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企画書の書き方を初心者向けに解説|決裁者の心を掴む構成とテンプレート

「企画書を書くことになったけど、何をどの順番で書けばいいのか分からない」
こうした不安を抱えていませんか。
企画書は、アイデアの良し悪し以前に「書き方の型」を外すと通りません。しかし、決裁者が見るポイントを押さえた型に沿って書けば、一発で承認される可能性は大きく上がります。
本記事では、企画書を書く方に向けて、基本構成、書き方のコツ、テンプレートを解説します。
企画書が却下される理由や、AIを使った効率的な作成法も紹介するので、提出前に最低限押さえるべき項目を確認し、決裁者が判断しやすい企画書に整えられるでしょう。
企画書の書き方を知る前に|意味や提案書・稟議書との違い・作成の目的

企画書の書き方に入る前に、まず「企画書とは何のための文書か」を押さえておきましょう。
1. 企画書とは
企画書とは、新しい施策・事業・商品・イベントなどのアイデアを実行に移すために、目的・背景・具体策・予算・期待効果を整理した文書です。アイデアを実現し、周囲の合意を得ることを目的としています。
企画書のゴールは、読み手に「何をしてほしいか」を伝え、行動を引き出すことです。提案の最後に「次に何をしてほしいか(ネクストアクション)」を明示すると、決裁者は判断しやすくなります。
2. 提案書・稟議書・起案書との違い
企画書と混同されやすい文書に、提案書・稟議書・起案書があります。役割が異なるため、違いを整理しておきましょう。
以下の表で、それぞれの違いをまとめました。
文書 | 提案先 | 役割 |
企画書 | 主に社内 | 自社の課題を解決する具体策を示す |
提案書 | 主に社外 | 顧客の課題解決案を提示する |
稟議書 | 社内 | 決裁・承認を正式に仰ぐ |
起案書 | 主に社内 | 新しい取り組みの実施を提案する |
企画書が「何をやるか」のアイデアと計画を示すのに対し、稟議書は「その実施や費用を認めてもらう」ための文書です。企画が固まったあと、予算や契約の決裁が必要になった段階で稟議書を回すという関係になります。
なお起案書は新しい取り組みやルール変更などを始める際に、内容を起こして承認を求める文書です。企業によっては、稟議書と近い意味で使われる場合もあります。
3.【種類別】事業・営業・商品・イベント企画書の使い分け
企画書は、提案する内容によって盛り込む項目が変わります。代表的な種類を押さえておくと、自分のテーマに合った構成を選べます。
以下の表で、主な企画書の種類と特徴を整理しました。
種類 | 主な目的 | 重視される項目 |
新規事業企画書 | 新規事業の立ち上げ提案 | 市場性・収支計画・体制 |
営業企画書 | 営業施策・販売戦略の提案 | 現状分析・実行計画・成果指標 |
商品企画書 | 新商品の開発提案 | ターゲット・コンセプト・価格 |
イベント企画書 | イベントの実施提案 | 目的・概要・予算・スケジュール |
どの種類でも基本の骨格は共通しています。次章以降で解説する基本構成を土台にして、種類ごとに重視される項目を厚くすると、過不足のない企画書になります。
企画書を書く前の事前準備|簡単3ステップ

企画書は、書き始める前の準備が大切です。準備を飛ばしていきなり書き出すと、論点がぶれて何度も差し戻される原因になるためです。
この章で解説するステップは以下の3つです。
決裁者のニーズと懸念点をリサーチする
目的とゴールをSMARTの法則で設定する
説得力を裏づける客観的データを集める
すぐに型を知りたい方は次章の基本構成から読んでも問題ありませんが、準備を押さえておくと通る確率が上がります。
1. 決裁者のニーズと懸念点をリサーチする
最初のステップは、企画書を承認する決裁者が何を求め、何を不安に思うかを把握することです。
決裁者の視点が抜けたまま自分の伝えたいことだけを書くと、「で、結局何がしたいの?」という反応につながります。
上司や役員が重視するのは、以下のような点です。
コストに見合う成果が出るか
実行できる体制があるか
リスクに備えているか
提案する相手が普段どんな観点で判断しているかを、過去の会議や承認された企画から逆算しておくと、刺さる企画書に近づきます。
2. 目的とゴールをSMARTの法則で設定する
2つ目のステップは、企画の目的とゴールを具体的な数値目標に落とし込むことです。
目標が曖昧なままだと、決裁者は成果を判断できません。
そこで役立つのが、目標設定の指針である「SMARTの法則」です。以下の5つの基準で目標を設定します。
Specific(具体的)
Measurable(測定可能)
Achievable(達成可能)
Relevant(関連性)
Time-bound(期限)
特に、数値と期限を入れるだけで、決裁者は達成度をイメージしやすくなります。
○ 良い例:「半年で既存顧客の受注額を15%伸ばす」(測定でき、期限も明確)
× 悪い例:「売上を伸ばす」(測定できず、いつまでにかも不明)
SMARTの法則を活用した効果的な目標の立て方についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
▼関連記事: 目標設定の方法とコツを徹底解説!フレームワークやシート記入例も紹介
3. 説得力を裏づける客観的データを集める
3つ目のステップは、主張の根拠になる客観的なデータをそろえることです。
「効果がありそうです」といった主観だけでは、決裁者は判断材料を持てません。
市場データや社内の実績数値、競合の動向など、第三者が見ても納得できる事実を集めておくと、企画の説得力が上がります。
データは企画書の各所で使います。
現状分析の裏づけ、課題の深刻さの提示、施策の効果予測など、どの場面でどの数字を使うかを準備段階で決めておくと、執筆がスムーズに進むでしょう。
企画書の基本構成8要素|そのまま使える書き方【例文付き】

ここからは、企画書の中核となる基本構成を解説します。
何をどの順番で書けばいいか分からない方は、この8要素を上から順に埋めていけば、論理の通った企画書になります。
まずは、8要素の役割を一覧表で確認しましょう。
要素 | 書く内容 | 読み手が判断すること |
表紙・タイトル | 企画名、提出者、日付 | 何の企画か |
概要 | 目的、施策、効果の要約 | 全体像を読む価値があるか |
背景・現状分析 | 市場・社内状況 | なぜ今必要か |
課題とゴール | 解決すべき問題と目標 | 何を達成する企画か |
企画内容 | 具体的な施策 | 実行内容は妥当か |
スケジュール・体制 | 期限、担当、進行方法 | 実行できるか |
予算・収支 | 費用、内訳、回収見込み | 投資に見合うか |
期待効果・リスク | 効果、懸念、対策 | 承認して問題ないか |
それぞれ詳しく解説します。
1. 表紙・タイトル
表紙とタイトルは、決裁者が最初に目にする部分です。何の企画かが一目で伝わるように、タイトルだけで内容がつかめる状態を目指しましょう。
曖昧なタイトルでは、読み手が中身を推測しなければなりません。「誰に・何を・なぜ」を一言で示すと、第一印象で要点が伝わります。
○ 良い例:「20代既存顧客の離脱を防ぐ月額500円プラン導入企画」(誰に・何を・なぜが一目で伝わる)
× 悪い例:「新サービスの件」「企画書」(何の企画か推測が必要)
2. エグゼクティブサマリー(概要)
エグゼクティブサマリーは、企画全体を数行に要約したパートです。忙しい決裁者は、まずここを読んで全体像をつかみます。
企画の目的・施策・期待効果を結論から簡潔にまとめ、エグゼクティブサマリーだけを読んでも「何をしたいか」が分かる状態にします。
冒頭で「結局これは何の企画か」が伝われば、決裁者は安心して続きを読めます。
○ 良い例:「20代の解約率増加に対し、月額500円の新プランを導入して離脱を防ぐ。半年で解約率を8%から5%に改善し、年間約800万円の売上維持を見込む」(冒頭3行で目的・施策・期待効果を要約している)
× 悪い例:「近年、サブスクリプション市場は拡大を続けており、競合他社も多数参入してきています。弊社でも……」(背景から始まり、結論が最後まで出てこない)
3. 背景・現状分析
背景・現状分析では、なぜ今この企画が必要なのかを示します。企画の出発点となるパートです。
市場の変化や社内の課題など、企画を立ち上げるに至った状況を客観的なデータとともに説明します。
ここで現状を正しく描けると、後に続く課題提起や施策の説得力が高まります。ただし、データを並べるだけでは、決裁者が企画の必要性を十分にイメージできない場合があります。
大切なのは、事実や数字を「なぜ今やるべきなのか」が伝わる流れで整理することです。例えば、「20代既存顧客の解約率が上昇している」「競合サービスでは低価格プランの導入が進んでいる」「このままでは価格に敏感な顧客の離脱がさらに進む」と順番に示すと、現状から課題、企画の必要性までが自然につながります。
○ 良い例:「20代既存顧客の解約率が直近半年で8%まで上昇している。競合サービスでは低価格プランの導入が進んでおり、このまま対策を打たなければ、価格に敏感な顧客の離脱がさらに進むおそれがある」(原因・現状・放置リスクを流れで示している)
× 悪い例:「最近、若年層の解約が増えている気がする」(主観的で根拠がない)
4. 課題と目的・ゴール
このパートでは、現状分析から導かれる課題とその解決で目指すゴールを示します。
「現状こうなっている」で終わらせず、「だからこの課題を解決する必要がある」「解決した先にこの状態を目指す」とつなげます。ゴールは事前準備で設定したSMARTの法則に沿って、具体的な数値で示すと決裁者が達成度をイメージできます。
○ 良い例:「価格を理由に解約している20代既存顧客に対し、3ヶ月以内に新料金プランを導入し、半年後までに解約率を8%から5%へ改善する」
× 悪い例:「若年層の解約を減らしたい」(課題もゴールも曖昧)
5. 具体的な企画内容・施策
具体的な企画内容では、課題をどう解決するかの施策を示します。企画書の中心となるパートです。
何を、誰に、どんな手順で、何を使って実行するかを具体的に描くと、決裁者は実現性を判断できます。
○ 良い例:「20代既存顧客向けに月額500円のライトプランを新設し、利用頻度の低い機能を一部制限することで、価格負担を下げながら継続利用を促す」
× 悪い例:「安いプランを追加する」(なぜ解決するのか不明)
6. スケジュール・実施体制
スケジュールと実施体制では、いつ・誰が・何をするかを示します。
実行計画が曖昧だと、決裁者は「本当に回るのか」と不安を抱きます。各タスクの期限と担当を明確にし、誰が責任者かを実名で示すと、実行できる企画だと伝わります。
○ 良い例:「企画責任者は山田、進行管理は佐藤。9月着手・11月実施」(担当と期限が明確)
× 悪い例:「担当者を立てて進める」(誰が責任者か不明)
7. 予算・収支計画
予算・収支計画では、企画にかかる費用と見込まれる成果を数字で示します。決裁者が最も厳しく見るパートです。
重要なのは、金額を具体的な内訳まで落とすことです。総額だけでは根拠が弱く感じられますが、項目ごとの内訳を示すと、コストの妥当性が伝わります。
○ 良い例:「合計98万円(制作40万円・広告運用45万円・計測ツール13万円)」(内訳で妥当性が伝わる)
× 悪い例:「約100万円」(根拠が不明で妥当性を判断できない)
8.期待効果とリスク・デメリット
最後のパートでは、企画で得られる効果と、想定されるリスク・デメリットを示します。
期待効果だけを並べたくなりますが、あえてデメリットやリスクも書くことで、かえって信頼を得られます。
決裁者は必ずリスクを気にするため、先回りして「このリスクには、こう対応する」と代替案まで示すと、指摘される前に不安を解消できます。
○ 良い例:「クーポンで利益率が下がるリスクには、原価率の低い商品に限定して対応する」
× 悪い例:「メリットしか書かず、リスクには触れない」
【テンプレート】用途別の企画書のフォーマット・例文

ゼロから企画書を作るのが難しいと感じるなら、テンプレートを使うのがおすすめです。
基本構成に沿ったフォーマットを埋めていけば、企画書作成に慣れていない方でも承認されやすくなります。
ここでは、Word・ExcelとPowerPointの企画書のテンプレート・例文を用意しましたので、自社での作成時にお役立てください。
Word・Excel
WordとExcelの企画書のテンプレートは以下のとおりです。


PowerPoint
PowerPointで作る場合は、1枚ごとに伝える内容を絞り、表紙・概要・背景・課題・施策・予算・スケジュール・期待効果の順で並べると、プレゼンでも説明しやすくなります。
以下にPowerPointでの企画書の例を提示しますので、参考にしてください。




企画書を含むさまざまな会議資料の構成や、AIを使った効率的な作成方法について知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
会議資料の作り方ガイド!種類別の構成サンプルやAIで時短する方法も解説
企画書に使えるフレームワーク3選

ここでは、企画書に使えるフレームワークを3つ紹介します。
フレームワーク | 整理する内容 | 使う場面 |
6W2H | 企画の要素を8項目で網羅 | 施策の詳細を固めるとき |
3C分析 | 顧客・競合・自社の3視点で市場を分析 | 背景・現状分析を書くとき |
SWOT分析 | 強み・弱み・機会・脅威を整理 | 自社の立ち位置を捉えるとき |
それぞれの使い方を具体例とともに解説します。
1. 6W2H
6W2Hは、企画の要素を漏れなく整理するフレームワークです。以下の8項目で企画を設計します。
例えばIT企業のSaaS営業チームの企画書なら、次のように埋めます。
項目 | 記入例 |
Why(目的) | 競合ツールへの乗り換えを防ぎ、解約率を10%下げる |
Whom(対象) | 利用率が落ちている既存の契約企業 |
What(施策) | 上位プランの2ヶ月無料トライアルの案内 |
Who(担当) | 営業チームのリーダーが統括、メンバー2名が運用 |
When(期間) | 第3四半期の3ヶ月間 |
Where(場所) | 既存顧客向けのメールとオンライン商談 |
How(方法) | 利用データをもとに対象企業へ個別提案 |
How much(予算) | ツール費・人件費あわせて50万円 |
この8つに答えられれば、企画の骨格に抜け漏れがない状態になります。書き始める前のチェックリストとしても使えます。
2. 3C分析
3C分析は、企画の前提となる市場環境を整理するフレームワークです。
以下の3つの視点から状況を分析します。背景・現状分析のパートで使うと、自社が置かれた状況を客観的に考えられるため便利です。
例えば、次のように整理します。
視点 | 分析内容の例 |
Customer(顧客) | 中小企業が中心。価格よりサポートの手厚さを重視 |
Competitor(競合) | 低価格の海外製ツールが国内展開を強化中 |
Company(自社) | 日本語サポートに強み。一方で料金は競合より高い |
3つの視点を埋めると、「価格の高さが弱みだが、日本語サポートの手厚さが強み」といった自社の立ち位置が見え、施策の方向性が定まります。
3. SWOT分析
SWOT分析は、自社の内部環境と外部環境を整理するフレームワークです。以下の4要素で状況を分析します。
要素 | 区分 | 内容の例 |
Strength(強み) | 内部 | 既存顧客の継続率が高い |
Weakness(弱み) | 内部 | 競合より料金が高い |
Opportunity(機会) | 外部 | DX推進で業務ツールの需要が伸びている |
Threat(脅威) | 外部 | 低価格な海外ツールの参入 |
強み・弱みは社内の要因、機会・脅威は社外の要因です。
SWOT分析を使うと、企画の根拠を補強したり、リスクを洗い出したりしやすくなります。
企画書が却下される2つの理由と改善策

通る企画書を書くために、まず「なぜ企画書が却下されるのか」を知っておくことがおすすめです。
企画書が却下される主な理由は以下の2つです。
自社の状況に落とし込めていない
関連部署への影響を考えていない
それぞれ詳しく解説します。
1. 自社の状況に落とし込めていない
1つ目は、一般論や他社事例をそのまま持ち込み、自社の状況に落とし込めていないパターンです。決裁者は、自社の人員・予算・時間の制約を踏まえて「本当に実行できるのか」を見ています。
例えば、「業界の成長企業はこうしています」「A社で成功した施策です」といった情報は、企画の参考にはなります。しかし、自社の顧客層や体制、予算に合っていなければ、決裁者は判断材料を持てません。
重要なのは、一般論や他社事例を紹介するだけで終わらせず、「自社に当てはめるとどう実行できるのか」まで具体化することです。自社の人員や予算、既存顧客の特徴を踏まえて説明できれば、借り物ではない企画として受け止められます。
○ 良い例:「A社の手法を参考にしつつ、自社では現行メンバー3名の空き工数で対応できるよう、対象を既存顧客の一部に絞って試す」(他社事例を自社の体制に合わせて具体化している)
× 悪い例:「A社が成功した施策なので、自社でも同じように導入する」(自社の人員・予算・顧客層を踏まえていない)
2. 関連部署への影響を考えていない
2つ目は、自部署の都合だけで組み立て、他部署への影響や社内調整が抜けているパターンです。決裁者は、企画が組織全体にどう波及するかまで見ています。
自部署では完結する企画でも、他部署の工数を奪ったり既存業務とぶつかったりすると、実現可能性が低いと判断されます。
影響範囲をあらかじめ洗い出し、「関係部署とはこう連携する」と示すと、組織で回せる企画だと伝わります。
○ 良い例:「情報システム部の確認が必要なため、着手前に連携体制を確保済み」(影響範囲を押さえている)
× 悪い例:「自部署だけで完結する想定」(他部署への波及を見落としている)
決裁者に伝わる企画書の書き方のコツ

却下される理由を踏まえたうえで、ここからは決裁者に伝わる企画書の書き方を解説します。
1スライド1メッセージで情報を整理する
数値とデータで主観を排して裏づける
見やすく整える
提出前に決裁者へ根回し(事前共有)しておく
松竹梅の法則で選びやすい選択肢を提示する
決裁者のタイプに応じて書き方を変える
それぞれ詳しく解説します。
1. 1スライド1メッセージで情報を整理する
1枚に結論・データ・補足情報を詰め込みすぎると、決裁者は「結局何を判断すればよいのか」を読み取りにくくなります。
例えば、あるスライドでは「20代既存顧客の解約率が上昇している」という現状を示し、次のスライドで「新料金プランによって解約率を改善する」という施策を示すように、論点ごとにページを分けると流れが伝わりやすくなります。
ただし、Wordで作成する企画書や、要点を1枚にまとめる資料では、複数の情報を同じページに載せることもあります。
その場合でも大切なのは、ページ全体で一番伝えたい結論を明確にすることです。見出しや冒頭文で主張を示し、表やグラフはその主張を補強する材料として配置しましょう。
○ 良い例:1枚のスライドで「20代既存顧客の解約率が上昇している」という現状を示し、グラフはその根拠として添える
× 悪い例:1枚に現状・原因・施策・予算・補足を詰め込み、何を判断すればよいのか分からない
1スライド1メッセージを実践するには、おすすめの手順があります。
元外資系コンサルタントの西原亮氏は「メッセージのみを全部つくりきってから、各メッセージに必要な要素を入れる」という手順を紹介しています。
スライドのデザインから始めるのではなく、まず各ページで言いたいことを1行で書き出してから資料に落とすと、1スライド1メッセージが自然に守れます。
引用:YouTube「【上司からも高評価】プレゼン資料作成の極意。手順とルールを守れば、誰でも作れます。コンサルタントの秘密の仕事術。」
2. 数値とデータで主観を排して裏づける
企画書の主張は数値とデータで裏づけましょう。「効果が見込めます」という主観的な表現は、決裁者を動かしません。
同じ主張でも、数値で示すと説得力が一気に増します。
数値の見せ方にもコツがあります。行動経済学では、同じ大きさの利益よりも損失を重く感じる「損失回避」の傾向があるとされています。この心理を企画書に応用すると、「やらないリスク」を先に見せた方が、決裁者の心が動きやすくなります。
○ 良い例:「この施策を実施しない場合、年間約500万円の機会損失が発生する。施策を実行すればこの損失を回避したうえで、売上を15%伸ばせる見込みである」(損失→利益の順で提示)
× 悪い例:「この施策で売上を15%伸ばせる見込みです」(利益だけでは切迫感が弱い)
また、データの出所にも注意が必要です。官公庁の統計や業界団体の調査など、第三者が確認できる情報源を示すと、数字の信頼性が高まります。
3. 見やすく整える
企画書は中身だけでなく、見やすさも評価を左右します。凝ったデザインは不要ですが、配色・フォント・レイアウトの3点を整えるだけで、読みやすさが大きく変わります。
以下の表に、すぐ実践できる基本ルールをまとめました。
項目 | 基本ルール | 具体的な目安 |
配色 | 色は4色以内に絞る | ベースカラー70%・メインカラー25%・アクセントカラー5%。アクセントは強調したい1か所のみに使う |
フォント | 書体を1種類に統一する | Windowsはメイリオか游ゴシック、Macはヒラギノ角ゴ。見出しと本文のサイズ基準を決めて使い回す |
整列 | 文字や図の位置をそろえる | 左端・上端をそろえる。スライド作成ソフトのガイド線を表示して配置する |
近接 | 関連する情報は近づける | 見出しと本文、図とキャプションをグループにし、無関係な要素は離す |
対比 | 重要度で強弱をつける | 結論や数値は大きく太く、補足は小さく。一目で優先順位が伝わるようにする |
デザインは飾りではなく、内容を正しく伝えるための手段です。配色やフォントを整えるほど、決裁者は中身に集中できます。
スライド作成のコツについてさらに知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
▼関連記事: 見やすいスライドの作り方| 作成のコツや効率化する方法を解説
4. 提出前に決裁者へ根回し(事前共有)しておく
企画書は、正式な提案の前に決裁ルートを把握し、決裁者へ要点を共有しておきましょう。自分が提出した企画書が、誰を経由して決定に至るのかを知っておくと、各段階で必要な情報を先回りして準備できます。
提出者と決裁者が異なる場合は、決裁者へ説明する人が使いやすいよう、要点をまとめた補足資料を添えると通過率が上がります。
会議でいきなり初見の企画書を出すより、事前に懸念点を聞いて反映しておくほうが、本番では「すでに目を通した企画」として通りやすくなります。
○ 良い例:本番前にキーマンへ要点を共有し、懸念をつぶしておく
× 悪い例:会議でいきなり初見の企画書を出し、その場の判断に委ねる
5. 松竹梅の法則で選びやすい選択肢を提示する
選択肢を複数提示すると、決裁者は判断しやすくなります。1つの案だけを出すと、「やるか・やらないか」の二択を迫られ、判断が重くなるためです。
ここで使えるのが、行動経済学で知られる「松竹梅の法則」です。人は3つの選択肢を示されると、両極端を避けて中間を選びやすくなる傾向があります。
松(理想案)・竹(推奨案)・梅(最小案)の3案を提示し、推奨案を中間案として置くと、決裁者が比較しながら判断しやすくなります。
○ 良い例:松・竹・梅の3案を出し、通したい案を中間の竹に置く
× 悪い例:1案だけ出して「やるか・やらないか」を迫る
6. 決裁者のタイプに応じて書き方を変える
同じ内容の企画書でも、決裁者のタイプによって刺さるポイントは異なります。Harvard Business Reviewに掲載されたウィリアムズとミラーの研究では、経営幹部の意思決定スタイルを5つに分類しています。
タイプ | 特徴 | 企画書で押さえるポイント |
カリスマ型(Charismatics) | 大きなビジョンと結果に反応する | 施策のインパクトと将来像を冒頭で強調する |
思考型(Thinkers) | データと論理で慎重に判断する | 根拠となる数値・比較データを厚めに盛り込む |
懐疑型(Skeptics) | 権威や実績がないと動かない | 第三者の調査データや導入事例を前面に出す |
追随型(Followers) | 前例や他社事例がないと不安になる | 同業他社の導入事例や業界トレンドを添える |
統制型(Controllers) | 自分でコントロールしたい | 詳細な分析資料を渡し、結論は相手に委ねる |
参考:National Library of Medicine「Change the way you persuade」
例えば、データ重視の思考型の決裁者に、ビジョン中心のプレゼンをしても響きません。逆に、カリスマ型の決裁者に、細かい数表ばかり見せても心は動かないでしょう。
提出前に「この決裁者はどのタイプか」を見極めるだけで、企画書の見せ方が変わります。
企画書作成が苦手な方はAI活用もおすすめ|RimoのナレッジAIエージェント

企画書づくりに時間がかかる場合は、AIを活用してたたき台を作る方法もあります。例えば、本記事で紹介した8要素を見出しとしてAIに渡し、目的・背景・課題・施策・予算などの情報を箇条書きで入力すれば、ゼロから書くよりも短時間で企画書のドラフトを作成できます。
ただし、一般的なAIに「企画書を作って」とだけ指示しても、自社の判断基準や過去に通った企画書の型までは反映されにくいものです。
社内ルールや過去資料を毎回プロンプトで説明する必要があり、かえって手間がかかる場合もあります。
そこで役立つのが、社内資料をもとに回答できるRimoの「ナレッジAIエージェント」です。過去の企画書やマニュアルを読み込ませておけば、自社のナレッジを踏まえた企画書のたたき台作成に活用できます。
また、入力データが学習に使われない仕組みに加え、ISO27001・ISO27017の取得やSAML認証にも対応しています。社内資料を扱ううえで不安になりやすいセキュリティ面にも配慮されているため、情報を保護しながら組織で活用しやすい点も特徴です。
企画書作成を属人化させず、社内の過去資料を活かして効率化したい場合は、AIを使った作成フローを検討してみてください。
※ISO27001は情報セキュリティ管理に関する国際規格、ISO27017はクラウドサービスの情報セキュリティ管理に関する国際規格です。SAML認証は、企業の認証システムと連携して安全にログインするための仕組みです。
企画書の書き方に関するよくある質問

最後に、企画書の書き方についてよく寄せられる質問に回答します。
企画書は何ページにまとめるのが適切ですか?
企画書のページ数に決まりはありませんが、要点が伝わるなら短いほどよいといえます。
忙しい決裁者は、長い資料をじっくり読む時間がありません。エグゼクティブサマリーで全体像を示し、詳細は必要な分だけ補足する構成にすると、ページ数が増えても要点が埋もれません。まずは1枚で要点をまとめ、必要に応じて補足資料を増やしましょう。
企画書はWord・Excel・PowerPointのどれで作るべきですか?
用途によって使い分けましょう。文章で詳しく説明するならWord、予算表や収支計画など数値を扱うならExcel、会議で投影しながら提案するならPowerPointが向いています。
ただし、企画書全体をExcelだけで作るケースは多くありません。基本はWordまたはPowerPointで企画の流れをまとめ、必要に応じてExcelで作成した予算表やスケジュール表を貼り付けると整理しやすくなります。
企画書は基本構成を押さえて「通る型」で書こう

企画書の書き方は、決裁者の承認を引き出すための「通る型」を押さえることが基本です。事前準備で決裁者のニーズや懸念点を確認し、目的・背景・課題・施策・予算・期待効果といった基本構成を順に整理すれば、論理の通った企画書を作りやすくなります。
ただし、型を理解していても、自社の実態に合った内容を毎回ゼロから書き起こすのは負担が大きいものです。過去の企画書やマニュアル、社内ルールといった蓄積を活用できれば、作成の手間を減らしながら、自社らしい企画書に近づけられます。
社内資料をアップロードするだけで自社仕様のAIをつくれるナレッジAIエージェントなら、過去資料や社内ナレッジを踏まえた企画書のドラフト作成を支援できます。企画書づくりを属人化させず、効率よく進めたい場合は、自社の資料を活用したAI作成フローを試してみてください。
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