一覧に戻る

取締役会に議事録作成は必須?抑えるべき基本から効率的な運営方法まで徹底解説

更新日: 2024/10/28 23:03
X(formerly Twitter)facebook
いまの会議、リモってた。
cover image

取締役会を設置している会社では、基本的に3ヶ月に1回以上の頻度で、取締役会の開催および議事録の作成を行う必要があります。取締役会議事録の作成と保管は、会社法で定められており、正しく作成しないと罰則の対象となる恐れがあります。

本記事では、取締役会議事録の基本的な内容と記載すべき項目、実際の文例(テンプレート)、効率的な運営方法について徹底解説します。ぜひ最後までご覧ください。

AIを活用して取締役会議事録の作成時間を半減させた井村屋グループ様の事例はこちらからご覧いただけます■

pc-screen.png

取締役会議事録とは?

取締役会議事録とは、取締役会の決定事項や参加者の氏名などを記録した書類です。会社法(第369条)によって取締役会が開催時の作成が義務付けられている法定文書となります。

取締役会議事録は、書面もしくは電磁的記録(デジタルデータ)で開催日から10年間保管しておく必要があります。

取締役会議事録を作成する理由

取締役会議事録を作成する理由として、以下の3つがあります。

1. 取締役会議事録を作成しないと罰則の対象となる

取締役会が開催されたのにも関わらず、議事録が作成されていない場合や必要事項が明記されていない場合は、会社法第976条によって100万円以下の過料が科される恐れがあります。

2. 取締役会での決定事項を明確にするため

取締役会で決定した事項に関して、書面で正式に記録しておくことによって、「言った言わない」などの水かけ論や、各ステークホルダーの認識の齟齬を防ぐことができます。決定事項を明確にしておくことで、紛争や余計なトラブルを未然に防ぐことにつながります。

3. 重要な情報を株主が書面で閲覧できるようにするため

取締役会議事録は、重要な情報に株主がすぐにアクセスできるようにすることを目的として、取締役会の開催日から10年間、本店に保管しておくことが義務付けられています。

株主および債権者は、会社の営業時間内に議事録の閲覧・謄写の請求を行うことが可能です。

取締役会議事録はいつまでに誰が作成するべき?

取締役会議事録の作成期限や作成者に関する法律上の決まりはありません。そのため、いつまでに誰が作成しても問題ありません。

ただし、先述したように取締役会議事録の作成には、決定事項を明確にすることや株主が情報にアクセスできるようにする目的があります。そのため、開催日から1ヶ月以内や、次回の取締役会の開催日までなど、一定の期間を自主的に設けて作成することが望ましいでしょう。

取締役会運営事務局を設けるケースも

企業によっては、総務部などのメンバーで構成される取締役会運営事務局を設けている場合があります。取締役会運営事務局の業務内容は企業によって異なりますが、一般的には以下のような業務を担当します。

取締役会議事録の作成は、企業によっては取締役自らが行っており、時間給の高い役員が議事録作成に多くの時間を費やしていることに課題を感じている企業は少なくありません。

取締役会運営事務局を設置することで、取締役会の前準備や進行・議事録作成などを行うことによって、取締役会の円滑な進行や役員の負担軽減といったメリットを期待することができます。

取締役会議事録は電子文書で作成できる?

取締役会議事録は、紙媒体とデジタルデータ(電子文書)のどちらで作成しても問題ありません。また、従来までは取締役会議事録には自筆での署名と押印が必要でしたが、2020年5月に法務省は「署名又は記名押印に代わる措置」として、電子署名も有効にするとの発表を行いました。

そのためデジタルデータで取締役会の議事録を作成し、クラウド電子契約事業者が提供する電子署名サービスを活用することで、議事録の作成と保管にかかる業務を効率化・円滑化することが可能です。

参考:取締役会議事録に施す電子署名についての法務省見解 – 新経済連盟

取締役会議事録に記載すべき内容

取締役会議事録は、会社法施行規則第101条3項で、以下の内容を含めるべきと定められています。

 取締役会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。

 取締役会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が取締役会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)

 取締役会が法第三百七十三条第二項の取締役会であるときは、その旨

 取締役会が次に掲げるいずれかのものに該当するときは、その旨

 法第三百六十六条第二項の規定による取締役の請求を受けて招集されたもの

 法第三百六十六条第三項の規定により取締役が招集したもの

 法第三百六十七条第一項の規定による株主の請求を受けて招集されたもの

 法第三百六十七条第三項において準用する法第三百六十六条第三項の規定により株主が招集したもの

 法第三百八十三条第二項の規定による監査役の請求を受けて招集されたもの

 法第三百八十三条第三項の規定により監査役が招集したもの

 法第三百九十九条の十四の規定により監査等委員会が選定した監査等委員が招集したもの

 法第四百十七条第一項の規定により指名委員会等の委員の中から選定された者が招集したもの

 法第四百十七条第二項前段の規定による執行役の請求を受けて招集されたもの

 法第四百十七条第二項後段の規定により執行役が招集したもの

 取締役会の議事の経過の要領及びその結果

 決議を要する事項について特別の利害関係を有する取締役があるときは、当該取締役の氏名

 次に掲げる規定により取締役会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要

 法第三百六十五条第二項(法第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)

 法第三百六十七条第四項

 法第三百七十六条第一項

 法第三百八十二条

 法第三百八十三条第一項

 法第三百九十九条の四

 法第四百六条

 法第四百三十条の二第四項

 取締役会に出席した執行役、会計参与、会計監査人又は株主の氏名又は名称

 取締役会の議長が存するときは、議長の氏名


引用:会社法施行規則 | e-Gov法令検索

以下で、記載が必須な内容についてそれぞれ解説していきます。

開催日時と場所

取締役会の開催日時と場所を必ず記載します。Zoom等のオンライン会議ツールを使用して参加した取締役がいた場合は、その出席方法も記載しましょう。

【記載例】

開催日時 2024年(令和6年)4月18日 13時00分~16時00分

開催場所 〇〇株式会社 当社第一会議室


なお、取締役山田太郎はオンライン会議ツールを使用して参加した。

決定事項

議事の要領および結果を記載する必要があります。取締役会の開催を通して、各取締役からどのような提案や発言があったか、またどのような結論に至ったのかを記録しましょう。

【記載例】

第1号議案

代表取締役選定の件について 取締役田中二郎より、△△を代表取締役に選定したいという旨の提案があった。決議の結果、取締役会はこれを可決した。

参加者の氏名

会社法施行規則第101条第3項において、取締役会に出席した執行役、会計参与、会計監査人又は株主の氏名又は名称を記載することが定められています。また、出席した取締役や監査役は取締役会議事録へ署名と押印が必要です。

関連記事:【実践】議事録の書き方が上手い人の特徴は?議事録作成のコツ10選

取締役会議事録の文例

ここからは、取締役会議事録の文例を紹介します。取締役会議事録は、含めるべき内容さえ記載されていれば、決まったフォーマットはありません。議事録作成の際の参考にしてください。

【記載例】

〇〇株式会社 取締役会 議事録

開催日時 2024年(令和6年)4月18日 13時00分~16時00分

開催場所 〇〇株式会社 当社第一会議室

取締役総数 3名(出席取締役3名)

監査役総数 1名(出席監査役1名)

出席取締役

田中二郎(議長)

丸山花

山田太郎

三浦美子(監査役)


なお、取締役山田太郎はオンライン会議ツールを使用して参加した。

第1号議案

代表取締役選定の件について 取締役田中二郎より、△△を代表取締役に選定したいという旨の提案があった。決議の結果、取締役会はこれを可決した。

第2号議案

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

第3号議案

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

田中二郎(議長)署名・印

丸山花 署名・印

三浦美子 署名・印

山田太郎(監査役)署名・印

関連記事:新入社員必見!わかりやすい議事録の書き方のコツとは?【すぐに使える例文・フォーマットも紹介】

取締役会を開催するまでの運営手順

ここからは、実際に取締役会の開催決定から実際に開催するまでの運営の流れについて解説します。ここでは社内で取締役会運営事務局を設置し、当局で運営を行うものとして説明します。

STEP1:取締役会の日程調整

まず最初に取締役会の日程調整を実施します。取締役会は、最低でも3ヶ月に1回、年4回以上開催しなければなりません。

ただし、重要な業務執行に関する決定などの際には、必要に応じて取締会を開催します。そのため、上場企業などでは月1回程度の頻度で取締役会が開催されることが多くなっています。

スクリーンショット 2024-04-26 14.15.23.png

画像参照:取締役会の機能向上等に関するコーポレートガバナンス実態調査報告書(有限責任監査法人トーマツ)

有限責任監査法人トーマツが、東証上場企業870社を対象に実施した取締役会に関する調査によると、1年間の取締役会の開催頻度は、「13〜15回」が36%と最も多く、ついで「16〜18回」が25%となっており、月1回以上の頻度で開催されていることが明らかになっています。

STEP2:取締役会の招集決定と通知

日程の調整が完了したら、招集決定と通知を行います。招集の通知は書面で行う必要はなく、メールや電話でも問題ありません。口頭での通知は、招集通知の事実を立証することが困難なため、なるべく記録として残るメールでの通知を推奨します。

通知は取締役と監査役の全てに行い、開催日の1週間前までに通知を発する必要があります。

会社法第368条(招集手続)

取締役会を招集する者は、取締役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役及び各監査役)に対してその通知を発しなければならない。

前項の規定にかかわらず、取締役会は、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。

引用:会社法 | e-Gov法令検索

STEP3:取締役会の開催

実際に取締役会を日程通りに開催します。取締役会の議長は、通常は定款で代表取締役が務めることになっていますが、定款で決まりがなければ、他の取締役が務めても問題ありません。

なお、取締役会の開催には、取締役会の過半数の出席が必要となっています。この際、決議に特別の利害関係を持つ取締役に関しては、議決に加わることができないことに注意しましょう。

(取締役会の決議)

第三百六十九条 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。

 前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない。

引用:会社法 | e-Gov法令検索

STEP4:取締役会議事録の作成

取締役会での決定事項や参加者などを議事録へ記載します。

STEP5:取締役会議事録への署名&押印

取締役会の終了後に、取締役および監査役に議事録の回覧を行います。取締役会に参加した取締役で議事録に決議に関して異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定されます。もし決議に反対の場合は、議事録に反対取締役として自身の名前が記載されているかをチェックする必要があります。

第三百六十九条(取締役会の決議)

5 取締役会の決議に参加した取締役であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。

引用:会社法 | e-Gov法令検索

STEP6:取締役会議事録の保管および閲覧請求への対応

最後に押印&署名が完了した取締役会議事録の保管を行います。保管は、取締役会の開催から10年間、会社本店に保管することが義務付けられています。また、株主・債権者から取締役会議事録の閲覧請求があった場合は、速やかに対応する必要があります。

【事例】AIツールを活用し、取締役会議事録の作成時間を半減

取締役会の議事録を作成する上で、「誰が、どれくらいの時間をかけて作成すべきか」という点で悩まれる会社は多いでしょう。

経営陣ではなく運営事務局や議事録担当者が作成するとしても、会議内の発言を一言一句すべて残そうとすると、文字起こしの作成だけでかなり時間がかかってしまいます。
結果、時間給の高い社員が議事録作成業務に忙殺されることでチームの生産性が下がったり、残業時間が増える原因となったりすることも珍しくありません。

同様の課題を抱えていた井村屋グループ株式会社では、AI議事録作成ツール「Rimo Voice」を導入することで、取締役会や監査役会などの議事録作成工数を半減することに成功しました。

pc-screen.png

詳しい事例インタビューの内容は以下記事でご紹介しています。

議事録作成時間半減!担当者も「もう業務に欠かせない」井村屋グループ株式会社様

関連記事:ChatGPTで議事録作成する方法・プロンプト・コツを徹底解説!おすすめのAI議事録ツールも紹介

【2024年最新】AI議事録自動作成ツール30選!|おすすめの定番・新規ツールや選び方を徹底紹介

まとめ

本記事では、取締役会議事録の基本的な事項や、含めるべき内容、そして具体的な文例について解説しました。

取締役会議事録は、会社法によって作成が義務付けられており、開催のたびに正しく作成し、10年間にわたり保管しておく必要があります。取締役会の決議内容を記録しておくことで、後のトラブルを防ぐ効果や株主が重要な情報にアクセスすることができるというメリットがあります。

その一方で、取締役会の議事録作成は、役員自らが行うケースも多々あり、多くの企業で課題となっています。


そんな時に活用したいのが、AIによる自動文字起こし・自動要約ができる「Rimo Voice」です。

こちらから無料トライアルの登録ができるので、ぜひお気軽に一度Rimo Voiceをお試しください。

最終更新日: 2024 / 10 / 28

Rimoで議事録作成をAIに任せて作業効率UP

30秒22円でできるカンタン自動文字起こし。スマホとパソコンでご利用頂けます。

Rimo

関連記事

タグ

  • 議事録
  • 会議関連
  • 業務効率化

一覧に戻る

Rimo logo
ヘルプ
利用規約
プライバシーポリシー
情報セキュリティ方針
特定商取引法に基づく表記
運営会社
© 2020 RIMO LLC.