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株主総会議事録の書き方は?記載事項6項目と記載例・保存期間をわかりやすく解説
株主総会議事録は会社法で作成が義務づけられた書類です。会社法施行規則が定める記載事項6項目、定時・臨時・書面決議それぞれの記載例、本店10年・支店5年の保存ルール、押印や電子化の扱いまでわかりやすく解説します。

「株主総会の議事録は、何をどこまで書けばいいのだろう」
「保存期間や押印のルールが、調べるサイトごとに違って見える」
「前任者のファイルを真似しているだけで、法的に足りているか自信がない」
株主総会の議事録づくりでは、こうした不安を抱えたまま作業を進めている方も多いのではないでしょうか。年に一度の業務なので、毎回ゼロから調べ直すことになりがちです。
ただ、株主総会議事録は会社法で作成が義務づけられた書類で、書くべき項目も法務省令で決まっています。裏を返せば、押さえるべきポイントは有限です。
本記事では、会社法と会社法施行規則の条文をもとに、記載すべき6つの項目と記載例、保存期間や押印の扱いまでを順に解説します。
読み終えたときには、自社の株主総会議事録をそのまま組み立てられる状態になっているはずです。
株主総会議事録とは
株主総会議事録は、株主総会で何がどう決まったかを記録し、会社に保管しておく書類です。作るかどうかを会社が選べる書類ではありません。ここではまず、義務の根拠と似た記録との違いを整理します。
会社法が作成を義務づけている記録
会社法318条1項は「株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない」と定めています。
対象は株式会社全体で、上場・非上場や規模による例外はありません。株主が1人だけの会社でも同じです。
「法務省令で定めるところにより」の中身が会社法施行規則72条です。ここで作成方法と記載事項が具体的に指定されています。
議事録は書面と電磁的記録のどちらで作ってもかまいません(会社法施行規則72条2項)。紙で残すか、社内のシステム上に電子データで残すかは会社の運用に委ねられています。
もう一点押さえておきたいのが、株主総会を開かなかった場合も議事録が必要になることです。株主全員の同意で決議を省略したときも、後述する特則に沿った議事録を作ります。
取締役会議事録・経営会議の記録との違い
社内には似た名前の記録が並んでいて、要件を混同しやすい部分です。違いは「誰が決める会議か」で整理できます。
記録 | 会議体の性質 | 作成義務の根拠 | 本店での備置期間 |
|---|---|---|---|
株主総会議事録 | 株主が決議する法定の機関 | 会社法318条 | 10年 |
取締役会議事録 | 取締役が業務執行を決定する法定の機関 | 会社法369条3項・371条 | 10年 |
経営会議の議事録 | 会社が任意に設ける会議体 | 法律上の義務はなし | 社内規程による |
経営会議のように会社が任意で設けている会議体には、会社法上の作成義務がありません。記録の粒度や保管期間は社内規程で決めることになります。
会議体ごとの役割分担そのものを確認したい方は、経営会議と取締役会の違いを整理した記事もあわせてご覧ください。
参考記事:経営会議とは?取締役会との違いや目的、あるべき姿にする成功法則を解説
一方、株主総会と取締役会はどちらも法定の機関で、議事録の作成と備置きが義務です。ただし記載事項も署名押印の扱いも別々に定められているため、同じフォーマットを流用すると要件を欠くことがあります。
作成・備置きを怠った場合のリスク
議事録を作らない、備え置かないままにしておくと、取締役などに過料が科される可能性があります。上限は100万円です(会社法976条)。
過料の対象になるのは、次のような行為です。
備置きを怠る:本店・支店に定められた期間、議事録を備え置かなかった場合
記載の欠落:議事録に記載すべき事項を記載しなかった場合
虚偽の記載:事実と異なる内容を記載した場合
閲覧謄写の不当な拒否:正当な理由なく株主・債権者の閲覧謄写請求を拒んだ場合
罰則のインパクトだけでなく、実務上の困りごともあります。役員変更や本店移転の登記では株主総会議事録が添付書面になるため、不備があると登記そのものが進みません。
株主総会議事録に記載する6つの項目
記載事項は会社法施行規則72条3項に6つ列挙されています。裏返せば、この6つが埋まっていれば法的な要件は満たせます。順に噛み砕いていきます。

1. 開催された日時と場所
株主総会を開催した日時と場所を記載します。開始時刻と終了時刻を分単位まで書いておくと、後から所要時間を確認できて便利です。
見落としやすいのが「出席の方法」です。その場所にいない取締役・監査役・株主などが出席した場合は、どのように出席したかも記載事項に含まれます。
オンライン会議ツールを使って参加した役員がいる場合
別拠点から電話会議システムで参加した株主がいる場合
議決権行使書や委任状による議決権行使があった場合
ハイブリッド開催が当たり前になった今の運営では、この一文の追記が実質的に必須になります。「取締役◯◯はオンライン会議システムにより出席した」といった形で残しておきましょう。
2. 議事の経過の要領およびその結果
議事録の中心になる項目です。ポイントは「経過」そのものではなく「経過の要領」と書かれていることで、一言一句の再現は求められていません。
書き方の型としては、議案ごとに次の3点をまとめる形が実務で定着しています。
議案の内容と提案者
説明・質疑応答の要旨
決議の結果(可決・否決、賛否の状況)
決議結果は「満場一致で可決した」「出席株主の議決権の過半数の賛成をもって可決した」のように、可決要件を満たしたことがわかる表現にします。特別決議が必要な議案では、3分の2以上の賛成があった旨まで書き残すと確認が楽になります。
3. 会社法が定める意見・発言の概要
会社法が特に指定した意見・発言が株主総会で述べられた場合は、その概要を記載します。該当するのは、たとえば次のような場面です。
会計参与が取締役と意見を異にする事項について意見を述べたとき
監査役が監査役の選任・解任・辞任について意見を述べたとき
辞任した監査役が辞任の理由を述べたとき
会計監査人が退任・辞任について意見を述べたとき
該当する発言がない総会では、この項目は不要です。監査役や会計監査人の就任・退任がある年度は該当しやすいため、議事進行の段階で確認しておくと漏れを防げます。
4. 出席した取締役・監査役などの氏名
株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人の氏名または名称を記載します。
役員総数と出席者数をあわせて書いておくと、誰が欠席していたかが後から追えます。あわせて出席株主数と議決権個数も書くのが実務上の慣行です。
5. 議長の氏名
議長を立てた場合は、議長の氏名を記載します。定款で「社長が議長を務める」と定めている会社では、その定款の定めに沿って議長が決まった旨も添えておくと丁寧です。
6. 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
議事録を作成する職務を担った取締役の氏名を記載します。ここで書くのは「実際に文章を打ち込んだ人」ではなく、作成の職務を担当した取締役です。
実務では総務や法務の担当者が起案し、担当取締役の氏名で作成者として記載する形が一般的です。担当者の氏名だけを書いて取締役名が抜けていると、記載事項の欠落になります。
決議・報告の省略があった場合の記載事項
株主全員が書面または電磁的記録で同意の意思表示をしたときは、株主総会を開かなくても決議があったものとみなされます(会社法319条1項)。いわゆる書面決議です。
この場合の議事録は、通常とは記載事項が異なります(会社法施行規則72条4項)。
ケース | 記載する内容 |
|---|---|
決議の省略(会社法319条1項) | ①決議があったものとみなされた事項の内容 ②提案をした者の氏名または名称 ③決議があったものとみなされた日 ④議事録作成の職務を行った取締役の氏名 |
報告の省略(会社法320条) | ①報告があったものとみなされた事項の内容 ②報告があったものとみなされた日 ③議事録作成の職務を行った取締役の氏名 |
日時・場所や議事の経過が存在しないため、そのぶん記載項目が少なくなります。
ただし株主から集めた同意の書面・電磁的記録は、みなし決議の日から10年間、本店に備え置く義務があります(会社法319条2項)。議事録とセットで保管場所を決めておきましょう。
株主総会議事録の書き方と記載例
会社法にも施行規則にも、決まったフォーマットの定めはありません。記載事項が漏れなく入っていれば形式は自由です。ここでは定時・臨時・書面決議の3パターンについて、項目ごとの記載例を挙げます。
なお、記載例はあくまで型です。自社の定款や議案の内容に合わせて調整してください。
定時株主総会の記載例
定時株主総会は、事業年度ごとに一定の時期に開催する株主総会です。計算書類の報告と剰余金の処分、役員選任などが議案になりやすいパターンです。
項目 | 記載例 |
|---|---|
表題 | 第◯期 定時株主総会議事録 |
日時 | 2026年6月25日 午前10時00分から午前11時20分まで |
場所 | 当社本店会議室(東京都◯◯区◯◯1丁目1番1号) |
出席状況 | 議決権を行使できる株主数 12名/その議決権個数 1,200個/出席株主数 10名(うち委任状による出席2名)/その議決権個数 1,150個 |
出席役員 | 取締役総数3名中3名出席(取締役◯◯はオンライン会議システムにより出席)/監査役総数1名中1名出席 |
議長 | 定款第◯条の定めにより、代表取締役◯◯が議長となった |
報告事項 | 議長は第◯期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の事業報告および計算書類の内容を報告した |
第1号議案 | 剰余金の処分の件。議長が議案の内容を説明し、質疑応答の後に採決したところ、出席株主の議決権の過半数の賛成をもって原案どおり承認可決された |
第2号議案 | 取締役1名選任の件。議長が候補者◯◯を提案し、採決したところ、出席株主の議決権の過半数の賛成をもって承認可決された。なお、被選任者は席上就任を承諾した |
閉会 | 議長は以上をもって全議案の審議を終了した旨を述べ、午前11時20分に閉会を宣した |
作成者 | 上記の議事の経過の要領および結果を明確にするため、本議事録を作成する。議事録作成に係る職務を行った取締役 ◯◯ |
役員を選任した議案では、被選任者が就任を承諾した旨まで書き残すのが実務のポイントです。登記申請の際に就任承諾の事実が確認できるためです。
臨時株主総会の記載例
臨時株主総会は、必要が生じたときに開催する株主総会です。定款変更や代表取締役の選定、本店移転などが議案になります。
基本の記載事項は定時株主総会と同じで、変わるのは表題と議案の中身です。
項目 | 記載例 |
|---|---|
表題 | 臨時株主総会議事録 |
日時 | 2026年9月10日 午後2時00分から午後2時40分まで |
場所 | 当社本店会議室(東京都◯◯区◯◯1丁目1番1号) |
第1号議案 | 定款一部変更の件。議長が本店所在地を変更する旨の定款変更案を説明し、採決したところ、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成をもって承認可決された |
第2号議案 | 本店移転の件。議長が新本店所在場所および移転日を提案し、採決したところ、出席株主の議決権の過半数の賛成をもって承認可決された |
定款変更のように特別決議が必要な議案では、3分の2以上の賛成を得た旨を明記します。可決要件が議案ごとに違うため、議案の性質に応じて書き分けるのが安全です。
決議の省略(書面決議)の記載例
株主全員の同意で決議を省略した場合は、開催を前提とした記載がなくなります。実際の文面はかなり短くなります。
項目 | 記載例 |
|---|---|
表題 | 株主総会議事録(会社法319条1項に基づく決議の省略) |
決議事項 | 取締役◯◯を選任する件 |
提案者 | 代表取締役 ◯◯ |
みなし決議日 | 2026年10月8日(議決権を行使できる株主全員から、上記提案に同意する旨の書面を受領した日) |
作成者 | 議事録作成に係る職務を行った取締役 ◯◯ |
同意の書面そのものは議事録ではありません。議事録とは別に、みなし決議の日から10年間の備置きが必要です。
書くときに迷いやすい3つの判断
法定の記載事項がわかっても、実際に文章にする段階で手が止まることがあります。現場で判断が分かれやすいのは次の3点です。
「議事の経過の要領」をどこまで書くか
条文が求めているのは「要領」であり、逐語の記録ではありません。議案ごとに「何が提案され、どんな論点が出て、どう決まったか」が追えれば要件は満たせます。
判断の目安は「この議事録だけを読んだ株主が、決議の正当性を確認できるか」です。発言者ごとの一言一句を残すと、かえって読みにくくなり、意図しない解釈を招くこともあります。
逆に、決議の前提になった重要な質疑を丸ごと落とすのは避けたいところです。議案の可決要件と、それを満たした根拠がたどれる粒度を最低ラインにしましょう。
賛否の状況をどう表現するか
「満場一致で可決」と書けるのは、実際に反対がなかった場合だけです。反対や棄権があったなら、その事実がわかる書き方にします。
全員賛成のとき:出席株主の全員一致により承認可決された
通常の決議のとき:出席株主の議決権の過半数の賛成をもって承認可決された
特別決議のとき:出席株主の議決権の3分の2以上の賛成をもって承認可決された
いずれの場合も、可決要件を満たしたことが読み取れるかどうかが基準です。曖昧な表現のままにすると、登記申請時に補正を求められることがあります。
秘匿性の高い発言をどう扱うか
株主総会では、公表前の事業計画や個別の人事に関する発言が出ることがあります。議事録は株主・債権者の閲覧対象になるため、扱いに配慮が必要です。
記載事項として求められている範囲を過不足なく書くことに徹しましょう。要件外の詳細を書き込むほど、閲覧時に開示される情報が増えていきます。
一方で、都合の悪い内容を意図的に落とすのは虚偽記載のリスクにつながります。要領としての正確さは保ちつつ、記載事項の範囲に絞る、という線引きが現実的です。
保存期間・押印・電子化のルール
作成した議事録は、決められた場所に決められた期間置いておく必要があります。ここでは備置き・閲覧請求・押印・電子化の4点を整理します。
本店10年・支店5年の二段階の備置義務
会社法318条は、本店と支店で異なる期間を定めています。
保管場所 | 置くもの | 期間 | 起算日 |
|---|---|---|---|
本店 | 議事録の原本 | 10年間 | 株主総会の日 |
支店 | 議事録の写し | 5年間 | 株主総会の日 |
支店の備置きには例外があります。議事録を電磁的記録で作成し、支店で閲覧謄写請求に応じられる措置を取っている場合です。このときは写しを置く必要がありません(会社法318条3項ただし書き)。
支店が多い会社では、この例外が実務負荷に直結します。紙の写しを各支店に配って回るのか、電子データで一元管理するのかは、早めに方針を決めておくとよいでしょう。
株主・債権者からの閲覧謄写請求への対応
株主と債権者は、会社の営業時間内であればいつでも議事録の閲覧・謄写を請求できます(会社法318条4項)。原則として会社は拒めません。
株主・債権者:営業時間内にいつでも請求できる
親会社の株主など(親会社社員):権利行使に必要な場合、裁判所の許可を得て請求できる
電磁的記録の場合:法務省令の定める方法で表示したものを閲覧・謄写に供する
請求を受けてから探し始めると、保管場所が曖昧な会社ほど慌てることになります。年度ごと・会議体ごとに保管ルールを決めておくと、対応がぐっと楽になります。
押印が必要になるケース
会社法にも会社法施行規則にも、株主総会議事録への押印を求める規定は置かれていません。慣行として議長や出席役員が押印している会社は多いものの、法令上の義務として書かれているわけではないという整理です。
ここは取締役会議事録との大きな違いです。取締役会議事録では、書面で作成した場合に出席した取締役および監査役の署名または記名押印が明文で求められています(会社法369条3項)。
参考記事:取締役会に議事録作成は必須?抑えるべき基本から効率的な運営方法まで徹底解説
ただし、登記の添付書面として使う場面では押印が必要になります。代表的なのが、株主総会の決議で代表取締役を定めたケースです。
この場合、議長および出席した取締役が議事録に押印した印鑑について、市区町村長作成の印鑑証明書を添付します(商業登記規則61条6項1号)。押印した印鑑が、変更前の代表取締役が登記所に届け出ている印鑑と同一であれば添付は不要です。
あわせて覚えておきたいのが株主リストです。登記すべき事項について株主総会の決議を要する場合は、一定の株主に関する書面の添付が求められます(商業登記規則61条3項)。
書面に記載するのは、株主の氏名または名称・住所・株式数・議決権数・議決権割合です。
対象になる株主の範囲は、次の2つのうち少ない人数です。
議決権割合が高い順に上位10名
議決権割合を高い順に加算して、3分の2に達するまでの人数
申請書の様式や記載例は法務局のサイトで公開されています。登記に使う議事録を作るときは、様式とあわせて確認しておくと差し戻しを防げます。
電磁的記録で作成・保存する場合
議事録は電磁的記録での作成が認められています(会社法施行規則72条2項)。紙に出力して保管する必要はありません。
電子データで作成した場合は、閲覧謄写請求に対して法務省令の定める方法で表示したものを提供します。押印の代わりには電子署名を用いるのが一般的な運用です。
電子化を進めるときに決めておきたいのは、次の3点です。
保管場所:どのシステムのどのフォルダに、どの命名規則で置くか
アクセス権限:誰が閲覧・編集できるか。会議体ごとに分けられるか
改変の履歴:いつ誰が編集したかを追える状態になっているか
株主総会や取締役会の記録は、社内でも閲覧範囲を絞りたい情報です。共有フォルダに置いたまま権限設計を後回しにすると、意図しない範囲に共有されるリスクが残ります。
株主総会議事録の作成を効率化する4つの工夫
法定の要件を満たしたうえで、作成にかかる時間を減らす余地はまだあります。株主総会は年に一度でも、取締役会・監査役会・経営会議と記録業務は積み上がっていくものです。ここでは実務で効きやすい4つの工夫を紹介します。
会議前にフォーマットと役割を決めておく
一番効くのは、会議が始まる前の準備です。記載事項を反映したフォーマットを用意しておけば、当日は空欄を埋めるだけになります。
前年の議事録をベースに、日時・出席状況・議案の枠を先に作る
議案ごとの可決要件(普通決議か特別決議か)を事前に書き込む
記録係と、議事録作成の職務を担う取締役を先に決めておく
準備をしておくと、当日の記録係は「要領をまとめる」ことだけに集中できます。議事録全般の書き方のコツは次の記事にまとめているので、フォーマット作りの参考にしてください。
参考記事:わかりやすい議事録の書き方は?12のコツや例文・フォーマットも紹介
録音を前提に記録の負荷を分散する
その場で完璧なメモを取ろうとすると、議事の流れを追いきれません。録音を残しておけば、あとから要領を確認しながら文章にできます。
ここで注意したいのが録音の環境です。議事録の精度は、AIを使うかどうか以前に「どれだけきれいな音声が録れているか」に大きく左右されます。
出席者から離れた位置に1台だけ置くと、発言が拾えないことがある
広い会議室や多人数の総会では、声が重なった箇所の判別が難しくなる
オンライン会議システム経由の音声は、対面録音より安定しやすい
株主総会は多人数かつ広い会議室で開かれることが多く、録音条件としては難しい部類に入ります。マイクの位置や台数を見直すだけで、後工程の手間が変わります。
参考記事:会議を録音する方法を徹底解説!おすすめのデバイス・ツールも紹介
文字起こしと要約で清書の時間を削る
録音を聞き返して手打ちする工程は、議事録作成のなかで最も時間を食う部分です。ここをAI議事録サービスに任せると、担当者の作業は「要領の確認と整え」に寄せられます。
たとえばAI議事録サービスの『Rimo Voice』では、会議終了後わずか5〜10分で文字起こしと要約が完了します。
Zoom・Microsoft Teams・Google Meet・Webexといった主要なオンライン会議ツールと連携できます。手元の録画・録音データをアップロードして文字起こしすることも可能です。
株主総会の議事では「剰余金の処分」「監査等委員会設置会社」「議決権の代理行使」といった法務固有の言葉が並びます。この種の用語は自動変換で揺れやすい部分ですが、辞書登録で対応できます。
辞書登録:専門用語や社内用語を登録して、変換精度を高める
話者分離:声紋登録により話者を自動推定し、発言ごとに話者情報を付与する
ノイズ・フィラー除去:「えーと」などの言い回しを自動で整える
一言一句を完璧に書き起こすことを期待しすぎない、という心構えも大切です。議事録に求められているのは経過の要領なので、要約が実務で使えるレベルに仕上がっているかを基準に見るほうが実態に合います。
機密性の高い会議の記録で確認したいこと
株主総会や取締役会の記録は、公表前の情報を含むことが多い書類です。外部サービスに音声やテキストを預けることへの慎重な声が社内から出るのも、無理のない反応でしょう。
チェックしておきたいのは、抽象的な「安心」ではなく具体的な条件です。
第三者認証:情報セキュリティの認証を取得しているか
データの保管場所:国内で保管されるのか、海外に渡るのか
AI学習への利用:預けたデータがAIモデルの学習に使われないか
権限管理:会議体ごとに閲覧できる人を限定できるか
Rimoの場合は、ISO/IEC 27001とISO/IEC 27017の認証を取得しています。データは日本国内のデータセンターで保管され、お客様の音声・テキストデータがAIモデルの学習に使われることもありません。
法人プランでは、SAML・OIDC対応のシングルサインオン、IPアドレス制限、監査ログにも対応しています。
実際の運用イメージがつかみやすい例として、井村屋グループ株式会社の事例があります。同社は取締役会や監査役会など、秘密事項の多い会議で導入を進めました。
会議体ごとにチームフォルダを分け、閲覧できる人を限定する運用にしているとのことです。導入検討時には、官公庁でも利用されている点が社内の懸念に対する説得材料になったといいます。
結果として、役員会議の議事録作成時間は半減しました。あわせて興味深いのが、導入当初は評価が高くなかったという経緯です。
原因はマイクなどの集音環境、つまりハード側の問題でした。環境を整えたことで精度が上がり、最終的には「もう欠かせないツール」という評価に変わっています。
参照:議事録作成時間半減!担当者も「もう業務に欠かせない」| 井村屋グループ株式会社様
つまり、ツールを入れて終わりではなく、録音環境とあわせて整えることが成果への近道になります。
株主総会議事録に関するよくある質問
最後に、株主総会議事録について実務で質問が多い点をまとめます。
Q. 株主総会を開かずに決議した場合も議事録は必要ですか?
必要です。株主全員が書面または電磁的記録で同意の意思表示をして決議を省略した場合も、会社法施行規則72条4項に沿った議事録を作成します。
記載するのは、次の4項目です。
みなし決議の対象になった事項の内容
提案をした者の氏名または名称
決議があったものとみなされた日
議事録作成の職務を行った取締役の氏名
あわせて株主から受領した同意の書面・電磁的記録を、みなし決議の日から10年間、本店に備え置きます。
Q. 株主総会議事録に押印は必要ですか?
会社法および会社法施行規則には、株主総会議事録への押印を求める規定は置かれていません。慣行として押印している会社が多いという状況です。
ただし登記の添付書面として使う場合は別です。株主総会の決議で代表取締役を定めたときは、議長および出席した取締役が押印した印鑑の証明書が必要になります(商業登記規則61条6項1号)。
押印の運用を見直すときは、登記で使う可能性のある議事録から順に確認するのが安全です。
Q. 議事録は誰が作成するのですか?
法令が記載を求めているのは「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」です。したがって、作成の職務を担うのは取締役という整理になります。
実務では総務や法務の担当者が起案し、担当取締役の氏名で作成者として記載するのが一般的です。担当者名だけを書いて取締役名が抜けていると、記載事項の欠落になるため注意してください。
Q. 参加者が多い対面の総会でも、AIで文字起こしできますか?
条件によって結果は変わります。多人数かつ広い会議室での対面開催は、発言が重なったり離れた席の声が拾いにくかったりするため、精度の面では難しい条件です。
打ち手としては、次のような対策があります。
集音マイクの位置と台数を見直す
議事で使う専門用語を辞書に登録しておく
オンライン会議システムを併用して音声を安定させる
逐語の完璧さより、経過の要領がまとめられるかを基準に判断するとよいでしょう。
Q. 議事録を電子データだけで保管してもよいですか?
問題ありません。会社法施行規則72条2項が電磁的記録での作成を認めているため、紙で出力して保管する義務はありません。
支店については例外があります。電磁的記録で作成し、支店で閲覧謄写請求に応じられる措置を取っていれば、写しの備置きは不要です(会社法318条3項ただし書き)。
電子化を進める際は、保管場所・アクセス権限・編集履歴を先に決めておくと運用が安定します。
まとめ|株主総会議事録は6つの記載事項と10年の備置きを押さえれば形になる
本記事では、株主総会議事録の作成義務と記載事項6項目、定時・臨時・書面決議の記載例を解説しました。あわせて保存期間・押印・電子化のルールと、作成を効率化する工夫も紹介しました。
押さえるべき軸は多くありません。
会社法施行規則72条3項の6項目を漏らさない
本店10年・支店5年の備置きを守る
議事の経過は「要領」として過不足なくまとめる
書面決議のときは記載事項が変わる点と、同意書面も10年間備え置く点を忘れないようにしましょう。
要件が固まったら、次に効いてくるのは作業の進め方です。フォーマットを事前に用意し、録音環境を整え、文字起こしと要約を自動化します。ここまで整えば、担当者の仕事は「要領を確認して整える」ところに集約できます。
機密性の高い会議で使うなら、認証・国内保管・AI学習なし・権限管理の条件を満たすサービスを選ぶと社内の合意も取りやすくなります。
年に一度の負担を軽くする準備として、記録の進め方から見直してみてはいかがでしょうか。
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