。
ここでは、以下の2つの項目について詳しく解説します。
従来のAIとの違い
生成AIが注目されている理由
従来のAIとの違い
生成AIの基盤となっている技術は、従来のAIからの延長線上にあるものです。
従来のAIでは、与えられた情報を学習して最適解を予測することができましたが、回答可能な範囲は学習データ内にとどまっていました。
例えば、従来のAIでチャットボットを作った場合、チャットボットは事前に教えられた問い合わせにしか回答することができません。
一方、生成AIは、学習データを参考にしながら自分で新しい回答を創り出せすことができるという特徴があります。
例えば、先ほどのAIチャットボットを生成AIで作った場合、事前に教えていない問合せについてもチャットボット自身が回答を作成して答えてくれます。(回答が間違っている可能性はあります)
このように、0から1を生み出すかのように回答を作成できるのが、生成AIならではの特徴であり、従来のAIとの大きな違いなのです。
生成AIが注目されている理由
生成AIという言葉が生まれ注目を集めたのは2022年頃になりますが、実はその前から生成AIの特徴を持ったAIモデルは存在していました。
近年急激に注目を集めている理由は、大きく以下2点になります。
・精度の向上
・使い勝手の向上
2022年11月にOpenAI社が公開したChatGPTは、プログラミングの知識がない人でも簡単に使うことができ、翻訳等一部タスクについては実用に耐えうる精度を誇りました。
その結果、多くのビジネスや日常生活を変える可能性がある技術として、世界中から注目が集まったのです。
当時のChatGPTのモデルには精度やスピード等でまだ課題がありましたが、その後GPT-4oやClaude等も登場し、日々精度・使い勝手が向上しています。
アートや音楽の創作、コンテンツライティングなど、これまで人間にしかできないと思われていた創造的な作業の一部を生成AIが担う可能性も出てきており、引き続き注目が続くことが予想されます。
注目が集まっている生成AIの種類
生成AIには数多くの種類がありますが、なかでも以下の5つが特に注目されています。
種類 | できること | サービス例 |
テキスト生成 | 質問の回答 長文の要約 アイデアの創出 | ChatGPT Claude Gemini(旧:Bard) Microsoft Copilot(旧:Bing Chat) Cohere Command R+ Llama |
画像生成 | 画像の自動生成 既存の画像編集 複数の画像パターン生成 | DALL·E 3 Midjourney Google Imagen Text to Image(Canva AI) Adobe Photoshop starryai NovelAI |
動画生成 | 動画の生成(数秒~1分程度) アバターの生成 既存動画の編集 | Runway Gen-2 Vrew Sora D-ID Synthesia HeyGen Spirit Me |
音声生成 | リアルな音声出力 デジタル音声の生成 | Coqui Amazon Polly ElevenLabs |
化合物生成 | データの統合・分析 創薬 化合物の同定 | DATAGRID DrugFinder |
生成AIの種類①テキスト生成
ここでは、テキスト生成AIの活用によってできることと具体的なサービス例を紹介します。
テキスト生成AIにできること
テキスト生成AIは、ユーザーがテキストボックスに質問となる「プロンプト」を入力すると、自動的に文章形式で回答してくれるAIを指します。
大規模言語モデル(LLM)に基づき、人間の言語パターンを模倣することで、新たにテキストを創出します。
質問の回答、長文の要約、アイデアの創出など業務を効率化するのに大いに役立つことが期待されているものです。
テキスト生成AIのサービス例
テキスト生成AIの具体的なサービス例を4つ紹介します。
ChatGPT
Claude
Gemini(旧:Bard)
Microsoft Copilot(旧:Bing Chat)
Cohere command R+
Llama
特徴や魅力について説明するため、ぜひ参考にしてください。
1. ChatGPT
ChatGPTは、アメリカのOpenAI社より、2022年11月にリリースされた対話型AIチャットボサービスです。テキストボックスに質問を入力することで、質問への回答をはじめ、文章の要約や企画・キャッチコピーなどを作成できます。
特徴は、自然言語理解能力に優れている点で、一般的な会話用語や専門用語を用いながら人間のように自然な対話が展開できます。
また、やり取りを続けていくと、会話の文脈を維持しつつ、会話の中から提案やアイデアなどを創造する機能が搭載されているため、ビジネスに繋がるコミュニケーションを図れます。
関連記事:ChatGPT最新モデルGPT-4oの使い方を徹底解説!基礎知識から実践的な活用法・コツ・事例も紹介
2.Claude
Claudeは、Anthoropic社により開発された文章生成に強みがある生成AIです。Claudeの特筆すべき特徴の1つは、大量のテキストを処理できる長いコンテキストウィンドウです。
Claude3では、最大100万トークンの処理が可能で、長文のドキュメントの要約や詳細なレポートの生成などの長い文章の理解に効果的に活用できるでしょう。
関連記事:【2024年最新】最強AI Claude(クロード)3とは?ChatGPTやGeminiとの違いも説明!
3.Gemini(旧:Bard)
Google社により開発されたGeminiは、テキスト・画像・オーディオ・ビデオなど、複数形式のデータを処理し統合するよう設計されています。
回答をGoogleドキュメントやスプレッドシートに連携したり、Googleトラベルを参照しながら回答してくれたりと、Googleサービスとの連携が強みです。
※関連記事:Gemini(ジェミニ)の使い方を基礎から徹底解説!ChatGPTとの比較や便利な活用例も紹介
4.Microsoft Copilot(旧:Bing Chat)
Microsoft Copilot(旧:Bing Chat)Microsoft Copilot(旧Bing Chat)は、Microsoft EdgeブラウザやMicrosoft 365に統合された先進的なAIで、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsなどさまざまなアプリケーションでの生産性を実現しています。
大規模言語モデルのGPT‐4 TurboやDALL‐3を利用することで、自然な会話ベースの回答を得られることを初め、ブラウジング機能も搭載されているため、リアルタイムで最新情報にアクセス可能です。
関連記事:Microsoft Copilot(旧:BingAI)とは?始め方や使い方・ChatGPTとの違いを徹底解説
5.Cohere Command R+
Cohere Command R+は、カナダ・トロントのCohere社により開発されました。指定したドキュメント・webページから引用をしながら回答を作成する機能があるのが特徴です。
また、オープンウェイトとしてAIモデルが公開されているため、誰もが自由にモデルの利用・応用が可能なのも特徴です。
関連記事:Cohereとは?Command R+に注目が集まる理由やChatGPTとの違いについて徹底解説
6.Llama
Llamaは、Facebook・Instagramで有名なMeta社によって開発されたLLM(大規模言語モデル)です。
他のテキスト生成AIのようにチャット形式で利用できるサービスは、日本では現在公開されていません。(※米国を始め数カ国ではChatGPTのように対話形式で利用ができるMeta AIが公開されています)
一方で、オープンソースとして公開がされており、商用利用も可能なため、企業独自のLLMや日本語特化のLLMを開発するためのベースとなっています。
関連記事:Metaの最新AI・Llama(ラマ)3が注目される理由とは?日本語での体験方法から企業での活用事例まで徹底解説
生成AIの種類②画像生成
画像生成AIの活用によってできること・サービス例を解説していきます。
画像生成AIにできること
画像生成AIの最大の魅力は、簡易的なテキストを入力するだけで画像を生成する点にあるでしょう。さまざまな概念、属性、スタイルを組み合わせて、ユーザーの想像するデザインを生み出す一助となります。
また、既存画像の編集や1つのコンセプトから複数パターンの画像を生成することに優れている点も魅力です。
機械学習におけるアルゴリズムを大量の画像データから学習することで、生成される画像の品質やバリエーションが増えていきます。
その他、特定の分野や機能に特化したツールも開発されているため、今後の動向に注目しましょう。
画像生成AIのサービス例
ここでは、画像生成AIにおける8つのサービス例を紹介します。
Stable Diffusion
DALL·E 3
Midjourney
Google Imagen
Text to Image(Canva AI)
Adobe Photoshop
starryai
NovelAI
具体的な活用イメージを掴むのにお役立てください。
1.Stable Diffusion
Stable Diffusionは、画像生成AIの中でも有名なサービスの1つです。オープンソースであるため、開発者が自由にアクセスし、カスタマイズ可能な点が魅力です。
LAION-5Bという、インターネットから収集された約50億の画像テキストペアを含む公開データセットを使用してトレーニングされています。そのため、多様な画像スタイルとシナリオをカバーできるのです。
Stable Diffusionは、アクセシビリティ・拡張性・そして高い画像生成能力により、アーティストや開発者から高い評価を得ているツールといえるでしょう。
2.DALL-E 3
DALL-E 3は、OpenAIによって開発されたテキストから画像を生成するAIモデルで、前作のDALL-E 2の進化版です。
このモデルは、さまざまなアートスタイルや高解像度の画像生成を特徴としています。質の高い画像生成が可能で、特にHD品質の画像生成においてその能力を発揮します。
ユーザーは1024x1024・1792x1024・1024x1792の3つの異なるアスペクト比から選択でき、用途に応じた画像サイズを選択する柔軟性があります。
コンテンツ制作・バーチャルリアリティ・拡張現実の環境構築・ゲームやアニメーションの制作・医療分野の画像生成など、専門的なビジュアルニーズに応えるためのツールとして活用されています。
3.Midjourney
Midjourneyは、ディスコード上で動作するテキストから画像を生成するAIツールです。
アーティスティックなコンテンツから実用的なビジュアルコンテンツの生成まで幅広い用途で活用できます。
ユーザーはディスコードアカウントを通じてアクセスし、サブスクリプションに登録することで画像生成を開始できます。画像は「/imagine」コマンドを使用してリクエストされ、短いテキストプロンプトから独自の画像を生成します。
4.Google Imagen
Google Imagenは、高精度の画像生成と言語理解のレベルの高さで注目されている画像生成AIです。大規模なトランスフォーマーモデルを利用してテキストを理解し、それを高忠実度の画像に変換します。
Google Imagenは特に、細かなディテールや複雑なテクスチャを正確に再現する能力に秀でているのが特徴です。
そのリアリスティックな画像生成能力により、さまざまな用途での利用が可能です。高品質の画像生成は、マーケティング素材・教育資料・創作活動など、多岐に利用できるでしょう。
Google Imagenは、AI Test Kitchen内での利用に限定されているため、GoogleのAI Test Kitchenに登録する必要があります。
Magic Media(旧Text to Image)Canvaの「Magic Media」というアプリは、生成AIの技術によって画像及び動画を生成できます。
入力したテキストに基づき、素早く画像を表示できます。デザイン経験がないユーザーでも写真・ドローイング・3D画像・コンセプトアートなど、さまざまなコンテンツを表現できるのが魅力的です。
既存のCanvaの機能と合わせて、AIも搭載した機能も活用することで、クリエイティブな作業の一助となります。Canvaを日頃から使用しているユーザーで、まだAI機能を使用したことのないユーザーはぜひ一度使ってみてください。
5.Adobe Photoshop
Adobe Photoshopは、Adobe Fireflyの統合によって、画像編集ワークフローを大幅に強化するAI機能を搭載しています。
ユーザーは背景の削除・置換・コンテンツの追加・変更、さらにはテキストの説明から全く新しい画像を生成するといったタスクをシームレスに実行可能です。
Generative FillとGenerative Expandを使用することで、ユーザーは画像内の要素を効率的に追加・削除・変更できます。
新しい要素を既存の画像にリアルに統合するのに有用で、デザインの編集作業の質が段違いで高まる魅力的な機能といえるでしょう。
6.starryai
Starryaiは、テキストプロンプトを基に独自の画像を生成するAIツールです。
ユーザーがアートワークを簡単に作成できるように設計されており、1,000以上の異なるアートスタイルを搭載しています。アートの品質を向上させるために最新のAI技術を使用しています。
基本的な機能の利用は無料で、プレミアム機能に追加料金がかかる仕組みとなっているため、まずは使用感を確かめてみるのも良いでしょう。
7.NovelAI
NovelAIは、短いテキストから画像を生成できるAIツールです。高精度なアニメ風のデザイン生成に優れており、2023年には、NovelAI Diffusion Anime V3がリリースされ品質に磨きがかかっています。
新しいモデルでは、デノイジング拡散確率モデルが採用されており、細部に至るまで精密な画像を生成できます。
その他、NovelAIでは短い単語やテキストを入力することで、その続きを文章で出力する小説の生成も可能です。
生成AIの種類③動画生成
動画生成AIの活用によってできること・サービス例を解説していきます。
動画生成AIにできること
動画生成AIは、テキスト入力で動画を自動で生成できます。近年ではテキストだけではなく、映像からイメージを抽出し、動画の生成にも対応するツールが増加中です。
また、字幕・翻訳・アバターなどの動画の編集においても、これまで手作業で行っていたものが、AIによって自動化されてきています。
動画を公開していく過程の効率化をはじめ、AI技術の発展に伴い、あたかも自分が動画を撮影しているかのようなリアリティ溢れる動画コンテンツを実現でき、活用の幅が広がってきています。
動画生成のサービス例
動画生成AIの具体的なサービス例を7つ紹介します。
Runway Gen-2
Vrew
Sora
D-ID
Synthesia
HeyGen
Spirit Me
特徴や魅力について説明するので、ぜひ参考にしてください。
1.Runway Gen-2
Gen1を改良したRunway Gen-2は、テキストや画像を元に高品質な動画を生成できるAIツールです。
マルチモーダルシステムAIを採用しており、テキストから動画(Text to Video)・画像から動画(Image to Video)・画像及びテキストから動画(Image+ Description to Video)など複数のデータ入力から動画を生成できます。
2023年のアップデートで動画の生成時間が4秒から最長16秒になったことで、今後さらなる注目を集めるツールといえるでしょう。
2.Vrew
Vrewは動画編集にAI技術を取り入れ、編集作業を効率化できる動画生成AIツールです。文字起こし・自動音声入力・自動翻訳をAIにより自動化。vlogを撮影する動画配信者に最適なツールです。
初心者でも、動画素材と台本を用意すれば、素材に合わせてAIが自動で入力してくれるため、大幅な編集作業の効率化が期待できるでしょう。
3.Sora
Soraは、テキストから動画生成できるAIで、最長1分間の動画を生成できます。
開発元のOpenAIによると、「Sora は、複数のキャラクター・特定の種類のモーション・被写体と背景の正確な詳細を含む複雑なシーンを生成できます。」とあり、現実に限りなく近い動画の生成が可能です。
既存動画の編集にも対応しており、精密かつ高品質なクリエイティブを活用できます。Soraは未だ一般に公開されていないため、今後の動向に注目しましょう。
4.D-ID
D-IDは、喋るアバターを活用した動画生成AIです。GPT‐3・Stable Diffusion・自社独自のディープラーニング技術を組み合わせてできたツールです。アップロードした人物画像をアバターとして喋らせることができ、言語や音声の設定も簡単にできます。
UIも分かりやすく、初めて使用する場合でもCreate Video-Generate AI presenterからアバターを生成できます。AIに音声テキストの続きを生成してもらうことも可能で、さまざまな場面で活用できるでしょう。
5.Synthesia
140以上のAIビデオアバター・60以上の動画テンプレート・120以上の言語を用意しているため、専門スキルなしで動画作成を自動化してもらえます。
その他、 PowerPointやGoogleスライドなどの人気ツールとの統合が可能で、既存のプレゼンテーションやデザインから動画を生成可能です。
6.HeyGen
HeyGenは、ChatGPTやCanvaなどの外部サービスと連携し高品質な動画を生成するAIです。直感的で分かりやすいUIで、100以上のアバター設定や300以上の音声が用意されており、簡単に動画を作成できます。
SalesforceやAmazonなど、有名企業にも採用されています。
特に、マーケティング・トレーニング・eラーニング・セールスプレゼンテーションなどのビジネス用途において高い評価を得ており、汎用性の高いツールといえるでしょう。
7.Spirit Me
Spirit Meは、2023年にローンチされた動画生成AIです。自分の喋る様子を学習させることで、アバター動画を生成するAIで、日本語を含む多言語に対応しています。
専用アプリで自分の顔を5分間撮影するだけで、自分に似たカスタマイズアバターを作成できる点が魅力。
既存のアバターも利用可能で、感情を入力することでリアルなアバターを生成できるでしょう。
生成AIの種類④音声生成
音声生成AIの活用によってできること・サービス例を解説していきます。
音声生成AIにできること
昨今の音声生成AIは、ディープラーニングによるテキスト・トゥ・スピーチ(TTS)技術を利用した学習モデルを主流としています。
イントネーション・感情・アクセントなどのニュアンスを学習することによって、人間の話し声と区別がつかない声の生成を実現しています。
また、声のクローニング技術を使用して、個々の短いオーディオサンプルから特定の人の声を模倣するデジタル音声の生成にも対応しているツールが増加中です。
技術の進歩により、さまざまな分野で音声生成AIが活用されつつありますが、視覚障害者の支援や多言語コンテキストでのコミュニケーションギャップを埋める新たな可能性も開かれています。
音声生成AIのサービス例
ここでは、音声生成AIにおける3つのサービス例を紹介します。
Coqui
Amazon Polly
ElevenLabs
具体的な活用イメージを掴むのにお役立てください。
1.Coqui
Coquiは、先進的なAI音声生成ツールで、リアルな音声のクローニングに優れています。
ユーザーは、3秒のオーディオサンプルを提供するだけで任意の声をクローニングできるのです。感情や声のコントロールを細かく調整することが可能です。
動画ゲーム・ポストプロダクション・ダビングなど、さまざまな用途に合わせた声の生成に対応しているため、エンターテインメント業界・コンテンツ制作・その他多くの分野で価値あるツールとなっています。
2.Amazon Polly
Amazon Pollyは、テキストを自然な音声に変換する高度なテキスト・トゥ・スピーチ(TTS)サービスです。
標準的な声だけでなく、ニューラルTTS技術を使用した声も提供しており、自然で人間のような音声が生成されます。また、SSMLタグを利用して、発話のスタイルやピッチ、速度などを細かく調整できます。
eラーニング・ゲーム・モバイルアプリケーション・IoTデバイスなど、多岐にわたる用途に利用可能です。
特に、視覚障害者向けのアクセシビリティ向上や、ニュースリーダー、ビデオゲーム内のキャラクターボイスなど、ユーザーエクスペリエンスを向上させる場面で有効です。
3.ElevenLabs
ElevenLabsも、豊富な機能を持つ音声生成AIツールの1つです。
このツールの特徴は、既存音声を活用して、独自のAI音声のクローンを生成できることです。高度な自然言語処理を利用し、抑揚や感情を加味した音声を生成します。
生成された音声はユーザーが、声の高さやアクセントなどを細かくカスタマイズできる点が魅力。さまざまなオーディオニーズに柔軟に対応できます。
また、多言語対応もサポートが手厚く、グローバルな観客向けのコンテンツを作成できます。一つの言語でクローニングした声を別の言語で使用も可能です。
生成AIの種類⑤化合物生成
化合物生成AIの活用によってできること・サービス例を解説していきます。
化合物生成AIにできること
生成AIは、医療・製薬分野においての活用も進み始めています。
自然科学分野におけるデータの統合や分析をはじめ、新しい薬物様分子の発見において重要な役割を果たしており、生物学的システムとの挙動や相互作用を予測できます。
これにより、有望な候補を特定し、さらに実験室で合成してテストすることで、医薬品開発の初期段階のスピードアップが期待されています。
この分野に関する関心は世界的に高まっており、研究成果も徐々に増えてきているため、今後の動向に注視すべきでしょう。
化合物生成AIのサービス例:DATAGRID DrugFinder
DATAGRID DrugFinderは、株式会社データグリッドが開発した創薬AIプラットフォームです。
生成AIと高精度な予測AIを組み合わせて、活性や薬物動態を含む複数のパラメータを満たす低分子有機化合物の生成と構造最適化を行います。
創薬化学者がリード化合物の探索と最適化を加速するために設計されており、化合物の構造をインタラクティブに最適化し、新しい医薬品の開発を支援しています
生成AIのモデルの種類4選
生成AIに使われているモデルは、主に以下の4種類に分類できます。
モデル名 | 特徴 |
GPT | 言語処理モデル ChatGPTに使われている |
VAE | 画像生成AIに使われるモデル ディープラーニング技術を活用している |
GAN | 画像生成AIに使われるモデル VAEよりもさらに高度な画像生成が期待できる |
拡散モデル | 画像生成AIに使われるモデル GANよりもさらに高度な画像生成が期待できる |
①GPT
GPTはGenerative Pre-trained Transformerの略称で、OpenAIによって開発されたAIモデルのシリーズです。
生成AI分野に大きな影響を与えています。テキストのようなデータのシーケンスを扱うのに特に適した、トランスフォーマーという種類のニューラルネットワークに基づく仕組みです。
GPTモデルは、多様で広範なテキストデータセットで事前学習されており、文脈に適した予測テキストを生成できます。
そのテキストは人間が書いたテキストと見分けがつかないほどです。高品質なテキストの生成を自動化することで、コンテンツ開発に要する時間と労力を大幅に削減し、生産性を大幅に向上させることが期待されています。
②VAE
VAEは、Variational Autoencoderの略称です。
ディープラーニングを活用し、データから潜在的な表現を学習しており、その表現を使用して新しいデータを生成する生成モデルの1つです。
エンコーダーとデコーダーと呼ばれる2種類のモデルから画像の圧縮と生成を行い、画像生成の処理を果たす仕組みとなっています。
VAEは確率的手法を用いており、生成される各サンプルが確率分布に基づいて異なる可能性があります。
多様な出力が得られることから、画像や音声の生成など、細かい変化を必要とするアプリケーションに適しているでしょう。
③GAN
GANは、Generative Adversarial Networksの略称です。ジェネレーターとディスクリミネーターという2つのニューラルネットワークを競争させることで、新たな画像を生成する仕組みとなっています。
ジェネレーターは新しいデータを生成し、ディスクリミネーターはそれを実際のデータと比較して本物か偽物かを判断します。
そして時間とともに両ネットワークの能力が向上することで、ジェネレーターおよびディスクリミネーターの処理の質が高まってくるのです。
GANを利用することで、解像度の低い画像から解像度の高い画像を生成したり、テキストから画像を生成することが可能です。
④拡散モデル
拡散モデルは、近年利用機会の増えてきている注目度の高い生成モデルの1つです。
このモデルは、学習用の画像にノイズを追加し、元画像を復元するという処理を繰り返すことで画像生成する仕組みとなっています。
拡散モデルは、トレーニングデータの統計的特性を模倣して新しいデータを生成する能力があり、画像・ビデオ・音声など多様なメディアへの応用が可能です。
また、GAN(生成的敵対ネットワーク)やVAE(変分オートエンコーダー)といった他の生成モデルとの組み合わせも研究されており、新しい応用が模索されている生成モデルとして期待されています。
生成AIの3つのメリット・できること
生成AIを上手に活用することで得られるメリットとして、以下の3つが挙げられます。
時間がかかる作業を効率化できる
新たなアイディアを創出できる
コストを抑えてコンテンツを作成できる
普段の業務に生成AIを取り入れる上での参考にしてみてください。
①時間がかかる作業を効率化できる
人が実施すると時間がかかる作業であっても、生成AIであれば短い時間で対応できることが多々あります。
例えば、文書作成・コーディング・文章の要約・翻訳などです。
自分が実施する業務の下書きやアシスタントとして生成AIを上手く活用すると、作業を効率化できるだけでなく、より生産的な業務に時間を使うことができます。
複雑なExcelの関数を考えてもらう・英語のメールの下書きを作成してもらう・長いレポート文書の要点を教えてもらうなど、「少し時間がかかるが自分にとって主要ではない作業」が発生した際には、まず生成AIの活用を検討してみてください。
②新たなアイディアを創出できる
創造性を補完する上でも、生成AIは大きな価値を発揮してくれるでしょう。
特に、大量の情報を分析し、異なるアイデアを組み合わせることで新しいアイデアを生み出す能力は、人間単独では到達しにくい創造性を秘めています。
例えば、以下の活用場面が考えられます。
・製品開発:新製品のアイデア創出や設計支援
・マーケティング:斬新な広告コピーやビジュアルの生成
・問題解決:従来にない視点からの解決策の提案
生成された初期のアイデアやコンセプトは、人間がさらに掘り下げて洗練させるためのきっかけとなります。
人間の創造性とバランスをとりながら、創造性を深めるパートナーとして生成AIを活用することが大切です。
③コストを抑えてコンテンツを作成できる
生成AIは、テキストや画像、動画などのコンテンツを迅速に生成する能力を持っているため、従来は時間がかかったコンテンツ制作にかかるコストを抑えられることもできます。
例えば、記事作成であれば、以下のような場面で生成AIの活用が可能です。
下書き作成の自動化:記事やブログポストの初稿を生成AIが作成することで、ライターの作業時間を短縮できます。
編集作業の効率化:AIが文法チェックや文体の一貫性確認を行えばうことで、編集者の負担を軽減します。
24時間稼働:AIは休むことなく作業を続けられるため、短期間で大量のコンテンツを生成できます。
生成AIを活用したコンテンツ制作は、単にコストを削減するだけでなく、制作プロセス全体の効率化と品質向上をもたらします。
ただし、AIの出力には人間による監督と編集が必要であり、完全な自動化は現実的ではありません。
AIと人間のスキルを適切に組み合わせることで、コスト効率が高く、かつ高品質なコンテンツ制作が可能となります。
業務における生成AIの活用例
生成AIにできることやサービス例は理解できたものの、業務時の活用イメージを掴みにくい、と感じている人もいるでしょう。業務における生成AIの活用例として、以下の4つが挙げられます。
長文のテキストを要約する
キャッチコピーなどのアイデア出しをする
プログラミングコードを作成する
Webページ・資料の掲載画像を作成する
上記をあらかじめ把握しておくことで、生成AI導入後の活用をスムーズに進められるでしょう。
①長文のテキストを要約する
生成AIは、さまざまな文書から重要な情報を自動的に抽出し要約することが可能です。
データ入力や分析などのタスク効率の向上に貢献します。大量のデータを迅速に処理する必要がある環境で大きな価値があります。
例えば、会議の記録や長い報告書を素早く要約し、重要な情報を抽出する際にも活用が可能です。
さらに、生成AIによるテキスト要約は、教育や研究、一般的な日常の読書にも応用が可能で、情報をインプットする際に役立つでしょう。
②キャッチコピーなどのアイデア出しをする
企画やアイデアを出す過程は、従来、クリエイティブな側面が強いため人間が行ってきたことの1つでしたが、今後は生成AIの活用も浸透していくことが予想されます。
例えば、広告やメルマガなどのキャッチコピーの作成において、生成AIにアイデア出しを任せることが可能です。
キャッチコピーの生成に特化したAIスローガンジェネレーターは、キーワードやターゲットの属性に基づいたアイデアの提案をしてくれます。
創造的なアイデアを素早く形成する手段として、ビジネスのマーケティングとブランディングの効率の向上を期待できるでしょう。
③プログラミングコードを作成する
プログラミングコードの作成は、ソフトウェアの開発プロセスを大きく変革させています。
開発者がコードの作成・テスト・最適化を効率的に行う手助けをはじめ、コードの提案を自動的に生成し、単純なタスクを自動化することで開発者がより複雑な問題に集中できるように支援してくれるのです。
開発者が特定のコードや機能に関する知識を持っていない場合でも、GitHub Copilotのようなツールでは、開発者が書いているコードに基づいてコンテキストに応じたコードを提案してもらえます。
④Webページ・資料の掲載画像を作成する
Webページや資料に掲載する画像の作成においても、生成AIを活用できます。
Microsoft Copilotであればチャットベースで生成内容の指示ができる他、Adobe FireflyやCanvaなどに代表されるツールは、クリエイティブな背景やビジュアルを素早く提案してくれます。
生成AIによる画像生成は、デザインの自動化とカスタマイズを可能にし、結果的にクリエイティブな作業を行うハードルを下げることにもつながるでしょう。
そのほかの生成AIの活用事例は、以下の記事で具体的な企業例を挙げながら、戦略や活用方法を解説しているため、参考にしてみてください。
■関連記事:【完全網羅】生成AIのビジネス活用事例32選!成功のポイントも解説
生成AIを使う際の注意点3選
クリエイティブな成果物をスピーディーに作り出せて、業務効率化に役立つ生成AIですが、利用する際には以下の3つの注意点を押さえる必要があります。
ハルシネーション
著作権・プライバシー侵害に気を付ける必要がある
企業で使う場合はセキュリティ面での対策が必要
これらの注意点を理解した上で生成AIの導入・活用に取り組むことで、トラブルを未然に防ぎやすくなるでしょう。
①ハルシネーション(幻覚)
ハルシネーション(幻覚)は、生成AIがもっともらしい虚偽の情報を生成することを指します。特に文章生成においてハルシネーションが問題となることが多いです。
ハルシネーションは生成AIを利用する上では、避けられないリスクだと言えます。公開前にきちんと人の目でチェックする習慣をつけ、出力された情報を鵜吞みにせず確認することが重要です。
②著作権・プライバシー侵害に気を付ける必要がある
現状の法律・主要な生成AIサービスでは、生成AIが作成した文章・画像等は、原則は商用利用が可能です。
しかし、生成された内容によっては、そのまま利用すると著作権やプライバシー侵害になる場合もあるため、注意が必要になります。
具体的なNGケースの例は以下の通りです。
NGの例: このインタビューをもとに「村上春樹風」にまとめてと指示する
NGの例: 外部のブログをコピーして「こんな風に」まとめてと指示する
NGの例: 「ピカチュウの画像を生成して」と固有名詞を挙げて指示する
NGの例: 他者に著作権のある画像を無断でAIに学習させた上で画像生成を指示する
まずは、意図的に既存著作物と類似のものを生成しないように注意をしましょう。
また、偶然、既存の著作物と類似したものや、プライバシー侵害の恐れがあるものが生成される場合もあります。
AIを使わずに作成した著作物と同様、対外的に公開する際には、生成されたコンテンツの著作権やプライバシーをよく検証したうえで、不適切な内容を公開しないことが求められます。
③企業で使う場合はセキュリティ面での対策が必要
生成AIを利用する際には、セキュリティ面も注意する必要があります。個人で無料利用できる多くの生成AIサービスは、データの再学習を行っています。
つまり、自分がAIにインプットした情報が、他者への回答に引用されて使われる可能性があるということです。
機密情報・非公開情報を含む書類を要約させたい場合などは、法人向けに用意された有償の生成AIサービスの利用がおすすめです。
有償であってもセキュリティ対策のレベルはサービス提供社によって異なるため、データの学習ポリシーや暗号化対策・アクセス制御などの仕様をきちんと確認し、自社に合ったサービスを選ぶようにしましょう。
生成AIで議事録作成を効率化するなら『Rimo Voice』がおすすめ
さまざまな業務で活用できる生成AIですが、まず初心者におすすめなのが「議事録作成」における活用です。
会議中に話された内容のメモを生成AIに伝え、「議事録を作成して」と伝えるだけで、すぐに綺麗なフォーマットにまとめてくれます。
メモだけでなく会議中の会話内容の文字起こしを生成AIに伝えれば、より詳細な議事録が期待できます。
一方で、既存の生成AIサービスの場合、会議中の音声データを文字起こしする機能を持っていないことがほとんどです。
そこでおすすめなのが、AI議事録ツール『Rimo Voice』です。
録音・録画データをアップロードするだけで、『Rimo Voice』内の音声認識AI・生成AIが自動で文字起こし・議事録化を実施してくれます。
1時間の音声を5分で議事録化できる他、リアルタイムでの文字起こし機能もあり、スピーディーに利用できるのも魅力です。
また、ISO27001・ISO27017の認証も取得しており、法人利用でも安心なセキュリティ対策を実施しています。
生成AIを取り入れて業務効率化を図りたい方は、まずは『Rimo Voice』で会議業務・議事録作成業務の効率化にチャレンジしてみるのはいかがでしょうか。
こちらから無料トライアルの登録もできるので、ぜひ一度お試しください。
まとめ:生成AIの種類や特徴を理解して上手に活用しよう!
生成AIとは、画像や文章・動画といったさまざまな成果物を、自ら作り出せるAI技術のことを指します。従来人間が行っていた業務を効率化できることから、多くの企業で活用が進んでいます。
本記事では、特に直近注目を集める5種類の生成AI(テキスト生成・画像生成・動画生成・音声生成・化合物生成)を紹介しました。
テキスト生成サービスであるChatGPT・Claude、画像生成サービスであるStable Diffusion・Midjourneyなど、さまざまな製品が登場しています。
ぜひ、本記事の内容を参考にして生成AIに関する理解を深め、社内での業務効率化やリソース削減にお役立てください。
最終更新日: 2024 / 10 / 12
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