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ナレッジ経営とは?手法・成功事例を初心者向けにわかりやすく解説【2026年最新】

ナレッジ経営とは、社員一人ひとりが持つ知識やノウハウを組織全体で共有・活用し、生産性の向上や技術継承に繋げる経営手法です。
人手不足が続き、人材の流動化も進むなかで、ベテラン社員の退職とともに判断基準やノウハウが失われるリスクは大きくなっています。個人の頭の中にある知識を、どう組織の資産に変えるかは経営そのものの課題です。
本記事では、以下の内容を解説します。
ナレッジ経営の定義
注目される背景
理論的な土台となるSECIモデル
導入の5ステップ
失敗の原因と対策
企業の実践事例
生成AIの登場でナレッジ経営がどう変わりつつあるのかも取り上げるので、自社で何から始めるべきかを判断する材料としてお役立てください。
ナレッジ経営とは?知識を経営資源として共有・活用する手法

ナレッジ経営とは、社員一人ひとりが持つ知識やノウハウを組織全体で共有・活用し、生産性の向上や技術継承に繋げる経営手法です。個人の頭の中に眠っている知恵を「経営資源」として扱い、会社の競争力に変えていく考え方を指します。
よく似た言葉に「ナレッジマネジメント」があります。両者はほぼ同じ意味ですが、ナレッジ経営は「知識の管理」という作業レベルではなく、経営戦略の一部として位置づけるニュアンスが強い呼び方です。
なお、ナレッジとノウハウの違いや用語の使い分けをより詳しく知りたい場合は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
▶関連記事:ノウハウ・ナレッジの意味や違いは?共有してビジネスに活かす方法
知識を組織で共有しビジネスに活かす「ナレッジシェア」の具体的な推進方法やおすすめツールについては、こちらの記事も役立ちます。
▶関連記事: ナレッジシェアとは?社内推進の方法や役立つおすすめツール11選を紹介
暗黙知と形式知|ナレッジ経営が扱う2つの知識
ナレッジ経営を理解するうえで欠かせないのが、暗黙知と形式知という2種類の知識です。
暗黙知とは、経験や勘、コツのように、言葉にしにくい知識のことです。
ベテランの営業担当者が持つ「この客先にはこの提案が響く」という感覚や、熟練工の「この音がしたら機械の調子が悪い」という判断が当てはまります。本人の中にあっても、そのままでは他者に共有しにくい知識です。
一方の形式知は、マニュアルや手順書、データのように、文章や図で表せる知識です。他者が理解・共有しやすく、再利用もできます。
ナレッジ経営では、この2つの知識を次のように循環させます。
個人の暗黙知を言語化して形式知に変える(例:ベテランの判断基準をマニュアル化する)
形式知を別の社員が読み、実践して自分の暗黙知にする(例:マニュアルをもとに実務で試し、自分のやり方として身につける)
この循環を繰り返すことで、知識は特定の人にとどまらず、組織全体に広がっていきます。
暗黙知と形式知の違いについては以下の記事で解説しています。
▶関連記事:暗黙知・形式知とは?違いや変換方法、属人化を防ぐ形式知化の実践法
ナレッジ経営の4つのタイプ
ナレッジ経営には、目的と手段によって4つのタイプがあります。自社がどのタイプを目指すのかを決めると、集めるべき知識も使うツールも変わってきます。
この4分類は、SECIモデルを提唱した野中郁次郎氏と紺野登氏の著書『知識経営のすすめ』で示された考え方です。以下の表で、それぞれの特徴を整理しました。
タイプ | 内容 | 向いている領域 |
ベストプラクティス共有型 | 優秀な社員の行動や成功事例を言語化し、組織全体のスキルを底上げする | 営業・コールセンターなど成果が見えやすい部門 |
専門知ネット型 | 社内の専門家と知識を結びつけ、必要な人がすぐ相談できる状態をつくる | 技術部門・専門職の多い組織 |
知的資本型 | 特許や技術、ノウハウを知的資産として蓄積・管理する | 研究開発・製造業 |
顧客知共有型 | 顧客対応の記録や声を集約し、対応品質や商品開発に活かす | サービス業・カスタマーサポート |
ナレッジ経営の進め方は、自社の課題によって異なります。「営業力の底上げ」であればベストプラクティス共有型、「技術の継承」であれば専門知ネット型や知的資本型が適しています。
まずは、自社で最も属人化が進んでいる業務や、知識の喪失リスクが高い領域を特定してください。そのうえで、どのタイプに近い取り組みが必要かを判断し、後述する導入手順に進みます。
ナレッジ経営が求められる4つの背景
ナレッジ経営が求められている背景には、以下の4つがあります。
背景 | 詳細 |
ベテラン社員の退職・転職 | 経験から身につけた判断基準やノウハウが、退職とともに失われやすくなっている。NotePMの調査では、47.2%が「退職時にスキルやノウハウを引き継げない」と回答。社員が在籍しているうちに知識を言語化し、組織に残す仕組みが必要 |
働き方の多様化 | テレワークの普及で、同じ職場で先輩の仕事を見ながら学ぶ機会が減り、暗黙知が自然に伝わりにくくなっている。場所や時間を問わず確認できる形で知識を共有する必要がある |
人手不足・採用難 | 新規採用だけでは増加する業務量に対応しにくい。業務が特定の社員に集中すると、限られた人員を有効に活用できない。社内にある知識を再利用し、少人数でも業務を回せる体制が求められる |
生成AIの普及 | AIが社内文書や過去のデータを参照し、回答や資料作成を支援する場面が増えている。AIから適切な回答を得るには、参照元となる社内ナレッジを整理・更新しておく必要がある |
出典:PR TIMES NotePM「ナレッジ管理に関する実態調査」
こうした変化に対応するため、個人が持つ知識を組織全体で共有・活用するナレッジ経営の重要性が高まっています。
ナレッジ経営で得られる4つのメリット

ナレッジ経営に取り組むと、業務の属人化を防ぐだけでなく、人材育成やイノベーション創出まで幅広い効果が期待できます。知識を共有する仕組みが、組織運営のさまざまな場面で効いてくるためです。
主なメリットは次の4つです。
業務の属人化を防ぎ、生産性が向上する
人材育成を効率化できる
顧客対応の品質が安定する
イノベーションを促進できる
以下で、それぞれ詳しく解説します。
1. 業務の属人化を防ぎ、生産性が向上する
ナレッジ経営によって期待できる効果の一つが、社員が情報を探す時間を減らし、本来の業務に集中しやすくなることです。
オウケイウェイヴ総研が会社員1,000名に実施した調査では、ビジネスパーソンは1日平均1.6時間を「調べもの」に使っていました。賃金に換算すると、日本全体で1日あたり約1,057億円相当の賃金が調べものに充てられる計算になります。
時間がかかる理由として多かったのは「知りたい情報が1か所にまとまっていない」「情報がどこにあるかわからない」でした。情報が整理されず、個人や部署に散らばっている状態そのものが、生産性を下げています。
ナレッジ経営で業務手順や過去の対応事例を1か所に集めておけば、担当者は詳しい社員を探して質問する手間が省けます。
同じ調査では、調べものの手段として44.2%の人が「上司や同僚に聞く」を挙げていると報告されており、聞かれる側の時間も奪われていました。知識を検索できる形にしておけば、聞く人も聞かれる人も手が空きます。
担当者が不在のときも、別の社員が記録をたどって業務を引き継げるため、対応の遅れも起きにくくなるでしょう。
出典:オウケイウェイヴ総研「【社内業務に関する調査】ビジネスマンが「調べもの」に費やす時間は毎日1.6時間」
2. 人材育成を効率化できる
ナレッジ経営は、新人が早く戦力になるためにも役立ちます。ベテランのノウハウが誰でも読める形にまとまっていれば、新人は先輩の手が空くのを待たず、自分のペースで学べるからです。
日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)の調査では、約9割の企業がOJTに課題を感じていると報告されました。課題の1位は「指導側に余裕(時間)がない」で64.7%、2位は「指導にバラツキがある」で63.6%でした。
この2つには、指導内容や判断基準が組織で共有されていないことも影響しています。指導内容が形式知になっていないため、先輩は毎回つきっきりで対応し、担当者によって説明にも差が生じます。
ナレッジ経営を導入して、指導内容や判断基準を共有しておけば、新人はまず蓄積された知識で自習でき、先輩は要点の確認だけで済ませられます。教える側の負担が減り、誰が教えても同じ水準を保てるため、育成にかかる時間とコストが下がるでしょう。
出典:株式会社日本能率協会マネジメントセンター「ナレッジマネジメントとは?目的や手法と成功事例をわかりやすく解説」
3. 顧客対応の品質が安定する
顧客対応の記録やノウハウを組織で共有すると、担当者が変わっても品質が落ちにくくなります。問い合わせやクレーム対応は、担当者の経験によって差が出やすいからです。
株式会社NEXERとオクトパスの共同調査では、業務の属人化による影響として「業務の引継ぎが困難」を挙げた企業が52.8%にのぼりました。「手順やプロセスが文書化されていない」も47.9%あり、対応の質が特定の担当者に依存している実態がうかがえます。
過去の対応履歴やよくある質問への回答を蓄積して共有すれば、誰が対応しても一定の水準を保てます。
その結果、顧客対応の品質が安定して、満足度向上にも繋がるでしょう。
出典:株式会社NEXER Group「【“業務の属人化”その影響とは?】52.8%が、業務の属人化で「業務の引継ぎが困難」と回答」
4. 部門をまたいだイノベーションが生まれる
異なる部門の知識が組み合わさると、単独の部署では思いつかなかった発想が生まれやすくなります。
たとえば、営業が「顧客から○○機能の要望が繰り返し出ている」という情報を共有し、開発が「既存技術を応用すれば対応できる」と気づけば、新しい機能や製品の企画に繋がります。営業だけでは技術の実現性が分からず、開発だけでは顧客の優先度が分かりません。
ナレッジ経営で部門を越えて知識を共有する仕組みがあれば、こうした掛け合わせが日常的に起きやすくなります。
ナレッジ経営の理論的基盤「SECIモデル」
ナレッジ経営を語るうえで欠かせないのが、SECIモデルという理論です。共同化・表出化・連結化・内面化という4つのプロセスの頭文字をとって、SECI(セキ)モデルと呼ばれています。
SECIモデルは、暗黙知と形式知が変換を繰り返しながら組織に広がっていく過程を、4つのステップで示したものです。
以下の表で、4つのステップを整理しました。
ステップ | 内容 | 具体例 | 知識の変換 |
①共同化(Socialization) | 体験を共有して暗黙知を受け渡す | 先輩に同行し、商談の進め方を肌で学ぶ | 暗黙知→暗黙知 |
②表出化(Externalization) | 暗黙知を言葉やルールに変換する | 商談のコツをマニュアルや動画にまとめる | 暗黙知→形式知 |
③連結化(Combination) | 形式知同士を組み合わせて新しい知識を生む | 部署ごとのマニュアルを統合し体系化する | 形式知→形式知 |
④内面化(Internalization) | 形式知を実践して自分の暗黙知にする | 研修で学んだ内容を実務で使いこなす | 形式知→暗黙知 |
特に難しいのが、暗黙知を言語化する「表出化」です。単なる作業手順だけでなく、経験者がどの情報をもとに判断しているのかを明らかにする必要があります。
ナレッジ経営の導入手順【5ステップ】

本記事では、米国の非営利組織APQCが示したナレッジマネジメントの実装ロードマップを参考に、実務で進めやすい5ステップに整理して紹介します。
経営課題として着手する
戦略を決めて範囲を絞る
推進体制・KPI・共有の仕組みを設計する
成功を全社に広げる
制度にして定着させる
以下で、それぞれ何をするかを解説します。
参考:Carla O'Dell(APQC会長)「Knowledge Management: What's Now and What's Next」CHIPS Magazine(米海軍)2002年
1. 経営課題として着手する
最初の段階でやるべきなのは、ナレッジ経営に取り組む意思決定と、組織内の支持を得ることです。
ナレッジ経営は、現場の工夫だけでは続きません。時間も予算もかかるため、経営として「取り組む」と決め、リソースを確保してはじめて前に進みます。
経営企画や現場管理者が起案する場合は、まず現場が最も困っている問題を一つ選びます。「退職による技術の喪失」「新人の教育に時間がかかりすぎている」といった問題を経営課題として位置づけ、ナレッジ共有が経営目標のどこに効くのかを示したうえで、経営層の合意を取りつけてください。
経営者自身が着手する場合は、属人化によって事業に影響が出ている業務を一つ特定し「この課題をナレッジ共有で解決する」と社内に方針を示しましょう。
2. 戦略を決めて範囲を絞る
支持を得たら、経営目標に沿って、最初に取り組む業務を選びます。対象に適しているのは、経営への影響が大きく、担当者の経験や判断によって成果に差が出ている業務です。
たとえば、以下のような業務が候補になります。
受注率の高い営業担当者の商談方法
ベテラン技術者しか判断できないトラブル対応
新人から同じ質問が繰り返される業務
3. 仕組みを設計して着手する
範囲が決まったら、責任者、成果指標、知識を共有する方法を設計し、試験運用を始めます。ツールだけを先に決めるのではなく、誰が情報を集め、誰が内容を確認し、いつ更新するかまで決めることが重要です。
■ 推進体制を決める
まず、対象部門の業務を理解している責任者を置きます。あわせて、経営企画や情報システム、人事など、全社展開を支援する部門の役割も明確にします。
■ KPIを設定する
投稿数だけを目標にすると、使われない情報が増えやすいため注意が必要です。KPIには、次のような「実際に使われた結果」を設定します。
情報を探す時間の変化
担当者への問い合わせ件数
新人が独り立ちするまでの期間
ナレッジの参照回数
古い情報の更新率
■ 知識を引き出し、共有する
共有する知識を作る際は、作業手順だけでなく、経験者が何を根拠に判断しているのかまで引き出します。現場で迷いやすいのは「どの順番で作業するか」だけではなく「どの条件ならAとBのどちらを選ぶか」という判断だからです。
たとえば、ベテラン社員に「何を見て異常と判断したのか」「どの条件で対応を変えたのか」と質問し「条件・判断・理由・結果」の形で記録します。
最後に、必要な情報を短時間で検索できる場所へ集約しましょう。最初から大規模なシステムを導入せず、既存ツールや対象部門に限定した環境から始めても構いません。
■ 試験運用は複数並行も有効
一つの施策に全社の成否を委ねず、対象業務や部門を分けて検証する方法もあります。複数の小規模な取り組みを並行すれば、一部が想定どおりに進まなくても、別の取り組みから成果や改善点を得られます。
ただし、複数施策を管理できる人員が不足している場合は、一つの対象業務から始めても構いません。
4. 成功を全社に広げる
試験運用で成果が出たら、以下のポイントを意識して他の部署へ広げます。
知識を共有する行動を評価制度に組み込む
試験運用の成果を数字にまとめて、次の部署へ共有する
各部署の業務に合わせて運用を調整する
特に重要なのが、評価との連動です。知識を共有する行為が評価に反映されなければ、忙しい社員にとっては後回しの作業になります。
「ナレッジを投稿した社員を人事評価で加点する」「質問に答える時間を業務として認める」といった形で、共有を「評価される仕事」に変えましょう。
成果の伝え方も重要です。「問い合わせ対応にかかる時間が○分短縮した」「新人の独り立ちまでの期間が○週間短くなった」など、具体的な数字で効果を示します。
5. 制度にして定着させる
最後は、以下の方法で広がった取り組みを定着させます。
古い情報を見直す担当者と更新周期を決める
「蓄積した量」ではなく「参照された回数」「担当者への質問件数の変化」など、利用状況を指標にして測り続ける
途中の成果で「完了」と判断せず、定期的に運用状況を振り返る場を設ける
ナレッジ経営は、制度として回し続けることで、組織のやり方として定着します。
ナレッジ経営が失敗しやすい2つのパターン
ナレッジ経営がうまくいかないときは、以下の2つのどちらに当てはまるかを確認してください。
症状 | 考えられる原因 | 対策 |
ナレッジが増えない | 責任者が不在/共有する時間が業務として認められていない/評価制度に反映されていない | 推進責任者を置き、共有にかかる時間を業務時間として認める。ナレッジの投稿や質問への回答を人事評価の加点対象にする |
ナレッジが使われない | 対象範囲が広すぎる/情報が古い/検索しても見つからない | 対象業務を絞り直し、古い情報を定期的に削除・更新する担当者と周期を決める。検索して1分以内に見つかるかを基準に、情報の整理方法を見直す |
ナレッジ経営の成功事例2選
ナレッジ経営の進め方は、企業が抱える課題によって異なります。ここでは、切り口の異なる2つの事例を紹介します。
リコー|暗黙知を組織の資産に変え、AIで活用する仕組みを構築
花王|顧客の声を全社で共有し、商品改善に活用
以下で、それぞれ詳しく解説します。
1. リコー|暗黙知を組織の資産に変え、AIで活用する仕組みを構築
リコーは、ベテラン社員が持つ経験や判断基準を組織として共有し、AIを活用して若手社員でもベテランに近い水準で業務を進められる体制を構築しています。
注目すべきは、AIを導入する前の徹底した準備です。同社はまず全社の業務を可視化し、重複する会議や不要な確認作業を洗い出して5〜6%の業務を廃止しました。
そのうえで残すべき知識を精査し、属人化していた判断基準をAIが参照できる形に整えています。この結果、ベテラン社員が数時間かけていた業務の準備時間を75%削減し、若手社員がそのナレッジを即座に活用できる環境を実現しました。
この事例が示しているのは、AIを単なる自動化ツールとしてではなく、個人の暗黙知を組織全体で活用するための手段として位置づけたことです。
「何をナレッジとして残すか」を経営として決め、不要な業務を捨てる判断まで行ったことが、社内で8,000体のAIエージェントを稼働させることに繋げています。
参考:YouTube「リコー公式チャンネル」
2. 花王|顧客の声を全社で共有し、商品改善に活用
花王は、消費者から寄せられた声を全社で共有し、商品の改善や開発に活かす仕組みを長年にわたって運用しています。
同社は独自の情報共有システム「花王エコーシステム」を構築し、消費者からの問い合わせや要望を、受け付けた当日中にシステムへ入力しています。マーケティング、商品企画、研究、生産、品質保証など、商品に関わる各部門の社員が日常的に確認できる仕組みです。
さらに、関連部門の責任者が定期的に一堂に会し、消費者の声をもとに商品や情報、サービスの改善点を議論しています。現場の対応記録がそのまま経営判断に使われる流れが、組織として制度化されています。
ナレッジ経営として学べるポイントは、個々の対応で終わらせず、顧客の声を組織の知識として蓄積・共有し、商品開発に繋げている点です。
参考:花王「お客さまの声を活かす取り組み」
参考:花王「生活者コミュニケーションセンターのご案内」
生成AI時代のナレッジ経営|AIで知識を活用する新しいアプローチ
ここでは、生成AI時代のナレッジ経営について解説します。
RAGによる社内ナレッジの活用
AIエージェントによる知識の自動整理・推薦
以下で、それぞれ詳しく解説します。
1. RAGで社内ナレッジをAIの判断材料にする
RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)とは、AIが回答を生成する際に、社内文書やデータベースから関連情報を検索し、その内容を根拠にして答えを返す仕組みです。
ナレッジ経営との関わりで重要なのは、蓄積した社内ナレッジを、AIが直接参照して活用できるようになる点です。
たとえば、以下のような社内資料をRAGの参照先に登録しておけば「先月の大口顧客への対応方針はどうなっていたか」と質問するだけで、内容を踏まえた回答を得られます。
マニュアル
過去の議事録
対応事例など
インターネット上の情報ではなく、自社だけが持つナレッジをAIに活用させる点が、一般的なAIチャットとの違いです。
また、回答の引用元となった文書を確認できる仕組みにすれば、AIが根拠のない情報を返すリスクを減らしやすくなります。
ただし、登録した資料が古い場合や、AIが適切な文書を取得できなかった場合は誤った回答が生成される可能性もあるため、参照資料の更新と回答内容の確認は引き続き必要です。
2. AIエージェントがナレッジを使って業務を自律的に進める
AIエージェントとは、目標を与えると、必要な手順を自分で考え、情報の検索や資料作成などを自律的に進めるAIです。人が一つひとつ指示しなくても、複数の作業を繋いで実行できる点が、通常のAIチャットとの違いです。
ナレッジ経営との関わりで重要なのは、AIエージェントが社内ナレッジを参照しながら業務を進められる点にあります。
たとえば、ツールによっては「先月の商談記録をもとに提案資料を作成して」と指示すると、過去の議事録や対応事例を参照し、資料のたたき台まで自動で作成できます。蓄積したナレッジが実際の業務に直接活用される仕組みです。
また、整理されたナレッジがあるほど、AIが返す回答や成果物の品質が上がるため、ナレッジ経営とAIエージェントは相互に効果を高め合う関係です。
▶関連記事:【2026年版】自律型AIエージェント完全ガイド|生成AIとの違い・サービス10選
▶関連記事:AIエージェントの活用例12選|自社で使える業務がわかる【2026年版】
「会議」が生成AI時代に必要なナレッジになる
ナレッジ経営で共有すべき知識は、マニュアルや報告書だけではありません。弊社Rimo合同会社は、「会議」のデータが、組織の重要なナレッジとして役立つと考えています。
マニュアルや報告書には「何を決めたか」という結論は残ります。一方で「なぜ別の案を見送ったのか」「誰がどのリスクを指摘したのか」といった意思決定の過程は記録されにくい傾向があります。
一方で会議には、この過程がそのまま残っています。採用した方針だけでなく、見送った選択肢や判断の根拠、参加者の反応や温度感まで、発言としてデータに残る点が会議の強みです。
生成AIにとって重要なのは、結論だけでなく「どういう状況で、なぜそう判断したのか」という文脈です。会議データをAIの参照元に加えれば、過去の判断の背景ごと踏まえた回答が得られるため、社内ナレッジの活用精度が上がります。
さらに、会議はナレッジの起点にもなります。会議中に出た「これを試してみたい」といった曖昧なアイデアも、AIが議事録からタスクとして抽出すれば、流れてしまうはずだった発想を組織のナレッジとして拾い上げられます。
ナレッジ経営に取り組む企業は、マニュアルや業務手順の整備と並行して、会議の記録を蓄積・活用する仕組みも検討してみてください。意思決定の文脈を組織で共有できれば、ナレッジの質が一段上がります。
▶関連記事:Rimo2026 - Rimoは「経営判断を助けるAIプロダクト」に向かっている話
ナレッジ経営を加速する『ナレッジAIエージェント』

ここまで解説したナレッジも、必要なときに探し出せなければ使われません。この「貯めたのに使えない」という課題を解決するのが、RimoのナレッジAIエージェントです。
ナレッジAIエージェントは、社内のマニュアルや過去の資料、議事録をアップロードするだけで、AIが内容を解析し、情報の検索から回答、資料作成までを担います。
「先月の大口顧客への対応方針は何か」といった曖昧な質問でも、関連する資料を踏まえた回答が引用元つきで返ってきます。
正確なキーワードを知らなくても目的の知識にたどり着けるため、これまで一部の人しか把握していなかったノウハウを組織の誰もが引き出せる状態に変えられます。
蓄積したナレッジを「貯める・探す・使う」まで一気通貫で扱えるので、ナレッジ経営の課題である属人化の解消も叶えられるでしょう。
入力したデータがAIの学習に使われない仕組みで、情報セキュリティの国際規格ISO27001・ISO27017も取得しているため、機密性の高い社内情報でも安心して扱えます。
「ナレッジ経営に関心がある」「ナレッジを活用したい」という方は、ナレッジAIエージェントが役立ちますので、まずはサービス概要をチェックしてみてください。
ナレッジ経営で組織の知を競争力に変えよう
ナレッジ経営とは、社員が持つ知識や判断基準を組織の資産として共有し、生産性の向上や技術継承に繋げる考え方です。成功させるには、ツールを導入するだけでなく、経営課題に紐づけた対象業務の選定、責任者の配置、評価制度との連動、更新ルールの設計まで行う必要があります。
まずは、自社で最も属人化が進んでいる業務を一つ選び、手順だけでなく判断基準まで記録するところから始めてみてください。
社内のナレッジをAIで検索・活用できる仕組みを整えたい方は、RimoのナレッジAIエージェントも検討してみてください。
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