現代は情報があふれる時代です。ビジネスの場でも、多くの情報から本質を簡潔にまとめる「要約力」が欠かせないスキルとなっています。
要約力があれば、会議や報告書、プレゼンなど、様々な場面で自分の意見を分かりやすく伝えられます。しかし、要約力が足りないと様々な場面でコミュニケーションや仕事がうまくいかなくなる恐れがあります。
本記事では、要約力の重要性とその不足が引き起こす問題点を解説します。さらに、実践的な要約力のトレーニング方法までご紹介します。
要約力とは?なぜ重要なビジネススキルなのか?
要約力は、ビジネスパーソンにとって欠かせない重要なスキルの一つです。要約力があれば、会議やプレゼン、メール、報告書など、様々なシーンで要約力が大活躍します。
要約力を身につけることで、コミュニケーションの質が上がり、仕事の効率アップにもつながるでしょう。ここでは要約力の定義や重要性、そして要約力不足が引き起こす問題点について詳しく解説していきます。
そもそも要約力とは?
要約力は、情報の中から重要なポイントを素早く見つけ出し、分かりやすくまとめる能力のことです。AIが進化した現代でも、AIに指示を出す人間の理解力が大切なのです。実際の仕事の現場やテストなどでは、AIを使うことができませんから、人間自身が要約力を身に付けることが重要なのです。
要約力を備えることで、次のようなメリットがあります。
求められていることを瞬時に掴み簡潔に答えられる
頭が良い人と評価されやすくなる
要点を的確に捉えられ誤解を防げる
スムーズな会話が可能になります
特に仕事の現場においては、要約力が必要とされる場面は非常に多いといえます。ビジネスパーソンにとって極めて重要な力と言えるでしょう。
要約力が大活躍するシーンはこんなにある!
仕事の現場では、要約力が大いに役立つシーンがたくさんあります。ここでは、そんな要約力が活躍する4つの場面を紹介しましょう。
会議
会議では、議論の要点を簡潔にまとめ、自分の意見を端的に述べる力が求められます。会議の最後に、決定事項や今後の方針を分かりやすくまとめることで、参加者全員が内容をすっきりと理解できるでしょう。
プレゼン
プレゼンでは、ポイントを絞ってインパクトのある発表をすることが大切です。伝えたいことを要約し、聞き手の興味を引く工夫を凝らせば、印象に残るプレゼンができるはずです。
メール
メールでは用件を手短に伝え、相手の時間を無駄にしないことが重要です。結論や依頼事項を明確に書き、箇条書きを使って要点がはっきりするように書くと相手に内容が伝わりやすくなります。
報告書
報告書では、データや調査結果の要点を明確に伝えることが求められます。目的や結論を冒頭で示し、情報を論理的に整理しましょう。図表を効果的に使い、専門用語の使用は最小限にとどめることで、要点が伝わる報告書を作成できます。
要約力がないとどうなる?
要約力が不足していると、様々な問題が生じます。ここでは、要約力の欠如がもたらす3つの問題点を見ていきましょう。
端的な説明ができず相手をうんざりさせてしまう
要約力がないと、つい説明が長くなってしまいがちです。話が脱線したり何を言っているか分からなくなったりして、聞いている人はうんざりしてしまいます。
結局、伝えたいことが埋もれてしまい、相手には何が言いたいのかさっぱり分からない、なんてことになりかねません。
端的に説明できないと、相手の集中力を維持できず、会議やプレゼンが長引いて退屈させてしまうでしょう。
メールや報告書のような文章の場合でも、読みにくいので相手が理解しづらくなってしまいます。
肝心なポイントが伝わらずすれ違いが起こる
要約力が足りないと、大事なポイントが抜け落ちることがあります。
議論の本質が見えなくなって、会議が脱線したりプレゼンで肝心な部分が伝わらずに説得力に欠けたり、ということになってしまいます。メールや報告書の場合でも、重要な情報が漏れて誤解を招いたりといったことになる場合が多くなります。
このように、要点を押さえられないと、すれ違いや誤解が生じやすくなってしまうのです。
無駄が多くなり余計な時間がかかりやすい
要約力がないと、無駄な情報が多くなり時間がかかってしまいます。
会議で無駄な議論が続き進行が遅れたり、プレゼンで関係ない情報が多く集中力が削がれたり、冗長なメールや報告書を読むのに時間がかかったりします。
要約力不足が原因で、時間の無駄につながってしまうのです。
要約力の高い人の特徴
要約力に長けている人には、どんな特徴があるのでしょうか?
会議でいつも的確なまとめができる上司や、わかりやすい説明が評判の先輩など、きっと身近にも要約力の高い人はいるかと思います。
そんな要約力の達人たちに共通する特徴を、ここでは4つご紹介します。
シンプルでわかりやすい説明が得意
要約力の高い人は、複雑なことを簡単に説明するのが非常に上手です。
専門用語をできるだけ避け、誰にでも分かる言葉で話すのがポイント。例えや比喩を使ってイメージしやすくするのも得意技です。
情報を整理してポイントを絞って伝えるから、聞いている人にスッと内容が入ってくるんです。難しいことをやさしく説明できるのが要約力の高い人の特徴と言えるでしょう。
重要ポイントを的確にキャッチ
情報の中から重要なポイントを素早く見抜くのが、要約力の高い人の強みです。話の本質を瞬時に理解し、メリットとデメリットを正確に判断します。
データや事実から肝心な部分を抽出するのも得意です。重要ポイントを的確につかむ力は、要約力の高い人が持つ優れた能力と言えます。
相手目線で必要な情報をチョイス
相手に必要な情報を選んで伝えるのも要約力の高い人の特技です。相手の立場や関心事をしっかりと理解し、相手が知りたい情報を予測するのがポイント。
不要な情報はバッサリと削ぎ落とすのも大切です。相手目線で必要な情報をチョイスする力は、要約力の高い人ならではの長所です。
論理的な構成でスッキリ伝える
要約力の高い人は、情報を論理的に構成してスッキリと伝えるのが得意です。伝える順序にも気を配っており、結論から先に述べるのがこういう人の特徴です。
情報を分類して関連性を明確にし、理由や根拠を示して説得力を高めるのも上手です。要約力の高い人は、論理的な構成力でわかりやすく伝える力があると言えます。
要約力アップの基本的な考え方
要約力を上げるためには、どんなことに気をつければいいのでしょうか?
実は、要約力アップには欠かせない基本的な考え方があります。ここでは、要約力を高めるための3つのポイントを紹介します。
情報を整理しよう
要約力アップの第一歩は、情報を整理することです。情報を整理するためのコツは、以下の3つです。
情報をグループ化して、カテゴリーごとにまとめる
重要な情報とそうでない情報を見極める
関連性のある情報同士を結びつける
このように情報を整理することで、全体像が分かり要点がつかみやすくなります。情報を整理する習慣をつけることが、要約力アップに繋がるのです。
関連記事:ChatGPTで文章を要約するやり方は?精度を上げるコツやおすすめプロンプトも紹介
重要度をジャッジ
情報を整理したら、次は重要度を判断することが大切です。重要度を判断する際は、以下の2つの視点を持つことが有効です。
目的や結論に直結する情報かどうか
全体の中での位置づけや優先順位
つまり、伝えたい目的に沿った情報なのか、全体の中でどれだけ重要な情報なのかを考えるわけです。
重要度を判断がしっかりできるようになると、要約力が一気にアップします。
簡潔・的確に表現
最後に大切なのが簡潔で的確な表現力です。簡潔・的確に表現するコツは以下の3つです。
結論から先に伝える
具体的な数字や事実を使う
専門用語は避け、わかりやすい言葉で説明する
このようにポイントを絞って、簡潔に表現することが重要です。
特に結論から先にいうのは、こちらが言いたいことを相手に伝えるうえで非常に大切なので、意識すると良いでしょう。
関連記事:効率的な文章要約の書き方・テクニック徹底解説ーAIのプロがお伝え!
無駄を9割捨てる練習!要約力を身に付けるトレーニング方法
要約力を鍛えるには、日々の地道なトレーニングが欠かせません。しかし、具体的にどんな練習をすればいいのか、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
ここでは、要約力を身に着けるための4つのトレーニング方法を紹介します。
読書トレーニング
要約力を鍛えるなら、まずは読書から始めましょう。
本を読み進めながら、章ごとの要点をまとめる習慣をつけるのがおすすめです。最初は数行程度に要約する練習から始めて、慣れてきたら、さらに言葉を絞り一文で要約してみましょう。
また、読み終わったあとは、本全体の内容を自分の言葉で説明してみるのも効果的です。このように、読書と要約を組み合わせるトレーニングを続けることで、重要なポイントを見抜く力が身につきます。
ニュース記事の要約
新聞やニュースサイトの記事を要約するのも、おすすめのトレーニング方法です。記事を読んだら、以下の3つの質問に答えてみましょう。
・誰が、何を、どうした?(主語、目的語、述語)
・いつ、どこで、なぜ?(5W1H)
・記事の主張や結論は?
このように、記事の骨子をつかむ練習を繰り返すことで、情報を整理する力がついていきます。他には、要約文を人に説明してみるのも効果的です。言葉にすることで、相手に伝わるかどうかを確認できますし、自分自身の理解度も深まるでしょう。
プレゼン練習
プレゼンの練習をするのも要約力アップにつながります。プレゼンの準備段階で、伝えたいメッセージを一文で明確にしてみましょう。そして、そのメッセージを支える3つの論点を考えましょう。
論点は具体例や数字を交えながら、わかりやすく説明することが大切です。シンプルで的確なプレゼンを目指して練習を重ねましょう。要約力が上がれば、プレゼンの質も徐々に上がっていきます。
アウトプット中心の学習
要約力を向上させるためには、インプットよりもアウトプットを重視することが大切です。例えば、セミナーや講演会に参加したら、学んだ内容を自分の言葉で誰かに説明してみましょう。また、読んだ本の要約をブログやSNSに投稿してみるのもおすすめです。
人に伝えることを意識すれば、要点を押さえた説明力が身につきます。ついついインプットするだけで終わってしまいがちですが、アウトプット中心の学習スタイルを取り入れることが、要約力が飛躍的にアップすることでしょう。
関連記事:要約レポート作成の手順5STEP!書き出しや終わり方のコツ・注意点も解説
要約力を活かす!相手に伝わる話し方のコツ
せっかく要約力が身についても、それを活かせなければ意味がありません。要約したことを相手にしっかりと伝えるには、話し方のスキルアップも欠かせないのです。ここでは、要約力を活かして、相手に伝わる話し方をマスターするための2つのコツを紹介します。これらを意識して、日々のコミュニケーションに活かしていきましょう。
相手の立場に立って考える
相手に伝わる話し方のポイントは、相手の立場に立って考えることです。
自分が伝えたいことを一方的に話すのではなく、相手が何を知りたがっているのか、どんな情報が必要なのかを考えることが大切です。
相手の関心事や悩みを想像しながら、そこに焦点を当てて話すことで、相手の心に響く説明ができるはずです。
要約した内容を、相手の視点から見直してみることが、伝わる話し方のコツと言えるでしょう。
構成を工夫する
話し方のコツは、話の構成を工夫することにあります。以下の4点を意識して構成を工夫しましょう。
結論から先に伝える
結論から先に伝えましょう。話の最初に結論を示すことで、相手の興味を引きつけることができます。重要な情報は冒頭と最後で伝える。
次に、重要な情報は冒頭と最後に配置するのがポイントです。人は話の始めと終わりの部分に注目しがちなので、ここに大切な内容を盛り込むと効果的でしょう。情報をカテゴリーごとにまとめる
情報をカテゴリーごとにまとめるのも大切です。関連する内容をグループ化することで、話の流れがスムーズになります。具体例を入れながら説明する
具体例を交えて説明すると、相手にイメージしやすくなります。抽象的な表現よりも、具体的なエピソードを織り交ぜた方が伝わりやすいものです。
このように、話の骨組みを意識して、全体の流れを整理しましょう。要点を押さえたわかりやすい話の構成を心がければ、相手に的確に伝えることができるはずです。
【実践】ビジネスシーンで要約力を発揮する方法
要約力は、仕事の場でも大いに役立つスキルです。しかし、具体的にどのように要約力を発揮すればいいのかピンとこない方もいるでしょう。
そこで、ここでは、ビジネスシーンで要約力を発揮するための3つの方法を紹介します。
会議で活躍
会議では、要約力が大活躍します。議論が脱線しそうになったら、要点を整理して話を戻すのが、要約力の出番です。
具体的には以下の2点をポイントを意識すると良いでしょう。
議題を明確にして、話し合うべき内容を絞り込む
決定事項や課題は、箇条書きにして共有する
このように、会議の流れを整理しポイントを明確にすることが、要約力の発揮につながります。議論の内容を要約して共有することで、チームの意思疎通もスムーズになるはずです。
関連記事:【実践】議事録の書き方が上手い人の特徴は?議事録作成のコツ10選
メールで応用
メールのやり取りでも、要約力が重要な役割を果たします。用件を簡潔にまとめることで、相手に内容がスッと伝わるんです。
メールで要約力を発揮するためには、以下のような工夫が効果的です。
件名で要点を明示する
本文は3〜5行程度に収める
結論や依頼事項を冒頭に書く
箇条書きを使って分かりやすくする
このように、メールの内容をコンパクトにまとめることが、要約力アップのポイントです。ポイントを絞って、簡潔に伝えることを心がけましょう。
報告書やプレゼン資料の作成
報告書やプレゼン資料を作る際にも、要約力が大いに役立ちます。情報を整理しポイントを絞ることが、わかりやすい資料作りの秘訣です。
まずは資料の目的を明確にしましょう。そうすることで、伝えるべき内容を絞り込むことができます。
次に、結論から先に示すのがおすすめです。結論を最初に提示することで、全体の構成を考えやすくなります。
また、図表やグラフを活用するのも効果的です。視覚的な情報を取り入れることで、内容をよりわかりやすく伝えられます。
さらに専門用語は避けて、シンプルな表現を心がけましょう。難しい言葉を使うよりも平易な言葉で説明する方が、相手に伝わりやすいものです。
このように、要点を整理しメリハリをつけることが、説得力のある資料作りにつながります。
関連記事:報告書の正しい書き方やポイントを徹底解説!種類や例文も紹介
本質的な要約力を高め続ける方法
要約力はすぐには身につかないので、高めるには継続的なトレーニングが必要不可欠です。
しかし、具体的にどんなことを日々実践すればいいのか、あまりイメージがわかない方も多いでしょう。そこで、ここでは、本質的な要約力を高め続けるための3つの方法を紹介します。
日常生活でトレーニング
要約力を高めるには、日常生活の中で意識的にトレーニングすることが大切です。
日常生活の中で要約力を鍛えるためのポイントをまとめてみました。
読書の際は、各章の要点をまとめる習慣をつける
自分なりの言葉で要約することから始める
人との会話の中で、相手の発言を要約して伝え返すクセをつける
このように、日常のさまざまなシーンで要約する意識を持つことが、スキル向上の第一歩となります。
良質なインプットを心がける
要約力を高めるには、良質なインプットも欠かせません。良質なインプットを心がける際は、以下の2点に注意しましょう。
内容の濃い本を選ぶ
客観的な情報に触れる
まず内容の濃い本を選ぶのがポイントです。著者の主張が明確で論理的な構成の本を読むことで、要約のコツをつかめるでしょう。
次に客観的な情報に触れるのも大切です。ニュースや新聞記事など、事実に基づいた情報を読むことで情報を整理する力が身につきます。
このように質の高いインプットを心がけることで、要約力の土台が築けるはずです。普段から、良質な情報に触れる習慣を付けてみてください。
フィードバックを通じて改善
要約力を高めるには、自分の要約に対するフィードバックが欠かせません。
自分で要約した内容を他の人に伝え、わかりにくい部分がないか確認しましょう。
たとえば、以下のような質問で相手の反応を引き出し理解度を確認します。
ポイントは理解してもらえましたか?
もっと詳しく知りたい部分はありますか?
伝わりにくいところがある場合は、表現を工夫して改善しましょう。
また、要約の専門家からアドバイスをもらうのも効果的です。自分では気づかなかった改善点が見えてくるはずです。
フィードバックを通じて要約力を磨き続ける習慣を身につけることで、スキルを向上させることができるでしょう。
関連記事:評価につながる上司への報告のポイント6選!3つの方法や例文も紹介
まとめ
記事の中では、会議やプレゼン、メール、報告書など、仕事のあらゆる場面で要約力が大活躍することをお伝えしました。
要約力が不足していると日常生活でも仕事でも、コミュニケーションがうまく行かない場面が多くなってしまいます。そこで、要約力の高い人の特徴や、要約力を鍛えるコツ、日常的なトレーニング法などを紹介しました。
情報があふれる現代社会を生き抜くには、要点を素早くつかみ、簡潔に伝える力が不可欠です。
だからこそ、日常生活の中で意識的に要約力を鍛えていくことが大切です。ぜひこの記事を参考に、要約力を磨いていって欲しいと思います。
要約力は練習次第で伸ばせるスキルです。この記事を参考に要約力を伸ばし、仕事の効率もクオリティーも向上させていきましょう。
関連記事:自動で文章を要約できるAIツールおすすめ10選を無料・有料に分けて紹介!選び方やポイントも徹底解説
AIの要約結果を参考にして要約力を高める方法も
『Rimo Voice』は、会議・インタビュー等の録音/録画データから自動で要約文を生成するAIツールです。
AIによる要約と自分で作成した要約を比較し、自分の要約に不足している点や改善点を把握することで、要約力を高めていくこともできるでしょう。
要約にお困りの方は、ぜひ『Rimo Voice』の利用をご検討ください。
最終更新日: 2024 / 9 / 30
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