【文例あり】取締役会議事録の書き方は?記載事項・署名押印・効率化の方法まで解説

「取締役会の議事録に何を書けば、法的に問題ないのかわからない」
「毎回の清書に時間がかかりすぎて、他の業務が後回しになる」
こうした悩みを抱えながら取締役会議事録を作成している方は多いのではないでしょうか。年に何度も発生する業務なのに、毎回同じところで手が止まってしまいます。
本記事では、取締役会議事録に記載すべき事項と文例、署名・押印や電子化のルール、保管・閲覧請求への対応、そして作成を効率化する方法までを順に解説します。読み終えたときには、自社の取締役会議事録を迷わず組み立てられる状態になっているはずです。
なお、役員会議の議事録作成そのものを効率化したい場合は、AI議事録サービス『Rimo』も選択肢のひとつです。井村屋グループ株式会社では、役員会議の議事録作成にかかる時間を半減させています。

取締役会議事録とは?会社法で作成が義務付けられた法定文書
取締役会議事録とは、取締役会の決定事項や出席者の氏名などを記録した書類です。会社法第369条3項により、取締役会を設置する会社に作成が義務付けられた法定文書です。
書面または電磁的記録(電子データ)のどちらで作成してもかまいません。決まった書式はありませんが、記載すべき事項は会社法施行規則で個別に定められています。
作成した議事録は、取締役会の開催日から10年間、本店に備え置く義務があります。まずは、なぜここまで厳格に扱われるのか、作成する理由から確認しましょう。
取締役会議事録を作成する3つの理由
取締役会議事録の作成が求められる理由は、大きく3つに整理できます。
過料を避けるため:作成しない、または記載事項に不備があると、会社法第976条により100万円以下の過料の対象になる可能性があります
決定事項を明確にするため:書面で記録を残すことで、「言った言わない」の水掛け論や認識の齟齬を防げます
株主・債権者への情報開示のため:取締役会議事録は、株主や債権者が閲覧・謄写を請求できる正式な記録です
いずれも「記録を残す」こと自体が目的というより、後から確認できる状態を作っておくための仕組みだといえます。
経営会議の議事録との違い(法的義務の有無)
取締役会は会社法上の機関であり、議事録の作成は法律上の義務です。一方、経営会議は会社が任意に設ける会議体のため、議事録の作成に法的な義務はありません。
経営会議そのものの位置づけや、取締役会との役割分担を詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:経営会議とは?取締役会との違いや目的、あるべき姿にする成功法則を解説
取締役会議事録に記載すべき事項
取締役会議事録の記載事項は、会社法施行規則第101条3項で定められています。条文は細かい項目まで列挙していますが、実務で押さえるべき要点は限られています。

必ず記載する基本項目
どの取締役会でも共通して必要になるのは、次の4項目です。
項目 | 記載する内容 |
|---|---|
開催日時・場所 | 開始・終了時刻と会場。オンライン参加者がいる場合はその出席方法も記載する |
出席者の氏名 | 出席した取締役・監査役(執行役・会計参与・会計監査人が出席した場合はその氏名も) |
議長の氏名 | その回の取締役会で議長を務めた取締役の氏名 |
議事の経過の要領及びその結果 | どのような提案・発言があり、どのように決議されたか |
「議事の経過の要領」は、一言一句の再現までは求められていません。議案ごとに提案内容・主な質疑・決議結果が追える程度にまとめれば十分です。
開催の経緯によって記載が必要になる項目
上記に加えて、開催の経緯によっては次の事項も記載が必要になります。
株主や監査役の請求を受けて招集された取締役会である場合は、その旨
決議事項について特別の利害関係を持つ取締役がいる場合は、当該取締役の氏名
会社法が定める意見や発言があった場合は、その内容の概要
たとえば、代表取締役の選定議案で当の代表取締役候補が議決に加わる場合は、特別の利害関係にあたります。このようなケースでは、対象となる取締役の氏名を明記します。
自社の取締役会がこれらに該当するかどうかは、招集の経緯と議案の内容から毎回確認しておくと記載漏れを防げます。特別な経緯がない通常の取締役会では、この項目は不要です。
欠席者・オンライン参加者の書き方
オンライン会議ツールを使って参加した取締役がいる場合は、その出席方法の記載が必須です(会社法施行規則第101条3項1号)。
あわせて確認したいのが、各取締役の音声と画像が即時に伝わり、適時的確な意見表明が互いにできる環境であったかどうかです。
この考え方は、法務省民事局参事官室の平成8年4月19日付け「規制緩和等に関する意見・要望のうち、現行制度・運用を維持するものの理由等の公表について」がもとになっています。
欠席した取締役がいる場合は、欠席の事実を記載します。「取締役◯◯は都合により欠席した」のように、欠席理由まで書き添える会社も多くあります。
決議に反対した取締役がいる場合は、議事録に反対の事実が正しく記載されているかを本人が確認することが重要です。反対の事実が記載されていないと、賛成したものと推定されてしまうためです。
取締役会議事録の文例・テンプレート3パターン
ここでは、実開催・Web会議(オンライン)開催・書面決議(みなし決議)の3パターンについて文例を紹介します。記載すべき事項が漏れなく入っていれば、書式は自由です。
実開催の場合の文例
対面で取締役会を開催した場合の文例は、次のとおりです。
〇〇株式会社 取締役会議事録
開催日時:2026年〇月〇日 13時00分〜14時00分
開催場所:当社本店会議室
取締役総数3名(出席取締役3名) 監査役総数1名(出席監査役1名)
出席取締役:田中二郎(議長)、丸山花、山田太郎
出席監査役:三浦美子
第1号議案 代表取締役選定の件
取締役田中二郎より、〇〇を代表取締役に選定したい旨の提案があり、決議の結果、これを可決した。
以上の議事の経過及びその結果を明確にするため、本議事録を作成する。
田中二郎(議長) 署名・印
丸山花 署名・印
山田太郎 署名・印
三浦美子(監査役) 署名・印
決議事項が複数ある場合は、第2号議案以降も同じ形式で書き加えていきます。
Web会議(オンライン)で開催した場合の文例
取締役会をオンラインで開催した場合は、開催場所と出席方法の記載が変わります。
〇〇株式会社 取締役会議事録
開催日時:2026年〇月〇日 13時00分〜14時00分
開催場所:オンライン会議(Zoom利用)
出席取締役:田中二郎(議長)、丸山花、山田太郎(いずれもオンライン会議ツールを使用して出席)
出席監査役:三浦美子(オンライン会議ツールを使用して出席)
本取締役会は、各取締役の音声と画像が即時に他の取締役へ伝わり、適時的確な意見表明が互いにできる環境で開催されたことを確認した。
第1号議案 〇〇の件
(議事の経過及び結果は実開催の場合と同様に記載する)
田中二郎(議長) 署名・印 ※以下、出席者全員分を記載
実開催との違いは、開催場所の書き方とオンライン出席の確認文を加える点だけです。それ以外の記載事項は変わりません。
書面決議(みなし決議)の場合の文例
取締役全員の同意により決議を省略した場合(会社法第370条)も、議事録の作成は必要です(会社法施行規則第101条4項)。緊急の決議が必要なときに、取締役会を開かず書面のやり取りだけで済ませられる制度です。
〇〇株式会社 取締役会議事録(決議の省略)
会社法第370条の規定に基づき、取締役の全員が下記議案について、提案の内容に同意する旨の意思表示を行った。
決議事項:代表取締役選定の件
提案をした取締役:田中二郎
決議があったものとみなされた日:2026年〇月〇日
議事録の作成に係る職務を行った取締役:田中二郎
書面決議の議事録は、開催を前提とした記載がなくなるため、実開催・オンライン開催より短くなります。記載する4項目(決議事項の内容・提案者・みなし決議日・作成者)を漏らさないことが要件です。
なお、書面決議を行うには、あらかじめ定款でその旨を定めておく必要があります。定款に定めがない会社は、通常どおり取締役会を開催して決議する必要があります。
参考:会社法|e-Gov法令検索/会社法施行規則 | e-Gov法令検索
取締役会議事録の署名・押印と電子化のルール
議事録を作成したら、次に確認するのが署名・押印と保管のルールです。ここでは3つのポイントに分けて解説します。
出席した取締役・監査役の署名または記名押印が必要
書面で議事録を作成した場合、出席した取締役および監査役は署名または記名押印が必要です(会社法第369条3項)。
決議に参加した取締役のうち、議事録に異議をとどめなかった者は、その決議に賛成したものと推定されます(同条5項)。反対の立場であれば、議事録に反対した取締役として自身の名前が記載されているかを確認しておく必要があります。
電子署名でも作成できる
議事録を電磁的記録で作成する場合、署名・押印に代わる措置として電子署名を用いる必要があります(同条4項)。
2020年6月には、内閣府・法務省・経済産業省が「押印についてのQ&A」を公表し、押印がなくても契約の効力に影響しないことや、電子署名・電子認証サービスの活用が押印の代替になりうることを整理しました。
押印を電子署名に切り替えたい場合は、この整理を参考に社内の運用ルールを確認するとよいでしょう。
電子署名への切り替えは、出席者が複数の拠点に散らばっている会社ほど効果が出やすい取り組みです。押印のために原本を持ち回る手間や、郵送で回覧する時間を省けます。
なお、代表取締役の選定議事録を役員変更の登記に使う場合は、押印した印鑑の証明書が別途必要になるケースがあります。登記に使う予定がある議事録は、早めに登記手続きの窓口や専門家に確認しておくと安心です。
保管期間は10年間|閲覧・謄写請求への対応
作成した議事録は、開催日から10年間、本店に備え置く義務があります(会社法第371条1項)。
株主は、自身の権利を行使するために必要があるときは、会社の営業時間内であればいつでも議事録の閲覧・謄写を請求できます(同条2項)。
ただし、監査役・監査等委員会・指名委員会等を置く会社では、この請求に裁判所の許可が必要です(同条3項)。取締役会を置く会社の多くはこれらの機関も置いているため、実務では裁判所の許可を得たうえでの請求が基本になります。
債権者も、役員の責任を追及するために必要があるときに限り、裁判所の許可を得て閲覧・謄写を請求できます(同条4項)。
「備え置く」とは、単にファイルを保存しておくことではなく、請求があればすぐに確認・提示できる状態を保つことを指します。電子データで保管する場合も、必要なときに検索・表示できることが前提です。
保管場所やアクセス権限が曖昧なままだと、請求を受けてから慌てることになります。会議体ごと・年度ごとに保管ルールを決めておくと対応がスムーズです。
取締役会議事録を作成する流れ5ステップ
ここでは、議事録担当者(事務局)の目線で、取締役会の招集から議事録の保管までの流れを5つのステップで整理します。取締役会そのものの運営方法ではなく、議事録に関わる動きに絞って解説します。
招集通知:取締役会の日の1週間前までに、各取締役・監査役へ通知します(会社法第368条)。記録に残るメールでの通知がおすすめです
開催・記録:取締役会の当日は、メモを取りながら録音をしておきます。あとから聞き返す前提で音声を残しておくと、記載漏れを防げます
議事録の作成:上で紹介した文例を参考に、記載事項を漏らさずまとめます。開催の経緯によって追加が必要な項目も、このタイミングで確認します
回覧・署名押印:出席した取締役・監査役に議事録を回覧し、署名または記名押印してもらいます。反対意見があった取締役は、その旨が記載されているかを確認してもらいましょう
保管・閲覧請求対応:完成した議事録は本店に10年間保管し、株主・債権者からの閲覧請求があれば速やかに対応します
この5ステップのうち、担当者の作業時間を最も圧迫するのは2の記録と3の作成です。ここを効率化する方法を、次の章で紹介します。
議事録作成のために録音したメモがうまく整理できず時間がかかっている場合は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:議事録のメモが追いつかないのはなぜ?6つの原因と今日からできる対処法を紹介

取締役会議事録の作成を効率化する方法
記録(録音・文字起こし)とドラフト作成はAIで効率化できます。一方で、確認・承認・署名は人が担う、という分担にすれば、法令の要件と作業時間の削減を両立できます。
取締役会は「記録の形が法令で決まっている会議」|ツール選びの注意点
Web会議ツールの標準的な要約機能で足りる会議も多くあります。一方、記録の形式が法令や社内規程で決まっている会議は、標準機能だけでは要件を満たせない場合があります。
取締役会は、まさにこの「記録の形が法令で決まっている会議」の代表例です。議事録に何を残すべきかが会社法施行規則で規定されているため、ツールを選ぶときは、必須の記載事項をあとから抜け漏れなく反映できるかを基準にするとよいでしょう。
一般的な会議の要約機能は、話し合いの内容を短くまとめることに最適化されています。
一方、法定の議事録に必要なのは「決議の結果」や「出席者の氏名」といった、要約からは抜け落ちやすい定型項目です。この違いを理解しておくと、ツール選びで失敗しにくくなります。
AIが下書きし、最後は人が確認して署名する
「AIに法定文書の作成を任せるのは不安」と感じる場合、その不安の中心は精度そのものではなく、「誰が責任を持つのか」という点にあることが多いです。
AI議事録ツールは、あくまで議事録作成を支援するものであり、完成品を自動生成するものではありません。録音の文字起こしと下書きの作成はAIが担い、内容の確認・承認・署名は出席した取締役が担う、という分担を明確にしておくことが大切です。
たとえばAI議事録サービスの『Rimo』は、日本語に特化した自動文字起こしと要約に対応しています。会議終了後わずか5〜10分で、議事録の下書きが完成します。
あとは出席者が内容を確認し、必要な修正を加えるだけです。文字起こしの精度は録音環境にも左右されるため、マイクの位置など集音環境を整えておくと、確認・修正の手間をさらに減らせます。
機密性の高い会議で確認すべきセキュリティ
取締役会は社内でも機密性の高い会議です。効率化のためにツールを導入する場合、確認したいのは認証ロゴの数ではなく、預けたデータがどこへ行くのかという実務的な観点です。
AIの学習に会議データが使われないか
データの保存場所と、通信・保存時の暗号化の有無
ISO27001(情報セキュリティ全般)とISO27017(クラウドサービス特有の管理)の両方を取得しているか
IPアドレス制限やシングルサインオン(SSO)など、アクセス制御に対応しているか
これらの機能は『Rimoの特徴・機能一覧』で確認できます。
この観点で導入を検討したのが、井村屋グループ株式会社です。同社では役員自身が時間をかけて議事録を作成していることが課題となり、AI議事録サービスの導入を検討しました。
決め手のひとつになったのが、クラウドサービスでありながらセキュリティが確保されている点と、官公庁でも利用されているという実績です。導入後は、役員会議の議事録作成にかかる時間が半減しました。
関連記事:議事録作成時間半減!担当者も「もう業務に欠かせない」| 井村屋グループ株式会社様

取締役会議事録に関するよくある質問
Q. 取締役会議事録はいつまでに誰が作成すべきですか?
取締役会議事録の作成期限や作成者について、法律上の明確な決まりはありません。そのため、誰がいつまでに作成しても法令違反にはなりません。
ただし議事録には、決定事項を明確にし、株主が情報にアクセスできるようにする目的があります。開催日から1ヶ月以内、または次回の取締役会までなど、社内で目安の期間を決めて作成することをおすすめします。
作成者についても同様で、法律は特定の役職者を指定していません。実務では、事務局の担当者が原案を作り、議長や作成の職務を担う取締役が内容を確認する分担が一般的です。
Q. 取締役会議事録の作成を省略できますか?
省略できません。取締役会議事録は会社法第369条に基づき作成が義務付けられており、これを省略することはできません。
なお、取締役全員が書面または電磁的記録で同意すれば、決議を省略できる「書面決議(みなし決議)」の制度があります。この場合も議事録の作成は必要です(会社法施行規則第101条4項)。
開催の有無にかかわらず、議事録は必ず作成すると考えておきましょう。
Q. 取締役会議事録と株主総会議事録は何が違いますか?
どちらも会社法で作成が義務付けられていますが、根拠となる条文と会議体の性質が異なります。取締役会議事録は取締役会、株主総会議事録は株主総会の記録です。
保管期間にも違いがあります。取締役会議事録は本店に10年間保管しますが、株主総会議事録は本店10年間に加えて、支店にも写しを5年間保管する必要があります。
押印の扱いも異なります。取締役会議事録は出席した取締役・監査役の署名または記名押印が会社法上明記されていますが、株主総会議事録には押印を求める規定がありません。同じ「議事録」でも、要件をそのまま流用できない点に注意が必要です。
株主総会議事録の記載事項や文例を詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:株主総会議事録の書き方は?記載事項6項目と記載例・保存期間をわかりやすく解説
Q. 取締役会はオンラインで開催してもよいのでしょうか?
可能です。各取締役の音声と画像が即時に伝わり、適時的確な意見表明が互いにできる環境であれば、オンラインでの開催が認められています。
議事録には、オンラインで参加した取締役の出席方法を記載する必要があります(会社法施行規則第101条3項1号)。記載方法は、この記事で紹介した文例を参考にしてください。
まとめ|取締役会議事録は記載事項と保管ルールを押さえれば作れる
本記事では、取締役会議事録の記載事項、実開催・オンライン・書面決議の3パターンの文例、署名・押印と電子化のルール、保管・閲覧請求への対応、作成を効率化する方法までを解説しました。
押さえるべき軸は多くありません。会社法施行規則が定める記載事項を漏らさず、出席した取締役・監査役の署名または記名押印を得て、10年間本店に保管する。この3つを守れば、法令上の要件は満たせます。
そのうえで、作成にかかる時間そのものを減らす工夫も進めていきたいところです。記録と下書き作成はAIに任せ、最後の確認と署名は人が担う、という分担にすれば、法定文書としての正確さを保ちながら作業時間を減らせます。
毎回の取締役会で同じ作業に時間を取られている場合は、記録の進め方そのものを見直してみてはいかがでしょうか。
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